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第一部 観光気分の異世界旅行
10. 異世界6日目 治癒魔法に挑戦
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6日目となるとこっちの生活パターンにも慣れてきたようで朝もちゃんと起きられるようになってきた。まあ目覚ましは使っているけどね。
朝食に食パンとハムとサラダをいただいてから準備をして部屋を出る。今日は宿を移るつもりなので鍵を返却してからお礼を言って出発する。
まずは宿の予約だけしておこうと朝食付きで300ドールの宿へ行ってみる。宿は建物が古いのでそれほど綺麗な感じではないが、ロビーを見る限り掃除などはちゃんとしている。部屋は狭いけどちゃんと個室になっている。それでもシャワーもあるし、トイレもちゃんとあるので寝るだけなら十分な内容だと思う。ベッドの質は落ちるだろうけどね。
普通の駆け出しの冒険者は実家のある町で冒険者登録をするので宿代がかからないから生活ができているのであって、宿に泊まりながら冒険者を続けるのはやはりある程度スキルを手に入れてからになるようだ。それでもこのレベルの宿に一人で泊まるのはいい方らしく、普通は相部屋だったり、パーティーで一部屋借りたりするらしい。まあ稼ぎを考えるとそうだろうね。
回復や治療のスキルは教会で講習を受けることができるようなんだが、金額が高いこと、習得に時間がかかること、結局覚えられない人が多いことがネックで受ける人は少ないらしい。
回復や治療の魔法が使える人は教会や治療院で治療をする職に就くことが多いため、わざわざ危険な冒険者になる人も少ないようだ。それ以前に治療ができる人は教会などの囲い込みが行われているみたいだしね。それで冒険者で治療のできる人は圧倒的に少ないので、もし治療ができると言うことが分かるといろいろなパーティーからの勧誘がすごいことになるらしい。
教会に行って話を聞くと、スキルとしては大きく2つに別れており、治癒スキル(治療)と回復スキル(状態異常回復)となるようだ。
ちなみにHP回復というような魔法はなく、あくまで治療をすることで負傷を治したり、疲労軽減したりということで体力が回復するという考えのようだ。まあ確かにHP回復って現実的に考えると意味が分からんな。これは体力ゲージのあるゲーム的な考えなんだろう。
スキルを覚える前に体の構造や病気などの知識について内容を理解しないといけないようだ。実技については治癒スキルが初級で1日3000ドール、回復スキルが初級で1日2000ドールかかるらしいが、医学知識を得たかどうかについて判断するために試験を受けて合格しなければならない。とりあえず試験を受けてみるというのを防ぐ意味もあって、不合格でもお金は返金されないらしい。
本の内容については有料で講義を受ける(1日500ドール)こともできるが、本を読んで独学で理解してもいいらしい。本は自由に閲覧できるようだが、残念ながら持ち出しは禁止されている。これを理解しなければスキルの習得はできないので実技を受けてもお金と時間の無駄となるみたい。
文字をあまり読めない人もいるので、その場合は講義を受けて内容を理解するしかないみたいだが、やはり文字が読めない人は難しいようだ。
おそらく医学スキルの取得が条件だと思うんだが、どうやら学識系のスキルは知られていないようなので試験で判断するのだろう。試験に合格してもスキルを得られない人もいるみたいで、「生まれもった素質も必要ですし、神への信仰が足りなければ、スキルを覚えられない場合もあります。」と説明していた。
スキルを覚えられないのは単にちゃんと理解していなくてスキルを得ていないだけの問題だと思う。神学はあるが、習得には関係ないはずだが、やはり宗教が絡んでいるのだろう。
本は5冊あって、スキルを得るのに最低限必要なのは最初の1冊でいいようだ。現時点で医学スキルは持っているので、内容的には高校生でも知っているレベルなのか?
