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17話 勇者とドラゴン
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1か所目、2か所目、3か所目、時間差を置いて赤い光、赤い炎が大迷宮の中を照らしていた。
それはどういうことを意味するかというと。
「ちょ、えええええ、わたくしまだアンデットドラゴンと戦ってないよ、しかも今到達したばっかだし、ということは4分以内にこの馬鹿でかいドラゴンを倒さないといけないわけえええええ」
勇者メイルンの悲鳴が響き渡っていた。
実はロンパの4体目の分裂魂はアンデットドラゴンの場所についていたのだが、
勇者がいなかった。
なぜか勇者は方向音痴だったらしい、
目印があるのに、よそ見して考えごとでもしていたのだろう。
ロンパはひやひやしながらフィーズ、ネネーネ、ドースンがボスを倒した合図が上がるのを見ていた。
だって3体目の合図が上がってから、メイルンが到着したのだから、
つまり、タイムリミットは3分まで。
しかもアンデットドラゴンの大きさは2階建ての宿屋と言ってもいいかもしれない、
それだけ巨躯でありながら、全身から闇色のどす黒いオーラを発している。
まさにラスボスにふさわしい存在だろう。
骨と腐った肉が本体となっており、
口から牙が見えているし、なにより体の細胞が壊死しているのか、
ぼろぼろと崩れ去る肉。
それでも再生されるのか、アンデットドラゴンは回復しているのだ。
魂となっていてもその臭いには仰天させられる。
まるで腐った卵に腐った白菜を混ぜた。謎の漬物が出来ましたとばかりに。
周りは真っ暗闇ではなく、黒い炎がともっている。
これはロンパのシチュエーション作戦である。
黒い炎なら怖いなぁとか、思うだろうし、
ゾンビのすべてを見なくて済むだろう。
「もう黒い炎なんて悪趣味です」
そういってメイルンは右手と左手で赤い炎をともすと、
黒い炎をかき消して赤い炎に変えてしまったのだ。
これにはロンパは仰天してしまい、
せっかくのシチュエーションが台無しじゃああとか独り言を呟いていた。
「ドラゴンさん、臭いです」
「ぐるるるう」
普通、敵に向かって臭いというだろうか?
それだけメイルンの心の肝は据わっているのだろうか?
「ちゃんと綺麗に掃除してあげるからね」
それはやさしさから来ることなのか?
それともお前なんか殺してやると言っているのか?
すごく謎だ。
謎すぎるぞ、勇者よ。
「掃除の前にドラゴンを退治したいと思います」
いや、掃除と退治も対象が同じだし、
敵は目の前のドラゴンだぞ。
「では本気だしまーす」
なんか1人だとキャラ変わってねーか?
ロンパの以外な気づきと。
なによりの驚きは、勇者の驚くべき行動で打破された。
「あまり時間ないのでフルパワーでいきまーす」
メイルンは地面を蹴った。
まるでタップダンスでもするかのように軽やかなメロディーを奏でながら。
メイルンの背中からは赤い翼が開かれた。
それは炎の翼のようで、
メイルンよどこまで成長したのだ。
右手と左手に炎の剣を出現させる。
まさに2本の剣を扱って見せる。
ドラゴンが大きな顎を振り下ろすと、その真横を翼で飛翔しているメイルンが避ける。
そのままアンデットドラゴンの背中に到達したとき、すでに30秒が経過していた。
背中に2本の炎の剣を串刺しにする。それでも腐った肉が焼ける程度。
ロンパのところまで異臭がしてくる。
「しつこいですねぇ」
メイルンは片っ端から炎の剣を具現化させると、
次から次へとアンデットドラゴンの背中に串刺す。
血しぶきならぬ肉しぶきに、
ロンパは普通に引いていた。
メイルンの全身は腐った肉体に汚染させられている。
断末魔の叫び声をあげながらアンデットドラゴンは体をゆっくりとくねらせると、
背中からメイルンを弾き飛ばした。
メイルンは壁に激突すると、
何事もなかったかのようにアンデットドラゴンの前にやってくる。
「残り1分程度かなぁ、じゃ、これでお片付けねぇ」
右手と左手を合わせて、
そこに巨大な炎の槍を出現させる。
瞳が真っ赤に染まる。
銀髪がほんのりと光輝く。
これを見ているのがロンパただ一人だけだということ、
そして、きっとこのことは仲間には言うなという暗黙の了承からきているのだろう。
「これが、巨大ランス、名前は未定でええええ、いっきまーすううううう」
巨大な炎のランスが、
まっすぐにロケット花火のように吹き飛び、
ロケット花火とは鍛冶屋が暇つぶしでつくる棒を飛ばす花火のこと、
まさにそのようにまっすぐに吹き飛んだのだ。
爆殺という音がふさわしいだろう、
一体ここで何が起きたのか?
