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ストバーラ帝国編
隠し部屋
約束通り朝からモニカが拠点に来た。僕達はモニカと共にダンジョンに歩いて向かった。
ダンジョンに到着すると、ダンジョン出張所の職員さんがすでに入り口で待っていて出迎えてくれた。
職員さんはこのまま隠し部屋の調査が出来ないのではないかと、毎日気が気でなかったらしい。モニカから僕のおかげで調査ができると聞いて、何度もお礼を言っていた。
転移の石柱から隠し部屋に移動した。そこには広々とした空間が広がっていた。
「話には聞いていたけど、本当に何もないのねー」
「こんな何もないところに閉じ込められたら地獄ですね」
出張所の職員さんが身震いしている。あのレイスは300年閉じ込められていたと言ってたな。同情する気はないが確かに地獄だ。
部屋の中央付近に近づくと豪華な見た目の宝箱があった。
「宝箱自体に価値があるタイプね!中身も期待できるわー」
「何が入っているのかな?あ、罠はないみたい」
「ルカくんありがとうー。じゃあ開けるわねー」
宝箱を開けるとそこには1本の杖が入っていた。装飾は特別豪華でもないシンプルな杖だ。
「鑑定書によると……全属性の初級魔法が使えるようになるみたい!複合魔法も使用可能とか!すごい杖だわ。売却したらとんでもない価値になる」
ダンジョンの宝箱から装備等が出た場合、鑑定書が入っていることが多い。いちいち性能を確認する必要がないのでとても便利だ。
モニカが珍しく大声ではしゃいでいる。それだけすごい価値があるのだろう。
正直にいって僕もすごい杖だと思う。この杖があれば、人前で魔法を使う時に属性を気にしないで済む。今後、特に合同依頼を受ける時に重宝するだろう。
でも欲しいとは言えない。さっきから兄さんが、ものすごく険しい顔で杖を見ているから。このままだと杖をへし折りそうな勢いだ。
「アイザックさん、ルカくん。本当に換金していいのー?特にルカくんは魔法使いだから重宝するんじゃない?」
「いらない。早くしまってくれ。不愉快だ」
「えー?ルカくん本当にいいのー?」
「……うん、いらない」
「じゃあギルドが責任を持って預かるわね。これから忙しくなるわー」
「よろしくね」
一通り調査が終わり、ダンジョン入り口へ戻った。モニカは報告することがたくさんあるらしく、急いで冒険者ギルドに戻った。
僕達は特にやることもないので拠点に帰った。兄さんは鍛練をすると言って裏庭に行った。
暇なので前から研究している魔法を完成させることにする。その名も無限収納。大量の物体を収納し、それをいつでも取り出すことができる魔法である。この魔法があれば旅がかなり楽になる。
この世界に無限収納という概念はない。だが僕は諦められず、時間がある時にちょくちょく実践していた。
僕は、別次元に空間を構築しそれを固定したら無限収納が使えるようになるのではと考えている。
そのためにまず必要なのが、聖属性魔法で空間を創ることだ。聖属性魔法は《聖結界》など空間を創り出すことができる魔法が存在する。
次に聖属性魔法で創った空間に火・水・風・土属性魔法を閉じ込める。そうすることで、聖属性魔法で創っただけの脆い空間を強化することができる。
火・水・風・土属性 の4つの魔法は、この世界の物質を構成する要素と言われている。世界を構成する力を閉じ込める。そのことで別次元でも存在できる空間になるのだろう。
創った空間に魔法を閉じ込める際、注意しないといけないのが魔力の反発だ。
以前何も考えずに反発をくらい、吹っ飛ばされて壁に激突したことがある。あまりの衝撃に一瞬息が止まった。
衝撃音に驚き駆けつけた兄さんに理由を説明すると静かに怒られた。淡々と悪かった点を指摘されるのは、怒鳴られるよりも恐ろしくて、それはもう必死に謝った。
魔力の反発をくらわないようにするために必要なのが、無属性魔法の魔力防御だ。
魔力防御は戦闘であまり使用されない魔法だ。文字通り魔力しか防御できず、物理攻撃を防御できないので使い勝手が悪いからだろう。
でも魔力の反発は純粋に魔力から生まれた衝撃なので、魔力防御で完全に防ぐことができる。
4つの属性を閉じ込めた空間を、魔力防御で包んで状態を固定する。
ここまではできた。問題はここから。創った空間を別次元に構築できないのだ。
何回試しても無理だった。でも今ならいけるかもしれない。
今までは別次元の存在が曖昧なままだった。なんとなく前世の知識に引っ張られて、前世の次元をベースに考えていた。
でもこの前レイスとの戦闘で暗黒属性魔法の真髄、次元への干渉を目の当たりにした。
この世界の魔法はイメージが大切だ。だから別次元のことをイメージする時、前世の知識を基に考えたせいで失敗したのだ。
意識を集中させる。
「全属性複合魔法《無限収納》」
できた。あっさり成功してしまった。これで、これからの旅はより快適になるだろう。
