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第一部 異世界王族からの依頼
148. 異世界779日目 試練の遺跡
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朝起きてから準備を整えて王宮へと向かう。時間前に到着したんだが、すでにある程度準備はできていたようだ。選抜メンバーはクリスさんと一緒にパーティーを組んでいた人が中心のようだ。男性が二人と女性が二人の4人が有力候補となっており、他に行くことができるようであれば追加で加わるという形のようだ。
「今回はよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそよろしく。殿下のことを考えると自分たちが行かないとだめだろうと立候補させてもらった。王家の剣というパーティーを組んでいる。基本は私たち4人だが、これ以上の人数が行ける場合も考えて私たちと連携をとりやすいメンバーを選んでいる。」
「王家の剣はクリスさんが所属していた優階位のパーティーですね。自分たちはまだ上階位なのでできるだけ足手まといにならないように頑張ります。」
出発まではパーティーの4人と簡単に打ち合わせを行う。自分たちの実力を話してから簡単に模擬訓練を行ってもらった。さすがに優階位と言うだけあって半端なく強い。
前衛は男性のランドリアさんと女性のミスカルトさんでそれぞれ盾と剣で戦うスタイルと二刀流で戦うスタイルのようだ。
ローブを着た女性のマルニキアさんは魔法使いで簡単な治癒魔法も使えるようだ。治癒魔法のレベルについて確認したところ、中級治癒魔法まで使えるらしく、何かの時は言ってくださいと言われる。
男性のデルミストさんは短剣と弓使いという感じのようだ。罠探知や解除についてのスキルもあるようだ。
「上階位と聞いてちょっと心配したが、優階位はもちろん無理だが、良階位でも中位くらいであれば防御に徹すればなんとか耐えられるくらいの実力はありそうだな。優階位の魔獣がいた場合はできるだけ離れておいてくれ。
魔法も全属性使えると言うことはそれなりの実力とみていいようだ。索敵は大丈夫と考えていいんだよな?」
「ええ、よほど気配を消す能力が高くない限りは優階位の魔獣も感知できますので大丈夫だと思います。」
「わかった、細かいところは現地で話していこう。」
装備について国からもっといいものを貸し出す話も出たんだが、慣れない装備だと逆に危ないので今のままで行くことにした。ただもしもの時のために装備の予備は色々と持ってきてくれているようだ。
準備ができたところで車に乗り込んでから出発する。自分たちは自分たちの車でついて行った。ここからでも転移できるかもしれないが、とりあえず現地に行く方がいいという判断だ。もしかしたら距離によって転移の人数が変わると言うこともあるからね。
30分ほどで遺跡に到着し、祭壇のところまで移動する。まずは志願してきた10人とお互いに手をつないでから魔力を込めて転移を行うように願ってみる。
「転移魔力の許容量を超えています。転移する魔力量を減らして下さい。」
頭の中に言葉が流れる。やっぱり人数制限があったか・・・。やはり大勢での転送は無理っぽい。人数を少しずつ減らしていくがなかなか転移されない。どこまで減らさないといけないのかと思いながら試していると、自分たちの他に王家の剣の4名になったところで転移した。
視界が変わったところですぐに隠密関係の魔道具を発動する。この魔道具に関しては流石に秘密にしている。
あたりの景色が見えてきて確認すると、周りは木々に覆われており、森の中にいるようだった。真っ暗ではないがかなり薄暗くてなんとか視界があるという感じ。
転移でやってきた場所は大きな岩の上のようだ。岩の上には特に何も無いんだが、そこから少し離れたところから森のようになっていた。少し離れたところに大きな木が一本立っており、それは天井まで伸びている感じだ。天井は薄ぼんやりと光っているおかげで視界があるみたい。
「森の中?」
すぐに索敵を行うと、すぐ近くでクリスさんたちの気配を感じる。戦っているのは上階位の魔獣みたいで、優階位や良階位の魔獣は近くにはいない感じだ。
「クリスさんたちの応援に向かいましょう!!」
転移がどんなものか分からなくて少し固まっていた王家の剣のメンバーもクリスさんたちに気がついたみたいであたりに注意しながらクリスさんたちのいる方へと向かう。流石に立ち直りは早い。
光魔法で少し明るくしてから走っていく。あたりは湿地のようにうっすらと水がたまっており、木々が生い茂っている。湿度が高いのか、なんとなくもやがかかっていてさらに視界が悪い。ところどころ建物の跡のようなところもあるが、植物が侵食していて元の姿はわからない。
少し離れたところにあった最初に目についた大きな木の根本付近でクリスさんたちの姿を発見する。
戦っているのはクリスさんとイントさんだけで他の3人の姿が見えない。ただ光魔法で辺りを照らしているのでここを拠点にしていたのかな?
