檻(女子校)の外は底なし沼。 JK解放感と背伸びの性

MisakiNonagase

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プロローグ:境界線のエデン

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中高一貫、女子校。そこは、世間が抱く幻想ほど清らかではなく、かといって、彼女たちが嘆くほど退屈な場所でもなかった。

夏になれば、男の目を気にせずスカートの裾を捲り上げて風を通し、冬になれば、ブランドのマフラーに顔を埋める。教室では、流行の動画や大好きなアーティスト、心血を注ぐ「推し活」の話題を少し交えながら、小テストの範囲について、延々と、熱心に語り合う。

通学電車では、校則の限界を攻めて制服を着こなし、自分たちなりの「おしゃれ」を全力で楽しむ。けれど、その視線の先に異性を求めることは決してない。膝の上に広げた分厚い参考書や、付箋だらけの過去問。彼女たちの世界は、その狭い座席と、気心の知れた友人との会話だけで完結していた。

男性不在という名の檻は、同時に、彼女たちを性の搾取から守る、強固で清潔な「温室」でもある。

高い偏差値、名門の家柄、あるいは、放課後の教室で磨き上げた「制服の着こなし」。それだけが自分の価値であり、世界を戦い抜くための唯一の武器だと疑わなかった。

命を削るような受験勉強の末、手にした第一志望の「合格通知」。それは、狭い檻から飛び出すための翼であり、同時に、彼女たちの警戒心を根こそぎ奪い去る、甘い麻酔薬だった。

大学に合格後の解放感で、「JK」という、魔法の賞味期限が切れる直前の、最も残酷で輝かしい一ヶ月。合格の余韻に酔いしれ、解放感に羽を広げた彼女たちは、背伸びをした指先で、未知の世界の扉を叩く。

「もう子供じゃない」
「自分なら、うまくやれる」
「彼なら、私の知性を分かってくれる」

その根拠のない自負こそが、外の世界で獲物を待つ男たちにとって、何よりも芳醇な「餌」であることを、彼女たちはまだ知らない。

女子校という名の「聖域」を捨て、彼女たちが一歩踏み出した先。そこは、春の陽光が降り注ぐキャンパスではなく、一度足を踏み入れれば二度と戻れない、底なしの泥濘(ぬかるみ)だった。

これは、一時の解放感と背伸びで性の失敗をした3/31付けまでは高校に籍を置き、時計を止められた、10人の少女たちの記録。美しく、あるいはあまりにも愚かな、春の葬列。
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