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「とりあえず間に合って良かったわね」
「えっ?」
「えっ?もしかして間に合っていなかったのかしら?そうよね、一晩もあれば唇くらいは奪われてしまったのかしら?」
「いいえ!殿下のお気持ちはきいておりますが、殿下はそのようなことは…」
「貴女、あの子のことを全く理解していないようね。まぁ仕方のないことですけど」
えっ?えっ?
「あの子、一見無害そうに見えるし、真面目そうでしょ?でもね、お父様の血を一番色濃く受け継いでるのがルークなの」
「国王陛下のお子様であれば、普通のことではないのでしょうか?」
「血というか、性質?性格?的なものかしら。あまり王家のことを口外してはいけないのだけど、お父様のお母様への執着はもう凄いのなんの。言っちゃいけないから内容は割愛するわ」
「しゅ、執着…ですか…」
殿下とはそこまで長時間の会話もしていないし、野営訓練に入ってからの殿下の様子しか知らない。
美しくて、賢くて、嘘が下手な人という印象しかない。
まぁ何故私に心を寄せていただいているのか謎ではあるし、野営訓練が仕組まれていたものだというのには驚いているけど。
「本当はね、もっと事前に察知していなければいけなかったのよ。でもラシルス…あ、第一王女ね。そのラシルスが甘っちょろい対応をしたからわたくしが今ここに居るのよ」
「何か問題でもあったのでしょうか?」
「問題も何も、問題だらけよ。そもそも野営訓練を行わせたことが問題よ」
「失礼ながらそれは私もそう思います。本当は必要のない訓練だと、先ほど殿下からうかがいました」
「ラシルスなら抑えられたはずだったのに、それをせず、わたくしに何の報告もしてなかったのよ?あり得ないわ!」
ラシルス様もですが、ランタナ様にも野営訓練は特に関係ないと思うのですが…?
勝手に国家予算を使ったとか、そういう感じでしょうか。
「とりあえず後々説明していくわ。まず貴女には王城にきていただきます」
「えぇっ?!今向かっているのは王城ですか?」
「もちろんよ」
ランタナ様が満面の笑みで言う。お隣のグーズベリー様も天使の微笑みで頷いておられます。
そ、そうですか‥‥私はいつ家に帰れるのでしょうか。
「貴女もルークなんかに惚れられて苦労するわね…」
「いえ、私は殿下とお話したのも昨日が初めてなのですが」
「あー…そうよね、貴女とルークが接触したのは確かに昨日のようね。苦労は今からなのかもしれないわ」
「私は底辺の男爵令嬢です。しかも騎士をしておりますので、多少の苦労は平気です」
「多分貴女が考えている苦労と、今後起きる苦労は全くの別物と思うわ。まぁ貴女の選択次第では苦労にならないのかもしれないけど」
「どういうことですか?」
「まぁまぁまずは王城へ行きます。そして両親に会ってもらいます。国王王妃両陛下に。その心つもりをしておいてください」
…不可抗力ですが王太子殿下を誑かした罪を問われるのでしょうか。王太子殿下の婚約者様からの抗議があるのでしょうか?やはり処刑?
「何か顔色が悪いけど、心配しなくても大丈夫よ。悪いようにはしないから。わたくしたちは貴女の味方です。強要するようなことはないわ。現時点では…」
…現時点では…ということは、ないとは言えないと…
本当に私は王太子殿下にお心を寄せていただく覚えがありません。
そして王太子殿下とどうにかなりたいとも思ってません。どうにかなれるとも思いません。
自身の身の丈は十分承知しております。
騎士として忠誠心を持っていますが、騎士を目指した時点で一般的な貴族令嬢やロマンス小説のような色ごとに夢も持っておりません。
いつかは結婚したいなとは思いますが、底辺であっても貴族の娘。私でも役に立てるのであれば政略結婚どんどこいです。
そんな私が…何故王城に向うことになっているのか…胃がキリキリする…
「えっ?」
「えっ?もしかして間に合っていなかったのかしら?そうよね、一晩もあれば唇くらいは奪われてしまったのかしら?」
「いいえ!殿下のお気持ちはきいておりますが、殿下はそのようなことは…」
「貴女、あの子のことを全く理解していないようね。まぁ仕方のないことですけど」
えっ?えっ?
