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第一部 異世界ものに出てくる賢者
97. 異世界430日目 いざアルモニアへ
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朝食をとってから国境の門に行くと、すでにかなりの行列になっていた。まあしょうがないところか。
「受付の数は結構あるみたいだから人は結構多いけど、それなりには早くは入れるかな?」
「地球でも海外行くときはパスポートのチェックに時間がかかっていたよね。それと同じだからしょうがないよ。」
「うーん、海外行ったことがあるけど、特にそんなにかかった記憶はないなあ。ほとんど人がいなかったし。」
「時間の問題なのかねえ?自分が行くときいつもかなり列ができていて大変だったよ。まあそんなに何回も行ったわけじゃないけどね。」
入国にはお金がいるんだが、冒険者は一人当たり100ドールでいいらしい。通常は500ドールとられるようだが、金額は国や国の関係によって異なるようだ。ちなみにハクセンは冒険者でも300ドールである。
町に入るときは証明証をチェックされるだけだが、国を移動する場合は身分証明証に記載されている「名前」、「生年月日」、「年齢」、「職業」、「賞罰」の記録がとられるようだ。賞罰の内容が特に重要なんだろう。他の記載については見えなくしていても特に何も言われない。
門をくぐるとそこも同じような国境の町となっていた。こっちの町の名前はトレラムというようだ。国が代わったが同じ場所にあることと、元々文化的に近いこともあってそれほど町並みの様子は変わらない。
まずは情報を得るために役場へと向かう。冒険者に関してのシステムは基本的に国が変わってもほとんど変わっていないはずだ。まあ国の運営とはいえ、半分独立しているようだからね。そうでなければ国をまたいだ組織は無理だろう。まあ国の管理もあるのでちょっとゴタゴタすることもあるらしい。
資料を見てみるとこの辺りに生息する魔獣にも差はなさそうだったが、さらに北の方に行くとやはり種類が変わってくるようだ。このあたりは徐々に慣れていくしかないな。
会おうと思っている人がいるのは王都のクリアレントなんだが、結構距離があるんだよなあ。途中の道路はきちんと整備されているようなので魔獣に遭遇することは少ないだろう。出てきてもサイレウムで倒した魔獣くらいかな。
一通りの資料を確認してから掲示板を見てみるが特に目を引く情報はなかった。ルイサレムのようなおもしろそうな依頼はないもんかねえ。
まずは事前にチェックしていた宿のゆきやねというところを予約する。ここはスレインさん達がここに来た時にいつも使っているところらしい。本当はすぐに移動をしてもいいんだが、せっかくなのでこの町も少しは見ていくつもりだ。
ツインの部屋で1200ドールとちょっと高い印象なんだが、こっちの宿はヤーマンよりも若干高いようだ。宿の数が少ないのかな?
部屋に入れるのは夕方からなのでそれまでは町の中のお店を見て回ることにした。
「町の作りも雰囲気もサイレウムとほとんど変わらないわね。」
「売っているものもそんなに変わった感じじゃないね。まあ、せっかくだから適当にお店をのぞいていこう。」
商店を見ていくと、魔道具とかはちょっと充実している感じだが、これはもう少し大きな町に行ってから見た方がいいだろう。他には骨董店や食料店など色々とみていく。さすがに食品については置いているものの系統が若干異なっているのはお国柄か?
宿の夕食の時に席を探すふりをしながら会話の内容に聞き耳を立てていると、「ヤーマンはどんなところだろう?」と話していた冒険者と思われる人たちがいたので声をかける。
「すみません、少し声が聞こえたんですが、今度ヤーマンに行かれるのですか?」
「そうだけど、君たちは?」
「今日ヤーマンから来たんですが、アルモニアは初めてなのでもしよかったらそれぞれの国の情報交換ができないかと思いまして。」
「それはこっちもありがたいな。おい、ちょっと詰めろよ。」
「すみません。自分はジュンイチ、こっちがジェニファーで、アースというパーティーを組んでいます。よろしくお願いします。」
「ああ、俺たちは”レイスマントの狼”というパーティーを組んでいる。俺はカース、そっちからヤルマン、ヌイルサ、オーマンだ。よろしくな。」
彼らはクリアミントの町を主な拠点としている冒険者で、今は上階位だがもう少しで良階位になる実績がたまるそうだ。ただ今のままだと試験に受かりそうにないのでもう少し実力をつけてから試験を受けたいと思っているみたいだが、見聞を広げる意味もあってヤーマンに行こうと言うことになったらしい。
それぞれの町のおすすめの宿屋や鍛冶屋、道具屋などの情報の他に狩場の情報も確認する。最近少し魔獣の出現が多くなっているみたいだ。
治安はそれなりにはいいようだが、北部の方は若干治安が悪くなるらしいので注意した方がいいと言われる。誘拐などもあるようなので注意が必要みたいだ。やはり全体的にヤーマンよりは治安が悪い印象だ。
お互いにいろいろな情報を入手できていい感じで別れる。彼らは明日の朝一でヤーマンに移動してから南下するつもりらしい。またどこかで会えるかなあ・・・。
翌日は朝食を取ってからすぐに町を出る。クリアミントまではバスで15日くらいのようなので、車だったら10日くらいで着くかな?
