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セオドアの勝負飯
2話
しおりを挟む「スラヤのケイジュ対カレブのギギの模擬戦を始める!いつもどおり、参ったと言わせたほうが勝ちだ!怪我をしても当ギルドは一切責任を負わないから、節度を持って対戦すること!では、始め!」
ギルド職員が手を下ろし、円の外へ退いていく。
中央で対峙するケイジュと、カレブのギギと紹介された鬼人はまだ静かに佇んだままだ。
「今日こそ、おれが勝つ!」
ギギは肩に担いでいた棍棒をケイジュに向け、苛烈な表情で睨みつけた。
体格も得物もギギが圧倒的有利に見えるが、ケイジュは泰然としている。
薄っぺらい木の盾を前に向け、木の棒は下段に構えて、くいと顎をしゃくってみせた。
冒険者たちの野次がより白熱し、ギギも凶暴に歯をむき出して笑う。
その直後、ギギが体格からは想像もできないほどの速度で疾駆した。
一気に間合いを詰め、ケイジュの脳天めがけて大きく真上から棍棒を振り下ろす!
おれの呼吸は一瞬止まった。
しかし、ケイジュは最小限の動きでそれを避け、素早くギギの懐に入り込む。
ケイジュは容赦ない突きをギギの腹に放ったのだが、それをギギは獣じみた動きで回避した。
息をつく暇もなくギギの二撃目がケイジュの足を狙ったが、それを予見していたケイジュに当たることはない。
小さな動きで的確に回避と攻撃を繰り出すケイジュと、筋力と瞬発力に物を言わせて派手な立ち回りをするギギ。
二人の戦い方は対称的だ。
見学する冒険者はどんどん増えて、今やギルドの二階の窓からもギルド職員が顔を出して観戦していた。
その中にはザッカリーの姿もあった。
楽しげにニコニコしながら、呑気な声でケイジュに声援を送っている。
中庭に棍棒が空を切る音と土を蹴る音、応援や野次までが渾然となって冬空に響く。
しかし、長くは続かなかった。
ギギが大きく棍棒を振りかぶった瞬間、ケイジュが木の棒を下から突き上げてギギの喉を正確に突いたのである。
おそらくこつんと軽く当てただけだろうが、ギギは咳き込んで体勢を崩す。
そのまま間髪入れず棍棒を握った手元を叩かれて、たまらず棍棒を手放してしまう。
ギギは再び喉元に突きつけられた木の棒を悔しそうに睨みつけ、両手を上げた。
「くっそ……ォ……!」
鮮やかな勝利に、大きな歓声が上がる。
最初はケイジュに野次を飛ばしていた冒険者たちも、悔しそうに拍手していた。
こんなに男前な上に強いなんて憎たらしくて仕方ないが、実力は認めざるを得ない、という顔だ。
おれは心から喜べたので力いっぱい拍手したが、すぐに次の試合が始まった。
再び二人が距離を取り、じりじりと円を描きながら攻撃のタイミングを図る。
ギギは肩で息をしながらも、なおも爛々と目を輝かせていた。
この瞬間が楽しくて仕方ない、と表情が雄弁に語っている。
ギギの呼吸が少し落ち着いた頃、今度はケイジュが仕掛けた。
大きく足を踏み出し、大げさなほど腕を引いて槍を力いっぱい突き出す仕草をする。
ギギはその動きでとっさに棍棒を前に構えて防御の体勢をとったが、その時にはケイジュは低く地面に這いつくばるような体勢になって、豪快な足払いをかけていた。
ギギは何が起きたのかもわからないうちにがくんと膝を折って地面に倒れる。
その無防備な背中に、ケイジュは冷静にひたりと棒の切っ先を当てた。
なるほど、一戦目で堅実で地味な動きを相手に印象づけてから、トリッキーな動きで翻弄したのか。
おれの使う武術も、ケイジュは貪欲に自分の物にしようとしている。
あまりにあっけない結末に、周りの見物客はしんと黙り込んだ。
「勝負あり!スラヤのケイジュの勝利!」
審判が宣言し、中庭は歓声とブーイングでどっと湧いた。
地面に両手をついたギギは、雄叫びを上げて地面を拳で殴りつける。
ケイジュは汗一つかかないまま、静かに退いて木の棒を下ろした。
