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第一部 観光気分の異世界旅行
14. 異世界10日目 異世界観光も今日まで?
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いろいろとあったが、今日で異世界旅行も最終日だ。さすがに他の町に行くのにはちょっと厳しかったので結局この町の周辺くらいしか体験できなかったなあ・・・。
エッチな体験もなんかいきそびれてしまったし。まあエルフや獣人なんていなかったから異世界だからこその体験ではないんだけどね。
でも魔法の体験や魔獣の討伐など結構異世界の体験はできたと思う。治療も覚えて視力が少し上がって目がよくなったのはもとの世界に戻っても効果があるみたいだしね。あのあと何度か試したんだが、完全に視力がよくなるわけではなかった。それでもコンタクトや眼鏡なしでも最低限の生活はできるレベルにはなったので十分だ。
残り時間を考えるとお昼には召喚されるのでそれまでは適当に時間を潰すかな。装備などはすべてなくなると思うけど、売っても意味が無いし、最後まで異世界気分を味わうつもりでこのままでいよう。もしかしたらなにか持って帰れるものもあるかもしれないし。ちなみに残金は8000ドールと少々という感じだ。余裕と思っていたのに結構使ったなあ。
朝食は事前予約した時間に行くようになっており、この世界では初めてのバイキング形式だった。ただ自分でとるわけではなく、食べたいものを言うとスタッフが盛り付けて運んでくれるというものだ。せっかくだからといろいろなものに手を出してみた。おかげでおなかがはち切れんばかりになってしまったよ。
このあと部屋に戻ってチェックアウトぎりぎりまでくつろいでから宿を出る。これで最後なので武器屋や魔道具の店を見てまわり、役場で少し知り合った人たちに声をかけたりする。残り30分くらいになったところでこちらの世界にやってきた公園へと移動した。
ベンチに座ってカウントダウンを眺める。表示は0日:00時:00分30秒となっている。もう少しでもとの世界に戻って記憶もなくなるんだなあ。少しでもこっちのことを覚えていたらいいのに・・・。
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・・・・・・・
あれ?なんで時間が増えているんだ?
なんで転移されないの?
え?どういうこと?
勘弁してくれよ・・・。
しばらく呆然と時刻を刻んでいくガイド本の表紙を眺めていたが、いつまで待っても何も起こらない。小説だったら神様とのチャンネルが開いて事情を聞くこともできそうだが、そんな手段は全くない。どうするんだ・・・。何かトラブルか?この後どうなるんだ?
結局自問自答しても結論は出ないことである。このままここにいてもしょうがないと考え直し、まずは宿に行って落ち着こうと宿屋に向かう。
~転移後の異次元課にて~
ここは転移の途中で案内された場所である。多くの世界の管理を行っているところで、職員たちは多くの世界の管理で日々忙殺されている。
新たにできた世界の状況確認、滅びてしまった世界の後始末、世界の監視、次元の隙間にはまってしまった人の送還などである。
生命体と言っていいのか不明であるが、職員たちにも自我があり、感情もある。
その中の異次元課は世界から別の世界へ渡ってしまう生物を元の世界に戻す仕事をしている部署である。そんなに頻繁に起こることではないが、世界の数が数だけにそれなりに忙しい。
転移者への説明もある程度基本の資料はあるとはいえ、元の世界と移動先の世界を元に説明書を作成しなければらないし、説明も必要だ。そして元に戻す手配までなんだが、いろいろと書類の認可をとらなければならないのが面倒だ。システム化されたとはいえ、面倒なのはしょうがない。
今回は二人も同時に同じ世界から同じ世界に召喚されるなんて珍しいことがあったので部署の中でも少し話題になった。
ササミは処理を済ませて上司に承認手続きを終えた。あとはシステムが自動でやってくれるのでこれでこの仕事は一段落だ。席に戻ると同僚のタイラが声をかけてきた。
「今回二人同時に同じ世界から同じ世界に転移があったんだって。」
「そうなんだよねー。かなり珍しいよね。別々で来るより書類の作成労力が半分くらいですむ分楽なんだけど、説明はさすがに一人だと時間が足りなくなるけど。」
「そうみたいね。大変そうだったもんね。」
珍しいことについて話をしているが、ササミが言っているのは自分が処理した二人のことであり、タイラが言っているのは別の係員が行った二人のことだ。
珍しい二人同時転移がほぼ同じタイミングで2ケース起きてしまっていたのである。
承認手続きをする上司は珍しいことがあったなあ・・・と思いながらもほぼ同時刻にほぼ同じ内容で出ていた申請書をみて先に出ていた一つは承認したが、もう一つを間違いだと思って保留にしてしまったのである。あとで確認しようと思っていたが、他の仕事に忙殺されて確認が忘れられてしまったようだ。
