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58話 7つの敵と1人の人間
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感情を表さない人間を見たのは初めてであった。
彼の表情はぴくりとも動かなかった。彼と7体の危険なモンスターは不滅のダンジョンの近くで何かを調べていた。
それに気付いた俺様の視線を感じたのかこの至近距離までテレポート魔法なのか縮地なのか知らないが一瞬で辿り着いた。
だが俺様の考えは否定される。
「本気で走ったから疲れた」
俺様は唖然とその男を見ている。
彼はどうやら本気で走ってきたようだ。
それもノーマルにだ。
俺様は唖然と口を開けながら。
「でも安心して、本気で走るのは連続では使えないから、それにこの5本の槍を使っての本気速度は使用できないから、突然首が落ちる事は無いよ」
無表情のまま彼はそう告げていた。
「あ、そうだね、自己紹介しないとね、王は世界王だよ」
どうやら彼自身を指す言葉は(王)というみたいだ。
そして本名かは知らないが彼は世界王と名乗っているようだ。
「王は7体の殺戮者達である七つの美徳と同盟を結んだ。王は仲間が欲しかった。ずっとずっと君を見て来た。君は最初は雑魚当然だった。しかし成り上がりという奴だろう、少しずつ強くなっていった。仲間が次から次へと集まりだすと、君はどんどんと強くなった。きっと君なら王達がもたらす世界破滅を食い止める事が出来るよ、えへん」
俺様の頭はしっちゃかめっちゃかであった。
彼は世界破滅をする為に不滅のダンジョンに来たのは推測出来る。
しかしなぜそれを俺様が止めると分かっている。
まぁ止めるけど、それを求めている理由はなんだ?
「お前の目的は何か教えてくれ」
「だから君達と殺し合いをして生きている実感が欲しい」
「生きている実感なら色々な事で試せるぞ」
「王は君とやり合って次のステップに行く」
「それはなんだ?」
「神となる。神となり、遥か過去の勇者や魔王達、または伝説達と永遠の殺し合いをして、世界を破滅させる。これを止めるには君がこの王を殺すしかないよ、えへん」
「まったく、おめーは自分勝手な頭のいかれた野郎だが、気に入った。俺様がお前を倒してやるぜ」
「その調子、両腕を失くし者よ」
風が吹いた。
その時になって5本の槍が飛来してくる。
5本の槍に乗りながら、まるで魔女の箒に立っているように、隣の槍に移動しては、俺様の四方を取り囲むのだ。
四方より槍が飛来する。
操作されているようだった。
俺様の脇腹を抉る槍、その槍は普通の槍ではなく、レジェンド級の武器だとすぐに分かる。
世界王を鑑定する必要があるのだが、鑑定眼鏡を付ける暇すら存在しない。
次々とやってくる槍の斬撃。
「これをファイブランスという、どこぞの惑星でファイブランスのジャニーと言う男がいた。彼から学ぶ事が出来た。その時の王は人間ではなかったが」
「知るか」
俺様が吐き捨てると、世界王はにこりともせず槍を操作し続ける。
空中殺法のように地上に降りる事をしない。
5本の槍は適格に俺様の命を蝕む。
俺様は【乱舞無双】を発動していた。これはマジックポイントではない力を消費して使う最強の拳無双と【最強武芸】も発動している。これは全ての武芸の達人となる事だった。
俺様は即座に竜魔人の剣と神の剣を腰に装着させる。
神の兜、神の鎧、神の靴を装備しても、なおあの攻撃力なのだ。
右腕と左腕をぐねぐねと動かす。
【魂の手】を発動していた。これは透明な手を出し続ける事が出来る、前世等で助けた人々が魂の力を提供してくれる。
頭の中に大勢の前世の記憶が流れてくる。
苦しい時や幸せな時、悲し時や嬉しい時、強い時や弱い時。
全てをを感じる。
魂の手は常時発動している。
それは右手となり左手となるのだから。
両腕を失った俺様にはとても大事な事だ。
だがそれは本当の魂の手を発動させているという事にはならない。
