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第1章:バズったSNSで退職に追い込まれたOL
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39歳のリサは、新卒で入社した上場企業で、堅実な会社員として働いてきた。母親と二人暮らし。母は元気で、まだ仕事をしており、不自由のない収入もある。だから、高望みしなければ、生活に困ることはなかった。リサは好きなことをそれなりに楽しんでいた。旅行や食事、たまにインスタグラムにモザイクをかけた自分の写真を上げる。そんな何気ない日常。
でも、同年代の女友達が育休の話をしたり、家族旅行の写真を上げたりするのを見ると、胸の奥が少し疼いた。これまで、結婚の話が現実味を帯びたことも何度かあった。けれど、いつも心のどこかで、「この先、母を一人にできない」という思いが引っ掛かり、一歩を踏み出せなかった。そのことは、母には決して話さない。母は元気だし、自立している。必要以上に心配をかけたくなかった。
ある日、いつものようにインスタグラムに写真を上げたとき、うっかりモザイクをかけ忘れてしまった。すると、それまでとは違う反応が返ってきた。男性からのコメントやダイレクトメッセージが、けっこう届いたのだ。下心は感じたが、不思議と不快ではなかった。むしろ、少し嬉しかった。
味をしめたリサは、それから写真にモザイクをかけるのをやめた。DMは増え、気の合う男性とは実際に会うようになった。最初は緊張したが、次第に楽しめるようになった。「結婚」という重い未来を考えるのはやめよう。今を楽しもう。そう決めた。
恋愛感情を持つこともあった。でも、一人の男性に執着しすぎないようにした。複数の男性と同時に付き合うことも、珍しくなくなった。自由で、軽やかで、どこか空虚な日々。
やがて、インスタグラムだけでなく、SNSや匿名掲示板で、リサの名前が噂になるようになった。
バズった。
でもこのバスりかたは本意ではなかった。
「リサは簡単にやれる」
「ふしだらな女」
「淫らな女」
「身持ちの悪い女」
「尻軽女」
「ビッチ」
最初は気にしないふりをした。でも、噂は会社にも広がった。廊下ですれ違う同僚の視線が、次第に冷たくなっていく。囁き声が、耳について離れない。
「あの人、社外でいろいろやってるらしいよ」
「帯が広いって噂だ」
事実ではあった。でも、その事実と、そこから湧き上がる自己嫌悪に、リサは押し潰されそうになった。会社に居づらくなり、ついに退職した。
今は、インスタグラムもやめた。少しゆっくりして、スキルを磨き、心が落ち着いたら転職活動をしようと思っている。ただ、一度広がったデジタルタトゥー。
ネット上に刻まれた噂とイメージは、簡単には消えない。それが、何よりも怖かった。
窓の外を見ながら、リサは思う。39歳。これからどう生きていくのか。自由を手に入れた代償は、思ったより大きかった。でも、もう後戻りはできない。ただ、静かに、次の一歩を探している。
でも、同年代の女友達が育休の話をしたり、家族旅行の写真を上げたりするのを見ると、胸の奥が少し疼いた。これまで、結婚の話が現実味を帯びたことも何度かあった。けれど、いつも心のどこかで、「この先、母を一人にできない」という思いが引っ掛かり、一歩を踏み出せなかった。そのことは、母には決して話さない。母は元気だし、自立している。必要以上に心配をかけたくなかった。
ある日、いつものようにインスタグラムに写真を上げたとき、うっかりモザイクをかけ忘れてしまった。すると、それまでとは違う反応が返ってきた。男性からのコメントやダイレクトメッセージが、けっこう届いたのだ。下心は感じたが、不思議と不快ではなかった。むしろ、少し嬉しかった。
味をしめたリサは、それから写真にモザイクをかけるのをやめた。DMは増え、気の合う男性とは実際に会うようになった。最初は緊張したが、次第に楽しめるようになった。「結婚」という重い未来を考えるのはやめよう。今を楽しもう。そう決めた。
恋愛感情を持つこともあった。でも、一人の男性に執着しすぎないようにした。複数の男性と同時に付き合うことも、珍しくなくなった。自由で、軽やかで、どこか空虚な日々。
やがて、インスタグラムだけでなく、SNSや匿名掲示板で、リサの名前が噂になるようになった。
バズった。
でもこのバスりかたは本意ではなかった。
「リサは簡単にやれる」
「ふしだらな女」
「淫らな女」
「身持ちの悪い女」
「尻軽女」
「ビッチ」
最初は気にしないふりをした。でも、噂は会社にも広がった。廊下ですれ違う同僚の視線が、次第に冷たくなっていく。囁き声が、耳について離れない。
「あの人、社外でいろいろやってるらしいよ」
「帯が広いって噂だ」
事実ではあった。でも、その事実と、そこから湧き上がる自己嫌悪に、リサは押し潰されそうになった。会社に居づらくなり、ついに退職した。
今は、インスタグラムもやめた。少しゆっくりして、スキルを磨き、心が落ち着いたら転職活動をしようと思っている。ただ、一度広がったデジタルタトゥー。
ネット上に刻まれた噂とイメージは、簡単には消えない。それが、何よりも怖かった。
窓の外を見ながら、リサは思う。39歳。これからどう生きていくのか。自由を手に入れた代償は、思ったより大きかった。でも、もう後戻りはできない。ただ、静かに、次の一歩を探している。
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