猫好きが転生したら世界最強のテイマーになりました!?

白鷺人和

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十話③

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飛んできた死体は立派な鎧を着けているが、それごと貫通して風通しの良い体にされていた。

グッロ!!
冒険者ってこんな末路をたどるんだなぁ。
なおさら危険な任務は受けられないね。

死体の胸元を見てみると、シルバープレートが取り付けられていた。
シルバープレートってことはガースと同じくらいの強さの人なのか。

ガースの評価って、酒場の人達の話を聞く限りは高かったし、それと同じくらいの実力の人がこんなになっちゃうなんて……。

「ねぇマグちゃん止めようよ、なんかヤバそうだし」

「大丈夫大丈夫!奥に僕より強いのがいる感じしないし、それにご主人もいるから!」

信頼してくれるのは嬉しいけど、大丈夫かなぁ。
不安を感じつつ走っていくと、広々とした空間に出た。
魔水晶の光では奥が見えないほどの空間。

「うわ~広いよー!」

マグちゃんのカワイイ声が再現なく木霊した。
その時、

ゾゾゾゾゾゾッ!!

洞窟の壁が不規則に脈打ち始めた。
え、何……今の。
何かヤバいんじゃないの!?

「マグちゃん金ちゃん!逃げ……」

入り口が……無い!!!

皆を連れて逃げようと振り返ると、入り口がなくなっていることに気がついた。
いや、無くなっていると言うよりは塞がれているのだ。壁を蠢く、何かに。

ドズンッ!ドズンッ!

大きな地響きとともに、洞窟の奥から山のように大きな何かが近づいてきている。

「マグちゃん金ちゃん、下がって……」

私は二人の前に陣取り、戦闘態勢をとった。
マジで状況が掴めないけど、何かあったらマグちゃんと金ちゃんだけでも守らないと……!

地鳴りはドンドン大きくなり、それにつれて洞窟の奥から現れた何かの姿が鮮明になっていった。

毛がビッシリと生えた八本の足。洞窟を埋め尽くしそうな程の大きな腹。紅玉のように紅く無機質な眼。

キョォォォォォ!!!!!

洞窟の奥から金切り声とともに現れたのは、山のように大きな蜘蛛だった。

いや、キッショ!
普通の蜘蛛なら前世に住んでたボロ屋で腐るほど見てきたし潰してきたけど、これはちょっと無理!

何なのコイツは?

「鑑定!」

個体名:なし
種族:マザースパイダー
称号:なし
HP:8000     MP:00
力:3400        素早さ:1300
防御力:5200       魔力:00
スキル:産卵、鋼糸

ステータスはマグちゃんより少し低いくらいかな?てかスキル産卵て、子供生むのコイツ。

て言うか、もしかして壁で動いてるやつってもしかして……。

恐る恐る眼を凝らして壁の方を見てみると、私の予想通りのものがいた。
壁を埋め尽くす子グモの数々。
あっちにも、そっちにも、こっちにも!
クモクモクモクモクモクモ!!

視界を右往左往動かしても、視界にはクモが入ってくる。
良く見てみると、洞窟にはいくつか人間の死体も転がっていた。
鎧や魔法使いっぽい杖を持っているところから見るに、さっき飛んできた死体の仲間なんだろう。

上半身がないものや、バラバラにされているもの、現在進行形で食べられている死体もある。

あ、食べられてるの死体かと思ったらまだちょっと息があるみたいだね。

頭がやられてしまったのか、悲鳴を上げることもなくブツブツとなにか呟いている。でも助けることは出来なさそうだね、もう下半身無くなってるし。

「これは無理!帰ろう皆!」

「わ~クモがイッパイだぁ!」

私の必死の訴えを無視して、マグちゃんが嬉しそうに言った。

「これだけのクモを持って帰れば、森の皆は食料に困らないだろうえ」

「え、これ食うの!?」

「うん!クモはトロリとしてて美味しいんだよ!森じゃあんまりとれないけど……今日はクモパーティーだね!」

マグちゃんは子供のように眼を輝かせて言った。
うぅ眩しい……。

し、しょうがない!
森の皆が喜ぶなら、このクモぶっ殺してやる!!
私は食べないけどね!!!!
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