とりあえず本を借りて読んでみる。体の構造とか病気の原因になる菌やウイルスなどの話であり、正直もとの世界では小学校で習うような内容だった。10分ほどでざっくりと一通り目を通してから先ほど案内してくれた人に試験を受けたいことを伝える。
「ちゃんと理解しないと意味がないって言ったじゃないですか!」
怒られてしまった。
もともと医学の内容は知っているし、本に書かれている内容も知っていることだったので問題ないと言ってもなかなか試験を受けさせてくれない。最後は「そんなにいうならどうぞ!お金の無駄になっても知りませんから!」とやっと試験を受けさせてくれた。
試験は全部で50問ほどあるんだが、かなり簡単な内容なので20分ほどで書き終わる。だって「体の中を流れている血液の役割は?」とか、「内臓の名前を5つ以上あげよ。」とか「止血に有効な方法は次のどれか?」とかなんだもんなあ。
まあこちらの常識と自分の常識がずれていたらしょうがないけど、ざっと読んだ内容ではそんなに差はなかったから大丈夫だろう。もとの世界でも少し前の常識は今では非常識ということもあるからね。
「適当に書いても正解しないですからね!」と採点を始めるが、途中から青ざめていた。
「なんでこんな短時間で・・・?」
「だから最初に一応知識は持っているから再度確認しただけって言ったじゃないですか。」
どうやらちゃんと教育を受けてきたとは思っていなかったようである。
やっと納得してもらったところで実技へと入る。まずは魔法と同じように魔素を体に取り込み、手に魔素を集める。ここまでは風魔法と同じなのである程度簡単にできるようになっているんだが、このあと治療部分に合わせて治療を発動するらしい。
切り傷であればくっつけるイメージ、擦り傷であれば皮膚が再生するイメージで術を発動すればいいようだ。最初に覚えるのは切り傷の修復からとなるようで、モルモットのような生き物を使ってやるみたいだ。
残酷だが、まずは小さな傷をつけてからお手本に治療をしてもらう。小さなひっかき傷が治療をすると跡形もなくなくなっていた。治療のイメージで跡が残ったり、ちゃんと治療できなかったりするらしい。さすがに魔法を使って悪化することはないということを聞いてちょっと安心する。
ただ治療は怪我をしてからの時間が早ければ早いほど治りやすく、傷跡も残らないらしい。時間が経っても治療は可能だが、うまく治らないこともあるし、傷跡が残ってしまったりするようだ。
もちろん治癒魔法のレベルにもよるが、段階的にはおおよそ1日以内、3日以内、10日以内、30日以内という感じで、30日を超えると極端に治癒率は下がってしまうようだ。このため治療に関しては30日以内で行うのが前提のようだ。
まずは魔素を手のひらに集めてから術を発動してみるが、あまりうまく発動できない。魔法はイメージが大事と言うことなので空での治療は無理があるか。とりあえずやり方は問題ないと言われ、モルモットを使っての治療に取りかかる。ひたすら止血と皮膚の再生のイメージで魔法を使ってみるがどうもうまくいかない。何かやり方が違っているんだろうか?
さすがに精神的に持たないので途中休憩を取りながらも訓練を継続する。MPとかはないので枯渇するわけではないんだが、風魔法の時よりも思った以上に精神を消耗してしまう。頑張ったんだが、時間切れでスキルの習得はできなかった。ちなみに医学スキルを手に入れてから最低限の治療ができるようになるまで早い人で5日ほどかかるらしい。
新しい宿には夕食がないので事前に聞いていた安めの食堂に行ってみる。安いと言っても定食は50ドールである。今日の日替わりのハンバーグ定食をお願いする。やはりやってきているお客の質は落ちるようでちょっと柄が悪い人たちもいる。絡まれないようにしないといけないな。
テンプレのように特に絡まれることもなく、食事を終えてから宿に戻る。シャワーはちゃんとお湯も出てくれるので問題はない。宿のレベルは低くてもそのあたりはちゃんとしていると考えていいようだ。まあさらに落ちるとお湯も出ないようになりそうだけどね。