戦っている魔獣は大山猫が数匹だけなんだが、クリスさんたちの動きが悪くて苦戦しているように見える。他の3人は大丈夫なのか?
王家の剣のメンバーが一気に魔獣達を倒すが、なんか魔獣の動きがかなりいい。大山猫が集団で戦闘していることも結構珍しいのでちょっと驚いた。
こっちに気付いたクリスさんとイントさんは、ほっとした表情になったんだが、そのまま倒れ込んでしまった。
「クリスさん!イントさん!」
二人の状態を確認するととりあえず息はしているようだ。マルニキアさんがすぐに治癒魔法をかけると呼吸も少し落ち着いた。
二人が戦っていたすぐ後ろのうろで3人が休んでいたのを見つけてほっとする。ただ全員満身創痍という感じであちこち怪我をしているみたいだ。簡単な治療はしているようだが、完全には治っていない。よく見てみると、アルドさんは左手の指を切断していた。
「今日で3日目になると思いますが、ほとんど寝ずに戦っていたという感じでしょうかね?」
「おそらくそうだろう。殿下の動きがあまりにも悪かったからな。」
「テントを出して休ませた方がいいな。」
収納バッグから大型テントを出したんだが、言ってみれば普通のテントだった。
「あの~、もしよかったら自分の持っている拠点を出しますので、そこで休ませてはどうでしょう。おそらくそっちの方がゆっくり休めると思いますので。」
「拠点?」
「ええ、自分が作ったものなんですが、かなり快適だと思います。とりあえず出してみますね。」
拠点を出すとかなり驚いていたが、テントなどよりはこっちの方が休むことができると思う。飛翔魔法だとちょっと面倒なので、壁の一部を改造して入口を作っておく。出入り口は木のうろのところに出るようにしているので入りにくいが安全性は高いだろう。
この後ランドリアさんに中を確認してもらうとかなり驚いていたが、他のメンバーにも説明して中で休ませることになった。
「どうも魔獣の強さが外にいる魔獣より強いような印象ですが、通常は上階位の魔獣までは近寄ってこないはずです。」
「それだったら私たちが持ってきた魔物よけと効力は変わらないみたいだな。」
「あと、全員を休ませますので申し訳ありませんが、しばらくは周りの護衛をお願いしていいですか?
詳細はまたあとで話しますが、とりあえず5人の治療や装備の整備などを行いますのでその間の魔獣の対処をお願いします。」
「治療だったら私が・・・。」
「アルドさんの指が切断されていますが、治療は可能でしょうか?」
「えっと・・・切断先があればなんとかなったかもしれないけど、おそらく再生しなければならないので私にはちょっと難しいわね。サクラに戻って上級治癒魔法を使わないと難しいと思うわ。」
「自分たちならなんとかなると思いますので、任せてもらえますか?」
マルニキアさんはかなり驚いていたが、自分たちが上級治癒魔法を使えるとわかったのか、任せてくれるようだ。
一人ずつ浄化魔法をかけながら建物の中に連れて行ってベッドに寝かせる。軽々とみんなを運ぶ自分たちを見て驚いているが、実際は重量軽減魔法を使っているからね。
運ぶときにさすがに少し目を覚ましたが、声をかけると夢と思ったのか寝ぼけながら再び眠りについたようだ。ここまで意識がなくなるってかなり危なかったのかもしれないな。流石にスレインさんたちの装備関係はジェンに外してもらう。
アルドさんの指は親指が第二関節から人差し指が第一関節からが無くなっていた。ジェンの方が慣れていると思うのでアルドさんは任せて、自分は他の人の治療をする。
この後自分はクリスさん達の装備をできる範囲で修理と調整をしてみる。鍛冶道具を持ってきていてよかったよ。本格的に装備がだめになっていたらさすがに無理だったけど、まだこのくらいだったのでなんとかなるので助かった。しかし鍛冶のレベルを上げておいてよかったなあ。
途中でジェンもやってきて整備を手伝ってくれた。アルドさんは起きて確認しないとわからないが治療は無事に終わったらしい。なんとか違和感なく再生できたようだ。
2時間ほどかかってなんとか治療と装備の調整まで済ませたんだが、クリスさんたちはまったく目を覚まさなかった。
拠点から外に出てからリーダーのランドリアさんと話をする。
「どうですか?」
「今のところ魔物よけの効果かわからないが、そこまで魔獣が現れていない。1回だけ良階位の魔獣が襲ってきたが、討伐はしておいた。言われていたように上階位の魔獣についてはここをよけるように動いているので魔獣よけがうまく作動しているようだ。」