透明な右腕と左腕がぐにょぐにょと湧き上がり、それは透明な腕となる。
透明な腕だが俺様には見えている。
世界王はこちらに向かって槍を飛ばす。
それに乗る事により俺様に止めを刺すつもりだろう。
その時だった。
俺様は口をつり上げた。
世界王が飛来している先には透明な両手がある。
彼は真っ直ぐに飛んできて、沢山の拳で滅多打ちにした。
全ての両腕は50本50本となっている。
右と左の拳に続く拳。
その100本の透明な腕が見えたら、人々は恐怖して逃げるだろう。
魂の手とはそう言う事なのだ。
しかし世界王は槍に乗ったまま、悠然と立っている。
全身の衣服が崩れかけているのに、その顔は相変わらず無表情であった。
彼は抵抗などしていない、ただ立っていただけなのだから。
それもバランス感覚が必要とされる槍の棒の所に立っていたのだ。
その時になって俺様はとんでもない化け物を相手にしている事を再認識していた。
「これっぽっちですか? 王を倒すのにこんな雑魚な攻撃を繰り出すのですか? 幻滅しました。あなたはもう廃棄です。ファイブランスの極意を見せてあげましょう、それは無限の槍です。今からこの地上にいる人々に対して無限の槍を解き放ちます。家の中で隠れている人は生き残るでしょう、しかし野次馬根性で外に出たり、冒険者として戦っていたりする彼等を攻撃しょうと思います。あなたはこれを止める事が出来るでしょうか? これは君の成長を願っての試練です。えへん」
俺様は唖然となっていた。
大きく狂って笑いたくなった。
世界王が空に1本の槍を飛ばすと。
それが数えきれない無限の槍となる。
「同時に落とさないのは情けだと思ってください。まぁゲームはこういうのが醍醐味でしょうけど」
そういって神に近づきすぎる男である世界王は目の前からいなくなった。
まるで歩くだけで透明になっていくかのような不思議な歩き方であった。
まずは10本が地面に向かって投擲された。
俺様の体は先程のファイブランスでダメージを負っている。
だから何だというのだ。
このミリーシャ王国には死んでほしくない人が沢山いる。
それを見殺しに出来る程俺様は非道ではない。
俺様は仲間のモンスターを呼ぶ事にした。
最初にモンスターボックスから出て着たのはクリエイトゴミスライムだった。
ゴブリンソルジャーのコーブ、ブラッドスライムのリール、ボスバチのメイヴ、
トレトレントのボンサイ、スピードグリフォンのワシル、シェイガとシュリフォのエンペラードラゴンとクイーンズドラゴン、ハイマンティコアのスコーピ、デスサイズの生死神、ラットナイトのネズ公、メガモグラのアスン、ギガドンベアーのクマサン。
そして彼らの配下達が次から次へとモンスターボックスから出現する。
ゴブリンが99体、ノーマルスライムが499体、ロックビーが99体、ノーマルトレントが299体、グリフォンが49体、マンティコアが49体、ビッグラットが999体、フォトンモグラが499体、キラーベーアが9体。
「皆、すぐに説明する。あの空に浮かぶ無限の槍から人々を守ってくれ、冒険者も兵士もだ。かつてはお前達を殺そうとした奴等だろう、だが今は人間の味方になってくれないか」
するとモンスター達は同意の咆哮を上げた。
まぁ小さなモンスターは小さな咆哮にしかならなかったけど。
「もし人間達が攻撃してきたら、両手をあげろ、話せるモンスターは味方だと言え」
「それなのですが、モンスターボックスの中で彼らは修行を続けました。その結果皆言葉を理解する事が出来、話す事が出来るのです。皆1人1人で50000レベルには到達しています。元よりの素質が雑魚系なので、強敵とどっこいどっこいでしょう」
クリエイトゴミスライム達は言葉を最初から理解している節はあった、だがそれを確かめる事もしてこなかった。中には最初から言葉を理解し、話せる者がいる事は知っていた。
しかしレベルが50000で人間の言葉を聞き取る事と話す事が出来なかったら逆に恐ろしいという事だ。
俺様は乾いた口に潤いの生唾を飲み下し。