途中の町にも寄っていくが、特に目を引くところはないので持っている拠点に泊まっていく。4日目の昼くらいから何か変な臭いがしてきた。この臭いはもしかして?しばらく走ると町が見えてきたんだが、町から煙が上がっている。
「火事かしら?」
「いや、これはきっと。もしそうならここに泊まっていっていいか?」
「そんなに急ぐ旅でも無いし、別にいいけどどうしたの?」
「とりあえず町に入ってから確認しよう。」
着いたのはサイノレアという町なんだが、建物のあちこちから煙が上がっていた。町はそれほど大きくはないんだが、他にあった町よりは大きい感じだ。
「なんか臭いがすごいけれど、これ大丈夫なの?」
「多分大丈夫。おそらく温泉だと思う。」
「温泉?ああ、hot springね。」
この間話したパーティーのヌルイサさんがなんかお風呂のいいところがあると言っていたのがここだったのかな?
役場に行って話を聞いてみると確かにここにあるのは温泉のようだが、地面から出てくる温かいお湯という認識だけのようだ。地元では体調が良くなるというようなことも言われているが、良くわかってないらしい。
そこまで有名ではないんだが、気に入った人は何度か来たりもしているみたいで、宿泊する宿も安いところから高いところまでいろいろと充実しているらしい。
温泉に入れるおすすめの宿を聞くと、お風呂でおすすめは北の湯という宿という情報を入手。ただ結構高いみたいなので行ってから判断しよう。
宿に行くとホテルというより旅館という感じのところだった。受付で話を聞くと、温泉の大浴場はあるが温泉付きの部屋もあるらしい。マジか。値段を聞くと二人部屋で安いところで5000ドールとなっていた。これは・・・。
「ジェン、節約すると言ったのに悪いけど今日だけは贅沢していいかな?」
「いいわよ。それだけの価値があるってことなんでしょ。」
「まあ、人にもよるけど、温泉付きの宿は憧れだったんだ。」
うちの両親が、部屋に温泉がついているところはいいんだけど、値段がねえ・・・とよく悩んでいたんだよね。自分も泊まったのは小さな頃に一回だけだし。部屋内容を見せてもらい、6500ドールの部屋に泊まることにした。食事は2食の部屋食付きだ。
部屋に案内されるが、客室に入る手前で靴を脱ぐようになっていた。お風呂の移動の関係らしい。まあ自分はこっちの方が落ち着くけどね。
部屋は和室に布団というわけではなく、板張りにベッドなんだが、ちゃんと脱衣所に露天風呂がついている。
「先に入っていいか?」
「いいわよ。」
その時のジェンの表情には気がつかなかった。
早速体を流して温泉につかる。いわゆる美人の湯みたいだな。露天になっているので空が見えていい感じ。
しばらくすると後ろからなんか音が・・・。
「なんでジェンが入ってきたんだ?まだ上がってないぞ!!」
バスタオルを巻いているが、なぜかジェンが入ってきたので慌てて後ろを向く。
「温泉って混浴が普通なんでしょ?」
「普通じゃない!!」
「まあ、いいじゃない。裸の付き合いも」
掛け湯をしてからジェンも中に入ってきた。もちろんジェンの方など見ることができない。
「いい気持ち。こういう温泉は本でしか知らなかったけどなかなかいいものね。」
「そ、そうか。」
「貸し切りっていうのはさらにいいわね。」
「そうだな。」
「ねえ、聞いてる?」
そう言いながら声が近づいてきた。
「だからこっちにこないで!」
「もー、ほら、大丈夫だから」
そう言って立ち上がったジェンは・・・水着を着ていた。
「驚いた?ねえ、驚いた?」
「く、屈辱だ。」
「だってほんとに裸だったらイチも大変でしょ。」
水着とは言っても前見た水着よりもきわどくなったビキニ姿なのでお風呂に入っているとさすがに意識してまう。こっちにもこんな水着売っているんだな。
なんとか視線が行かないようにごまかしてお風呂を堪能。またあとでゆっくり入ることにしよう。
夕食は部屋に持ってきてくれるんだが、さすがに日本料理というわけではない。ただ部屋でゆっくりとできるのでいい気分だ。ジェンは少しお酒も注文していたが、温泉に入るのでほどほどでやめさせておいた。
このあとも大浴場に行って温泉を堪能してから眠りにつき、翌日も朝から部屋風呂に入って温泉を満喫する。いろいろあったけど温泉を十分に堪能できてよかったなあ。