目覚まし時計がなかったので近くにあった雑貨屋に買いに行く。あまり大きな音は迷惑になりそうなので小さな音の出るやつだ。動力は電池みたいに魔獣石をセットするらしいが、最初から最低限は入っているのでとりあえずそのまま使うことができる。1ドール分で大体10日くらい持つらしいが、1ドールを切ると消えてしまうので、使っているのは2ドール以上の魔獣石だろう。
宿に戻ってからシャワーを浴びて、部屋に入る。ベッドは昨日よりは硬いが寝ることには問題はなさそうだ。衣類の洗濯のサービスはないようだったのが残念。下着だけ自分で洗って干しておくことにした。
朝食に食パンとハムとサラダをいただいてから準備をして部屋を出る。今日は宿を移るつもりなので鍵を返却してからお礼を言って出発する。
まずは宿の予約だけしておこうと朝食付きで300ドールの宿へ行ってみる。宿は建物が古いのでそれほど綺麗な感じではないが、ロビーを見る限り掃除などはちゃんとしている。部屋は狭いけどちゃんと個室になっている。それでもシャワーもあるし、トイレもちゃんとあるので寝るだけなら十分な内容だと思う。ベッドの質は落ちるだろうけどね。
普通の駆け出しの冒険者は実家のある町で冒険者登録をするので宿代がかからないから生活ができているのであって、宿に泊まりながら冒険者を続けるのはやはりある程度スキルを手に入れてからになるようだ。それでもこのレベルの宿に一人で泊まるのはいい方らしく、普通は相部屋だったり、パーティーで一部屋借りたりするらしい。まあ稼ぎを考えるとそうだろうね。
回復や治療のスキルは教会で講習を受けることができるようなんだが、金額が高いこと、習得に時間がかかること、結局覚えられない人が多いことがネックで受ける人は少ないらしい。
回復や治療の魔法が使える人は教会や治療院で治療をする職に就くことが多いため、わざわざ危険な冒険者になる人も少ないようだ。それ以前に治療ができる人は教会などの囲い込みが行われているみたいだしね。それで冒険者で治療のできる人は圧倒的に少ないので、もし治療ができると言うことが分かるといろいろなパーティーからの勧誘がすごいことになるらしい。
教会に行って話を聞くと、スキルとしては大きく2つに別れており、治癒スキル(治療)と回復スキル(状態異常回復)となるようだ。
ちなみにHP回復というような魔法はなく、あくまで治療をすることで負傷を治したり、疲労軽減したりということで体力が回復するという考えのようだ。まあ確かにHP回復って現実的に考えると意味が分からんな。これは体力ゲージのあるゲーム的な考えなんだろう。
スキルを覚える前に体の構造や病気などの知識について内容を理解しないといけないようだ。実技については治癒スキルが初級で1日3000ドール、回復スキルが初級で1日2000ドールかかるらしいが、医学知識を得たかどうかについて判断するために試験を受けて合格しなければならない。とりあえず試験を受けてみるというのを防ぐ意味もあって、不合格でもお金は返金されないらしい。
本の内容については有料で講義を受ける(1日500ドール)こともできるが、本を読んで独学で理解してもいいらしい。本は自由に閲覧できるようだが、残念ながら持ち出しは禁止されている。これを理解しなければスキルの習得はできないので実技を受けてもお金と時間の無駄となるみたい。
文字をあまり読めない人もいるので、その場合は講義を受けて内容を理解するしかないみたいだが、やはり文字が読めない人は難しいようだ。
おそらく医学スキルの取得が条件だと思うんだが、どうやら学識系のスキルは知られていないようなので試験で判断するのだろう。試験に合格してもスキルを得られない人もいるみたいで、「生まれもった素質も必要ですし、神への信仰が足りなければ、スキルを覚えられない場合もあります。」と説明していた。
スキルを覚えられないのは単にちゃんと理解していなくてスキルを得ていないだけの問題だと思う。神学はあるが、習得には関係ないはずだが、やはり宗教が絡んでいるのだろう。
本は5冊あって、スキルを得るのに最低限必要なのは最初の1冊でいいようだ。現時点で医学スキルは持っているので、内容的には高校生でも知っているレベルなのか?