「クリスさんたちはおそらく3日間ほとんど眠れていなかったのではないかと思います。運んでいるときも半分眠ったような感じでしたから。今はベッドで寝かせて治癒魔法をかけましたのでこのまま寝かせてあげればいいかと思います。とりあえずは5人の回復を待ってから行動を開始した方がいいでしょうね。」
「そうだな。下手すれば明日の朝まで寝るかもしれないな。」
「この拠点についてや君たちの能力についていろいろと聞きたいことはあるんだが、事前に話したとおり詳細は聞かないし、他に話すことも無い。そこは信用してほしい。ただある程度能力だけは話してもらえると今後の対応として助かる。」
「わかりました。自分たちの剣術は先に確認してもらったレベルで間違いありません。魔法については先にお話しした通り基本全部使えますが、主に使っているのは雷、風、水、土という感じになりますが、威力で言えば火魔法が最も高くなります。他の属性も良階位くらいの威力はあるかもしれません。ただまだうまく当てられなかったりするので動きを止めてもらえないとダメージを与えるのは厳しいかもしれないです。
治癒と回復魔法については上級まで使えます。あと鍛冶スキルがありますので、みんなの装備について簡単にですが修理しておきました。他に関係しそうなものは罠解除くらいでしょうか?」
「多才だな。」
「いろいろと興味があるのでやってみたという感じですよ。」
「とりあえず交代で休憩を取ったほうがいいと思いますが、どういう風に割り振りますか?」
「ああ、さっき俺たちの中でも話していたんだが、とりあえず今回は俺たちのいつもの形でやっていこうと思っている。俺とマルニキア、ミスカルトとデルミストという組み合わせだ。ジュンイチ達は俺と一緒に組んでもらえばいい。殿下達が復帰できたら各パーティーで交代する形でいいだろう。」
「わかりました。」
遅めのお昼ご飯をとった後、拠点の話をする。
「この拠点にはいろいろと認識を阻害する魔道具を使っていますのですぐには見つかりにくいと思います。もちろんこんなところなので見張りは必要だと思いますが、中では十分に休息をとることができると思います。」
「すごいな・・・。これは自分で作ったのか?」
「ええ、最初はただの土を固めた建物だったんですが、ちょっとずつ改良していってこんな形になりました。」
「まあ家を持ち歩く冒険者もいることはいるが、自分でここまでこった物を造る人は初めて見たぞ。」
女性陣はシャワーやトイレまであることにかなり喜んでいた。
拠点の周りを少し整備して戦闘しやすいようにしておく。今日は早めの夕食となったが、せっかくなので少し時間をとって温かいスープなども作った。食事の後はミスカルトさんとデルミストさんに先に休んでもらうことにして先に見張りをすることにした。
二人には申し訳ないけどリビングに簡易ベッドを出して寝てもらう。奥の部屋ではクリスさんたちに寝てもらっているからね。
このまま夜まで見張りをしていたが、魔物よけの効果かあまり魔獣はやってこなくて助かった。そうはいっても2回ほど襲撃を受けたけどね。
2回とも良階位の巨猪だったんだけど、結構怖かった。風魔法を使うみたいで突撃とともに魔法で攻撃してくるってしゃれにならない。それをちゃんと受け止めるランドリアさんもすごいけどね。受け止めている間にマルニキアさんが弓で攻撃し、自分たちも雷撃、風斬、氷弾で攻撃しながら切りつけることでなんとか倒すことができた。やっぱり盾役がいると大分楽だね。
2回目の時には実験的に収納魔法の盾を使わせてもらった。最初の突進を止めることができたのである程度効果はありそうだ。ただその後は押さえ込めず、ランドリアさんに加勢してもらったけどね。
この途中で上空から襲撃を受けて危なかった。襲ってきたのは前と同じく魔鷹なんだが、上空にも索敵範囲を広げていたので気がついたけど、この視界の悪さの中襲われたらちょっと危なかったかもしれない。
二人とも上空からの攻撃には対処していなかったみたいでよく気がついたなと褒められた。引継ぎの時に上空にも気をつけるように言っておかないといけないね。
途中で交代するが、かなり快適だったみたいで十分休憩できたと言ってもらえてちょっとうれしかった。簡易ベッドを追加で出してから自分たちも休むことにした。鎧を完全に脱げないのがつらいけどしょうが無いよね。
