49 / 49
番外編
『サウラ=ウル日報』リュート陛下ご即位記念インタビュー
しおりを挟む
――本日はお日柄も良く。ご即位記念インタビューとして、我らがサウラ=ウル国王、リュート陛下にお越し頂きました。
陛下、本日はお忙しいところありがとうございます。
リュート王「こちらこそ、招いてくれてありがとう。私はもっと開かれた王室にしていきたいと考えてるから、こういった情報発信の機会はこちらとしても願ったりなんだ。聞けば、質問も寄せられてるとか?」
――恐縮です。そうですね、国民の皆様もイケメン新王に興味津々のようで、沢山のご質問を頂いております!
リュート王「お手柔らかに頼みたいな(笑)」
――はい。まずは……元聖女のミオリ様について。「ミオリ様は先日、マ・クバス=イオスのウォルフス王のもとへ嫁されましたが、実は陛下との間にもお噂があったとか。その辺りについてお聞かせください」とのことです。
リュート王「私が彼女を愛していることは否定しないよ」
――おお……! しかし申し上げにくいのですが、つまり……陛下はミオリ様に振られた、ということになるのでしょうか?
リュート王「はは。そう取られても仕方ないし、一端の真実ではあると思うよ。ただ、結果がどうあれ私たちの間には信頼があって、私も、またミオリとウォルフス殿も納得の上でこういう形になった、とだけ言っておくかな」
――男女の間は複雑なんですね……。さて、次の質問です。「初恋、ファーストキス、初体験はいつですか? お相手についてもできれば知りたいです」とのことです。
リュート王「ずいぶんと突っ込んでくるね(笑)。初恋はもちろんミオリで、十五歳で神殿騎士になった時だよ。あとのふたつはそれより前、十三歳の時になるね」
――ええ? 順番違くないですか!?
リュート王「そう言われると思った(苦笑)。全くもって威張ることではないが、宵っ張りで、性にだらしないのが王族貴族ってものだよ。私はなんとかしたいと思ってるけど、当時は子供だったから流されてしまってね……」
――そうだったんですね。その後はミオリ様に操立てをされていたんですか?
リュート王「いや、恋人同士でも夫婦でもない相手に操立てをするほど、私は性に厳格ではないよ。だらしないのは良くないが、婚前交渉や、性の快楽を戒める神殿のやり方は良くなかったと思っている。そこだけ見ると些細な問題かもしれないが、ひいてはすべての面において民を縛りつけることに繋がるからね」
――それが陛下の信念なんですね。
リュート王「ああ。思えばこうした考えだったお陰で、災難に遭っても潰れずにいられたのだと思う。暴力によって私の身体が傷つけられても、それは決して、私の人格や尊厳が損なわれたというわけではないから」
――災難って……、そこまでお話いただいてよろしいんでしょうか?(編註:オフレコにいたしますか?)
リュート王「このインタビューは私たちの物語を読んでくれた人に向けたものだと聞いているからね。私は包み隠さず話すつもりだよ」
――ありがとうございます。それでは、次の質問に移らせていただきます。「友好関係を結んだマ・クバス=イオスについて、陛下のお考えを聞かせてください。年寄りの世代はかなり抵抗があるようで、私の祖父母や両親はマ・クバス=イオスや淫魔を恐れているようです」
リュート王「そうだね。まず、かの国の王であるウォルフス殿は、信頼できる御仁だよ。彼でなければ、私もミオリを任せようとは考えなかっただろうしね。ただ国と国との関係だから、いくら王が良い人物であっても、交渉ごとは慎重に進めるべきだ。そこは、私のやり方を信じて欲しい」
――そうですね。後半の、民の淫魔への感情については如何でしょうか?
リュート王「マ・クバス=イオスの人々には悪いが、偏見や恐れといったものはなかなか払拭できるものではないからね。真の友好を築くにはかなりの時間がかかると思う。その間、若い世代は年寄り世代を疎ましく思うかもしれない……。ただ、彼らのことを頭が固い愚か者と責めないでやって欲しいな。我が国の民がマ・クバスの民を差別するようなことがあれば、それには厳格に対応していくけどね」
――なるほど。私も国民として、肝に銘じたいと思います。さて、そろそろ紙面も尽きてまいりましたので、最後の質問をさせていただきます。「今後、ご結婚される可能性はあるのでしょうか?」……です。
リュート王「あると思うよ。というか、しない訳にはいかないだろうね(笑)。これは私の我儘なんだが、私とミオリとのことを理解した上で、私を愛してくれる――そんな女性がいたらいいな、と思うよ。もちろん私も彼女を全力で愛し、大切にすると誓う。今はまだそんな気持ちにはなれないが、いずれは――ね」
――陛下、本日はお時間をいただき誠にありがとうございました。
陛下、本日はお忙しいところありがとうございます。
リュート王「こちらこそ、招いてくれてありがとう。私はもっと開かれた王室にしていきたいと考えてるから、こういった情報発信の機会はこちらとしても願ったりなんだ。聞けば、質問も寄せられてるとか?」
――恐縮です。そうですね、国民の皆様もイケメン新王に興味津々のようで、沢山のご質問を頂いております!