「皆散れ、1人でも多くの人間を助けろ」
『御意』
ミリーシャ王国の戦乱はまだ続きそうであった。
彼の表情はぴくりとも動かなかった。彼と7体の危険なモンスターは不滅のダンジョンの近くで何かを調べていた。
それに気付いた俺様の視線を感じたのかこの至近距離までテレポート魔法なのか縮地なのか知らないが一瞬で辿り着いた。
だが俺様の考えは否定される。
「本気で走ったから疲れた」
俺様は唖然とその男を見ている。
彼はどうやら本気で走ってきたようだ。
それもノーマルにだ。
俺様は唖然と口を開けながら。
「でも安心して、本気で走るのは連続では使えないから、それにこの5本の槍を使っての本気速度は使用できないから、突然首が落ちる事は無いよ」
無表情のまま彼はそう告げていた。
「あ、そうだね、自己紹介しないとね、王は世界王だよ」
どうやら彼自身を指す言葉は(王)というみたいだ。
そして本名かは知らないが彼は世界王と名乗っているようだ。
「王は7体の殺戮者達である七つの美徳と同盟を結んだ。王は仲間が欲しかった。ずっとずっと君を見て来た。君は最初は雑魚当然だった。しかし成り上がりという奴だろう、少しずつ強くなっていった。仲間が次から次へと集まりだすと、君はどんどんと強くなった。きっと君なら王達がもたらす世界破滅を食い止める事が出来るよ、えへん」
俺様の頭はしっちゃかめっちゃかであった。
彼は世界破滅をする為に不滅のダンジョンに来たのは推測出来る。
しかしなぜそれを俺様が止めると分かっている。
まぁ止めるけど、それを求めている理由はなんだ?
「お前の目的は何か教えてくれ」
「だから君達と殺し合いをして生きている実感が欲しい」
「生きている実感なら色々な事で試せるぞ」
「王は君とやり合って次のステップに行く」
「それはなんだ?」
「神となる。神となり、遥か過去の勇者や魔王達、または伝説達と永遠の殺し合いをして、世界を破滅させる。これを止めるには君がこの王を殺すしかないよ、えへん」
「まったく、おめーは自分勝手な頭のいかれた野郎だが、気に入った。俺様がお前を倒してやるぜ」
「その調子、両腕を失くし者よ」
風が吹いた。
その時になって5本の槍が飛来してくる。
5本の槍に乗りながら、まるで魔女の箒に立っているように、隣の槍に移動しては、俺様の四方を取り囲むのだ。
四方より槍が飛来する。
操作されているようだった。
俺様の脇腹を抉る槍、その槍は普通の槍ではなく、レジェンド級の武器だとすぐに分かる。
世界王を鑑定する必要があるのだが、鑑定眼鏡を付ける暇すら存在しない。
次々とやってくる槍の斬撃。
「これをファイブランスという、どこぞの惑星でファイブランスのジャニーと言う男がいた。彼から学ぶ事が出来た。その時の王は人間ではなかったが」
「知るか」
俺様が吐き捨てると、世界王はにこりともせず槍を操作し続ける。
空中殺法のように地上に降りる事をしない。
5本の槍は適格に俺様の命を蝕む。
俺様は【乱舞無双】を発動していた。これはマジックポイントではない力を消費して使う最強の拳無双と【最強武芸】も発動している。これは全ての武芸の達人となる事だった。
俺様は即座に竜魔人の剣と神の剣を腰に装着させる。
神の兜、神の鎧、神の靴を装備しても、なおあの攻撃力なのだ。
右腕と左腕をぐねぐねと動かす。
【魂の手】を発動していた。これは透明な手を出し続ける事が出来る、前世等で助けた人々が魂の力を提供してくれる。
頭の中に大勢の前世の記憶が流れてくる。
苦しい時や幸せな時、悲し時や嬉しい時、強い時や弱い時。
全てをを感じる。
魂の手は常時発動している。
それは右手となり左手となるのだから。
両腕を失った俺様にはとても大事な事だ。
だがそれは本当の魂の手を発動させているという事にはならない。
透明な右腕と左腕がぐにょぐにょと湧き上がり、それは透明な腕となる。
透明な腕だが俺様には見えている。
世界王はこちらに向かって槍を飛ばす。
それに乗る事により俺様に止めを刺すつもりだろう。
その時だった。
俺様は口をつり上げた。