ロンパは理解することができない、一体何が?
そこにはもはやアンデットドラゴンの姿はなく、
しかも時間的には残り10秒だというところ。
動きのトロイ敵だからこそできた技。
あの炎の槍を強化させ巨大化させるのに結構な時間を要する。
「ふぅ、終わったわ」
暗黒の世界、通称ダークマターの世界からホワイトマターにより、ダークマターと仲裁される。
ホワイトマターは4体のボスを倒すことによりその骨から出現させることになっている。
空間は光輝き、
なーんもない四角い巨大な部屋の中に4人はいて、
一応結構な広さなのだが、
倒されたスケルトンたちの死体もなくなり、
本当になーんもなくなっている。
次の階層に行く巨大な扉があった。
4個に分かれていた魂たちを1つに結合することにしたロンパは、
3階層への入り口の扉で立ち尽くしていた。
1人また1人と、
ここからでは丸見えなのだが、それは仕方ない。それぞれが疲れ果てていたようで。
最初に到達したのは道化のフィーズ、これはなんとなく道化と思うことにした。
2人目は魔法使いのネネーネ、3人目は運び人のドースン、最後が勇者のメイルン。
「みなさんご苦労様です」
「ふうぅ、めっちゃくそ疲れたぜ」
「あなたはがんばったのでしょうね」
「わしゃ、腰が、ネネーネちゃんマッサージを」
「爺、いつまでふざけてるんだよー」
「まぁ今日は始まりの街に戻って、英気を養いましょう」
「「「「賛成」」」」
なんか最近人生が楽しいかも、と思ったりしてきたロンパであった。
「わしは一度用事がある、お前たちを始まりの街にテレポートさせたら、おいとまさせてもらう、明日また会おう」
メンバーに何も言わせず強制テレポートをしたロンパは、
自分は別な場所にテレポートすることに、
そこはリンティンが生身のロンパの体を守ってくれている場所。
アモスの大迷宮の最上階、そしてロンパはアモスに戻るのだ。1日だけ。
それはどういうことを意味するかというと。
「ちょ、えええええ、わたくしまだアンデットドラゴンと戦ってないよ、しかも今到達したばっかだし、ということは4分以内にこの馬鹿でかいドラゴンを倒さないといけないわけえええええ」
勇者メイルンの悲鳴が響き渡っていた。
実はロンパの4体目の分裂魂はアンデットドラゴンの場所についていたのだが、
勇者がいなかった。
なぜか勇者は方向音痴だったらしい、
目印があるのに、よそ見して考えごとでもしていたのだろう。
ロンパはひやひやしながらフィーズ、ネネーネ、ドースンがボスを倒した合図が上がるのを見ていた。
だって3体目の合図が上がってから、メイルンが到着したのだから、
つまり、タイムリミットは3分まで。
しかもアンデットドラゴンの大きさは2階建ての宿屋と言ってもいいかもしれない、
それだけ巨躯でありながら、全身から闇色のどす黒いオーラを発している。
まさにラスボスにふさわしい存在だろう。
骨と腐った肉が本体となっており、
口から牙が見えているし、なにより体の細胞が壊死しているのか、
ぼろぼろと崩れ去る肉。
それでも再生されるのか、アンデットドラゴンは回復しているのだ。
魂となっていてもその臭いには仰天させられる。
まるで腐った卵に腐った白菜を混ぜた。謎の漬物が出来ましたとばかりに。
周りは真っ暗闇ではなく、黒い炎がともっている。
これはロンパのシチュエーション作戦である。
黒い炎なら怖いなぁとか、思うだろうし、
ゾンビのすべてを見なくて済むだろう。
「もう黒い炎なんて悪趣味です」
そういってメイルンは右手と左手で赤い炎をともすと、
黒い炎をかき消して赤い炎に変えてしまったのだ。
これにはロンパは仰天してしまい、
せっかくのシチュエーションが台無しじゃああとか独り言を呟いていた。
「ドラゴンさん、臭いです」
「ぐるるるう」
普通、敵に向かって臭いというだろうか?
それだけメイルンの心の肝は据わっているのだろうか?
「ちゃんと綺麗に掃除してあげるからね」
それはやさしさから来ることなのか?
