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第8章:初めての「恋人」として
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ある土曜日、二人は初めて、地元の住宅街を離れて都心へ向かった。
向かった先は、有名な水族館。
暗がりの展示室。巨大な水槽の中を銀色の魚たちが群れをなして泳いでいく。
青い光に照らされた未玖の横顔は、いつにも増して綺麗だった。
「翔太、あっちのクラゲも見よう」
未玖がそっと翔太の右手を握る。
これまでは、転んだ時や励ます時に握る「支え」の手だった。けれど今は、指の間を絡ませる「恋人」としての繋ぎ方。
「……ミク」
「ん?」
「俺……大学に来てよかった。お前に無理やり連れてこられなきゃ、こんな景色、一生見られなかった」
翔太が握り返すと、未玖は彼の肩にコテン、と頭を預けた。
「私もだよ。翔太が頑張ってくれたから、私ももっと頑張れたんだもん」
生け垣を飛び越えて笑い合っていた子供時代を経て、二人は今、自分たちの足で新しい世界を歩き始めていた。
挫折の痛みは、消えることはない。けれど、その痛みがあったからこそ、今握りしめている手の温かさが、何倍も深く心に染みる。
夜の帰り道。駅からの道すがら、二人はいつものように隣り合う二軒の家の前まで来た。
「じゃあ、また明日」
「ああ、お休み。ミク」
一度離れかけた手が、名残惜しそうに離れる。
門扉を閉める音。けれど、二人の心はもう、あの低い生け垣さえも必要ないほど、深く結ばれていた。
向かった先は、有名な水族館。
暗がりの展示室。巨大な水槽の中を銀色の魚たちが群れをなして泳いでいく。
青い光に照らされた未玖の横顔は、いつにも増して綺麗だった。
「翔太、あっちのクラゲも見よう」
未玖がそっと翔太の右手を握る。
これまでは、転んだ時や励ます時に握る「支え」の手だった。けれど今は、指の間を絡ませる「恋人」としての繋ぎ方。
「……ミク」
「ん?」
「俺……大学に来てよかった。お前に無理やり連れてこられなきゃ、こんな景色、一生見られなかった」
翔太が握り返すと、未玖は彼の肩にコテン、と頭を預けた。
「私もだよ。翔太が頑張ってくれたから、私ももっと頑張れたんだもん」
生け垣を飛び越えて笑い合っていた子供時代を経て、二人は今、自分たちの足で新しい世界を歩き始めていた。
挫折の痛みは、消えることはない。けれど、その痛みがあったからこそ、今握りしめている手の温かさが、何倍も深く心に染みる。
夜の帰り道。駅からの道すがら、二人はいつものように隣り合う二軒の家の前まで来た。
「じゃあ、また明日」
「ああ、お休み。ミク」
一度離れかけた手が、名残惜しそうに離れる。
門扉を閉める音。けれど、二人の心はもう、あの低い生け垣さえも必要ないほど、深く結ばれていた。
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