母の黒いブーツ 〜熟女AV女優・彩子 その淫らな誇り〜

MisakiNonagase

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第12話:沈黙の告白

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撮影終了のタイマーが鳴るまで、残り10分を切っていた。​スタジオの空気は、熱を帯びた照明と、僕たちの間に漂う重苦しい沈黙によって飽和していた。僕は最後のリクエストとして、彼女に「椅子に深く腰掛け、遠くの窓の外を見つめるポーズ」を求めた。

​そこには、もう「彩子」の淫らな表情は必要なかった。ただ、一人の女性として、その人生の疲れを少しだけ露わにした、素のままの彼女を記録したかった。

​「……お疲れ様でした。これで、最後です」

​僕の言葉に、母はふっと肩の力を抜き、ロングブーツの踵を床に鳴らして立ち上がった。彼女はガウンを羽織り、乱れた髪を指先で整えながら、僕に向かって短く会釈をした。

​「ありがとうございました。」

​母の視線が、マスク越しに僕を捉えた。
それは感謝や親愛というよりは、今日の「仕事」を完結させるための事務的な確認に近いものだった。
​僕は反射的に、深く被った帽子のつばを下げた。
ここで声を荒らげれば、あるいはマスクを脱げば、すべては終わる。

「母さん、何をしているんだ」と叫び、彼女をこの泥濘から引きずり出すこともできるだろう。​けれど、僕は選ばなかった。今、目の前で凛として立っている「中村彩子」という女性のプライドを、そして、それを消費することでしか彼女と繋がれなくなった自分自身の浅ましさを、僕は守り通さなければならなかった。

​「……こちらこそありがとうございました。」

​声を一段低く、別人のように響かせる。母は、それ以上追及することもなく、どこか遠くを見るような目で小さく頷いた。

​「失礼します」

​そっけない、けれどプロとしての矜持を感じさせる一言。その言葉が、僕の胸を鋭く抉った。

救ったのではない。僕は、貴女を辱めるためにここへ来たのだ。貴女の乳房を見つめ、貴女が産み落とした僕という存在を呪いながら、シャッターを切っていたのだ。

​「おつかれさまでした。お元気で」

​僕はそれだけを言い残し、機材を鞄に詰め込んで、逃げるようにスタジオを後にした。​マンションの階段を駆け下り、冬の終わりの冷たい風に吹かれたとき、スマートフォンが震えた。画面を見ると、母からのLINEが届いている。

​「最近しっかり食べてる? 野菜、多めに送ったから腐らせないようにね。週末、ゆっくり休みよ」

​彼女は今、僕のすぐ後ろの建物で、ガウンを脱ぎ捨てて私服に着替えているはずだ。それなのに、メッセージの中の彼女は、ここから2時間以上離れた北関東の自宅にいる「母親」として、当たり前の日常を僕に強いている。​この完璧な断絶。
今しがた、僕の前で脚を広げ、絶望の表情を浮かべていた女性が、指先ひとつで「優しい母親」へと姿を変える。 

​僕は、「分かってる。いつもありがとう」と、震える指で返信を打った。​僕たちは、これからもこうして生きていく。

母は「人気女優」として男たちに蹂躙され続け、僕は「最愛の息子」として、その動画を見ながら彼女を消費し続ける。​駅へと続く雑踏の中で、僕は一度も後ろを振り返らず、ただ、母の肉体の記録が詰まった重いカメラバッグを抱きしめて、地下鉄の階段を下りていった。
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