保留された書類に書かれていた名前は「大岡純一郎」、「ジェニファー・クーコ」だった。
エッチな体験もなんかいきそびれてしまったし。まあエルフや獣人なんていなかったから異世界だからこその体験ではないんだけどね。
でも魔法の体験や魔獣の討伐など結構異世界の体験はできたと思う。治療も覚えて視力が少し上がって目がよくなったのはもとの世界に戻っても効果があるみたいだしね。あのあと何度か試したんだが、完全に視力がよくなるわけではなかった。それでもコンタクトや眼鏡なしでも最低限の生活はできるレベルにはなったので十分だ。
残り時間を考えるとお昼には召喚されるのでそれまでは適当に時間を潰すかな。装備などはすべてなくなると思うけど、売っても意味が無いし、最後まで異世界気分を味わうつもりでこのままでいよう。もしかしたらなにか持って帰れるものもあるかもしれないし。ちなみに残金は8000ドールと少々という感じだ。余裕と思っていたのに結構使ったなあ。
朝食は事前予約した時間に行くようになっており、この世界では初めてのバイキング形式だった。ただ自分でとるわけではなく、食べたいものを言うとスタッフが盛り付けて運んでくれるというものだ。せっかくだからといろいろなものに手を出してみた。おかげでおなかがはち切れんばかりになってしまったよ。
このあと部屋に戻ってチェックアウトぎりぎりまでくつろいでから宿を出る。これで最後なので武器屋や魔道具の店を見てまわり、役場で少し知り合った人たちに声をかけたりする。残り30分くらいになったところでこちらの世界にやってきた公園へと移動した。
ベンチに座ってカウントダウンを眺める。表示は0日:00時:00分30秒となっている。もう少しでもとの世界に戻って記憶もなくなるんだなあ。少しでもこっちのことを覚えていたらいいのに・・・。
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あれ?なんで時間が増えているんだ?
なんで転移されないの?
え?どういうこと?
勘弁してくれよ・・・。
しばらく呆然と時刻を刻んでいくガイド本の表紙を眺めていたが、いつまで待っても何も起こらない。小説だったら神様とのチャンネルが開いて事情を聞くこともできそうだが、そんな手段は全くない。どうするんだ・・・。何かトラブルか?この後どうなるんだ?
結局自問自答しても結論は出ないことである。このままここにいてもしょうがないと考え直し、まずは宿に行って落ち着こうと宿屋に向かう。
~転移後の異次元課にて~
ここは転移の途中で案内された場所である。多くの世界の管理を行っているところで、職員たちは多くの世界の管理で日々忙殺されている。
新たにできた世界の状況確認、滅びてしまった世界の後始末、世界の監視、次元の隙間にはまってしまった人の送還などである。
生命体と言っていいのか不明であるが、職員たちにも自我があり、感情もある。
その中の異次元課は世界から別の世界へ渡ってしまう生物を元の世界に戻す仕事をしている部署である。そんなに頻繁に起こることではないが、世界の数が数だけにそれなりに忙しい。
転移者への説明もある程度基本の資料はあるとはいえ、元の世界と移動先の世界を元に説明書を作成しなければらないし、説明も必要だ。そして元に戻す手配までなんだが、いろいろと書類の認可をとらなければならないのが面倒だ。システム化されたとはいえ、面倒なのはしょうがない。
今回は二人も同時に同じ世界から同じ世界に召喚されるなんて珍しいことがあったので部署の中でも少し話題になった。
ササミは処理を済ませて上司に承認手続きを終えた。あとはシステムが自動でやってくれるのでこれでこの仕事は一段落だ。席に戻ると同僚のタイラが声をかけてきた。
「今回二人同時に同じ世界から同じ世界に転移があったんだって。」
「そうなんだよねー。かなり珍しいよね。別々で来るより書類の作成労力が半分くらいですむ分楽なんだけど、説明はさすがに一人だと時間が足りなくなるけど。」
「そうみたいね。大変そうだったもんね。」
珍しいことについて話をしているが、ササミが言っているのは自分が処理した二人のことであり、タイラが言っているのは別の係員が行った二人のことだ。
珍しい二人同時転移がほぼ同じタイミングで2ケース起きてしまっていたのである。
承認手続きをする上司は珍しいことがあったなあ・・・と思いながらもほぼ同時刻にほぼ同じ内容で出ていた申請書をみて先に出ていた一つは承認したが、もう一つを間違いだと思って保留にしてしまったのである。あとで確認しようと思っていたが、他の仕事に忙殺されて確認が忘れられてしまったようだ。
保留された書類に書かれていた名前は「大岡純一郎」、「ジェニファー・クーコ」だった。
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