それともお前なんか殺してやると言っているのか?
すごく謎だ。
謎すぎるぞ、勇者よ。
「掃除の前にドラゴンを退治したいと思います」
いや、掃除と退治も対象が同じだし、
敵は目の前のドラゴンだぞ。
「では本気だしまーす」
なんか1人だとキャラ変わってねーか?
ロンパの以外な気づきと。
なによりの驚きは、勇者の驚くべき行動で打破された。
「あまり時間ないのでフルパワーでいきまーす」
メイルンは地面を蹴った。
まるでタップダンスでもするかのように軽やかなメロディーを奏でながら。
メイルンの背中からは赤い翼が開かれた。
それは炎の翼のようで、
メイルンよどこまで成長したのだ。
右手と左手に炎の剣を出現させる。
まさに2本の剣を扱って見せる。
ドラゴンが大きな顎を振り下ろすと、その真横を翼で飛翔しているメイルンが避ける。
そのままアンデットドラゴンの背中に到達したとき、すでに30秒が経過していた。
背中に2本の炎の剣を串刺しにする。それでも腐った肉が焼ける程度。
ロンパのところまで異臭がしてくる。
「しつこいですねぇ」
メイルンは片っ端から炎の剣を具現化させると、
次から次へとアンデットドラゴンの背中に串刺す。
血しぶきならぬ肉しぶきに、
ロンパは普通に引いていた。
メイルンの全身は腐った肉体に汚染させられている。
断末魔の叫び声をあげながらアンデットドラゴンは体をゆっくりとくねらせると、
背中からメイルンを弾き飛ばした。
メイルンは壁に激突すると、
何事もなかったかのようにアンデットドラゴンの前にやってくる。
「残り1分程度かなぁ、じゃ、これでお片付けねぇ」
右手と左手を合わせて、
そこに巨大な炎の槍を出現させる。
瞳が真っ赤に染まる。
銀髪がほんのりと光輝く。
これを見ているのがロンパただ一人だけだということ、
そして、きっとこのことは仲間には言うなという暗黙の了承からきているのだろう。
「これが、巨大ランス、名前は未定でええええ、いっきまーすううううう」
巨大な炎のランスが、
まっすぐにロケット花火のように吹き飛び、
ロケット花火とは鍛冶屋が暇つぶしでつくる棒を飛ばす花火のこと、
まさにそのようにまっすぐに吹き飛んだのだ。
爆殺という音がふさわしいだろう、
一体ここで何が起きたのか?
ロンパは理解することができない、一体何が?
そこにはもはやアンデットドラゴンの姿はなく、
しかも時間的には残り10秒だというところ。
動きのトロイ敵だからこそできた技。
あの炎の槍を強化させ巨大化させるのに結構な時間を要する。
「ふぅ、終わったわ」
暗黒の世界、通称ダークマターの世界からホワイトマターにより、ダークマターと仲裁される。
ホワイトマターは4体のボスを倒すことによりその骨から出現させることになっている。
空間は光輝き、
なーんもない四角い巨大な部屋の中に4人はいて、
一応結構な広さなのだが、
倒されたスケルトンたちの死体もなくなり、
本当になーんもなくなっている。
次の階層に行く巨大な扉があった。
4個に分かれていた魂たちを1つに結合することにしたロンパは、
3階層への入り口の扉で立ち尽くしていた。
1人また1人と、
ここからでは丸見えなのだが、それは仕方ない。それぞれが疲れ果てていたようで。
最初に到達したのは道化のフィーズ、これはなんとなく道化と思うことにした。
2人目は魔法使いのネネーネ、3人目は運び人のドースン、最後が勇者のメイルン。
「みなさんご苦労様です」
「ふうぅ、めっちゃくそ疲れたぜ」
「あなたはがんばったのでしょうね」
「わしゃ、腰が、ネネーネちゃんマッサージを」
「爺、いつまでふざけてるんだよー」
「まぁ今日は始まりの街に戻って、英気を養いましょう」
「「「「賛成」」」」
なんか最近人生が楽しいかも、と思ったりしてきたロンパであった。
「わしは一度用事がある、お前たちを始まりの街にテレポートさせたら、おいとまさせてもらう、明日また会おう」
メンバーに何も言わせず強制テレポートをしたロンパは、
自分は別な場所にテレポートすることに、
そこはリンティンが生身のロンパの体を守ってくれている場所。
アモスの大迷宮の最上階、そしてロンパはアモスに戻るのだ。1日だけ。
応援ありがとうございます!
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