立ち上がったギギが、憤怒の表情でケイジュに詰め寄る。
「どういうつもりだ?!騙し討ちなんか!おれをコケにしてんのか?!」
巨体で威圧するギギに、ケイジュは少しも動じずに何かを言っている。
周りの声でおれにはなんと言っているかは聞こえない。
しかし、ギギが悔しげに歯を食いしばり、やがてがっくりと頭を垂れる様子は見えた。
そのまましょんぼりと肩を丸めて、ケイジュに背を向けて円の外に出ていく。
これで勝負は終わったはずなのだが、わざわざ中庭に集まって派手な対戦を期待していた冒険者たちは納得しなかった。
もっとやれとか、次は負けろとか、言いたい放題だ。
しかし自分が次の相手だと名乗り出る奴が居ないので、ケイジュはため息を吐いてギルドの建物を見上げる。
その視線の先には、ザッカリーの姿があった。
ザッカリーは少し肩をすくめた後、窓際から見えなくなった。
審判役をしてくれたギルド職員は集まった冒険者達を解散させようと大声を張り上げていたが、収集がつかない。
ケイジュも若干困り顔で、円の中から出られないまま立ち尽くしている。
どうしたものかとおれが狼狽していると、冒険者をかき分けてザッカリーがおれに近づいてきた。
「ごめんね~セドリック。最近ちょっとフォリオの冒険者の質が低くなってきてるから、ちょっと鍛え直すのに協力してって団長に頼んだんだけど、やりすぎちゃったみたい」
ザッカリーは微塵も悪いと思っていない顔で舌を出している。
「この状況どうするんだよ!これから予定あるのに、このままだと乱闘騒ぎになるぞ?」
おれが周りの声に負けじと声を張り上げると、ザッカリーは手に持っていた木の棒を掲げてみせる。
「おれが団長と勝負して、なんとなく場を盛り上げてから解散させるよ。まあ、おれだとあんまりいい勝負にはならないかもしれないけど」
ザッカリーが自信なさそうに笑うので、おれはしばらく迷って手を差し出した。
「それ貸してくれ。あと外套も持ってて。おれがケイジュとやる」
「えっ大丈夫なのセドリック?!」
「ケイジュが一回くらい負けないと、周りも納得しないだろ?策はあるから、なんとかなる。たぶん」
おれは全く自信はなかったけど、強がりで笑った。
ケイジュの外套と襟巻、自分の外套も脱いでザッカリーに預ける。
四本の腕にそれぞれ荷物を持たされたザッカリーから半ば強引に木の棒を奪い、円の中に足を踏み入れる。
「次はおれと勝負しろ!スラヤのケイジュ!」
雄々しく宣言すると、ケイジュとぼそぼそ話し合っていた熊耳のギルド職員が目を見開いた。
「君は、運び屋の……いいのか?ケイジュの雇い主じゃないか」
「冒険者ではないけど、人間相手の決闘ならそれなりに出来る。ケイジュも、いいよな?」
ケイジュはおれが持っている木の棒を見て、眉を吊り上げた。
「馬鹿を言うな!何人か蹴散らしたらこの場もおさまるからおとなしくしていろ!」
「へえ、ケイジュはおれに勝つ自信がないのか?」
おれは挑発しながらケイジュに歩み寄り、小声で付け加える。
「……何人挑んでも、ケイジュが涼しい顔で倒してたらもっと騒ぎが大きくなるだけだ。ここでちょっと接戦を演じれば、それでみんなも満足するだろ?」
おれの言葉にケイジュは悔しそうに黙り込む。
見物客の何人かは、おれを見て怪訝な顔をしていたが、多くの人は指笛を鳴らして囃し立てている。
みんな暇だから、ちょっとおもしろい見世物を期待しているだけなのだ。
「何かいい方法があるならそれでやってくれ。こういう場にギルド職員が介入しすぎると、後で冒険者が反抗してきて面倒なんだ」
おれたちのやり取りを近い場所で聞いていた熊耳のギルド職員は、厳しい顔に似合わない疲れたため息混じりにそう言った。
「まあなんとかなるって。ケイジュも、いつもどおりで良い」
おれが笑ってみせると、ケイジュはようやく諦めたようにため息を吐いた。
