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第一部 異世界での懐かしい人々
141. 異世界695日目 2回目の新年
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夕べはお酒まで飲んで帰ってきたみたいでジェンは起きそうにないのでしばらく寝かせておくことにした。宿の手伝いが一段落したところでジェンを呼んで朝食をとる。
「ごめんね。昨日はほんとに楽しかったからはしゃぎすぎたみたい。」
「たまにはこういうことも必要だと思うよ。いつも相手が自分だけだと面白くもないだろうからね。」
「べつにそんなことはないけど・・・。」
「今年ももうすぐ終わりだけど、今年は12/31まであるから年末年始で4日間休みになるみたいだよ。明日から年末の休暇になるけど何か予定ある?ジェンに予定を考えてもらうように言っていたよね?」
「年末はいろいろ買い物したりしてすごそうかと思っているわ。他の人達も準備で忙しいみたいだしね。だから、なにかしたいことがあればやろうよ。
1日は宿でメイサン達が宿の対応もあるけど一緒にゆっくりしようと言われているのと、2日はマラルが昼食に招待してくれるみたいなので一緒に行こう。」
「わかった。自分は特に予定も無いから大丈夫だよ。せっかくだから1日の朝は早起きしようと思っているから付き合う?」
「もちろん。」
今日は今年最後の訓練と言うことで、訓練場を借りて一日鍛錬をしていた。他にも同じようなことを考えていた人達もいて、いろいろな人と対戦することができて有意義な一日となった。
良階位の冒険者から「魔法が使えて、剣もこれだけ使えれば昇格試験を受けても結構いいところに行けるんじゃないか?」と言われてちょっとうれしかった。まあまだ実績をためるのに時間がかかるんだけどね。今までがかなり割のいい依頼を受けていたからなあ。でもまあ順調にいけばあと1年以内にはなんとかなるかな?
サクラに行ったらまた道場に通ってみるかなあ。やっぱり自分たちだけだとなかなか成長はできないからね。
翌日はいったん郊外に出て拠点の中の荷物整理や補修、改造を行う。前にミルファーさんたちを泊めたときにちょっと手狭になったのでいろいろと改造をしてきていたのだ。今は壁に沿って建物も拡張しており、台所やシャワールームなども建物の中に入れてしまった。
あとやはり土足には抵抗があるので玄関と床を作って部屋の中では部屋履きを履くようにしたのである。床は岩の一枚板を作り、その上にゴムみたいな素材を加工して作った。
ただ何かの時に出られないと困るので部屋履きと言っても最低限の防御力のあるサンダルみたいな物だけどね。さすがにスリッパだと非常時に対応できない。
まあ、どうしようもないときは土足で入っても浄化魔法ですぐに綺麗にできるからなんとでもなるんだけどね。
いまは寝室が2つにベッドが4つ、台所はLDKという感じで家具とかも配置しなおした。台所は対面式っぽく作り、テーブルも拡張したのでそれなりの人数でも対応が可能だ。台所の換気扇はないが、風魔法に分解浄化の魔道具をつけているので臭いはこもらないし、外にも漏れない。
シャワーとトイレも穴を掘らなくても対応できるように一段高い配置にして下に処分する魔道具を増設した。このため岩場とか穴が掘りづらいところでも使えるようになった。
あとは狭いけど簡単な装備の整備ができる鍛冶部屋も作った。もちろん防音処理もしたので中で作業をしても音は漏れないようになっている。暑いのだけはしょうが無いけどね。この部屋だけは温度管理はしていない。
正直、もう下手な宿よりは立派な家と言っていいくらいだよ。残念ながら畳はないので和室は作れなかったけどね。おかげで収納バッグの占有率が増えてしまったのはしょうが無い。早く次元魔法のレベルを上げたいよ。
31日は朝に教会に行ってお祈りをする。行けるときには教会には行っているんだがあれからなんの連絡もない。
やはり神様の時間感覚は自分たちとはかなり異なるんだろうか?なんか途中経過だけでも教えて欲しいよ。忘れているということはないと思うんだけどね。まあそれ以前にどういう風に連絡を取るのかがよくわからないからね。
教会の帰りに色々と買い出しをしてからお昼を食べて宿に戻る。宿に戻ってから宿の掃除や片付けを手伝ってやっとひと段落だ。夕食の手伝いをしてから少し早めに眠りについた。
翌朝は新年である。これで自分たちも19歳になるのか・・・。今年も夜明け前に起きてから町の高い塔の上まで飛んで行き日の出を待つ。塔の上なので眺めはいい。
しばらくすると日が登ってきた。2回目の異世界の新年か。今年も無事に過ごせるといいな。ジェンともこのまま一緒にいられたらいいなあ・・・。
「なあ、ジェン。」
「どうしたの?」
「いや、異世界に来てもうすぐ2年になるけど、いつになったらもとの世界に戻れるのかなあ?って改めて思ってね。」
「そうね。最初の頃は早くもとの世界に戻りたいと思っていたんだけどね。でも大変な目にも遭ったけどいまはこの世界も楽しいと思ってきているのよ。」
「それは自分も同じかな。」
「ふふふ。」
「なあ、もし、もしもとの世界に戻れなかったとしたらどうする?」
「もし戻れなくてもきっと今と同じようにイチと一緒に冒険をしているんじゃないかなあ?そのときは年もとらないから二人でいろんな土地に移り住んでいくしかないわよね。」
「そ、そうだね。もしこのさき戻れなかったらいろいろと旅をしようか。」
「うん、イチ、アースのパーティーはずっとだよ。」
「・・・・ああ・・・」
ふと目の前が見えなくなったと思ったら口に何か柔らかいものが当たった。
「えっ?!」
「新年おめでとう。」
「おめでと。」
えっ?えっ?いま、キスされたよね。去年はほっぺだったけどいま口に・・・?
