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第一部 異世界ものに出てくる賢者
95. 異世界425日目 車の改造
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今日は朝から車の改造の予定だ。カサス商会に行って鍵を受け取ってから工房へと向かう。工房は結構大きな倉庫になっていて、十分な広さがあった。道具類もいろいろな置いており、それらは自由に使ってもかまわないらしい。
特に手伝いもいらないので、ジェンには適当にぶらついていてもらうことにした。最初は遠慮していたんだが、たまには気楽に楽しんできてよといって追い出した。
まずは車の外装を外していく。ちなみに錬金を使ってフレームとかを加工できるのか少しやってみたが、やはり出来なかった。簡単に錬金で改造されては困るので、車本体には車メーカーが加工できないように保護をかけているようだ。
外装を外すには留め金を外すようになっているのである程度の改造と整備はできるようになっている。やり方は車を買うときに聞いていたので大丈夫だ。
外装を外すと動力部分などを見ることができるんだが、構造はかなり単純だ。ラジコンカーとかと同じと言っていい。
モーターに当たる魔道具と魔素を集める魔道具がつながっており、それから車軸につながってタイヤを回転させているのだ。ギアはないのでかなり単純なものになっている。構造的に後輪が駆動部で前輪が操作部となっている。まあFFの車を作るのはまだ先の話だろうな。
今回のメインは魔獣石と魔符核を繋ぐコードの交換である。魔獣石から魔符核に魔素をつぎ込むんだが、コード部分で魔素の消費がかなり落ちてしまうようなのである。
現在のケーブルについて調べたところ、古代遺跡で使われているケーブルをそのまま使うと効率が悪く、しかも材料が一部不明のため量産ができなかったようだ。
そこで何か利用できないかと研究した結果、金属の中で銅がもっとも効率が高かったためにこれを使うことになったようだ。その後、いくつかの金属を混ぜて若干の効率アップし、現在の形となったらしい。
古代遺跡のケーブルに使用されているものは銅がメインなんだが、一部が炭酸銅というものになっている。他に多く含まれているのはアルミニウムで、少し入っているのはミスリル、モリブデン、クロムで、ごく微量だがネオジム、ガリウムなどが入っていた。このあたりは鑑定で元素を意識すると判明した。
材料さえわかればすぐに当時の状態に戻せるだろうと甘く考えていたんだが、これが思った以上に大変だった。
まずは消費量の確認をするために、魔素の消費の多い魔道具を適当に造り、1分あたりの魔獣石の消費量を測定できるようにしてケーブルの能力を測定できるようにした。これを基に現在のケーブルの消費量をに対してどのくらい効率が上がるかを試したのである。ちなみに何も手を加えていない古代のケーブルは0.5と半分の効率となってしまう。
まずはそれぞれの金属部分を抽出してから混ぜ合わせてみたが、効率は1.1倍とほとんど変わらなかった。ここまで細かく混ぜて1割増しとかないよな。
このあと地球の文献などいろいろと調べてみたところ、メイン金属は純物質がもっともいいみたいなんだが、少し入っている金属は酸化物の状態で混ぜた方が良さそうだったのでいろいろと試してみた。
入っている金属はそれほどないのでいろいろな組み合わせでやってみたところ、最終的に効率が5倍くらいになったものができた。当時の効率がこのくらいだったのかはわからないが、とりあえず今のものよりも格段にいいものというのは間違いなさそうだった。
材料の金属を集めるのは厳しそうだったので、量産ができないと思っていたところ、オークションで古代遺跡のケーブルを手に入れることができたので一気に量産しておいたのである。
