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第1章勇者追放

19話村人消失したので勇者なしパーティー絶句

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 爆発戦士デイは他の仲間たち3名を見ることもなく、
 その無人となった村を見て、
 あまりの衝撃に草むらに両手と両足を落としていた。

「どいうことだ。なぜ村人が忽然と消えたのだ。ま、まさかモンスターに襲われたのでは、僕たちはとんでもない失態を、勇者パーティー(勇者なし)としてとんでもない失態をしたのか」
「デイ、落ち着いて、見て死体が一つもないということと、建築中の家が崩壊していないことから、別な場所に移動したのよ、だってここはモンスターが結構いるのですから」

「そ、そうだな、ムーンよありがとう、いつも僕をはげましてくれた」
「好きだからじゃないんだからね」

「なぜにツンデレなのだ? 僕たちは今から腹いせにモンスターを狩って狩りまくってそんでもってレベルをあげよう」
「そうですよね、回復なら任せてください」
「いつも助かるよスター」

「だけどテテたちのレベルは100を超えてますよ、さらにあげても」
「まだ魔王は無数にいる。この世界から魔王を滅ぼすまで勇者パーティー(勇者なし)に安息の地はない」

「デイ、いつも言うけど、まず勇者様探さなきゃね」

「がくり、そのとおりだ」

 かくして勇者パーティー(勇者なし)の彼らは旅を続けるのであった。

―――勇者太陽―――

「であったと、やつらもポジティブになってきたな、よい成長ぶりだ」
「おぬしはあいつらに逆切れしているようなものじゃ、お主が正しくなく、彼らが正しいのにおぬしは逆切れしているのじゃ」
「変態覇王の言う通りさ、俺様はとてもとても卑怯で、そして奴らには死んでもらってはこまる。次々とイタズラをたくさんおもいついてなうへへへ」
「ゆ、勇者さまがとてもいやらしい顔をしていますの」

「安心しろファミルにはエッチなことはしないから」
「むしろしてください」
「それは女性の言うセリフではないぞいファミル」
「わ、わたし、じつは、しょ、しょ、しょ」
「醤油ならアイテムボックスに入っているぞい」
「そっちじゃなくて、私は処女だからもらってくれたらうれしいなああ」
「寝言はやめろファミル。俺がお前とつながったら、俺はお前の父親である王様に打ち首にされるだろうが」
「そ、そうだったあああああ」

「お前は身分を把握しろこの天然美少女が」
「うん、ありがとう」
「ほめたんじゃねーぞ」

 俺は草むらからでると。

「しばらく尾行して、倒したモンスターたちを保護していこうと思う、変態覇王はその意見でいいな?」
「もちろんじゃ、浄化されていないならわしが浄化してやるぞい」
「助かる。なんか俺たちって」
「ん、ストー」
「探偵みたいだな」
「探偵だね、ん、ファミルなにかいいかけたぞ」
「ん、なんでもないの」

「ではこれから俺たちは勇者パーティーではない探偵パーティーだ」
「うむ、悪くないな」
「ちょっと恥ずかしいけどね」

―――現在勇者パーティー(勇者なし)を尾行中―――
 
 俺たちは4名の元仲間たちを尾行している。
 彼らはスライムだろうがゴブリンだろうがフロッグナイトだろうが、ゴーレムだろうが、片っ端から俺つえええええをやっていた。

「気づいたのだがあいつらレベル100を超えているのに、なぜにレベル10以下のモンスターばかりねらってるのじゃ?」
「そうだな、一から説明するとだな、レベリングって言葉しらないか?」
「あれじゃろう? レベルを一気にあげるほうほう」
「そうそう、あいつらはさ、高いレベルのモンスターを死ぬ気で倒してゆっくりレベルをあげるより、雑魚を沢山倒してレベルを少しずつ上げる方法をとったんだ」
「そんな卑怯な方法を誰が教えたんじゃ」

「……わりーかよ俺だよ」
「やはりか、あとレベリングの法則としてモンスターを倒してはいけないともある。ある程度吹き飛ばせば経験値が入ってくる。そしてそのモンスターが次の日にいけば回復して襲ってくるのだからな」
「なるほど、需要と供給じゃな」

「そのとおり、獲物をすべて狩ってしまってそこの草原にモンスターがゼロなんてあるからな、俺がやっちまったんだ」
「は、はは、勇者様はバカだからね」
「ほっとけファミルお前のほうが馬鹿だ」
「ひどーい」

 2時間経過。
 現在草むらには瀕死だったモンスター達が変態覇王により浄化された。
 浄化されたモンスターたちはフル回復すると、
 気配をけして俺たちの後ろに隠れている。
 その数数十はくだらないだろう。


 スライム、ゴブリン、コボルト、フロッグナイト、ゴーレム、それぞれのモンスターたちがまるでロールプレイングゲームをしているときの勇者の後ろで列になってついてくるようなパターンで、ありえない勇者パーティーを組織した主人公たちという構図になっている。

―――夜のミシビシ深森地帯―――

 勇者パーティー(勇者なし)たちはミシビシ深森地帯で軽くテントをつくると、
 休息をとろうとしていた。
 俺はそれを少し離れた場所から観察している。
 周りには50体を超える雑魚モンスターたちがこちらをうかがっている。

「みんなは地図とか見れるか?」

 モンスターたちがきょろきょろとしていると。
 変態覇王がまるで魔法のような光を彼らの頭に出現させる。

「みなのものその矢印の通りにいけば、目的地に到達できるであろう、さぁゆけ、そこにはおぬしたちの新しい家があるぞ、人間が住んでいるが、みんなには事情は説明してある。おぬしたちは浄化されたのじゃ、本来のモンスターとして、遥か昔モンスターと人間が共存していたように、その再現をつくるのじゃ」

 モンスターたちはうなずく。
 あるモンスターはそれが夢のようだという表情をしたり、
 ゴブリンはうれしさのあまり興奮している。
 共存だからゴブリンは女性を襲ったりはしないだろうが、
 まさかゴブリンと恋愛しちゃう人間とかいるのかな?

 少し期待してみるも。

「つーかそんな魔法があるならとっとと使え、こっちはいつ尾行がばれるかひやひやしながらモンスターたちでロールプレイしてたんだぞ」
「すまぬわしも魔法を覚えすぎておってな、その魔法はつい20秒前に思い出した」
「こ、ころす」
「勇者様落ち着いてください、わたしの裸を見てください」
「ぶほ」
「ファミル殿、殿方に胸をみせないように」
「これがファミル流のお色気戦法だあああ」
「だからそういうのはやめろおお俺がお前の父親に殺されるんだよおおお」
「ふ、色気戦法は父親からおそわったのだ」
「お前の父親の目的がわからん、絶対に合いたくないぞ」
「安心してわたしと勇者様は結ばれるから父さまに無理にでも会ってもらいます」
「それは保留にしておいて」
「保留はダメです」
「だから保留にして俺たちも休憩をしよう」
「そうじゃのう」
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