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第10章 深まる絆
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月日が経つにつれ、淳也と真澄の関係はより深く、より切実なものになっていった。外でのデートはますます頻繁になり、互いを知り尽くすようになった。
ある秋の日、二人は鎌倉まで足を伸ばした。観光シーズンは過ぎており、比較的人も少なく、のんびりと過ごすことができた。
「学生の時以来かしら、鎌倉に来たのは」
真澄が由比ヶ浜の砂浜を歩きながら言った。
「彼氏と?」淳也は少しやきもちっぽく聞いた。
真澄は笑った。
「そうよ。でもその彼氏とはすぐに別れたわ。あなたのお父さんとは会社で知り合ったの。」
「お父さんの会社で。」
「営業のお父さんをアシスタントする仕事に就いていたのよ。」
真澄は遠い目をした。
「でも、あのときに選んだのがお父さんでよかった。でなければ、淳也に会えなかったもの」
その言葉に、淳也の胸は熱くなった。
「…そうだね」
大仏を見上げながら、淳也はふと尋ねた。
「真澄、後悔してる?僕を産んだこと」
真澄は驚いたように淳也を見た。
「とんでもない。淳也が私の子供でいてくれて、すごく幸せよ」
「でも、今の関係になったら…」
「今の関係も含めて」真澄は淳也の手を握った。「全部ひっくるめて、私の人生よ。後悔なんて一つもない」
昼食は海の見えるレストランで取った。
窓際の席に座り、穏やかな海を眺めながら、二人はゆっくりと会話を楽しんだ。
「大学はあと少しね。就職活動はどうするの?」真澄が心配そうに聞いた。
「まだ迷ってる」淳也はフォークを弄びながら答えた。「東京の会社もいいけど…」
「離れたくないの?」
淳也はうなずいた。
「真澄から離れたくない」
「でも、いつまでも家にいるわけにはいかないわ」
真澄の声には寂しさがにじんでいた。
「子供は巣立つもの。それが自然なことよ」
「僕は自然じゃないんだ」
淳也は真澄の目を真っ直ぐ見つめた。
「だって、普通の親子じゃないから」
真澄は息を呑んだ。「…そうね」
その会話以来、将来について考えることが多くなった。
この関係をどう維持していくのか。
いつかは家を出なければならない時が来る——その現実から目を背けることはできなかった。
12月に入り、クリスマスが近づいてきた。家族で過ごすべき日だが、二人はこっそりと前日にデートをすることにした。
「クリスマスイブの前日だから、街もきれいだろうし、人も多いからバレにくい」淳也が提案した。
「でも、プレゼントはどうするの?家であげると怪しまれるわ」
「外であげよう。今日のデートで」
渋谷のイルミネーションを見ながら、淳也は小さな箱を取り出した。
「これ、真澄さんへ」
真澄は驚いて箱を受け取った。「何かしら…」
開けると、シルバーのネックレスが入っていた。繊細なチェーンに、小さなサッカーボールのペンダントが下がっている。
「わあ…きれい」真澄の目が輝いた。
「サッカーが僕たちを繋いでくれたから」淳也は照れくさそうに言った。
「僕も同じのを持ってる」
彼も首から同じデザインのネックレスを出した。
ただし、彼のはボールではなく、ゴールのネットを模したペンダントだった。
「二つで一組なんだ」
真澄の目に涙が浮かんだ。
「ありがとう。大切にするわ」
彼女はその場でネックレスを付け、淳也にキスをした。
人通りの多い街中だったが、クリスマスシーズンということもあり、カップルのキスは珍しくなかった。
「僕のも」真澄も小さな包みを取り出した。
開けると、革製の財布だった。
「就職したら必要になるでしょ」真澄は微笑んだ。「中を見て」
財布を開けると、二人の写真が入っていた。新潟のホテルで撮った、笑顔の写真だ。
「これ…」淳也は声を詰まらせた。
「誰にも見せられないから、せめて財布の中だけでも」真澄の声も震えていた。
「ありがとう」淳也は彼女を強く抱きしめた。「ずっと側に置いておくよ」
その夜、彼らは都内のホテルを取った。クリスマスシーズンで高かったが、特別な日だった。
部屋には小さなクリスマスツリーが飾られ、ベッドには花びらが撒かれていた。
「わあ…すごい」真澄は感動して部屋を見回した。
「特別な日だから」淳也は彼女の手を取った。「メリークリスマス、真澄さん」
「メリークリスマス、淳也」真澄は微笑みながらキスを返した。
その夜はいつも以上に情熱的だった。互いへの愛を確認し合うように、何度も結び合った。
「愛してる」真澄が喘ぎながら囁いた。
「僕も。ずっとずっと」
朝、目が覚めると、真澄が淳也の胸で眠っていた。
彼はそっと彼女の髪を撫でながら、この瞬間が永遠に続けばいいと思った。
しかし、現実は待ってくれなかった。クリスマス当日は家族と過ごさなければならない。
父と兄の前で、普通の親子を演じながら。
「お母さん、そのネックレス新しいね」兄が気づいた。
「ええ、クリスマスプレゼントに自分で買ったの」真澄は自然に笑った。
淳也は内心ほっとした。うまくごまかせたようだ。
その夜、それぞれの部屋に戻った後、LINEが届いた。
「今日は楽しかった。でも、家であげられなくてごめん」