「ヤーマンに戻るときにはまたここを通るからまた泊まりに来よう。」
「そうね、今度はほんとに裸の付き合いで入ろうね。」
「それは却下させてもらう。」
「も~~~~!!」
この後は拠点に泊まりながら走り、予定の1日遅れでクリアミントに到着した。
~ジェンSide~
今回途中の町で変なにおいが充満していた。イチはこの臭いを嗅いでからなぜかテンションを上げている。どうやら温泉があるみたい。そういえばお風呂が好きだったわね。
せっかくだから温泉を堪能したいとちょっと高めの宿に泊まることにしたんだけど、日本のアニメとかに出てくる旅館のような感じだった。靴を脱いで上がるというのも日本っぽいわね。そういえば温泉と言えば混浴とかいって特に付き合ってない男女が一緒のお風呂に入るという話があったわね。
ふふふ。
温泉の付いている部屋を選んだので他の人が来る心配はない。イチは「先に入っていいか?」
とすぐに温泉へ。イチが入ったあと買っておいた水着に着替えてバスタオルを巻いて、これでいいかな。
お風呂に入ると、こっちに気がついたイチが後ろを向いて叫び声を上げる。バスタオルを巻いているので、おそらく下は裸だと思っているみたい。かけ湯をしてからお風呂に入るがもちろんバスタオルは外した。
イチの言動がおかしくて笑いをこらえるのが大変だった。最後に水着だと見せると驚いていたが、それでも恥ずかしそうにしていた。ちらちらこっちを見ているというのは気付かないとでも思っているのかな?まだ普通に話せるようになったけどね。
そのあとは食事も堪能し、イチは大浴場にも入りに行った。ほんとにお風呂が好きなのね。翌朝も一緒に少し温泉を堪能してから宿を出発するが、また帰りも寄ろうと言ってきた。今度は水着なしで入りたいけど、イチには速攻で却下されてしまった。
「受付の数は結構あるみたいだから人は結構多いけど、それなりには早くは入れるかな?」
「地球でも海外行くときはパスポートのチェックに時間がかかっていたよね。それと同じだからしょうがないよ。」
「うーん、海外行ったことがあるけど、特にそんなにかかった記憶はないなあ。ほとんど人がいなかったし。」
「時間の問題なのかねえ?自分が行くときいつもかなり列ができていて大変だったよ。まあそんなに何回も行ったわけじゃないけどね。」
入国にはお金がいるんだが、冒険者は一人当たり100ドールでいいらしい。通常は500ドールとられるようだが、金額は国や国の関係によって異なるようだ。ちなみにハクセンは冒険者でも300ドールである。
町に入るときは証明証をチェックされるだけだが、国を移動する場合は身分証明証に記載されている「名前」、「生年月日」、「年齢」、「職業」、「賞罰」の記録がとられるようだ。賞罰の内容が特に重要なんだろう。他の記載については見えなくしていても特に何も言われない。
門をくぐるとそこも同じような国境の町となっていた。こっちの町の名前はトレラムというようだ。国が代わったが同じ場所にあることと、元々文化的に近いこともあってそれほど町並みの様子は変わらない。
まずは情報を得るために役場へと向かう。冒険者に関してのシステムは基本的に国が変わってもほとんど変わっていないはずだ。まあ国の運営とはいえ、半分独立しているようだからね。そうでなければ国をまたいだ組織は無理だろう。まあ国の管理もあるのでちょっとゴタゴタすることもあるらしい。
資料を見てみるとこの辺りに生息する魔獣にも差はなさそうだったが、さらに北の方に行くとやはり種類が変わってくるようだ。このあたりは徐々に慣れていくしかないな。
会おうと思っている人がいるのは王都のクリアレントなんだが、結構距離があるんだよなあ。途中の道路はきちんと整備されているようなので魔獣に遭遇することは少ないだろう。出てきてもサイレウムで倒した魔獣くらいかな。
一通りの資料を確認してから掲示板を見てみるが特に目を引く情報はなかった。ルイサレムのようなおもしろそうな依頼はないもんかねえ。
まずは事前にチェックしていた宿のゆきやねというところを予約する。ここはスレインさん達がここに来た時にいつも使っているところらしい。本当はすぐに移動をしてもいいんだが、せっかくなのでこの町も少しは見ていくつもりだ。
ツインの部屋で1200ドールとちょっと高い印象なんだが、こっちの宿はヤーマンよりも若干高いようだ。宿の数が少ないのかな?