とりあえず本を借りて読んでみる。体の構造とか病気の原因になる菌やウイルスなどの話であり、正直もとの世界では小学校で習うような内容だった。10分ほどでざっくりと一通り目を通してから先ほど案内してくれた人に試験を受けたいことを伝える。
「ちゃんと理解しないと意味がないって言ったじゃないですか!」
怒られてしまった。
もともと医学の内容は知っているし、本に書かれている内容も知っていることだったので問題ないと言ってもなかなか試験を受けさせてくれない。最後は「そんなにいうならどうぞ!お金の無駄になっても知りませんから!」とやっと試験を受けさせてくれた。
試験は全部で50問ほどあるんだが、かなり簡単な内容なので20分ほどで書き終わる。だって「体の中を流れている血液の役割は?」とか、「内臓の名前を5つ以上あげよ。」とか「止血に有効な方法は次のどれか?」とかなんだもんなあ。
まあこちらの常識と自分の常識がずれていたらしょうがないけど、ざっと読んだ内容ではそんなに差はなかったから大丈夫だろう。もとの世界でも少し前の常識は今では非常識ということもあるからね。
「適当に書いても正解しないですからね!」と採点を始めるが、途中から青ざめていた。
「なんでこんな短時間で・・・?」
「だから最初に一応知識は持っているから再度確認しただけって言ったじゃないですか。」
どうやらちゃんと教育を受けてきたとは思っていなかったようである。
やっと納得してもらったところで実技へと入る。まずは魔法と同じように魔素を体に取り込み、手に魔素を集める。ここまでは風魔法と同じなのである程度簡単にできるようになっているんだが、このあと治療部分に合わせて治療を発動するらしい。
切り傷であればくっつけるイメージ、擦り傷であれば皮膚が再生するイメージで術を発動すればいいようだ。最初に覚えるのは切り傷の修復からとなるようで、モルモットのような生き物を使ってやるみたいだ。
残酷だが、まずは小さな傷をつけてからお手本に治療をしてもらう。小さなひっかき傷が治療をすると跡形もなくなくなっていた。治療のイメージで跡が残ったり、ちゃんと治療できなかったりするらしい。さすがに魔法を使って悪化することはないということを聞いてちょっと安心する。
ただ治療は怪我をしてからの時間が早ければ早いほど治りやすく、傷跡も残らないらしい。時間が経っても治療は可能だが、うまく治らないこともあるし、傷跡が残ってしまったりするようだ。
もちろん治癒魔法のレベルにもよるが、段階的にはおおよそ1日以内、3日以内、10日以内、30日以内という感じで、30日を超えると極端に治癒率は下がってしまうようだ。このため治療に関しては30日以内で行うのが前提のようだ。
まずは魔素を手のひらに集めてから術を発動してみるが、あまりうまく発動できない。魔法はイメージが大事と言うことなので空での治療は無理があるか。とりあえずやり方は問題ないと言われ、モルモットを使っての治療に取りかかる。ひたすら止血と皮膚の再生のイメージで魔法を使ってみるがどうもうまくいかない。何かやり方が違っているんだろうか?
さすがに精神的に持たないので途中休憩を取りながらも訓練を継続する。MPとかはないので枯渇するわけではないんだが、風魔法の時よりも思った以上に精神を消耗してしまう。頑張ったんだが、時間切れでスキルの習得はできなかった。ちなみに医学スキルを手に入れてから最低限の治療ができるようになるまで早い人で5日ほどかかるらしい。
新しい宿には夕食がないので事前に聞いていた安めの食堂に行ってみる。安いと言っても定食は50ドールである。今日の日替わりのハンバーグ定食をお願いする。やはりやってきているお客の質は落ちるようでちょっと柄が悪い人たちもいる。絡まれないようにしないといけないな。
テンプレのように特に絡まれることもなく、食事を終えてから宿に戻る。シャワーはちゃんとお湯も出てくれるので問題はない。宿のレベルは低くてもそのあたりはちゃんとしていると考えていいようだ。まあさらに落ちるとお湯も出ないようになりそうだけどね。
目覚まし時計がなかったので近くにあった雑貨屋に買いに行く。あまり大きな音は迷惑になりそうなので小さな音の出るやつだ。動力は電池みたいに魔獣石をセットするらしいが、最初から最低限は入っているのでとりあえずそのまま使うことができる。1ドール分で大体10日くらい持つらしいが、1ドールを切ると消えてしまうので、使っているのは2ドール以上の魔獣石だろう。
宿に戻ってからシャワーを浴びて、部屋に入る。ベッドは昨日よりは硬いが寝ることには問題はなさそうだ。衣類の洗濯のサービスはないようだったのが残念。下着だけ自分で洗って干しておくことにした。
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