「……仕方ない……今回だけだぞ」
おれは頷き、円の中心に移動した。
ケイジュと対峙し、場を盛り上げるためにわざと木の棒を高く掲げ、儀礼的に一礼してみせた。
「次の挑戦者は運び屋のセドリックだ!用心棒とその雇い主の勝負!ここで負ければスラヤのケイジュの面目は丸つぶれだが、それでも構わないか?!」
熊耳ギルド職員が声を張り上げると、今までで一番の歓声があがった。
ケイジュはぐっと眉間にシワを寄せた険しい顔で、先ほどと同じ構えでおれを待ち受ける。
「よし、では、始め!」
号令がかかり、おれは掲げていた木の棒を水平に保って構える。
片腕は背中に添えて背筋を伸ばし、いかにも貴族っぽい決闘の構えだ。
イングラム家では手段を選ばない汚い戦い方を叩き込まれるけど、観賞用として見栄えするサーベルの戦い方も一通り教わる。
こういう場では、実戦で鍛えられたケイジュとの対比もあってより派手に演出できるだろう。
ケイジュは動揺を残したまま、おれとの間合いをはかっている。
こうやってケイジュと模擬戦をすること自体は珍しくない。
仕事の合間や、殻の外で時間がある時に運動がてらやっている。
だからおれもケイジュも、ある程度手の内はわかっているのだ。
けど、こうやって人が見ている中でやるのは初めてなので、ケイジュは神経を尖らせているようだ。
おれはまず小手調べに素早く踏み込み、下から木の棒を振り上げた。
一応ケイジュの持っている棒を弾き飛ばそうとしたのだが、難なく盾に防御されてしまう。
カウンターを喰らわぬように後退すると、ケイジュも流れを読んで突きを放ってくる。
おれはそれを身体を捻って躱し、その勢いのまま反撃の刺突を放つと、ケイジュはその切っ先を振り払っておれの間合いに踏み込んだ。
おれはすかさず距離を取り、姿勢を低くしてケイジュの薙ぎ払いを避ける。
こういうやり取りは何度もやっているうちに形式化された、いわば型のようなものだ。
それでも周りは湧いて、おれたちの戦いに興奮している。
ケイジュもようやく、こういう感じでいいのかと掴めてきたようだ。
何度かそうやって剣戟を演じた後、ケイジュが仕掛ける。
ほとんど予備動作のない鋭い突きが、おれの木の棒を弾き飛ばした。
なすすべなく武器を失ったおれは、両手を上げた。
おれとしてはここで一度ケイジュが負けてくれたほうが、早めに事態が落ち着くと思ったんだけどな。
やっぱり雇い主との腕試しで負ける用心棒なんてあってはならないんだろう。
審判が手を挙げてケイジュの勝利を告げると、冒険者からは落胆の声があがった。
そして続けざまに二戦目。
先程よりも熱心な応援が増え、おれにもケイジュにもほぼ同等の声援が贈られる。
ケイジュは色々な奴を負かしてきたせいで反感を買っているようだけど、だからといってぽっと出の貴族ぶったおれが勝ってしまうのも気に食わないらしい。
勝負に出るなら、ここだ。
おれは先程と同じ儀礼的な構えでじりじりと距離を詰めていたが、ふっと力を抜いて木の棒を下に構える。
少し腰を落として、できるだけ無造作に。
顔からも力を抜いて、冷静にケイジュを見つめる。
他の人間が見ていれば隙だらけに見えるだろうが、ケイジュは違った。
反射的に後ずさり、距離を取る。
おれのモノマネはまあまあ通用したようだ。
おれは記憶に残るエルムさんの動きをできるだけ真似て、鋭く突きを放った。
ケイジュは盾を構えて受け止めたが、動揺で防御が甘くなっている。
その一瞬の隙を突いて、おれは木の棒をもう片方の手に持ち替えて下から大きく振り上げる。
その切っ先はケイジュの得物を強く弾き、ケイジュの手から木の棒がすっぽ抜けた。
からん、と軽い音が響いて、どうっと野太い歓声が響く。
「ポーター・セドリックの勝利!」
おれはぐっと拳を突き上げて達成感に浸る。
最近はケイジュもおれの動きを読めるようになって、全く歯が立たなくなっていたけど、なんとか勝てた!