もちろんケーブルはむき出しだとまずいのでゴムのようなもので表面を覆って保護しておいた。金属部分にきっちりと密着させることができたので大丈夫だろう。
用意した配線を使って魔道具と魔獣石の配線を引き直していく。結合は錬金でできるので問題ない。配線を引いた後、問題ないかを確認すると、消費はわからないが、ちゃんと魔素の供給はされているようだ。
一通りの配線が終わった後で、自分の作った魔符核も取り付けてみる。重量軽減の魔符核で、状況によって使い分けるために2種類取り付けて切り替えられるようにしておく。
切り替えは物理的に切り替えることくらいしか思いつかなかったので、切り替えスイッチで配線が切り替わるようにした。ボタンを押せば切り替わるようにできればいいんだが、うまく押せないことがあっても困るのでレバーにしたのである。
一つは車の重量を4割くらいまで軽減できるもので、魔獣石の消費は1時間あたり100ドールくらいになるはずだ。やはりこの大きさのものを軽減するとサイズを大きくしなければならないので消費量が多くなるのはしょうがない。
もう一つは重量を0にするものなんだが、10分あたりの消費量が100ドールと消費が多くなってしまうものだ。飛ぶことを前提としているんだが、がんばってやってみても車の重量を0にするにはこのくらいのサイズが必要となってしまった。後の風魔法は自力でやるしかない。
古代の魔道具は浮かせて移動もできるようなんだが、消費量は10分で1000ドールくらいになると聞いているので配線の効率を考えるとかなりの効率のものと考えられる。
まあここまでできるようになったなら十分だろう。実際に飛ばせるかはやってみないとわからないんだけどね。重量を0にさえできれば風魔法で何とかなると思っている。
一通りの改造が終わったので錬金で元の状態に戻す。ふと思ったんだが、車にはウインカーとかもないんだな。今度つけてもらって標準化してもらった方がいいかもしれないね。まあ車の数が少ないからいいけど、ウインカーがあった方がどっちに行くかがわかりやすいし。
あとはできるかどうかわからないけどタイヤの溝だな。タイヤには溝があまり入っていないので結構スリップしやすいのである。おそらく摩擦とか言うことがあまり考えられていないのだろう。本体と同じくそのままでは加工ができないのでやってもらわないといけない。
あとはシートとかのグレードアップとかだね。やっぱり長く座っていると結構おしりが痛くなってしまう。これは普通にできるのでどこかで交換してもらわないといけない。
時間を見るとすでにお昼を回っていた。思ったよりも時間がかかってしまったな。試運転を行おうと思ったらジェンがやってきた。えらくタイミングがいいな。
さっそく町を出てから改造前に確認していた消費量と比較してみると、さすがに消費量が改造前の20%までは下がらなかったが、25%までは下がっていた。さらに軽減魔法の魔獣石を使うとさらに効率が上がった。これでだいたい消費量が20%くらいになった。これで一日の車に使う消費量が2000ドールくらいにはなりそうだ。
「ジェン、舌を噛まないように口を閉じていてね。」
「ええ?何するの?」
「いくよ!!」
「んん~~~!!」
軽減魔法の魔道具を切り替えてから風魔法で車体を浮かせてみる。
「ええ~~~~っ!!」
ジェンがかなり驚いていた。
「自分が風魔法で操っているので飛行機みたいに飛ぶというわけではないけど、とりあえず飛べるようにしてみた。」
「すご~~~い!!」
ジェンはかなり喜んでいた。
とりあえず浮かぶことはできたが、飛んでいる速度は浮く前の速度に依存する感じだ。その後空中で止まることはできるが、そこから動かし始めるのはかなり時間がかかる。
魔道具でジェットエンジンみたいなものを作って後ろから空気を出せばいけるかな?ただそれだと方向のコントロールが難しそうだ。やはりこの車の形で飛ばすのには無理がありそうだ。いや、操作も魔法でできるようにすれば何とかなるのか?