「あの子、一見無害そうに見えるし、真面目そうでしょ?でもね、お父様の血を一番色濃く受け継いでるのがルークなの」
「国王陛下のお子様であれば、普通のことではないのでしょうか?」
「血というか、性質?性格?的なものかしら。あまり王家のことを口外してはいけないのだけど、お父様のお母様への執着はもう凄いのなんの。言っちゃいけないから内容は割愛するわ」
「しゅ、執着…ですか…」
殿下とはそこまで長時間の会話もしていないし、野営訓練に入ってからの殿下の様子しか知らない。
美しくて、賢くて、嘘が下手な人という印象しかない。
まぁ何故私に心を寄せていただいているのか謎ではあるし、野営訓練が仕組まれていたものだというのには驚いているけど。
「本当はね、もっと事前に察知していなければいけなかったのよ。でもラシルス…あ、第一王女ね。そのラシルスが甘っちょろい対応をしたからわたくしが今ここに居るのよ」
「何か問題でもあったのでしょうか?」
「問題も何も、問題だらけよ。そもそも野営訓練を行わせたことが問題よ」
「失礼ながらそれは私もそう思います。本当は必要のない訓練だと、先ほど殿下からうかがいました」
「ラシルスなら抑えられたはずだったのに、それをせず、わたくしに何の報告もしてなかったのよ?あり得ないわ!」
ラシルス様もですが、ランタナ様にも野営訓練は特に関係ないと思うのですが…?
勝手に国家予算を使ったとか、そういう感じでしょうか。
「とりあえず後々説明していくわ。まず貴女には王城にきていただきます」
「えぇっ?!今向かっているのは王城ですか?」
「もちろんよ」
ランタナ様が満面の笑みで言う。お隣のグーズベリー様も天使の微笑みで頷いておられます。
そ、そうですか‥‥私はいつ家に帰れるのでしょうか。
「貴女もルークなんかに惚れられて苦労するわね…」
「いえ、私は殿下とお話したのも昨日が初めてなのですが」
「あー…そうよね、貴女とルークが接触したのは確かに昨日のようね。苦労は今からなのかもしれないわ」
「私は底辺の男爵令嬢です。しかも騎士をしておりますので、多少の苦労は平気です」
「多分貴女が考えている苦労と、今後起きる苦労は全くの別物と思うわ。まぁ貴女の選択次第では苦労にならないのかもしれないけど」
「どういうことですか?」
「まぁまぁまずは王城へ行きます。そして両親に会ってもらいます。国王王妃両陛下に。その心つもりをしておいてください」
…不可抗力ですが王太子殿下を誑かした罪を問われるのでしょうか。王太子殿下の婚約者様からの抗議があるのでしょうか?やはり処刑?
「何か顔色が悪いけど、心配しなくても大丈夫よ。悪いようにはしないから。わたくしたちは貴女の味方です。強要するようなことはないわ。現時点では…」
…現時点では…ということは、ないとは言えないと…
本当に私は王太子殿下にお心を寄せていただく覚えがありません。
そして王太子殿下とどうにかなりたいとも思ってません。どうにかなれるとも思いません。
自身の身の丈は十分承知しております。
騎士として忠誠心を持っていますが、騎士を目指した時点で一般的な貴族令嬢やロマンス小説のような色ごとに夢も持っておりません。
いつかは結婚したいなとは思いますが、底辺であっても貴族の娘。私でも役に立てるのであれば政略結婚どんどこいです。
そんな私が…何故王城に向うことになっているのか…胃がキリキリする…
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