【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
75 / 430
第一部 異世界らしい冒険

63. 異世界260日目 海賊の住処を家捜し

しおりを挟む
島上陸11日目

 自分の持っていた収納バッグはいったんすべての荷物を出してからジェンが使うことにして、新しく手に入れた方は自分が使うことになった。
 収納バッグはゲームのようなイメージで表示するようにしていたのでそのイメージをジェンにも伝えておく。まあこの辺りは自分の使いやすいようにカスタマイズしていくしかないだろう。

 今日からあっちの部屋で泊まろうと言うことになり、荷物をすべて回収していく。せっかくなので加工したテーブルなども収納バッグに入れて行くことにした。まあ容量は十分だからね。造った拠点についてはこの後どうなるか分からないのでまだ残したままだ。


 昨日と同じように入口へ行き、ここから調査を再開する。入口付近は自然の岩と加工された岩があり、やはり加工された方は土魔法では何もできないし、堅くて壊すこともできない。おそらくなにかしらの魔法が付与されているのだろう。これはこの解除方法を知らないと穴を開けることはできないだろう。

 通路に入り、地上からチェックした地図と対比しながら昨日以上に壁を調べながら通路を進む。通路には明かりが付いているが、これは通路の中に埋め込まれた魔道具のようだ。やはり魔素の供給はどこからか行われているのだろう。

 途中にあった部屋にはやはり特になにもなく、海賊達が使っていたと思われる家具などの残骸だ。もともとそれほど質が良くなかったのと、海風のせいで朽ちてしまったのだろう。


 港には地球にあったような荷下ろしのクレーンがないが、おそらく魔法があるせいで必要がなかったのかもしれない。天井はかなり高く、上に上がる階段もあった。階段は岩をくりぬいたように作られているので特に朽ちてないので登ってみたが、上の方にあるスペースのところにつながっているだけだった。ここに小屋とかでもあったのだろうか?
 道しるべの玉で位置を調べてみると、登録されている場所がここになっていたので転移の時にやってくる場所としていたのかもしれない。
 表示する位置について“とい”、“めい”、“うら”をそれぞれ個別に念じてみると、数字が2桁ではなく、小数点以下の数値も出てきた。やっぱり登録地点はかなり細かい位置まで登録されていると言うことだな。


 港の水路の出口に行ってみたが、扉を開けたときは幻影だけでなく、風などの侵入も塞いでいるようだった。風魔法と光魔法なのかなあ?壁の方を見てみると刻印がいくつか描かれていた。刻印に使われている文字は何の文字か分からないが、古代の魔道具などに使われている文字と同じ感じだった。
 外から見ると全くわからないし、外に出たところにある岩場も自然な感じなので遠目で見たらここに入れるとは思わないだろう。


 埠頭には船などもないので特に探すものはない。もしかしたら水の中に何か沈んでいるかもしれないが、正直潜って探すには厳しすぎる。水魔法のレベルが上がったらモーゼのように海面を割ることができるのかねえ?


 続いて倉庫に行ってからお酒関係を収納していく。割れているものもあるので割れていないものだけを選んだんだが、全部で185本あった。ワインやブランデー、ウイスキーなどいろいろなものがあるが、鑑定でカビが生えていたり、腐っているものを除くと166本となった。ただここまで古いものがちゃんと飲めるのかどうかはわからない。

「お酒ってそんなに腐るものではなかったよね?とりあえず持って帰るか。」

「他の人に聞いてからどうするか考えましょう。ちょっと飲んでみたいしね。ワインとかはダメかもしれないけどブランデーとかの蒸留酒なら大丈夫なはずだわ。」

 割れた瓶や中身がダメになったものは錬金でまとめて一つの固まりにしておく。こういうときはかなり便利だな。木材関係はいったん収納バッグに入れておいた。あとでまとめてどこかで処分した方がいいだろう。部屋全体にも浄化魔法をかけて綺麗にしておく。