とりあえず何かあった場合は空中に逃げることができるというのは便利だ。魔獣に襲われたときもこれで逃げることもできそうだしね。予想通り魔獣石の消費は半端なかったが、普段使わないからよしとしよう。
いろいろと調べて満足してから町に戻り、車に問題が出ていないかをチェックしてから他の魔道具の配線も交換する。一通りの交換が終わったところで工房の鍵を返却。3日間使っていいと言われていたんだが、1日で終わったのでよかった。
ジェンはいろいろなお店を見て回ったみたいで、ちょっと無駄遣いをしてしまったと言っていたが、買ったのは衣服関係くらいだったようだ。まあそのくらいは問題ないと思うけどね。結構小遣いとして渡しているのでその範囲内であれば特に自分が言うことではない。
あと、骨董店で面白いものを見つけたらしくて買ってきたようだ。見つかったのは道しるべの玉だった。ものが何なのかわかっていなかったようで、宝石という扱いで売られていたらしい。持っているものと違うのは色が白と言うことだ。
名称:道しるべの玉(並)
詳細:登録した場所までの残りの距離を示す。転移魔法を使うときの道しるべとなる。必要魔素がある場合に限り、1回のみ登録地点に転移することができる。
品質:並
耐久性:並
効果:並
効力:現在地表示-1、地点登録-1、転移-1(使用可能)
現在地を示すのではなく、目的の場所までの距離を表示しているみたい。転移が残っていることもあり、購入してきたらしい。登録した場所を確認すると、アルモニアの北の方にある位置を示していた。今回この場所に行ってみるのも一つかな?
転移のレベルがあるのは転移ができる距離なのかな?レベル-1なのであまり離れていると使えないって言うことかもしれないな。
夕食にはジェンが見つけてきたお店で食べることにした。一人100ドールなんだが、なかなかおいしいお店だった。さすが食べ物に関しての嗅覚はすごいな。
~ジェンSide~
今日イチは車の改造をするというので手伝おうと思ったんだけど、特に手伝いがなくてもできるから適当にぶらついてきていいよと言われてしまった。せっかくなので一人でぶらつくことにしたんだけど、最近は一緒に行動していることが多いので一人になるのは久しぶりだわ。
イチがいると少し遠慮してあまりゆっくり服は見ていないので、今日は気になるお店を見ていく。冬用の衣類はあまりなかったのでいくつか購入するが、ついでにイチに似合いそうな服も買っていくことにした。イチはあまり服にはこだわっていないから選んであげたものはそのまま着てくれるんだよね。
ただ一人で歩いていると声をかけてくる人が結構いてちょっと面倒くさい。まあ断るとあっさりと引いてくれるのでいいんだけどね。一人でいることがほとんどなかったので久しぶりの感覚だ。
骨董店もあったのでのぞいてみると、ちょっと気になるものがあったので鑑定してみる。地点は1カ所固定みたいなんだけど、転移が使用可能となっている。話をすると、名前はついているが、特に機能もなく宝玉という認識のようだ。価格は1500ドールと言われるが、値切って1400ドールにしてもらえた。
他にも商品を見てみるが、どうもちゃんと鑑定されていないものも多いような気がする。もしかしたら鑑定のレベルが低くて見えていないのかもしれないわね。
付与魔法についてもきちんと把握できていないのか、見た目のいいものは高いが、見た目が悪いものは高性能でも安い価格設定になっていた。いくつか目についたものがあったのでそれも購入しておいた。
簡単にお昼を食べてからそろそろかと思って工房に行ってみるとちょうど終わったところだった。改造結果を確認しにいくというので一緒に行くことにする。
改造の効果はあったみたいで走るときの魔素の消費が20%くらいまで下がったみたい。かなりのコストダウンだね。まだ配線の在庫は十分にあるので他の魔道具の配線も変更していくことにしたようだ。
