【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第一部 異世界王族からの依頼

149. 異世界780日目 驚く人達

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 翌朝、起きてから朝食を作っていると、クリスさんが起きてきたようだ。

「おはようございます。」

「あ・・・ああ、おはよう。」

 声をかけるとクリスさんはかなり驚いた顔で返事をしてきた。
 簡単に今の状況を説明したが、二度手間になるので他のみんなが起きてきたところで詳細は話すことにして、まずはクリスさんの話を聞くことにした。


~クリスSide~
 今日は王族の試練を行う日だ。試練と言っても危険はほとんどなく、もし魔獣に襲われたとしても上階位がいいところだろう。形骸化しているが、しきたりには従うことにしよう。

 今回使う道しるべの玉は宝物庫を見ていたときに見つけたものだ。他のものよりも輝きが強いのでせっかくだからとこれを使うことにしたんだ。


 遺跡に移動してから5人で祭壇の中に入り、王家の理を読む。王家の系譜についてだけでなく、「個人ではなく、国民のために尽くすべき」というような家訓のようなものが書かれている。古代ホクサイ語で書かれているので、私にしか読めないが、それを復唱することで確認して行く。
 全員で手をつないで祈りを捧げてから王家の印をセットし、血の契約をすれば終わりだと思ったんだが、目を開けるとなぜか違う景色になっていた。

「どういうことだ?」

 みんなも驚いているが、それより先に周りの索敵を行う。

「魔獣?しかも上階位だけでなく良階位の魔獣までいるぞ!」

 装備は身につけていたので剣を取り出してすぐに戦闘体制を整える。ただ岩の上では安定性も悪く、全方向から攻められたら分が悪い。すぐ近くに大きな木があったのでそちらに移動して木を背にして戦うことにした。

 魔獣は見慣れたものなんだが、戦闘の経験値が違うのかなかなか倒せない。良階位の魔獣でも結構手こずっているのに優階位の魔獣がでてきたら倒せるのだろうか?

 辺りにいた魔獣を倒して一息ついたんだが、しばらくするとまた魔獣がやってきて休む暇がない。魔獣の死体は邪魔になるので収納魔法に入れて行くがきりがないくらいだ。
 食べ物は収納バッグにある程度入れていたので合間を見て倒していくが、トイレなどは近くでするしかない。幸い木のうろのようなところがいくつかあったのでトイレと仮眠の場所に決めて交代で休みを取ることにした。
 まさかこんなことになるとは思っていなかったので野営道具をほとんど持ってきていなかったのが悔やまれる。魔獣よけもないし、テント関係も置いてきてしまったからな。

 魔獣は並~上階位のものが多いんだが、それでも倒さないわけにはいかない。

 場所を変えるか悩んだんだが、そもそもここがどこなのかもわからない。索敵してみても周りに魔獣がいるので森の中なのかもしれない。空はもやがかかっていて見通せないために余計に場所がわかりにくい。
 もし救援が来るとしたら同じ場所に来る可能性もあるので、あまり動かない方がいいのではないかという気持ちもあり、ここから動けない状態だ。きっと助けに来てくれるはずと言う希望を持って・・・。


 辺りの明るさは変わらないが、時計では夜を2回迎えている。なんとかここまで生き抜いてきたが、さすがに疲労がたまってきている。やはりちゃんと休憩を取れていないのが問題なんだろう。ここに来る前も結構睡眠不足だったからな。
 さすがに疲れがたまってくると、上階位の魔獣でも少し苦労してしまう。そう思っていたところで上空から魔鷹に襲われ、アルドが手をやられてしまった。なんとか指の切断ですんだが、止血をするのがやっとだった。このため剣を持つことができなくなってしまった。

 体がボロボロになりながらも諦めずに戦っているが、徐々に傷が増えていくのが分かる。俺はもうここまでか?そう思った頃に懐かしい声が聞こえてきた。幻聴か?そう思ったが、ジュンイチの顔を見てほっとしたせいか、意識が薄れていった。


 目を覚ますとベッドに寝かされていた。防具もすべて取り外されて、体もお風呂に入ったようにさっぱりしている。ここはどこだ?と思ってドアを出るとリビングのようなところでジュンイチ達が休息をとっていた。他にもランドリア達がいる。

~~~~


 クリスさんの話が終わる頃になって隣の部屋から声が聞こえてきた。ジェンが見に行くと、なにやら色々と声がしてから4人が出てきた。

「ジュンイチ!!助けに来てくれたのか?それはともかく、ここはどこなんだ?もう救出されたと言うことでいいのか?」

 スレインさんが代表して聞いているようだった。

「とりあえず朝食を食べながら話を聞いて下さい。状況を説明しますので。」

「先に一つだけ聞いていいか?」

 アルドさんが聞いてきた。

「私の指が治っているようなんだが、誰か治療をしてくれたのか?」

「ええ、切断されていましたのでジェンが治療しました。もし感覚がおかしいようであれば言ってください。」

「そうか、ジェンが・・・」

 かなり驚いているようだが、とりあえずは話を聞くことにしたようだ。


 皆の朝食を準備してから現在の状況を説明した。道しるべの玉で転移してきたこと、今やってきているメンバーのこと、おそらく今は祭壇のあった遺跡の地下にいること、地下空間は封印されて外からの助けは来ないと思われること、ただし出口はあると思われることを話した。
 クリスさんたちはかなり戸惑っていたが、無事に戻れるという希望が出たせいかちょっとほっとしていた。それ以前にゆっくり休めたのが大きいのだろう。

「とりあえず状況は理解できた。あまりゆっくりしていられないかもしれないが、いくつか聞きたいことがあるんだが聞いてもいいか?」

「はい、わかる範囲のことでしたら。」

「なぜ転移したことがわかったんだ?あとなぜこんな危険なことをしようと思ったんだ?」

「前に自分たちも道しるべの玉で転移して助かったことがあったからです。それで転移したと考えました。
 あと友人が危険な目に遭っていて、解決できる可能性を持つものが自分たちしかいないと思ったら助けに行きませんか?ランドリアさんたちも同じだと思いますよ。」

 なぜかみんなが驚いた顔をしていた。

「「「「「ありがとう。」」」」」

「いえ、まだ助かったわけでもないですから。」


 クリスさんたちもやっと落ち着いてきたみたいで色々と聞いてきた。

「拠点を持ち運ぶのは確かにあるんだが、一から自分で作ったというのがすごいな。」

「せっかく土魔法を覚えたので色々と。」

「あとは洗浄魔法や治癒魔法については驚いたな。洗浄魔法については落ち着いたら少し聞いてみたいものだ。」

「時間ができたときにある程度はお教えできますよ。ただどこまでイメージできるかはわかりませんけどね。」

 このあと修理と調整した装備を見てまた驚いていた。

「鍛冶スキルまで身につけていたのか・・・。」

 一通りの説明と準備が終わったところで拠点の外に出てから収納しておく。収納バッグの大きさにも驚いていたようだ。
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