「今回はよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそよろしく。殿下のことを考えると自分たちが行かないとだめだろうと立候補させてもらった。王家の剣というパーティーを組んでいる。基本は私たち4人だが、これ以上の人数が行ける場合も考えて私たちと連携をとりやすいメンバーを選んでいる。」
「王家の剣はクリスさんが所属していた優階位のパーティーですね。自分たちはまだ上階位なのでできるだけ足手まといにならないように頑張ります。」
出発まではパーティーの4人と簡単に打ち合わせを行う。自分たちの実力を話してから簡単に模擬訓練を行ってもらった。さすがに優階位と言うだけあって半端なく強い。
前衛は男性のランドリアさんと女性のミスカルトさんでそれぞれ盾と剣で戦うスタイルと二刀流で戦うスタイルのようだ。
ローブを着た女性のマルニキアさんは魔法使いで簡単な治癒魔法も使えるようだ。治癒魔法のレベルについて確認したところ、中級治癒魔法まで使えるらしく、何かの時は言ってくださいと言われる。
男性のデルミストさんは短剣と弓使いという感じのようだ。罠探知や解除についてのスキルもあるようだ。
「上階位と聞いてちょっと心配したが、優階位はもちろん無理だが、良階位でも中位くらいであれば防御に徹すればなんとか耐えられるくらいの実力はありそうだな。優階位の魔獣がいた場合はできるだけ離れておいてくれ。
魔法も全属性使えると言うことはそれなりの実力とみていいようだ。索敵は大丈夫と考えていいんだよな?」
「ええ、よほど気配を消す能力が高くない限りは優階位の魔獣も感知できますので大丈夫だと思います。」
「わかった、細かいところは現地で話していこう。」
装備について国からもっといいものを貸し出す話も出たんだが、慣れない装備だと逆に危ないので今のままで行くことにした。ただもしもの時のために装備の予備は色々と持ってきてくれているようだ。
準備ができたところで車に乗り込んでから出発する。自分たちは自分たちの車でついて行った。ここからでも転移できるかもしれないが、とりあえず現地に行く方がいいという判断だ。もしかしたら距離によって転移の人数が変わると言うこともあるからね。
30分ほどで遺跡に到着し、祭壇のところまで移動する。まずは志願してきた10人とお互いに手をつないでから魔力を込めて転移を行うように願ってみる。
「転移魔力の許容量を超えています。転移する魔力量を減らして下さい。」
頭の中に言葉が流れる。やっぱり人数制限があったか・・・。やはり大勢での転送は無理っぽい。人数を少しずつ減らしていくがなかなか転移されない。どこまで減らさないといけないのかと思いながら試していると、自分たちの他に王家の剣の4名になったところで転移した。
視界が変わったところですぐに隠密関係の魔道具を発動する。この魔道具に関しては流石に秘密にしている。
あたりの景色が見えてきて確認すると、周りは木々に覆われており、森の中にいるようだった。真っ暗ではないがかなり薄暗くてなんとか視界があるという感じ。
転移でやってきた場所は大きな岩の上のようだ。岩の上には特に何も無いんだが、そこから少し離れたところから森のようになっていた。少し離れたところに大きな木が一本立っており、それは天井まで伸びている感じだ。天井は薄ぼんやりと光っているおかげで視界があるみたい。
「森の中?」
すぐに索敵を行うと、すぐ近くでクリスさんたちの気配を感じる。戦っているのは上階位の魔獣みたいで、優階位や良階位の魔獣は近くにはいない感じだ。
「クリスさんたちの応援に向かいましょう!!」
転移がどんなものか分からなくて少し固まっていた王家の剣のメンバーもクリスさんたちに気がついたみたいであたりに注意しながらクリスさんたちのいる方へと向かう。流石に立ち直りは早い。
光魔法で少し明るくしてから走っていく。あたりは湿地のようにうっすらと水がたまっており、木々が生い茂っている。湿度が高いのか、なんとなくもやがかかっていてさらに視界が悪い。ところどころ建物の跡のようなところもあるが、植物が侵食していて元の姿はわからない。
少し離れたところにあった最初に目についた大きな木の根本付近でクリスさんたちの姿を発見する。
戦っているのはクリスさんとイントさんだけで他の3人の姿が見えない。ただ光魔法で辺りを照らしているのでここを拠点にしていたのかな?