走るだけかと思ったら重力軽減の魔道具もセットしたらしく、風魔法を使うことで飛ぶことができるようになったらしく、最初はかなり驚いてしまったわ。
ただ飛行能力があるわけではないので、浮いているという感覚だったけどね。速度が上がったところで浮かせることで飛んでいるような感じになるんだけど、徐々に速度が落ちていくみたい。このあたりはまだ改造していかないといけないようだけど、とりあえず一歩前進と言っていたわ。
夕食は昼間にチェックしていたお店に行くことにしたけど、イチも気に入ってくれたようでよかったわ。「食べ物に関する嗅覚がすごいね」って、私がまるで食いしん坊みたいじゃない。ちょっと失礼よね。
特に手伝いもいらないので、ジェンには適当にぶらついていてもらうことにした。最初は遠慮していたんだが、たまには気楽に楽しんできてよといって追い出した。
まずは車の外装を外していく。ちなみに錬金を使ってフレームとかを加工できるのか少しやってみたが、やはり出来なかった。簡単に錬金で改造されては困るので、車本体には車メーカーが加工できないように保護をかけているようだ。
外装を外すには留め金を外すようになっているのである程度の改造と整備はできるようになっている。やり方は車を買うときに聞いていたので大丈夫だ。
外装を外すと動力部分などを見ることができるんだが、構造はかなり単純だ。ラジコンカーとかと同じと言っていい。
モーターに当たる魔道具と魔素を集める魔道具がつながっており、それから車軸につながってタイヤを回転させているのだ。ギアはないのでかなり単純なものになっている。構造的に後輪が駆動部で前輪が操作部となっている。まあFFの車を作るのはまだ先の話だろうな。
今回のメインは魔獣石と魔符核を繋ぐコードの交換である。魔獣石から魔符核に魔素をつぎ込むんだが、コード部分で魔素の消費がかなり落ちてしまうようなのである。
現在のケーブルについて調べたところ、古代遺跡で使われているケーブルをそのまま使うと効率が悪く、しかも材料が一部不明のため量産ができなかったようだ。
そこで何か利用できないかと研究した結果、金属の中で銅がもっとも効率が高かったためにこれを使うことになったようだ。その後、いくつかの金属を混ぜて若干の効率アップし、現在の形となったらしい。
古代遺跡のケーブルに使用されているものは銅がメインなんだが、一部が炭酸銅というものになっている。他に多く含まれているのはアルミニウムで、少し入っているのはミスリル、モリブデン、クロムで、ごく微量だがネオジム、ガリウムなどが入っていた。このあたりは鑑定で元素を意識すると判明した。
材料さえわかればすぐに当時の状態に戻せるだろうと甘く考えていたんだが、これが思った以上に大変だった。
まずは消費量の確認をするために、魔素の消費の多い魔道具を適当に造り、1分あたりの魔獣石の消費量を測定できるようにしてケーブルの能力を測定できるようにした。これを基に現在のケーブルの消費量をに対してどのくらい効率が上がるかを試したのである。ちなみに何も手を加えていない古代のケーブルは0.5と半分の効率となってしまう。
まずはそれぞれの金属部分を抽出してから混ぜ合わせてみたが、効率は1.1倍とほとんど変わらなかった。ここまで細かく混ぜて1割増しとかないよな。
このあと地球の文献などいろいろと調べてみたところ、メイン金属は純物質がもっともいいみたいなんだが、少し入っている金属は酸化物の状態で混ぜた方が良さそうだったのでいろいろと試してみた。
入っている金属はそれほどないのでいろいろな組み合わせでやってみたところ、最終的に効率が5倍くらいになったものができた。当時の効率がこのくらいだったのかはわからないが、とりあえず今のものよりも格段にいいものというのは間違いなさそうだった。
材料の金属を集めるのは厳しそうだったので、量産ができないと思っていたところ、オークションで古代遺跡のケーブルを手に入れることができたので一気に量産しておいたのである。