リュート王「お手柔らかに頼みたいな(笑)」
――はい。まずは……元聖女のミオリ様について。「ミオリ様は先日、マ・クバス=イオスのウォルフス王のもとへ嫁されましたが、実は陛下との間にもお噂があったとか。その辺りについてお聞かせください」とのことです。
リュート王「私が彼女を愛していることは否定しないよ」
――おお……! しかし申し上げにくいのですが、つまり……陛下はミオリ様に振られた、ということになるのでしょうか?
リュート王「はは。そう取られても仕方ないし、一端の真実ではあると思うよ。ただ、結果がどうあれ私たちの間には信頼があって、私も、またミオリとウォルフス殿も納得の上でこういう形になった、とだけ言っておくかな」
――男女の間は複雑なんですね……。さて、次の質問です。「初恋、ファーストキス、初体験はいつですか? お相手についてもできれば知りたいです」とのことです。
リュート王「ずいぶんと突っ込んでくるね(笑)。初恋はもちろんミオリで、十五歳で神殿騎士になった時だよ。あとのふたつはそれより前、十三歳の時になるね」
――ええ? 順番違くないですか!?
リュート王「そう言われると思った(苦笑)。全くもって威張ることではないが、宵っ張りで、性にだらしないのが王族貴族ってものだよ。私はなんとかしたいと思ってるけど、当時は子供だったから流されてしまってね……」
――そうだったんですね。その後はミオリ様に操立てをされていたんですか?
リュート王「いや、恋人同士でも夫婦でもない相手に操立てをするほど、私は性に厳格ではないよ。だらしないのは良くないが、婚前交渉や、性の快楽を戒める神殿のやり方は良くなかったと思っている。そこだけ見ると些細な問題かもしれないが、ひいてはすべての面において民を縛りつけることに繋がるからね」
――それが陛下の信念なんですね。
リュート王「ああ。思えばこうした考えだったお陰で、災難に遭っても潰れずにいられたのだと思う。暴力によって私の身体が傷つけられても、それは決して、私の人格や尊厳が損なわれたというわけではないから」
――災難って……、そこまでお話いただいてよろしいんでしょうか?(編註:オフレコにいたしますか?)
リュート王「このインタビューは私たちの物語を読んでくれた人に向けたものだと聞いているからね。私は包み隠さず話すつもりだよ」
――ありがとうございます。それでは、次の質問に移らせていただきます。「友好関係を結んだマ・クバス=イオスについて、陛下のお考えを聞かせてください。年寄りの世代はかなり抵抗があるようで、私の祖父母や両親はマ・クバス=イオスや淫魔を恐れているようです」
リュート王「そうだね。まず、かの国の王であるウォルフス殿は、信頼できる御仁だよ。彼でなければ、私もミオリを任せようとは考えなかっただろうしね。ただ国と国との関係だから、いくら王が良い人物であっても、交渉ごとは慎重に進めるべきだ。そこは、私のやり方を信じて欲しい」
――そうですね。後半の、民の淫魔への感情については如何でしょうか?
リュート王「マ・クバス=イオスの人々には悪いが、偏見や恐れといったものはなかなか払拭できるものではないからね。真の友好を築くにはかなりの時間がかかると思う。その間、若い世代は年寄り世代を疎ましく思うかもしれない……。ただ、彼らのことを頭が固い愚か者と責めないでやって欲しいな。我が国の民がマ・クバスの民を差別するようなことがあれば、それには厳格に対応していくけどね」
――なるほど。私も国民として、肝に銘じたいと思います。さて、そろそろ紙面も尽きてまいりましたので、最後の質問をさせていただきます。「今後、ご結婚される可能性はあるのでしょうか?」……です。
リュート王「あると思うよ。というか、しない訳にはいかないだろうね(笑)。これは私の我儘なんだが、私とミオリとのことを理解した上で、私を愛してくれる――そんな女性がいたらいいな、と思うよ。もちろん私も彼女を全力で愛し、大切にすると誓う。今はまだそんな気持ちにはなれないが、いずれは――ね」
――陛下、本日はお時間をいただき誠にありがとうございました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
856
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
インパクトのある題名に引かれて拝読いたしました!!(笑)
が、内容に下品さは欠片もなく聖女に相応しい清らかさと これぞ官能小説!!という脳天がクラクラするような描写にノックダウンです!!
て、思わず感想を書き込んでしまうほどの引力!!
王子様も出てきて物語が一気に動いてゆくようなので二人の恋模様ともども楽しみで仕方ないです!!
ご感想ありがとうございます!
楽しんでいただけているようで嬉しいです(∩´∀`)∩ワーイ
これからもよろしくお願いいたします!!