戦っている魔獣は大山猫が数匹だけなんだが、クリスさんたちの動きが悪くて苦戦しているように見える。他の3人は大丈夫なのか?
王家の剣のメンバーが一気に魔獣達を倒すが、なんか魔獣の動きがかなりいい。大山猫が集団で戦闘していることも結構珍しいのでちょっと驚いた。
こっちに気付いたクリスさんとイントさんは、ほっとした表情になったんだが、そのまま倒れ込んでしまった。
「クリスさん!イントさん!」
二人の状態を確認するととりあえず息はしているようだ。マルニキアさんがすぐに治癒魔法をかけると呼吸も少し落ち着いた。
二人が戦っていたすぐ後ろのうろで3人が休んでいたのを見つけてほっとする。ただ全員満身創痍という感じであちこち怪我をしているみたいだ。簡単な治療はしているようだが、完全には治っていない。よく見てみると、アルドさんは左手の指を切断していた。
「今日で3日目になると思いますが、ほとんど寝ずに戦っていたという感じでしょうかね?」
「おそらくそうだろう。殿下の動きがあまりにも悪かったからな。」
「テントを出して休ませた方がいいな。」
収納バッグから大型テントを出したんだが、言ってみれば普通のテントだった。
「あの~、もしよかったら自分の持っている拠点を出しますので、そこで休ませてはどうでしょう。おそらくそっちの方がゆっくり休めると思いますので。」
「拠点?」
「ええ、自分が作ったものなんですが、かなり快適だと思います。とりあえず出してみますね。」
拠点を出すとかなり驚いていたが、テントなどよりはこっちの方が休むことができると思う。飛翔魔法だとちょっと面倒なので、壁の一部を改造して入口を作っておく。出入り口は木のうろのところに出るようにしているので入りにくいが安全性は高いだろう。
この後ランドリアさんに中を確認してもらうとかなり驚いていたが、他のメンバーにも説明して中で休ませることになった。
「どうも魔獣の強さが外にいる魔獣より強いような印象ですが、通常は上階位の魔獣までは近寄ってこないはずです。」
「それだったら私たちが持ってきた魔物よけと効力は変わらないみたいだな。」
「あと、全員を休ませますので申し訳ありませんが、しばらくは周りの護衛をお願いしていいですか?
詳細はまたあとで話しますが、とりあえず5人の治療や装備の整備などを行いますのでその間の魔獣の対処をお願いします。」
「治療だったら私が・・・。」
「アルドさんの指が切断されていますが、治療は可能でしょうか?」
「えっと・・・切断先があればなんとかなったかもしれないけど、おそらく再生しなければならないので私にはちょっと難しいわね。サクラに戻って上級治癒魔法を使わないと難しいと思うわ。」
「自分たちならなんとかなると思いますので、任せてもらえますか?」
マルニキアさんはかなり驚いていたが、自分たちが上級治癒魔法を使えるとわかったのか、任せてくれるようだ。
一人ずつ浄化魔法をかけながら建物の中に連れて行ってベッドに寝かせる。軽々とみんなを運ぶ自分たちを見て驚いているが、実際は重量軽減魔法を使っているからね。
運ぶときにさすがに少し目を覚ましたが、声をかけると夢と思ったのか寝ぼけながら再び眠りについたようだ。ここまで意識がなくなるってかなり危なかったのかもしれないな。流石にスレインさんたちの装備関係はジェンに外してもらう。
アルドさんの指は親指が第二関節から人差し指が第一関節からが無くなっていた。ジェンの方が慣れていると思うのでアルドさんは任せて、自分は他の人の治療をする。
この後自分はクリスさん達の装備をできる範囲で修理と調整をしてみる。鍛冶道具を持ってきていてよかったよ。本格的に装備がだめになっていたらさすがに無理だったけど、まだこのくらいだったのでなんとかなるので助かった。しかし鍛冶のレベルを上げておいてよかったなあ。
途中でジェンもやってきて整備を手伝ってくれた。アルドさんは起きて確認しないとわからないが治療は無事に終わったらしい。なんとか違和感なく再生できたようだ。
2時間ほどかかってなんとか治療と装備の調整まで済ませたんだが、クリスさんたちはまったく目を覚まさなかった。
拠点から外に出てからリーダーのランドリアさんと話をする。
「どうですか?」
「今のところ魔物よけの効果かわからないが、そこまで魔獣が現れていない。1回だけ良階位の魔獣が襲ってきたが、討伐はしておいた。言われていたように上階位の魔獣についてはここをよけるように動いているので魔獣よけがうまく作動しているようだ。」