「……相変わらず、容赦ない手を使うな……すっかり騙された」
ケイジュはめちゃくちゃ悔しそうに低い声で唸る。
ケイジュが唯一勝てない相手、エルムさんを一瞬でも思い出せば動揺を誘えると思ったんだけど、効果てきめんだったな。
ただ、この手は二度は通用しない。
「表面的な動きを真似ただけでも、案外人間の頭は騙されるもんだ」
おれが余裕たっぷりに笑うと、ケイジュの闘争心にも火が点いたのかにやりと唇を吊り上げる。
ようやくケイジュが一本とられたので、大きな拍手が沸き起こる。
その勢いで三戦目に突入したのだが、初っ端から本気を出してきたケイジュにおれは防戦一方になった。
怪我だけはしないように手加減されていたが、その分突きの速度に磨きがかかる。
おれは全力で回避し、地面に這いつくばり、時には曲芸じみた動きでケイジュを翻弄しようとしたのだが、無理だった。
気がつくと、おれの胸の真ん中に、とん、と軽くケイジュの木の棒の先端が当たっていた。
おれは肩で大きく息をしながら、ゆっくりと手を挙げる。
はあ、くそ。
負けた。
全身汗だくだし土埃まみれだけど、楽しかった。
また歓声が大きくなり、円の中央にザッカリーが進み出る。
そのまま司会者のように朗々と語り始めた。
「勝負あり!惜しかったね~セドリック!みんなも二人に挑戦したかったらまずはこの名簿に名前を書いて予約してね~!予約した人たちで予選して、元上級冒険者のこのおれ、ザッカリー・カナーンに勝てたら、決勝戦としてスラヤのケイジュ、もしくはポーター・セドリックのどちらかと模擬戦を行える権利を与えます!さあさあ!お前らは尻尾を巻いて逃げる腰抜け共なのか?!それとも頂点を目指す誇り高き戦士か?!」
あっという間に場の空気を支配したザッカリーのもとに、一斉に血気盛んな若者たちが集まっていく。
おれとケイジュはその隙に中庭の隅に移動し、丸太のベンチに腰掛けて大きく息を吐き出した。
「……はあ~、あっつ……」
「ふう、ほら、セオドア、こっち向け。顔まで土まみれだ」
おれがぱたぱたと手で顔を扇いでいる間にケイジュが浄化魔法をかけてくれる。
真冬なのに、中庭は人の熱気で温かい。
おれはひんやりした浄化魔法の感触に目を閉じた。
息を整えていると、外套を預けたままだったザッカリーが歩み寄ってきた。
「二人ともお疲れ様~盛り上げてくれてありがとね!」
ザッカリーは手に持っていた外套をおれたちに返し、気が利くことにグラスに入った水も差し出してきた。
「いや~ほんとに助かったよ。フォリオは在来生物が少ないせいか、冒険者の実力不足が問題になってたんだよね~。この機会にみんな自分の実力に向き合って、真面目に鍛錬してくれると良いんだけど……」
「若手の何人かの相手をしろとは言われたが、大会の優勝商品になれとは言われていないぞ」
ケイジュは外套を羽織りながら、ザッカリーに苦言を呈している。
やっぱり毎朝ギルドに通っていたのは、ザッカリーの頼みもあったからなのか。
いろいろお世話になったからお礼をしないととは思っていたけど、まさかこんな形で手助けしているとは知らなかった。
「大丈夫、大丈夫!予選勝ち抜いても、おれがちゃんと最後にふるいにかけるから。もしおれを負かすような若者が居たら、その時は相手してやってよ。良かったらセドリックも」
「えっ、おれもか?おれは専門家じゃないんだけど……」
「団長から一本取るなんて、なかなか出来ることじゃないよ!胸張って!」
「あれは、その、ケイジュをよく知ってるから出来た不意打ちだったし、単純な実力はそれほどないんだが」
「それでも勝ちは勝ち!いやあ、見直したよ!セドリックってすごく強いんだね!体の調子も戻ったみたいだし、よかったよかった!」
ザッカリーのキャピキャピした物言いに、おれは苦笑するしかない。
「……おれで良ければ協力するよ」
「うんうん、ありがとう!」
ザッカリーは今計画しているフォリオの武闘大会について楽しそうに語り、おれたちはそれを聞きつつ汗が引くまで休憩した。
その間に中庭に居た冒険者たちは三々五々に解散し、このまま鍛錬を続けるらしい熱心な何人かだけが残された。
その中にはケイジュに負けたギギの姿もある。
熊耳のギルド職員はザッカリーから預かったらしい名簿を手にホクホク顔だ。
授業を中断している駆け出し冒険者たちは興奮したように囁きあっている。
「よし、もうそろそろ大丈夫かな。あ、水飲み終わったらコップは食堂に返しておいてね」
ザッカリーは人がまばらになった中庭を見回して言う。
おれたちが冒険者に絡まれないように防波堤になってくれていたのか。
「ありがとう、ザッカリー」
おれがお礼を言うと、ザッカリーは楽しそうに四つの手を全部振りながらおれたちから離れていった。
「じゃあまたね~団長もセドリックも、お仕事頑張って~」
その細長い背中を見送って、おれは一気に冷たい水を飲み干した。
「あー、たまには派手にやるのも楽しいな。ケイジュも案外最後の方は楽しんでただろ」
おれが横目でケイジュを見ると、ケイジュはちょっと拗ねた顔になっていた。
「……否定はしないが、あまり気乗りしない。セオドアがこれ以上人の目を引くのは、嫌だ」
おれは声を押し殺して笑う。
こういうことに関しては、ケイジュはおれよりも心が狭いもんな。
おれはベンチに空のグラスを置くと、外套や襟巻きをしっかり装備し直した。
「それはお互い様だな。さて、そろそろ行こう。少し早いけど、もう城に向かってもいいだろ」
「ああ」
ケイジュは水を飲み干すと、気持ちを切り替えたのか凛々しい顔で立ち上がった。
空のグラスは言われたとおり食堂に返却し、おれたちはギルドを後にした。
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