【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
13 / 430
第一部 観光気分の異世界旅行

13. 異世界9日目 最後の異世界を楽しむ

しおりを挟む
 いつも通りに起きてから朝食を食べに行く。朝食はスクランブルエッグとソーセージ、パンにサラダと珈琲だ。材料が一緒か分からないが、こっちにもちゃんと珈琲や紅茶があり、味は一緒みたいな感じ。まあ植生が一緒だったら使い方に気がつく人もいるだろうね。

 食事の後は荷物の確認をしてから宿を出る。今日は高級宿を予約してから町をうろついて宿に早めに入って宿を堪能。夜は目的の場所に出かけるという感じかな?


 高級宿に泊まるつもりなんだが、残念ながらほんとに高級なところはその宿を使っている人からの紹介やある程度の身分がないとは入れないようだ。一見さんお断りというやつだろう。よくわからない客を泊めて常連客に迷惑をかけられると困るだろうから仕方がないことだな。
 最高級とはいえないが、紹介とかがなくても泊まることのできる高級な宿は確認していたのでとりあえずその宿に行ってみる。



 入口にはガードマンが立っているので正直入っていいのか躊躇してしまう雰囲気だ。建物は5階建てなんだが、かなりの敷地となっているみたい。
 入口に案内の人も立っているので声をかけるとフロントまで誘導してくれた。貧乏そうな格好だが特に偏見を持った対応ではないので安心する。内心はわからないけどね。ロビーはかなり広くて天井も高い。さすがに普通は泊まることはないレベルのところだな。

「いらっしゃいませ~~~、宿泊の予約でしょうか?」

 かなり美人のスタッフが受付をしていた。

「すみません、実は今日泊まりたいのですが大丈夫でしょうか?」

「今日ですか?えっと・・・部屋は通常部屋しか開いていませんが、大丈夫ですか?」

 泊まれる部屋は上級と通常の2種類あるんだが、上級の部屋はやはり紹介がないと泊まれないらしい。

「通常部屋でいいのですが、一人でも泊まれますか?」

「それは問題ありませんが、朝食は宿泊代に含まれますけど一人で一泊6000ドールとなりますよ。」

 結構な値段だけど、お金は足りるからまあいいか。

「大丈夫です。その金額でお願いします。何時から部屋に入ることができますか?」

「部屋には入れるのは4時からとなります。」

「わかりました。それまで荷物を預かってもらうことはできますか?」

「えっと、宿泊予定の方の分であれば大丈夫ですが・・・すみません、宿泊される本人なのでしょうか?」

「そうですけど、だめですか?」

「! いえ、大丈夫です。予約となりますので先に1000ドールの予約金を入れてもらう必要があります。よろしいでしょうか?」

「わかりました。」

 どうやら自分は予約にやってきた使用人か何かと思われていたかな?まあそれはしょうがないか。1000ドール支払うと、引き換えに番号の書かれたカードを渡された。荷物を預かってもらってから宿を出る。
 とりあえず宿は確保できたところで一安心だ。



 昨日で狩りは終わりの予定だったが、時間的にも余裕があったのでもう一度狩りに行くことにした。昨日も行った草原エリアへと足を伸ばして適当に狼もどきを狩っていると、木の上に大蜘蛛を発見。自分の頭よりも少し大きいくらいの蜘蛛で麻痺毒をもっている肉食の蜘蛛である。さすがに大きいのでかなり見た目がグロい。
 それなりにすばしっこいようなんだが、かみつき攻撃さえ気をつければそこまで恐れることはないようだ。少し離れたところから風魔法で攻撃すると足の半分を切断できたのであっさりと倒すことができた。
 先に見つけることができたのでよかったが、気がつかずに木の下を通っていたら危ないところだった。こういうときに索敵スキルがあると便利なんだろう。
 残念ながら素材になるような部位はないみたいなので討伐実績のみである。足は食べることができるみたいだけど、あえて食べなくてもいいよね。2時間ほど狩りをしてから町に戻り、6匹の狼もどきの牙を買い取ってもらう。


 お昼をどうしようかとお店を探していると先日魔法の訓練で一緒になったユータとカナと会ったので、一緒に昼食をとることにした。
 彼らも大分訓練してスキルも上がってきたのでそろそろ本腰入れて冒険者業をやろうかと考えているようだ。残念ながら治癒士としては勉強ができていないので今の時点では諦めているらしく、剣士と魔法使いというスタンスでやるらしい。クーラストさんと同じスタンスとなるのでいろいろと助言をもらっているらしい。
 宿泊は家があるので問題はないらしく、ある程度稼げるようになったら他の町にも行ってみようと考えているようだ。無事に成長できればいいねえ。



 このあと少し町をうろついて、チェックインができる時間になったところで宿へ戻る。支払いを済ませてから部屋に案内されると、さすがに値段が高いだけあってかなり豪華だった。エレベーターもあったしね。おそらく地球のような動力ではなく、魔法で動くものだろうけど、使い方は地球のエレベーターと同じだ。
 部屋の鍵はドアはオートロックになっているようだ。部屋は全部で3部屋あり、リビング、簡単な台所、寝室になっている。ベッドもかなりふわふわだ。
 一通り部屋の確認が終わった後、そうそうにお風呂へと行くことにした。部屋にはトイレと意味ないくらい立派な洗面台と普通の大きさのお風呂はあるんだが、共同の大きなお風呂があると聞いていたのでちょっと楽しみだ。