「クリスさんたちはおそらく3日間ほとんど眠れていなかったのではないかと思います。運んでいるときも半分眠ったような感じでしたから。今はベッドで寝かせて治癒魔法をかけましたのでこのまま寝かせてあげればいいかと思います。とりあえずは5人の回復を待ってから行動を開始した方がいいでしょうね。」
「そうだな。下手すれば明日の朝まで寝るかもしれないな。」
「この拠点についてや君たちの能力についていろいろと聞きたいことはあるんだが、事前に話したとおり詳細は聞かないし、他に話すことも無い。そこは信用してほしい。ただある程度能力だけは話してもらえると今後の対応として助かる。」
「わかりました。自分たちの剣術は先に確認してもらったレベルで間違いありません。魔法については先にお話しした通り基本全部使えますが、主に使っているのは雷、風、水、土という感じになりますが、威力で言えば火魔法が最も高くなります。他の属性も良階位くらいの威力はあるかもしれません。ただまだうまく当てられなかったりするので動きを止めてもらえないとダメージを与えるのは厳しいかもしれないです。
治癒と回復魔法については上級まで使えます。あと鍛冶スキルがありますので、みんなの装備について簡単にですが修理しておきました。他に関係しそうなものは罠解除くらいでしょうか?」
「多才だな。」
「いろいろと興味があるのでやってみたという感じですよ。」
「とりあえず交代で休憩を取ったほうがいいと思いますが、どういう風に割り振りますか?」
「ああ、さっき俺たちの中でも話していたんだが、とりあえず今回は俺たちのいつもの形でやっていこうと思っている。俺とマルニキア、ミスカルトとデルミストという組み合わせだ。ジュンイチ達は俺と一緒に組んでもらえばいい。殿下達が復帰できたら各パーティーで交代する形でいいだろう。」
「わかりました。」
遅めのお昼ご飯をとった後、拠点の話をする。
「この拠点にはいろいろと認識を阻害する魔道具を使っていますのですぐには見つかりにくいと思います。もちろんこんなところなので見張りは必要だと思いますが、中では十分に休息をとることができると思います。」
「すごいな・・・。これは自分で作ったのか?」
「ええ、最初はただの土を固めた建物だったんですが、ちょっとずつ改良していってこんな形になりました。」
「まあ家を持ち歩く冒険者もいることはいるが、自分でここまでこった物を造る人は初めて見たぞ。」
女性陣はシャワーやトイレまであることにかなり喜んでいた。
拠点の周りを少し整備して戦闘しやすいようにしておく。今日は早めの夕食となったが、せっかくなので少し時間をとって温かいスープなども作った。食事の後はミスカルトさんとデルミストさんに先に休んでもらうことにして先に見張りをすることにした。
二人には申し訳ないけどリビングに簡易ベッドを出して寝てもらう。奥の部屋ではクリスさんたちに寝てもらっているからね。
このまま夜まで見張りをしていたが、魔物よけの効果かあまり魔獣はやってこなくて助かった。そうはいっても2回ほど襲撃を受けたけどね。
2回とも良階位の巨猪だったんだけど、結構怖かった。風魔法を使うみたいで突撃とともに魔法で攻撃してくるってしゃれにならない。それをちゃんと受け止めるランドリアさんもすごいけどね。受け止めている間にマルニキアさんが弓で攻撃し、自分たちも雷撃、風斬、氷弾で攻撃しながら切りつけることでなんとか倒すことができた。やっぱり盾役がいると大分楽だね。
2回目の時には実験的に収納魔法の盾を使わせてもらった。最初の突進を止めることができたのである程度効果はありそうだ。ただその後は押さえ込めず、ランドリアさんに加勢してもらったけどね。
この途中で上空から襲撃を受けて危なかった。襲ってきたのは前と同じく魔鷹なんだが、上空にも索敵範囲を広げていたので気がついたけど、この視界の悪さの中襲われたらちょっと危なかったかもしれない。
二人とも上空からの攻撃には対処していなかったみたいでよく気がついたなと褒められた。引継ぎの時に上空にも気をつけるように言っておかないといけないね。
途中で交代するが、かなり快適だったみたいで十分休憩できたと言ってもらえてちょっとうれしかった。簡易ベッドを追加で出してから自分たちも休むことにした。鎧を完全に脱げないのがつらいけどしょうが無いよね。
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