もちろんケーブルはむき出しだとまずいのでゴムのようなもので表面を覆って保護しておいた。金属部分にきっちりと密着させることができたので大丈夫だろう。
用意した配線を使って魔道具と魔獣石の配線を引き直していく。結合は錬金でできるので問題ない。配線を引いた後、問題ないかを確認すると、消費はわからないが、ちゃんと魔素の供給はされているようだ。
一通りの配線が終わった後で、自分の作った魔符核も取り付けてみる。重量軽減の魔符核で、状況によって使い分けるために2種類取り付けて切り替えられるようにしておく。
切り替えは物理的に切り替えることくらいしか思いつかなかったので、切り替えスイッチで配線が切り替わるようにした。ボタンを押せば切り替わるようにできればいいんだが、うまく押せないことがあっても困るのでレバーにしたのである。
一つは車の重量を4割くらいまで軽減できるもので、魔獣石の消費は1時間あたり100ドールくらいになるはずだ。やはりこの大きさのものを軽減するとサイズを大きくしなければならないので消費量が多くなるのはしょうがない。
もう一つは重量を0にするものなんだが、10分あたりの消費量が100ドールと消費が多くなってしまうものだ。飛ぶことを前提としているんだが、がんばってやってみても車の重量を0にするにはこのくらいのサイズが必要となってしまった。後の風魔法は自力でやるしかない。
古代の魔道具は浮かせて移動もできるようなんだが、消費量は10分で1000ドールくらいになると聞いているので配線の効率を考えるとかなりの効率のものと考えられる。
まあここまでできるようになったなら十分だろう。実際に飛ばせるかはやってみないとわからないんだけどね。重量を0にさえできれば風魔法で何とかなると思っている。
一通りの改造が終わったので錬金で元の状態に戻す。ふと思ったんだが、車にはウインカーとかもないんだな。今度つけてもらって標準化してもらった方がいいかもしれないね。まあ車の数が少ないからいいけど、ウインカーがあった方がどっちに行くかがわかりやすいし。
あとはできるかどうかわからないけどタイヤの溝だな。タイヤには溝があまり入っていないので結構スリップしやすいのである。おそらく摩擦とか言うことがあまり考えられていないのだろう。本体と同じくそのままでは加工ができないのでやってもらわないといけない。
あとはシートとかのグレードアップとかだね。やっぱり長く座っていると結構おしりが痛くなってしまう。これは普通にできるのでどこかで交換してもらわないといけない。
時間を見るとすでにお昼を回っていた。思ったよりも時間がかかってしまったな。試運転を行おうと思ったらジェンがやってきた。えらくタイミングがいいな。
さっそく町を出てから改造前に確認していた消費量と比較してみると、さすがに消費量が改造前の20%までは下がらなかったが、25%までは下がっていた。さらに軽減魔法の魔獣石を使うとさらに効率が上がった。これでだいたい消費量が20%くらいになった。これで一日の車に使う消費量が2000ドールくらいにはなりそうだ。
「ジェン、舌を噛まないように口を閉じていてね。」
「ええ?何するの?」
「いくよ!!」
「んん~~~!!」
軽減魔法の魔道具を切り替えてから風魔法で車体を浮かせてみる。
「ええ~~~~っ!!」
ジェンがかなり驚いていた。
「自分が風魔法で操っているので飛行機みたいに飛ぶというわけではないけど、とりあえず飛べるようにしてみた。」
「すご~~~い!!」
ジェンはかなり喜んでいた。
とりあえず浮かぶことはできたが、飛んでいる速度は浮く前の速度に依存する感じだ。その後空中で止まることはできるが、そこから動かし始めるのはかなり時間がかかる。
魔道具でジェットエンジンみたいなものを作って後ろから空気を出せばいけるかな?ただそれだと方向のコントロールが難しそうだ。やはりこの車の形で飛ばすのには無理がありそうだ。いや、操作も魔法でできるようにすれば何とかなるのか?