 こっちの世界では普通はシャワーを使うくらいで、体を拭くくらいが多く、魔法を使える人は浄化の魔法を使っている。浄化の魔法と言っても普通は体を拭いたくらいの綺麗さになるくらいなので、宿に泊まれない場合の手段としての利用が主らしい。
 宿やある程度の家庭にはシャワー設備があり、高級宿や金持ちだけがお風呂を使っている感じのようだ。とはいえ、お風呂がそこまで好きではないと言う人も多いようで、国によってはお風呂がないところもあるようだ。まあ地球でもお風呂がそこまで好きな民族って日本ぐらいのような気もするね。


 お風呂は地下にあると言うことなので行ってみると、広めの脱衣所にロッカーのようなものがいくつも並んでいた。ロッカーには鍵がついておりここに荷物を入れてはいるようだ。お風呂の案内を見ると、裸もしくは湯浴み衣を着て入るようになっている。湯浴み衣は薄い布のパンツのようなものだった。
 浴室に入ると、20人くらいは入れそうな石造りの大きな湯船と5人くらいの小さな湯船があった。小さな湯船は温度が高いみたい。洗い場もシャワー付きで並んでいてスーパー銭湯という感じだな。地下と言うこともあり、露天風呂はないのが残念だ。まあ町中なのであまり意味が無いか。
 さすがにこの時間には他のお客もいないので貸し切り気分だ。早速体を洗ってから湯船に浸かってお風呂を堪能。温泉でないのは残念だけど、大きなお風呂はいいねえ・・・。年に数回は家族旅行で温泉とかに行っていたからなあ。最近は自分も妹もあまり一緒に行かなくなってきたので両親二人で楽しんでいたようだけどね。


 部屋に戻ってから一息ついたところで宿に併設しているレストランへ。夕食はコース料理となっているのでちょっと場違いな感じだが気にしないことにした。とりあえず宿泊客であればドレスコートまでは必要ないらしいが、さすがに少し見栄えのする服に着替えていく。

 スープにサラダ、メインにお肉と続いているが、やはり魚は出ないのは内陸のせいかな?デザートのケーキもなかなかおいしくて助かった。劇甘のケーキとか出たら勘弁してほしかったところだ。


 そしてこれがメインイベントとなるんだが、ホテルの横にある併設のバーに移動。「ここでは成人、ここでは成人。」と言い聞かせながら中に入る。時間がまだ早いせいかお客はほとんどいない。
 スタッフに案内されてボックスになったソファーに案内されると、ちょっときわどい格好をしたお姉さんが二人やってきた。一人はかわいい感じでちょっとスレンダー系の女性で自分とあまり年齢が変わらない感じだ。もう一人は20代前半という感じの美人で胸が・・・。

 事前に確認したところ、ちょっとしたおさわりはいいらしいが、お店ではあまり羽目を外さないように釘を刺されていた。

 自分の両側に魅力的な女性が二人。もちろんこんなところに慣れていないので挙動不審になってしまう。さすがにプロなのか、いろいろと話題を振ってくれたのでなんとか落ち着いてきたんだが、ボディータッチをしてくるとそれだけでもう興奮状態になってしまう。


 かなり軽めに作ってもらったお酒を少し飲んでテンションも上がってきて、胸を触らせてもらったりとかはしたんだけど・・・それ以上はだめでした。へたれと言われてもしょうがない。

 一応そのためのお金は残っていたんだけどね。がんばるつもりだったんだけどね。大人の階段は上れなかったよ。まあ、これだけでも結構なお金を取られたけど、至福の時間は味わえたので後悔はない。


 最後の夜と言っても徹夜してまでやりたいことがあるわけではない。というか夜で歩くにはあまりにもリスクが高すぎるのでベッドに入るとすぐに眠りに落ちていった。


~魔獣紹介~
大蜘蛛:
初階位中位の魔獣。森や林に生息する蜘蛛の形をした魔獣。大きなものは大人の頭くらいの大きさで、巣を張るわけではなく、木の上で獲物が通るのを待ち、頭上から襲いかかる。隠密スキルを持っているせいか、索敵に引っかかりにくく、見つけるのが難しいため、木の下を通る場合は注意が必要。
麻痺毒を注入する牙を持ち、かまれるとその部分が麻痺してしまう。血液を介して全身に広がるが、全身が麻痺するほどは強くない。麻痺した獲物は糸で縛ってから食べられるため、生きたままという恐怖と痛みを味わうこととなる。
大人だと麻痺の効果が薄く、軽くしびれる程度となるが、子供がかまれると重篤な状態に陥る場合があるので注意が必要。見つけた際にはできるだけ退治しておくことが推奨される。
見た目よりは素早いが、足を切ってしまえばとどめを刺すのは楽な作業となる。1本ずつでも足を切り落としていくようにするとよい。
素材としての買い取り対象はない。地域により足の部分を食べるところもあるようだが、一般的には食用されていない。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...