「誰にでもするものじゃないからね。特別だよ。今年もよろしくね。」
「あ、ああ・・・。」
まともな返事ができなかったよ。顔が熱くなっている気がする。「あっちでは挨拶代わりだ、挨拶代わりだ。」と思ってもジェンの顔をまともに見られない。見ると唇に視線が言ってしまうのだ。
朝日を見た後、「そろそろ戻ろう。」というのが精一杯で、日の出を見たのにほとんど頭に入らなかったよ・・・。
宿に戻ってメイサン達と話をしてやっと少し落ち着いた。
一息ついたところで、朝食用に準備された魚の丸焼きを食べることにした。ここでも魚の丸焼きのようだ。このあとは宿の手伝いをしてから夕方までは色々と話をしながらくつろいでいた。
夕食の後は昨年と同じように買っておいたケーキで誕生日祝いを行う。メイサン達には一緒に年齢をとるために誕生日祝いという感覚が無かったみたいで変わった風習だなと言われてしまった。ケーキは美味しそうに食べていたけどね。
ジェンには昨年と同じようにブローチを渡しておいた。なかなか使う機会はないんだが、町に出るときとかにはつけてくれているのでちょっとうれしい。ジェンからは小さなお守りのようなものをもらった。想いを込めたガラス玉が入っているらしく、何かの時に守ってくれるというものらしい。
~メイサンSide~
今日二人は朝日を見るというので朝早くから出かけていた。なんでも新しい年の最初の朝日を拝んで一年の願掛けをするジュンイチの故郷の習慣らしい。
どこに行っていたのかわからないが、朝日が登ってしばらくすると戻ってきた。ただ、戻ってきたジュンイチの様子がなんかおかしい。時々ニマニマしているのだ。「なにかいいことでもあったのか?」と聞くと、「なんでもないですよ。」と言うんだが、やっぱりおかしい。
「そんなのジェンと何かあったに決まってるじゃない。少しは進展できたのかしらね。」
あとでルミナに話をしたら、あっさりとそう言われて納得した。
「あの子達、一年以上も一緒にいて同じ部屋で泊まることも普通になっているみたいなのにね。二人の行動自体は夫婦みたいな感じということすらわかっていないみたいだけど、あっちの方は全く進展がないみたいなのよね。
ジェンの友人のマラルからも相談をされているけど、なんとか助言はできたみたいだから余計なことは言わないでよ。あの子達はあの子達のペースで行けばいいんだから。」
まあジュンイチもかなり奥手みたいだしな。うまくいくといいんだが・・・。
~~~~~
翌日は昼にマラルのところというかカサス商会のロビーで従業員を含めた簡単なパーティーに参加した。自分たちはあくまでマラルの友人ということで参加しているので、立場については秘密だ。アキラも一緒に参加していたし、従業員の子供達も参加していたので気楽に参加できた。
立食パーティで自分たちで食事をとっていく普通でいうバイキング形式だったので新鮮だった。最近このスタイルでイベントやレストランなどもやり始めたらしく、評判になっているようだ。前にコーランさんに話したことを始めたんだな。
久しぶりのこのスタイルでちょっと食べ過ぎてしまったよ。こっちでは係の人に言って取ってもらうんだけど自分で取ると量が多くなってしまうんだよなあ。少しお酒は飲んだけど、ジェンの飲み過ぎに注意しなければいけなかったけどね。
パーティーのあとは少しジェンと海岸などを散歩して宿に戻った。昨日のキスはやっぱり挨拶みたいなものなんだと割り切ろうとするが、ジェンの唇が気になって仕方がないのはしょうがないよね。
「ごめんね。昨日はほんとに楽しかったからはしゃぎすぎたみたい。」
「たまにはこういうことも必要だと思うよ。いつも相手が自分だけだと面白くもないだろうからね。」
「べつにそんなことはないけど・・・。」
「今年ももうすぐ終わりだけど、今年は12/31まであるから年末年始で4日間休みになるみたいだよ。明日から年末の休暇になるけど何か予定ある?ジェンに予定を考えてもらうように言っていたよね?」
「年末はいろいろ買い物したりしてすごそうかと思っているわ。他の人達も準備で忙しいみたいだしね。だから、なにかしたいことがあればやろうよ。
1日は宿でメイサン達が宿の対応もあるけど一緒にゆっくりしようと言われているのと、2日はマラルが昼食に招待してくれるみたいなので一緒に行こう。」
「わかった。自分は特に予定も無いから大丈夫だよ。せっかくだから1日の朝は早起きしようと思っているから付き合う?」