「いいよ。僕も真澄さんの笑顔が見られて幸せだった」
「来年も一緒にクリスマスを過ごせるかな」
「もちろん。毎年、ずっと」
彼らはそう誓い合った。しかし、運命は残酷にも、その約束を試すような出来事を用意していた。
ある秋の日、二人は鎌倉まで足を伸ばした。観光シーズンは過ぎており、比較的人も少なく、のんびりと過ごすことができた。
「学生の時以来かしら、鎌倉に来たのは」
真澄が由比ヶ浜の砂浜を歩きながら言った。
「彼氏と?」淳也は少しやきもちっぽく聞いた。
真澄は笑った。
「そうよ。でもその彼氏とはすぐに別れたわ。あなたのお父さんとは会社で知り合ったの。」
「お父さんの会社で。」
「営業のお父さんをアシスタントする仕事に就いていたのよ。」
真澄は遠い目をした。
「でも、あのときに選んだのがお父さんでよかった。でなければ、淳也に会えなかったもの」
その言葉に、淳也の胸は熱くなった。
「…そうだね」
大仏を見上げながら、淳也はふと尋ねた。
「真澄、後悔してる?僕を産んだこと」
真澄は驚いたように淳也を見た。
「とんでもない。淳也が私の子供でいてくれて、すごく幸せよ」
「でも、今の関係になったら…」
「今の関係も含めて」真澄は淳也の手を握った。「全部ひっくるめて、私の人生よ。後悔なんて一つもない」
昼食は海の見えるレストランで取った。
窓際の席に座り、穏やかな海を眺めながら、二人はゆっくりと会話を楽しんだ。
「大学はあと少しね。就職活動はどうするの?」真澄が心配そうに聞いた。
「まだ迷ってる」淳也はフォークを弄びながら答えた。「東京の会社もいいけど…」
「離れたくないの?」
淳也はうなずいた。
「真澄から離れたくない」
「でも、いつまでも家にいるわけにはいかないわ」
真澄の声には寂しさがにじんでいた。
「子供は巣立つもの。それが自然なことよ」
「僕は自然じゃないんだ」
淳也は真澄の目を真っ直ぐ見つめた。
「だって、普通の親子じゃないから」
真澄は息を呑んだ。「…そうね」
その会話以来、将来について考えることが多くなった。
この関係をどう維持していくのか。
いつかは家を出なければならない時が来る——その現実から目を背けることはできなかった。
12月に入り、クリスマスが近づいてきた。家族で過ごすべき日だが、二人はこっそりと前日にデートをすることにした。
「クリスマスイブの前日だから、街もきれいだろうし、人も多いからバレにくい」淳也が提案した。
「でも、プレゼントはどうするの?家であげると怪しまれるわ」
「外であげよう。今日のデートで」
渋谷のイルミネーションを見ながら、淳也は小さな箱を取り出した。
「これ、真澄さんへ」
真澄は驚いて箱を受け取った。「何かしら…」
開けると、シルバーのネックレスが入っていた。繊細なチェーンに、小さなサッカーボールのペンダントが下がっている。
「わあ…きれい」真澄の目が輝いた。
「サッカーが僕たちを繋いでくれたから」淳也は照れくさそうに言った。
「僕も同じのを持ってる」
彼も首から同じデザインのネックレスを出した。
ただし、彼のはボールではなく、ゴールのネットを模したペンダントだった。
「二つで一組なんだ」
真澄の目に涙が浮かんだ。
「ありがとう。大切にするわ」
彼女はその場でネックレスを付け、淳也にキスをした。
人通りの多い街中だったが、クリスマスシーズンということもあり、カップルのキスは珍しくなかった。
「僕のも」真澄も小さな包みを取り出した。
開けると、革製の財布だった。
「就職したら必要になるでしょ」真澄は微笑んだ。「中を見て」
財布を開けると、二人の写真が入っていた。新潟のホテルで撮った、笑顔の写真だ。
「これ…」淳也は声を詰まらせた。
「誰にも見せられないから、せめて財布の中だけでも」真澄の声も震えていた。
「ありがとう」淳也は彼女を強く抱きしめた。「ずっと側に置いておくよ」
その夜、彼らは都内のホテルを取った。クリスマスシーズンで高かったが、特別な日だった。
部屋には小さなクリスマスツリーが飾られ、ベッドには花びらが撒かれていた。
「わあ…すごい」真澄は感動して部屋を見回した。
「特別な日だから」淳也は彼女の手を取った。「メリークリスマス、真澄さん」
「メリークリスマス、淳也」真澄は微笑みながらキスを返した。
その夜はいつも以上に情熱的だった。互いへの愛を確認し合うように、何度も結び合った。
「愛してる」真澄が喘ぎながら囁いた。
「僕も。ずっとずっと」
朝、目が覚めると、真澄が淳也の胸で眠っていた。
彼はそっと彼女の髪を撫でながら、この瞬間が永遠に続けばいいと思った。
しかし、現実は待ってくれなかった。クリスマス当日は家族と過ごさなければならない。
父と兄の前で、普通の親子を演じながら。
「お母さん、そのネックレス新しいね」兄が気づいた。
「ええ、クリスマスプレゼントに自分で買ったの」真澄は自然に笑った。
淳也は内心ほっとした。うまくごまかせたようだ。
その夜、それぞれの部屋に戻った後、LINEが届いた。
「今日は楽しかった。でも、家であげられなくてごめん」
「いいよ。僕も真澄さんの笑顔が見られて幸せだった」
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