世界王が飛来している先には透明な両手がある。
彼は真っ直ぐに飛んできて、沢山の拳で滅多打ちにした。
全ての両腕は50本50本となっている。
右と左の拳に続く拳。
その100本の透明な腕が見えたら、人々は恐怖して逃げるだろう。
魂の手とはそう言う事なのだ。
しかし世界王は槍に乗ったまま、悠然と立っている。
全身の衣服が崩れかけているのに、その顔は相変わらず無表情であった。
彼は抵抗などしていない、ただ立っていただけなのだから。
それもバランス感覚が必要とされる槍の棒の所に立っていたのだ。
その時になって俺様はとんでもない化け物を相手にしている事を再認識していた。
「これっぽっちですか? 王を倒すのにこんな雑魚な攻撃を繰り出すのですか? 幻滅しました。あなたはもう廃棄です。ファイブランスの極意を見せてあげましょう、それは無限の槍です。今からこの地上にいる人々に対して無限の槍を解き放ちます。家の中で隠れている人は生き残るでしょう、しかし野次馬根性で外に出たり、冒険者として戦っていたりする彼等を攻撃しょうと思います。あなたはこれを止める事が出来るでしょうか? これは君の成長を願っての試練です。えへん」
俺様は唖然となっていた。
大きく狂って笑いたくなった。
世界王が空に1本の槍を飛ばすと。
それが数えきれない無限の槍となる。
「同時に落とさないのは情けだと思ってください。まぁゲームはこういうのが醍醐味でしょうけど」
そういって神に近づきすぎる男である世界王は目の前からいなくなった。
まるで歩くだけで透明になっていくかのような不思議な歩き方であった。
まずは10本が地面に向かって投擲された。
俺様の体は先程のファイブランスでダメージを負っている。
だから何だというのだ。
このミリーシャ王国には死んでほしくない人が沢山いる。
それを見殺しに出来る程俺様は非道ではない。
俺様は仲間のモンスターを呼ぶ事にした。
最初にモンスターボックスから出て着たのはクリエイトゴミスライムだった。
ゴブリンソルジャーのコーブ、ブラッドスライムのリール、ボスバチのメイヴ、
トレトレントのボンサイ、スピードグリフォンのワシル、シェイガとシュリフォのエンペラードラゴンとクイーンズドラゴン、ハイマンティコアのスコーピ、デスサイズの生死神、ラットナイトのネズ公、メガモグラのアスン、ギガドンベアーのクマサン。
そして彼らの配下達が次から次へとモンスターボックスから出現する。
ゴブリンが99体、ノーマルスライムが499体、ロックビーが99体、ノーマルトレントが299体、グリフォンが49体、マンティコアが49体、ビッグラットが999体、フォトンモグラが499体、キラーベーアが9体。
「皆、すぐに説明する。あの空に浮かぶ無限の槍から人々を守ってくれ、冒険者も兵士もだ。かつてはお前達を殺そうとした奴等だろう、だが今は人間の味方になってくれないか」
するとモンスター達は同意の咆哮を上げた。
まぁ小さなモンスターは小さな咆哮にしかならなかったけど。
「もし人間達が攻撃してきたら、両手をあげろ、話せるモンスターは味方だと言え」
「それなのですが、モンスターボックスの中で彼らは修行を続けました。その結果皆言葉を理解する事が出来、話す事が出来るのです。皆1人1人で50000レベルには到達しています。元よりの素質が雑魚系なので、強敵とどっこいどっこいでしょう」
クリエイトゴミスライム達は言葉を最初から理解している節はあった、だがそれを確かめる事もしてこなかった。中には最初から言葉を理解し、話せる者がいる事は知っていた。
しかしレベルが50000で人間の言葉を聞き取る事と話す事が出来なかったら逆に恐ろしいという事だ。
俺様は乾いた口に潤いの生唾を飲み下し。
「皆散れ、1人でも多くの人間を助けろ」
『御意』
ミリーシャ王国の戦乱はまだ続きそうであった。
応援ありがとうございます!
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