部屋に入れるのは夕方からなのでそれまでは町の中のお店を見て回ることにした。
「町の作りも雰囲気もサイレウムとほとんど変わらないわね。」
「売っているものもそんなに変わった感じじゃないね。まあ、せっかくだから適当にお店をのぞいていこう。」
商店を見ていくと、魔道具とかはちょっと充実している感じだが、これはもう少し大きな町に行ってから見た方がいいだろう。他には骨董店や食料店など色々とみていく。さすがに食品については置いているものの系統が若干異なっているのはお国柄か?
宿の夕食の時に席を探すふりをしながら会話の内容に聞き耳を立てていると、「ヤーマンはどんなところだろう?」と話していた冒険者と思われる人たちがいたので声をかける。
「すみません、少し声が聞こえたんですが、今度ヤーマンに行かれるのですか?」
「そうだけど、君たちは?」
「今日ヤーマンから来たんですが、アルモニアは初めてなのでもしよかったらそれぞれの国の情報交換ができないかと思いまして。」
「それはこっちもありがたいな。おい、ちょっと詰めろよ。」
「すみません。自分はジュンイチ、こっちがジェニファーで、アースというパーティーを組んでいます。よろしくお願いします。」
「ああ、俺たちは”レイスマントの狼”というパーティーを組んでいる。俺はカース、そっちからヤルマン、ヌイルサ、オーマンだ。よろしくな。」
彼らはクリアミントの町を主な拠点としている冒険者で、今は上階位だがもう少しで良階位になる実績がたまるそうだ。ただ今のままだと試験に受かりそうにないのでもう少し実力をつけてから試験を受けたいと思っているみたいだが、見聞を広げる意味もあってヤーマンに行こうと言うことになったらしい。
それぞれの町のおすすめの宿屋や鍛冶屋、道具屋などの情報の他に狩場の情報も確認する。最近少し魔獣の出現が多くなっているみたいだ。
治安はそれなりにはいいようだが、北部の方は若干治安が悪くなるらしいので注意した方がいいと言われる。誘拐などもあるようなので注意が必要みたいだ。やはり全体的にヤーマンよりは治安が悪い印象だ。
お互いにいろいろな情報を入手できていい感じで別れる。彼らは明日の朝一でヤーマンに移動してから南下するつもりらしい。またどこかで会えるかなあ・・・。
翌日は朝食を取ってからすぐに町を出る。クリアミントまではバスで15日くらいのようなので、車だったら10日くらいで着くかな?
途中の町にも寄っていくが、特に目を引くところはないので持っている拠点に泊まっていく。4日目の昼くらいから何か変な臭いがしてきた。この臭いはもしかして?しばらく走ると町が見えてきたんだが、町から煙が上がっている。
「火事かしら?」
「いや、これはきっと。もしそうならここに泊まっていっていいか?」
「そんなに急ぐ旅でも無いし、別にいいけどどうしたの?」
「とりあえず町に入ってから確認しよう。」
着いたのはサイノレアという町なんだが、建物のあちこちから煙が上がっていた。町はそれほど大きくはないんだが、他にあった町よりは大きい感じだ。
「なんか臭いがすごいけれど、これ大丈夫なの?」
「多分大丈夫。おそらく温泉だと思う。」
「温泉?ああ、hot springね。」
この間話したパーティーのヌルイサさんがなんかお風呂のいいところがあると言っていたのがここだったのかな?
