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☆職業農民最強伝説★編

第3章 建築ブック

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【建築ブック】を見ながら、ふと面白い項目を発見。
 
 地下貯蔵という方法、地下は地上よりは温度は低くて、作物の保管に最適とされている。
 アッキはにやりと笑って。必要な資材を見る。
 ただ穴を掘れと書いてあった。あとは木材があれば大丈夫。

 その日から、アッキの戦いは始まった。
 穴を掘り続ける。
 ひたすら掘り続ける。
 スコップはやはりアイテムボックスに入っていた。

 ひたすら掘り続ける。
 雨が降ろうとも掘り続ける。
 雷が降ろうとも掘り続ける。

【おめでとうございます。レベルが5になりました】

 レベルが上昇しようとひたすら掘り続ける。
 何気に温泉が湧きました。

「どういう事だ。温度を下げようとして、なぜ温度が上昇する温泉が沸き上がるんだ」
 
 人生うまくいきません。
 それでもアッキの人生は終わっていない。
 とりあえず、木材だけで、サウナ室と露天風呂を建築してみた。

「うん、俺様は何の為に此処にいんだろ、そもそも、ほかの地球人ぜんぜんみかけねーぞ、もしかしてここに俺様だけとか? ちょ、それやめてくれよ」

 むなしい1人会話。
 誰も声をかけてくれない、
 ラジオ体操の声だけが響いていた。

「よし、元気でたぞ。お風呂とラジオ体操で、万全の準備、今度は別のところを掘るぞ」

 何事にもまっすぐなアッキであった。



 次は別の場所に穴を掘り続ける。
 できるだけ岩場の近くで掘り続けた。
 その方が目印になるから。
 ひたすら掘り続ける。
 12時間ずっと掘り続ける。
 疲れたらとりあえずラジオ体操。

 これがアッキ流の回復アイテム。

 だいたい穴が完成する。
 確かに寒く感じる。【建築ブック】をタッチすると。
 あっという間に地下室ができた。
 地下保管庫とした。その場所にかたっぱしから作物を運ぶと、
 また12時間が経過していたようだ。

 とりあえず、トウモロコシを生で食った。
 まぁ、食えないわけでもないし、堅かった。

 地上に出る。藁葺小屋は一時的な資材置き場となる。
 なんかアイテムボックスいじってたら、地図が出てきた。
 地図を触ると、現在いる場所が分かる。

 まず地球という事が分かった。
 そりゃ分かるよってか異世界地球かよ。
 宇宙人も趣味わりぃーぜ。

 次に、サウザンドマウンテンの頂上にアッキはいた。

「ちょえ、えええええええええええええええええええ」

 絶叫がほとばしる。
 そりゃ人いねーよ。
 そういや空に雲ねーなって思ってたよ、あと空気薄いなって思ってたよ。
 どうりですぐ疲れた。ラジオ体操に何回お世話になったと思ってるんだよ。

「えっと、エルフの街が近くにあるの、でもサウザンドマウンテンを下りるには、うむ、このでかい怪物を倒さないといけないと、しかもレイドボスって表示されてるぞ、ちょ、ええええええええ、このサウザンドマウンテンに入るにはレイドボス倒さなきゃいけないのに、もうサウザンドマウンテンに入ってるんですけど俺様」

 1人突っ込みをしまくりつつも。
 うーむ、どうしたものか、この世界で死ぬことは魂の消滅を意味する。つまり永遠の植物状態、つまり死を意味する。


 まぁとりあえず、木を伐ったり、雑草切ったり、コイン集めたり、して、このサウザンドマウンテンを攻略してやろう。出口がないなら、強くなれってね。

 その日からアッキの戦いは始まる。
 木を伐採しまくる。動物たちは迷惑そうにする。
 ひたすら伐採しまくる。次に、草取りをしまくる。
 コインがちりんちりんと何度も出てきてひたすら回収、コインはステータスに表示される。
 
 疲れたらラジオ体操を聞いて。
 元気が出たら、トマト食って。かたっぱしから伐採伐採、雑草雑草。

【おめでとうございます。レベルが6になりました】
【おめでとうございます。レベルが7になりました】
【おめでとうございます。レベルが8になりました】
【おめでとうございます。レベルが9になりました】
【おめでとうございます。レベルが10になりました】

スキル表
【草刈り機召喚】を覚えました【これは草刈り機を召喚して振り回して戦うものです】
【農薬散布】を覚えました【これは手のひらに玉を召喚し、それを投擲することにより農薬を散布します】
【見積】を覚えました【これは相手のステータスを確認できます】

 1週間が経過していた。
 アッキの顎鬚はぼうぼうに伸び。
 どこかの山親父そのものだった。
 それでもアッキはひたすら自分が作った農作物を手にして食っている。

 火がないのが痛い。
 アッキは火打ち石とかで火を灯した事がない。
 魔法でもあればいいかと期待したが、やはり農家関係のスキルばかりを覚える。

 街に行きたい。サウザンドマウンテンの下には街があるのに。
 それはとてつもなく遠いいい場所にあるような、そんな気にさせた。
 空を見ながら雲1つない空、壮大で優美な星が輝き。
 そこに一隻の何かがいた。
 それがゆっくりと近づいてくる。
 ゆっくりとゆっくりと、落下してくる。
 ちょえええええええええ。


 サウザンドマウンテンに巨大な宇宙船が落下したのであった。
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