 続いて小部屋になっている部屋を調べていく。台所の機能は動いているが、冷蔵庫などかなり汚れがひどいので浄化魔法をかけておく。さすがに魔法なので油汚れも一発だ。まあ普通の人はここまできれいにできないだろうけどね。
 調理道具や食器なども結構あったんだが、調理道具は鉄製のものがほとんどだったのでさびて使い物にならなくなっていた。使えないものは錬金でインゴットにしてまとめておく。皿なども壊れていないもの以外はゴミとしてまとめておいた。


 食堂もテーブルはほとんど朽ちており、食堂の片隅が武器置き場になっていたようなんだが、すでにボロボロのものばかりだ。一応鑑定してみるが、もともと低レベルのものばかりだったみたいで使えるものがない。しょうがないのでこれもインゴットにしておく。なんか収納バッグにゴミばっかり貯まっていくなあ・・・。


 このあと各部屋に入ってみてみるが、大体の家具はかなりボロボロになっていた。部屋の中を浄化してから机の引き出しやベッドの下などを見ていくと、ちょこちょこ魔獣石や宝飾品などがでてきた。さすがに部屋の数も多いので思った以上に時間がかかってしまう。
 収納して分別できればいいんだが、さすがにそれはできないので探すのは一つずつやっていくしかない。まあもともとそんなたいしたものがあるとは思えないんだけどね。確認の後はすべて取り込んで部屋を浄化していく。

 さすがに部屋数も多いし、見るだけでも結構かかるので、調査は1日で終わらなかった。使える家具はすべて食堂に移動させておく。いくつか使えそうなテーブルやベッドもあったので助かった。とりあえずこの部屋を拠点としよう。


 台所で料理をするが、さすがに大人数用に作られているのでかなり使い勝手がいい。追加で必要な調理用具はインゴットにした鉄から造った。錬金を覚えてきて正解だったよ。

 ここだと特に臭いも気にしなくて良さそうなので気が楽だ。ゆっくりと食事を楽しんだ後は、お茶を飲みながら持ってきたデザートでまったりとくつろぐ。

「どう考えても古代文明の遺跡だよね?」

「そうね。どう考えても今の文明よりも高度な魔道具が使われているからね。ただ古代文明の遺跡は稼働しなくて風化が進んでいるという話だったと思うけど、なぜこの遺跡は機能を保っているのかしら。」

「普通に考えると魔素の供給がなくて朽ち果てていくんだろうけど、ここはどこからか魔素が供給されているんだよね。魔獣石を作る技術が一部できあがっていたのかねえ?」

 とりあえず現段階ではなんともいえないが、海賊が拠点にしていた気持ちも分かる。どう考えても空調管理されているし、魔道具も便利だからねえ。


島上陸12日目

 この日も朝から家捜しだ。全部で50部屋近くあったので時間がかかったのはしょうがないが、なんとかすべての部屋の確認を完了する。特に隠し扉などもなかったと思う。
 収納していた木やごみなどの残骸関係は地上で焼いてしまうことにした。まずは木片関係を取り出して魔法で粉砕していく。すると中から装飾品が少し見つかった。どこかに隠していたのかな?

 他の人に変に見つかっても困るので日が落ちた後で火魔法を使って一気に焼いてしまう。何回か魔法を連発すると思ったよりも早く炭になってくれたので助かった。そこまで煙も出ていないと思う。
 残った灰の中を調べてみると溶けた金属が少し見つかった。金属は金みたいなのでまだ装飾品とかがあったのかもしれない。まだ木の中に隠し場所とかがあったんだろうなあ。ダイヤとかあったら燃えてしまったかもしれない。

 結局手に入れたのは魔獣石が126535ドール、指輪や腕輪などの宝飾品が32個と溶けた金だった。まあこれだけでもそれなりの収入だから労力以上の利益はあったと思っておこう。
 宝飾品は特に気になるものもなかったのでどこかでまとめて引き取ってもらうかなあ?

 部屋もすべて綺麗になったし、気持ちもすっきりだ。シャワールームが分かれていないので交代で入らないといけないが、それでも綺麗なお湯が出てくるシャワーはありがたい。

 「の・ぞ・か・な・い・で・よ・ね!」と念押ししていくのは覗けと言うことなのか?もちろんのぞきなんてしないけどね。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...