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第20章:レンズ越しの真実、二人の男
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康助は、手にしたカメラのファインダー越しに、母・加代子の姿を追い続けていた。 夜の都心。加代子は和文と共にある一流ホテルへと入っていった。一時間、二時間……。康助は夜の闇に紛れ、感情を殺して待ち続けた。やがて出てきた二人の姿を、彼は無音でシャッターに収める。
驚くべきことに、そこに写る加代子は、決して世間一般で言うような「絶世の美女」でも、若作りをした「若見え」する女性でもなかった。55歳という年齢相応の落ち着きと、幾分かの肉感。 しかし、ホテルから出てきた彼女が纏うオーラは、信じられないほど優雅で、余裕に満ちていた。自分よりも若い和文を従え、満足げに微笑むその姿。康助はレンズを覗きながら、その不道徳な気高さに、一瞬だけ息をするのを忘れて見とれてしまった。
(母さんは……ただの母親じゃない。男を、これほどまでに変えてしまう何かなんだ)
翌日の午後。加代子は再び動いた。 康助は実家から数駅離れた場所から彼女を尾行する。加代子が電車を乗り継ぎ、向かったのは若者の活気溢れるエリアの、少し寂れたワンルームマンションだった。
駅の改札。そこで加代子を待っていた男を見て、康助は全身の血が逆流するような衝撃を受けた。
(……嘘だろ。あいつ、俺より年下じゃないか)
そこにいたのは、25歳の大輝だった。康助から見ても明らかに若く、幼さすら残る青年。しかし大輝は、加代子の姿を見つけると顔を綻ばせ、当然のように彼女の腰に手を回した。 自分の女を愛おしむような、独占欲に満ちた仕草。55歳の加代子は、その若者の腕に身を委ね、甘えるような、それでいて支配するような不敵な笑みを浮かべて歩き出す。
二人はそのまま、大輝の住むマンションの一室へと消えていった。
康助は、マンションの入り口を呆然と見つめたまま、立ち尽くしていた。 和文のようなエリートだけではない。自分よりも若い男が、母を「女」として扱い、母もまたその若さを「名器」という毒で飲み込んでいる。 「母さん……あなたは、一体どこまで堕ちていくんだ」
康助の指先は、カメラを握ったまま震えていた。 一年前まで自分のために夕食を作っていた母が、今、薄い壁の向こうで、自分より年下の男にその「名器」の快楽を与えている。 嫌悪、怒り、そして——抗いようのない好奇。 康助の「一週間の猶予」は、もはや単なる調査ではなく、母という深淵に自らも溺れていくための時間へと変貌していた。
驚くべきことに、そこに写る加代子は、決して世間一般で言うような「絶世の美女」でも、若作りをした「若見え」する女性でもなかった。55歳という年齢相応の落ち着きと、幾分かの肉感。 しかし、ホテルから出てきた彼女が纏うオーラは、信じられないほど優雅で、余裕に満ちていた。自分よりも若い和文を従え、満足げに微笑むその姿。康助はレンズを覗きながら、その不道徳な気高さに、一瞬だけ息をするのを忘れて見とれてしまった。
(母さんは……ただの母親じゃない。男を、これほどまでに変えてしまう何かなんだ)
翌日の午後。加代子は再び動いた。 康助は実家から数駅離れた場所から彼女を尾行する。加代子が電車を乗り継ぎ、向かったのは若者の活気溢れるエリアの、少し寂れたワンルームマンションだった。
駅の改札。そこで加代子を待っていた男を見て、康助は全身の血が逆流するような衝撃を受けた。
(……嘘だろ。あいつ、俺より年下じゃないか)
そこにいたのは、25歳の大輝だった。康助から見ても明らかに若く、幼さすら残る青年。しかし大輝は、加代子の姿を見つけると顔を綻ばせ、当然のように彼女の腰に手を回した。 自分の女を愛おしむような、独占欲に満ちた仕草。55歳の加代子は、その若者の腕に身を委ね、甘えるような、それでいて支配するような不敵な笑みを浮かべて歩き出す。
二人はそのまま、大輝の住むマンションの一室へと消えていった。
康助は、マンションの入り口を呆然と見つめたまま、立ち尽くしていた。 和文のようなエリートだけではない。自分よりも若い男が、母を「女」として扱い、母もまたその若さを「名器」という毒で飲み込んでいる。 「母さん……あなたは、一体どこまで堕ちていくんだ」
康助の指先は、カメラを握ったまま震えていた。 一年前まで自分のために夕食を作っていた母が、今、薄い壁の向こうで、自分より年下の男にその「名器」の快楽を与えている。 嫌悪、怒り、そして——抗いようのない好奇。 康助の「一週間の猶予」は、もはや単なる調査ではなく、母という深淵に自らも溺れていくための時間へと変貌していた。
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