役場に行って話を聞いてみると確かにここにあるのは温泉のようだが、地面から出てくる温かいお湯という認識だけのようだ。地元では体調が良くなるというようなことも言われているが、良くわかってないらしい。
そこまで有名ではないんだが、気に入った人は何度か来たりもしているみたいで、宿泊する宿も安いところから高いところまでいろいろと充実しているらしい。
温泉に入れるおすすめの宿を聞くと、お風呂でおすすめは北の湯という宿という情報を入手。ただ結構高いみたいなので行ってから判断しよう。
宿に行くとホテルというより旅館という感じのところだった。受付で話を聞くと、温泉の大浴場はあるが温泉付きの部屋もあるらしい。マジか。値段を聞くと二人部屋で安いところで5000ドールとなっていた。これは・・・。
「ジェン、節約すると言ったのに悪いけど今日だけは贅沢していいかな?」
「いいわよ。それだけの価値があるってことなんでしょ。」
「まあ、人にもよるけど、温泉付きの宿は憧れだったんだ。」
うちの両親が、部屋に温泉がついているところはいいんだけど、値段がねえ・・・とよく悩んでいたんだよね。自分も泊まったのは小さな頃に一回だけだし。部屋内容を見せてもらい、6500ドールの部屋に泊まることにした。食事は2食の部屋食付きだ。
部屋に案内されるが、客室に入る手前で靴を脱ぐようになっていた。お風呂の移動の関係らしい。まあ自分はこっちの方が落ち着くけどね。
部屋は和室に布団というわけではなく、板張りにベッドなんだが、ちゃんと脱衣所に露天風呂がついている。
「先に入っていいか?」
「いいわよ。」
その時のジェンの表情には気がつかなかった。
早速体を流して温泉につかる。いわゆる美人の湯みたいだな。露天になっているので空が見えていい感じ。
しばらくすると後ろからなんか音が・・・。
「なんでジェンが入ってきたんだ?まだ上がってないぞ!!」
バスタオルを巻いているが、なぜかジェンが入ってきたので慌てて後ろを向く。
「温泉って混浴が普通なんでしょ?」
「普通じゃない!!」
「まあ、いいじゃない。裸の付き合いも」
掛け湯をしてからジェンも中に入ってきた。もちろんジェンの方など見ることができない。
「いい気持ち。こういう温泉は本でしか知らなかったけどなかなかいいものね。」
「そ、そうか。」
「貸し切りっていうのはさらにいいわね。」
「そうだな。」
「ねえ、聞いてる?」
そう言いながら声が近づいてきた。
「だからこっちにこないで!」
「もー、ほら、大丈夫だから」
そう言って立ち上がったジェンは・・・水着を着ていた。
「驚いた?ねえ、驚いた?」
「く、屈辱だ。」
「だってほんとに裸だったらイチも大変でしょ。」
水着とは言っても前見た水着よりもきわどくなったビキニ姿なのでお風呂に入っているとさすがに意識してまう。こっちにもこんな水着売っているんだな。
なんとか視線が行かないようにごまかしてお風呂を堪能。またあとでゆっくり入ることにしよう。
夕食は部屋に持ってきてくれるんだが、さすがに日本料理というわけではない。ただ部屋でゆっくりとできるのでいい気分だ。ジェンは少しお酒も注文していたが、温泉に入るのでほどほどでやめさせておいた。
このあとも大浴場に行って温泉を堪能してから眠りにつき、翌日も朝から部屋風呂に入って温泉を満喫する。いろいろあったけど温泉を十分に堪能できてよかったなあ。
「ヤーマンに戻るときにはまたここを通るからまた泊まりに来よう。」
「そうね、今度はほんとに裸の付き合いで入ろうね。」
「それは却下させてもらう。」
「も~~~~!!」
この後は拠点に泊まりながら走り、予定の1日遅れでクリアミントに到着した。
~ジェンSide~
今回途中の町で変なにおいが充満していた。イチはこの臭いを嗅いでからなぜかテンションを上げている。どうやら温泉があるみたい。そういえばお風呂が好きだったわね。
せっかくだから温泉を堪能したいとちょっと高めの宿に泊まることにしたんだけど、日本のアニメとかに出てくる旅館のような感じだった。靴を脱いで上がるというのも日本っぽいわね。そういえば温泉と言えば混浴とかいって特に付き合ってない男女が一緒のお風呂に入るという話があったわね。
ふふふ。
温泉の付いている部屋を選んだので他の人が来る心配はない。イチは「先に入っていいか?」
とすぐに温泉へ。イチが入ったあと買っておいた水着に着替えてバスタオルを巻いて、これでいいかな。
お風呂に入ると、こっちに気がついたイチが後ろを向いて叫び声を上げる。バスタオルを巻いているので、おそらく下は裸だと思っているみたい。かけ湯をしてからお風呂に入るがもちろんバスタオルは外した。
イチの言動がおかしくて笑いをこらえるのが大変だった。最後に水着だと見せると驚いていたが、それでも恥ずかしそうにしていた。ちらちらこっちを見ているというのは気付かないとでも思っているのかな?まだ普通に話せるようになったけどね。
そのあとは食事も堪能し、イチは大浴場にも入りに行った。ほんとにお風呂が好きなのね。翌朝も一緒に少し温泉を堪能してから宿を出発するが、また帰りも寄ろうと言ってきた。今度は水着なしで入りたいけど、イチには速攻で却下されてしまった。
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