全属性適性と暗黒属性の知識がないと完成しない魔法か……。絶対に人にバレないように気をつけよう。
これまでの努力が実ってすごく嬉しい。僕は兄さんに褒めてもらいたくなって、部屋を飛び出した。
ダンジョンに到着すると、ダンジョン出張所の職員さんがすでに入り口で待っていて出迎えてくれた。
職員さんはこのまま隠し部屋の調査が出来ないのではないかと、毎日気が気でなかったらしい。モニカから僕のおかげで調査ができると聞いて、何度もお礼を言っていた。
転移の石柱から隠し部屋に移動した。そこには広々とした空間が広がっていた。
「話には聞いていたけど、本当に何もないのねー」
「こんな何もないところに閉じ込められたら地獄ですね」
出張所の職員さんが身震いしている。あのレイスは300年閉じ込められていたと言ってたな。同情する気はないが確かに地獄だ。
部屋の中央付近に近づくと豪華な見た目の宝箱があった。
「宝箱自体に価値があるタイプね!中身も期待できるわー」
「何が入っているのかな?あ、罠はないみたい」
「ルカくんありがとうー。じゃあ開けるわねー」
宝箱を開けるとそこには1本の杖が入っていた。装飾は特別豪華でもないシンプルな杖だ。
「鑑定書によると……全属性の初級魔法が使えるようになるみたい!複合魔法も使用可能とか!すごい杖だわ。売却したらとんでもない価値になる」
ダンジョンの宝箱から装備等が出た場合、鑑定書が入っていることが多い。いちいち性能を確認する必要がないのでとても便利だ。
モニカが珍しく大声ではしゃいでいる。それだけすごい価値があるのだろう。
正直にいって僕もすごい杖だと思う。この杖があれば、人前で魔法を使う時に属性を気にしないで済む。今後、特に合同依頼を受ける時に重宝するだろう。
でも欲しいとは言えない。さっきから兄さんが、ものすごく険しい顔で杖を見ているから。このままだと杖をへし折りそうな勢いだ。
「アイザックさん、ルカくん。本当に換金していいのー?特にルカくんは魔法使いだから重宝するんじゃない?」
「いらない。早くしまってくれ。不愉快だ」
「えー?ルカくん本当にいいのー?」
「……うん、いらない」
「じゃあギルドが責任を持って預かるわね。これから忙しくなるわー」
「よろしくね」
一通り調査が終わり、ダンジョン入り口へ戻った。モニカは報告することがたくさんあるらしく、急いで冒険者ギルドに戻った。
僕達は特にやることもないので拠点に帰った。兄さんは鍛練をすると言って裏庭に行った。
暇なので前から研究している魔法を完成させることにする。その名も無限収納。大量の物体を収納し、それをいつでも取り出すことができる魔法である。この魔法があれば旅がかなり楽になる。
この世界に無限収納という概念はない。だが僕は諦められず、時間がある時にちょくちょく実践していた。
僕は、別次元に空間を構築しそれを固定したら無限収納が使えるようになるのではと考えている。
そのためにまず必要なのが、聖属性魔法で空間を創ることだ。聖属性魔法は《聖結界》など空間を創り出すことができる魔法が存在する。
次に聖属性魔法で創った空間に火・水・風・土属性魔法を閉じ込める。そうすることで、聖属性魔法で創っただけの脆い空間を強化することができる。
火・水・風・土属性 の4つの魔法は、この世界の物質を構成する要素と言われている。世界を構成する力を閉じ込める。そのことで別次元でも存在できる空間になるのだろう。
創った空間に魔法を閉じ込める際、注意しないといけないのが魔力の反発だ。
以前何も考えずに反発をくらい、吹っ飛ばされて壁に激突したことがある。あまりの衝撃に一瞬息が止まった。
衝撃音に驚き駆けつけた兄さんに理由を説明すると静かに怒られた。淡々と悪かった点を指摘されるのは、怒鳴られるよりも恐ろしくて、それはもう必死に謝った。
魔力の反発をくらわないようにするために必要なのが、無属性魔法の魔力防御だ。
魔力防御は戦闘であまり使用されない魔法だ。文字通り魔力しか防御できず、物理攻撃を防御できないので使い勝手が悪いからだろう。
でも魔力の反発は純粋に魔力から生まれた衝撃なので、魔力防御で完全に防ぐことができる。
4つの属性を閉じ込めた空間を、魔力防御で包んで状態を固定する。
ここまではできた。問題はここから。創った空間を別次元に構築できないのだ。
何回試しても無理だった。でも今ならいけるかもしれない。
今までは別次元の存在が曖昧なままだった。なんとなく前世の知識に引っ張られて、前世の次元をベースに考えていた。
でもこの前レイスとの戦闘で暗黒属性魔法の真髄、次元への干渉を目の当たりにした。
この世界の魔法はイメージが大切だ。だから別次元のことをイメージする時、前世の知識を基に考えたせいで失敗したのだ。
意識を集中させる。
「全属性複合魔法《無限収納》」
できた。あっさり成功してしまった。これで、これからの旅はより快適になるだろう。
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