とりあえず何かあった場合は空中に逃げることができるというのは便利だ。魔獣に襲われたときもこれで逃げることもできそうだしね。予想通り魔獣石の消費は半端なかったが、普段使わないからよしとしよう。
いろいろと調べて満足してから町に戻り、車に問題が出ていないかをチェックしてから他の魔道具の配線も交換する。一通りの交換が終わったところで工房の鍵を返却。3日間使っていいと言われていたんだが、1日で終わったのでよかった。
ジェンはいろいろなお店を見て回ったみたいで、ちょっと無駄遣いをしてしまったと言っていたが、買ったのは衣服関係くらいだったようだ。まあそのくらいは問題ないと思うけどね。結構小遣いとして渡しているのでその範囲内であれば特に自分が言うことではない。
あと、骨董店で面白いものを見つけたらしくて買ってきたようだ。見つかったのは道しるべの玉だった。ものが何なのかわかっていなかったようで、宝石という扱いで売られていたらしい。持っているものと違うのは色が白と言うことだ。
名称:道しるべの玉(並)
詳細:登録した場所までの残りの距離を示す。転移魔法を使うときの道しるべとなる。必要魔素がある場合に限り、1回のみ登録地点に転移することができる。
品質:並
耐久性:並
効果:並
効力:現在地表示-1、地点登録-1、転移-1(使用可能)
現在地を示すのではなく、目的の場所までの距離を表示しているみたい。転移が残っていることもあり、購入してきたらしい。登録した場所を確認すると、アルモニアの北の方にある位置を示していた。今回この場所に行ってみるのも一つかな?
転移のレベルがあるのは転移ができる距離なのかな?レベル-1なのであまり離れていると使えないって言うことかもしれないな。
夕食にはジェンが見つけてきたお店で食べることにした。一人100ドールなんだが、なかなかおいしいお店だった。さすが食べ物に関しての嗅覚はすごいな。
~ジェンSide~
今日イチは車の改造をするというので手伝おうと思ったんだけど、特に手伝いがなくてもできるから適当にぶらついてきていいよと言われてしまった。せっかくなので一人でぶらつくことにしたんだけど、最近は一緒に行動していることが多いので一人になるのは久しぶりだわ。
イチがいると少し遠慮してあまりゆっくり服は見ていないので、今日は気になるお店を見ていく。冬用の衣類はあまりなかったのでいくつか購入するが、ついでにイチに似合いそうな服も買っていくことにした。イチはあまり服にはこだわっていないから選んであげたものはそのまま着てくれるんだよね。
ただ一人で歩いていると声をかけてくる人が結構いてちょっと面倒くさい。まあ断るとあっさりと引いてくれるのでいいんだけどね。一人でいることがほとんどなかったので久しぶりの感覚だ。
骨董店もあったのでのぞいてみると、ちょっと気になるものがあったので鑑定してみる。地点は1カ所固定みたいなんだけど、転移が使用可能となっている。話をすると、名前はついているが、特に機能もなく宝玉という認識のようだ。価格は1500ドールと言われるが、値切って1400ドールにしてもらえた。
他にも商品を見てみるが、どうもちゃんと鑑定されていないものも多いような気がする。もしかしたら鑑定のレベルが低くて見えていないのかもしれないわね。
付与魔法についてもきちんと把握できていないのか、見た目のいいものは高いが、見た目が悪いものは高性能でも安い価格設定になっていた。いくつか目についたものがあったのでそれも購入しておいた。
簡単にお昼を食べてからそろそろかと思って工房に行ってみるとちょうど終わったところだった。改造結果を確認しにいくというので一緒に行くことにする。
改造の効果はあったみたいで走るときの魔素の消費が20%くらいまで下がったみたい。かなりのコストダウンだね。まだ配線の在庫は十分にあるので他の魔道具の配線も変更していくことにしたようだ。
走るだけかと思ったら重力軽減の魔道具もセットしたらしく、風魔法を使うことで飛ぶことができるようになったらしく、最初はかなり驚いてしまったわ。
ただ飛行能力があるわけではないので、浮いているという感覚だったけどね。速度が上がったところで浮かせることで飛んでいるような感じになるんだけど、徐々に速度が落ちていくみたい。このあたりはまだ改造していかないといけないようだけど、とりあえず一歩前進と言っていたわ。
夕食は昼間にチェックしていたお店に行くことにしたけど、イチも気に入ってくれたようでよかったわ。「食べ物に関する嗅覚がすごいね」って、私がまるで食いしん坊みたいじゃない。ちょっと失礼よね。
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