【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
113 / 430
第一部 異世界ものに出てくる賢者

98. 異世界440日目 魔道具はかなり充実していた

しおりを挟む
 クリアミントの町に到着したが、すでにお昼も回っているのでまずは宿の確保からだ。事前に聞いていた宿をいくつか見て周り、ラントハイドというところにする。ツインで朝食付きで1000ドール、夕食をつけると1100ドールだったが、とりあえず朝食のみで3泊お願いすることにした。まあ中二日あればある程度の情報は得ることができるだろう。


 カサス商会がここにはあるようなので顔を出すことにしたが、残念ながら店長は少し外出と言うことだったので、また夕方に来ることにする。

 せっかく来たので店内を見ていくが、なぜか魔道具のコーナーがあまり充実していない。というかかなり限定した商品しか置いていない感じだ。店員がいたので聞いてみる。

「お客さんはアルモニアにくるのは初めてなのですか?こっちでは魔道具は専門店で取り扱うのが普通ですので、当社も別館にて取り扱っています。こちらに置いているのは魔道具でも現在売り出し中のものを少しだけとなります。」

 魔道具が充実しているので、専門店が先にできあがってしまい、総合スーパーのようなものができてもその流れで魔道具だけを取り扱っているお店が多いようだ。

「そういうことだったんですね。」

「はい。ちなみにこれはいま売り出し中のバッグです。重量が50%カットされるというおすすめ商品ですよ。これはこの国でもまだ開発ができていないのでヤーマン国からの輸入品のみとなります。」

 値段を見ると8500ドールとなっていた。やっぱり若干高くなっているね。

「同じものを持っているから大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます。もし魔道具に興味がありましたらすぐ近くにある別館をおたずねください。」

「ありがとう、後で行ってみます。」


 一通り店内を見て回ったあと、話に聴いた魔道具のお店に行く。かなりいろいろなものが売られており、同じ魔道具でも種類が豊富だ。やはり魔法が発達していると違うなあ・・・。
 今持っているものよりも高性能っぽいものもあるが、まだ買い替えまではいいだろう。ジェンはなにやら美容関係の魔道具を見て回っているので放っておこう。


 魔道具の扱いとなるみたいでシステムキッチンのようなものが置いてあった。そういえば日本でも電化製品のお店にシステムキッチンが置いてあったね。

 他に調理用具を見ていくが、オーブンはあるが電子レンジはない。まあ電子レンジは科学が発展していないと無理だろうな。魔道具でイメージして作れるのだろうか?でもできたとしてもちょっと使うのが怖いんだよなあ・・・。すぐに温められると点はいいんだけどね。
 今ある料理関係の魔道具は小さなシステムキッチン、炊飯器、ミキサーくらいだ。パン焼き器とかはさすがに売っていない。まあ収納バッグがある時点であまり必要性はないんだけどね。

 いろいろとチェックしたあと、近くにいた店員を呼んで値段を聞いてみる。


 システムキッチンで使い勝手の良さそうなものは値段を聞くと58万ドールと言われる。コンロ部分が3つに魚焼きのグリル、オーブンがついている。シンクは2つあってお湯と水の出る蛇口が2つ付いている。もちろん排水処理もちゃんとできるようになっている。なかなかいいな。
 これよりさらに性能のいいものになると魔道具の性能がアップするため値段が一気に102万ドールと倍増してしまう。ただ水量とかも多くなるし、火力もかなり上がるようだ。消費魔素はあまり差がないらしい。


 悩んでいるとジェンがやってきた。

「どうしたの?」

「いや、拠点用にシステムキッチンを買おうと思っているんだけど、どれにするか悩んでる。」

 二つの内容を説明する。

「それだったらいい方を買ったらいいんじゃないの?金額的には大丈夫なんでしょ?」

 即答で答えてきた。

「でも値段がかなり高いんだよ。」

「いいじゃない。また稼げばいいんだし、悩んでいるのはお金の問題だけで性能では上の方がいいと思っているんでしょ?後で買い換えたり、機能を追加することを考えたら最初に買っておいた方がいいんじゃないの?」

「そうだね。」

「すみません、こっちの方を買って帰りたいのですが、もう少し割引はできないでしょうか?」

 さすがに100万ドールの商品を速攻で決めてしまったことに驚いていた。結局少し負けてもらい、99万ドールで購入することになった。持って帰るという時点で手間賃もかからないからね。他にもジェンが欲しいものなどいくつか購入する。



 再びカサス商会の受付に戻って話をすると店長はちょうど戻ってきたところらしい。店長はケルミンと言う人で、魔道具関係に詳しいらしく、自分の納めている魔道具にかなり興味があるようだった。

「さすがに魔法についての研究が進んでいるだけあって魔道具も充実していますね。」

「ええ、ただその分競争も激しいのでなかなか大変ですよ。今ジュンイチさんに納めてもらっています魔道具はこちらの国でもかなり驚かれました。
 今のところ追随してくるところはありません。あと、バッグだけでなく他のものにも応用できないかと現在研究を進めているところです。」

「そうなんですね。最近は少し付与魔法の能力が上がってきてもう少し性能アップのものができてきていますが、納めるものは今までと同じものにしています。」

 重量軽減の魔道具で現在試作品のものを見せると、ざっくりで言うと10%くらいのアップしそうだと言われる。ということは感覚的に自分が作れる最高のもので20%くらいは能力アップするという感じか?ただ作るのに時間がかかりすぎるからこっちはまだ出せないな。
 消費魔力とのバランスが重要だからねえ。消費魔素が変わらない大きさで機能だけ上げるとなると特に刻む付与魔法の精度を上げるしかない。車につけたみたいに消費魔素を気にしなければ性能は上がるけどね。

「そういえばさっきシステムキッチンを買いましたよ。さすがに値段が高かったけど、いいものを手に入れられてよかったです。」

「うちのお店で買ったんですか?もしかして正規の金額で?」

「少し負けてくれましたけどね。」

「うちの社員だったら5~10%の割引がきくんですよ。最近になって始まったシステムなのですが、このおかげで社員もうちのお店で購入するようになって売り上げが増えたんです。しかも社員もかなり喜んでくれたのでかなりいい改革でした。」

 そういえばそんなアドバイスしたような気がするなあ。

「購入の時の領収書があれば返金しますよ。」

「申し訳ないですが、お願いできますか?」

 返金されたのは5万ドールくらいだったのでかなり大きい。ケルミンさんもまさかこんなに買っているとは思っていなかったようだ。

 このあと少し話をしてからお店を後にする。夕食は宿に併設の食堂で大毛牛という魔獣のステーキを食べた。これはもっと北の方にいる羊と牛の中間のような魔獣だ。なかなか美味しかった。上のクラスになればもっと美味しくなるのだろうか?

 部屋に戻ってからこの後の予定を確認して眠りにつく。今日はシャワーはやめて浄化魔法だけで済ませた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...