「もちろん。」
今日は今年最後の訓練と言うことで、訓練場を借りて一日鍛錬をしていた。他にも同じようなことを考えていた人達もいて、いろいろな人と対戦することができて有意義な一日となった。
良階位の冒険者から「魔法が使えて、剣もこれだけ使えれば昇格試験を受けても結構いいところに行けるんじゃないか?」と言われてちょっとうれしかった。まあまだ実績をためるのに時間がかかるんだけどね。今までがかなり割のいい依頼を受けていたからなあ。でもまあ順調にいけばあと1年以内にはなんとかなるかな?
サクラに行ったらまた道場に通ってみるかなあ。やっぱり自分たちだけだとなかなか成長はできないからね。
翌日はいったん郊外に出て拠点の中の荷物整理や補修、改造を行う。前にミルファーさんたちを泊めたときにちょっと手狭になったのでいろいろと改造をしてきていたのだ。今は壁に沿って建物も拡張しており、台所やシャワールームなども建物の中に入れてしまった。
あとやはり土足には抵抗があるので玄関と床を作って部屋の中では部屋履きを履くようにしたのである。床は岩の一枚板を作り、その上にゴムみたいな素材を加工して作った。
ただ何かの時に出られないと困るので部屋履きと言っても最低限の防御力のあるサンダルみたいな物だけどね。さすがにスリッパだと非常時に対応できない。
まあ、どうしようもないときは土足で入っても浄化魔法ですぐに綺麗にできるからなんとでもなるんだけどね。
いまは寝室が2つにベッドが4つ、台所はLDKという感じで家具とかも配置しなおした。台所は対面式っぽく作り、テーブルも拡張したのでそれなりの人数でも対応が可能だ。台所の換気扇はないが、風魔法に分解浄化の魔道具をつけているので臭いはこもらないし、外にも漏れない。
シャワーとトイレも穴を掘らなくても対応できるように一段高い配置にして下に処分する魔道具を増設した。このため岩場とか穴が掘りづらいところでも使えるようになった。
あとは狭いけど簡単な装備の整備ができる鍛冶部屋も作った。もちろん防音処理もしたので中で作業をしても音は漏れないようになっている。暑いのだけはしょうが無いけどね。この部屋だけは温度管理はしていない。
正直、もう下手な宿よりは立派な家と言っていいくらいだよ。残念ながら畳はないので和室は作れなかったけどね。おかげで収納バッグの占有率が増えてしまったのはしょうが無い。早く次元魔法のレベルを上げたいよ。
31日は朝に教会に行ってお祈りをする。行けるときには教会には行っているんだがあれからなんの連絡もない。
やはり神様の時間感覚は自分たちとはかなり異なるんだろうか?なんか途中経過だけでも教えて欲しいよ。忘れているということはないと思うんだけどね。まあそれ以前にどういう風に連絡を取るのかがよくわからないからね。
教会の帰りに色々と買い出しをしてからお昼を食べて宿に戻る。宿に戻ってから宿の掃除や片付けを手伝ってやっとひと段落だ。夕食の手伝いをしてから少し早めに眠りについた。
翌朝は新年である。これで自分たちも19歳になるのか・・・。今年も夜明け前に起きてから町の高い塔の上まで飛んで行き日の出を待つ。塔の上なので眺めはいい。
しばらくすると日が登ってきた。2回目の異世界の新年か。今年も無事に過ごせるといいな。ジェンともこのまま一緒にいられたらいいなあ・・・。
「なあ、ジェン。」
「どうしたの?」
「いや、異世界に来てもうすぐ2年になるけど、いつになったらもとの世界に戻れるのかなあ?って改めて思ってね。」
「そうね。最初の頃は早くもとの世界に戻りたいと思っていたんだけどね。でも大変な目にも遭ったけどいまはこの世界も楽しいと思ってきているのよ。」
「それは自分も同じかな。」
「ふふふ。」
「なあ、もし、もしもとの世界に戻れなかったとしたらどうする?」
「もし戻れなくてもきっと今と同じようにイチと一緒に冒険をしているんじゃないかなあ?そのときは年もとらないから二人でいろんな土地に移り住んでいくしかないわよね。」
「そ、そうだね。もしこのさき戻れなかったらいろいろと旅をしようか。」
「うん、イチ、アースのパーティーはずっとだよ。」
「・・・・ああ・・・」
ふと目の前が見えなくなったと思ったら口に何か柔らかいものが当たった。
「えっ?!」
「新年おめでとう。」
「おめでと。」
えっ?えっ?いま、キスされたよね。去年はほっぺだったけどいま口に・・・?
