【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第一部 観光気分の異世界旅行

現-1.現世界1日目 思い出してから・・・

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 昼休みにお弁当を食べた後、待ち合わせた場所に移動する。もともと昼休みにいつも一緒に行動しているやつがいるわけではないのでこっそり移動するのは問題ない。昼休みにはここにはあまり人はやってこないはずだ。先にやってきていた彼女は自分を見つけるといきなり抱きついてきた。目には涙を浮かべている。

「久しぶり、って言っていいのかな?」

「・・・やっと思い出してやっと会えたのに、そんな一言ですませないでよ。」

 大泣きだ。

「ごめん。」

 しばらくして落ち着いたところで少し現状について話をした。ただとても昼休みで終わるような内容ではないので簡単に済ませるしかない。

「とりあえず、授業も始まるから話はまた放課後と言うことでいいか?」

「授業なんて抜けたいと思うけど、しょうが無いわ。私の住んでいるところがこの近くだからそこで待ち合わせましょう。場所はここだから少し遅れてやってきてね。」

「わかった。」

 地図の書かれた紙を受け取って別れる。



 午後の学校の授業も半分上の空で過ごすことになった。放課後になり、少し教室で時間を潰した後、指定された場所へ向かう。
 10階建てくらいのマンションのようだが、入口はオートロックになっている。一応周りに注意してから言われた部屋番号に連絡するとメインのドアの脇にある小さめのドアの鍵が開いたようなのでそちらへと進む。

 ドアの中はホテルのフロントのようになっており、フロントにいる人から学生証の提示を求められたので渡して確認してもらう。しばらく確認をしてからカードキーを渡された。
 奥にあるドアに案内されたので中に入るとエレベーターがあった。いくらセキュリティーの高いマンションでもこんな感じのところってあり得るのか?


 エレベーターに乗るとボタンは上と下しかない。とりあえず上でいいのか?エレベーターを降りるとそこにはドアが一つしかない。部屋は1つだけ?

 インターホンを鳴らすとドアが開いて中からジェンが飛び出してきた。

「おかえり!!」

 いや、おかえりって・・・。

 部屋に案内されると彼女以外にも人がいたんだが、家族ではなさそうだ。「そういえばお嬢様とか言っていたなあ。」と思って聞いてみると、やはり心配した両親から世話係が一緒に派遣されたようである。昔から世話になっている人たちみたいで、家族ではないとはいえ、家族のように慕っているらしい。
 紅茶とお茶請けを出してもらい、全員が部屋の外に出たことを確認してから帰ってきてからのことについて話をする。


 この世界に戻ってきたとき、ほとんどの記憶がなくなっていたんだが、なにか違和感があったらしい。ただそれが何か分からない・・・。なにかヒントになるものはないかと記憶をたどるが、全く思い出せない。
 前まであまり話すことのできなかった言語(日本語)を堪能にしゃべられるようになっていたことから日本に何かのヒントがあるのではないかと考えたようだ。日本語というのは時々見ていたアニメを字幕なしで理解できることで分かったらしい。

 父を説き伏せてから日本への留学する準備を進めてもらったが、行き先の学校はなんとなく記憶に残っていることを参考にいろいろと資料を見て感覚で決めたらしい。自分はその辺りほぼ記憶がなかったんだが、最後に色々と話をしたことがうまくいったんだろう。

 それからいろいろと手続きに時間がかかったせいで日本の2学期からの留学となったようだ。準備はこのマンションも含めてのことだったようだ。
 その後はなぜこの学校を選んだのか分からないまま過ごしていたが、昨日のダンスの時に自分と手が触れたときにすべてを思い出したようだ。

 時間も時間なので簡単に現状とこれからのことを話して、今日は帰ることにした。いろいろと試してみたいこともあるが、さすがにどこかに遠出しなければならないだろうから今度時間ができたら行ってみることにしよう。


 マンションを出てから駅に向かい、電車に乗って帰宅の途につく。あれは今から3ヶ月ほど前のことだ。ほんとは10日間の異世界旅行のはずだったのに、すべてはあの管理人達のせいでこんなことになってしまったんだ。
 まさか10日間ではなく年単位で向こうにいることになるとは思わなかった。おかげで死にそうになったこともかなりあったが、できない経験やジェンと知り合うこともできたので結果的には良かったのかもしれない。まあ生きていたからこその感想だろうけどね。
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