「誰にでもするものじゃないからね。特別だよ。今年もよろしくね。」
「あ、ああ・・・。」
まともな返事ができなかったよ。顔が熱くなっている気がする。「あっちでは挨拶代わりだ、挨拶代わりだ。」と思ってもジェンの顔をまともに見られない。見ると唇に視線が言ってしまうのだ。
朝日を見た後、「そろそろ戻ろう。」というのが精一杯で、日の出を見たのにほとんど頭に入らなかったよ・・・。
宿に戻ってメイサン達と話をしてやっと少し落ち着いた。
一息ついたところで、朝食用に準備された魚の丸焼きを食べることにした。ここでも魚の丸焼きのようだ。このあとは宿の手伝いをしてから夕方までは色々と話をしながらくつろいでいた。
夕食の後は昨年と同じように買っておいたケーキで誕生日祝いを行う。メイサン達には一緒に年齢をとるために誕生日祝いという感覚が無かったみたいで変わった風習だなと言われてしまった。ケーキは美味しそうに食べていたけどね。
ジェンには昨年と同じようにブローチを渡しておいた。なかなか使う機会はないんだが、町に出るときとかにはつけてくれているのでちょっとうれしい。ジェンからは小さなお守りのようなものをもらった。想いを込めたガラス玉が入っているらしく、何かの時に守ってくれるというものらしい。
~メイサンSide~
今日二人は朝日を見るというので朝早くから出かけていた。なんでも新しい年の最初の朝日を拝んで一年の願掛けをするジュンイチの故郷の習慣らしい。
どこに行っていたのかわからないが、朝日が登ってしばらくすると戻ってきた。ただ、戻ってきたジュンイチの様子がなんかおかしい。時々ニマニマしているのだ。「なにかいいことでもあったのか?」と聞くと、「なんでもないですよ。」と言うんだが、やっぱりおかしい。
「そんなのジェンと何かあったに決まってるじゃない。少しは進展できたのかしらね。」
あとでルミナに話をしたら、あっさりとそう言われて納得した。
「あの子達、一年以上も一緒にいて同じ部屋で泊まることも普通になっているみたいなのにね。二人の行動自体は夫婦みたいな感じということすらわかっていないみたいだけど、あっちの方は全く進展がないみたいなのよね。
ジェンの友人のマラルからも相談をされているけど、なんとか助言はできたみたいだから余計なことは言わないでよ。あの子達はあの子達のペースで行けばいいんだから。」
まあジュンイチもかなり奥手みたいだしな。うまくいくといいんだが・・・。
~~~~~
翌日は昼にマラルのところというかカサス商会のロビーで従業員を含めた簡単なパーティーに参加した。自分たちはあくまでマラルの友人ということで参加しているので、立場については秘密だ。アキラも一緒に参加していたし、従業員の子供達も参加していたので気楽に参加できた。
立食パーティで自分たちで食事をとっていく普通でいうバイキング形式だったので新鮮だった。最近このスタイルでイベントやレストランなどもやり始めたらしく、評判になっているようだ。前にコーランさんに話したことを始めたんだな。
久しぶりのこのスタイルでちょっと食べ過ぎてしまったよ。こっちでは係の人に言って取ってもらうんだけど自分で取ると量が多くなってしまうんだよなあ。少しお酒は飲んだけど、ジェンの飲み過ぎに注意しなければいけなかったけどね。
パーティーのあとは少しジェンと海岸などを散歩して宿に戻った。昨日のキスはやっぱり挨拶みたいなものなんだと割り切ろうとするが、ジェンの唇が気になって仕方がないのはしょうがないよね。
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