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第一部 異世界王族からの依頼
154. 異世界798日目 結婚式
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今日は予定されていたクリスさんたちの結婚式だ。結婚式はサクラにある一番大きな神殿で行われるみたいで、かなりの人数が参加するようだ。
やはり平民になると言ってももと王族と言うことで1代限りだけど肩書きはあるみたい。まあそれはそうだろうね。何かの時に皇族へ復帰できるように王爵という爵位となっていた。他国では上位爵相当らしい。もうこの時点で平民ではないよね。
今日は天気もよくて結婚式にはいい感じだ。雨が降っていたらやっぱり大変だからねえ・・・。パレードとかもあるみたいだし。
購入した服に着替えて会場に向かうことにしたんだが、同じように着飾った人達の姿も結構見かける。招待されているのかと思ったんだが、どうもこういうときには着飾って見に行くらしく、参列するわけではないみたい。まあ、自分たちもあまり目立たなくてよかったかもしれない。
式は4時からなのでまだ1時間ほどあるんだが、結構人が多い。神殿の近くになるとパレード予定の沿道にかなりの人がやってきていた。なかなかすごいね。これだけの人が見に来るんだったらやっぱりパレードをしないとだめだろうね。だけどパレードってまだ2時間位あとじゃなかったかな?
兵士達は交通整理でかなり忙しそうにしている。大変そうだね。神殿の近くは交通整理されていて近づくことができそうにないんだけど、どこで受付をしているんだろう?
兵士に声をかけようとするが、「見学する人は向こうに回って下さい!!」と忙しそうなので声をかけにくい。
ふとみると人垣の一部が開いていて、車が中に入って行っている。入口で招待状のようなものを確認しているようなのであそこからかもしれない。やっぱり車で来た方がよかったのかな?とりあえずそっちにいてみると、兵士に止められる。
「ここは招待客の確認をする場所だ。見学だったらあっちに回ってくれ。」
「いえ、今日の結婚式に招待されているのでやってきたんです。」
そう言って招待状を見せるとかなり驚いていた。身分証明証の提示を求められたので見せると、招待状の内容と確認している。
「申し訳ありません。招待状も間違いありませんでした。こちらを進んであちらの受付に招待状を提出してください。」
やはりこんなところに来るときは車なのかな?歩いてきているのは自分たちだけみたいな感じもする。まあしょうが無いよな。他の招待客からもちょっと変な目で見られているのは気のせいではないかもしれないな。
「やっぱり車で来るべきだったかな?」
「なんか雰囲気的にそうみたいね。」
「でもクリスさんも特に何も言っていなかったからねえ。それが普通の認識だからあえて言われなかったのかな?まあ入れたからもうどっちでもいいけどね。」
なんか人がひしめき合っている中を歩いて行くのはちょっとつらい。なんか某映画の表彰のレッドカーペットのような感じだからね。
神殿の前に行くと、招待された人が受付をしていた。ここでコーランさんを見つけてちょっとほっとする。
「ジュンイチさん、ジェニファーさん、思ったより遅かったですね。」
「ぶらぶらと歩いてきたら思ったよりも時間がかかってしまいました。やっぱりこういうところは車で来るのが普通みたいですね。」
「あ、歩いてきたんですか・・・。まあ確かにこういうところに招待される人は車を持っている人が大半ですし、持っていない場合もレンタルでやってきますね。すみません、説明しておけばよかったですね。」
「いえ、ちゃんと入れたので大丈夫ですよ。」
「あっちの受付で招待状を出せばいいんですよね?」
そう言って招待状を取り出すと、コーランさんはかなり驚いていた。
「ジュンイチさん、招待状ってそれですか!?」
「え・・・これが何か?ジェンのも同じ感じですよ。なんかかなり立派な招待状で驚いたんですけどね。」
「もっとちゃんと確認しておくべきでした。今回の招待はクリストフ殿下よりも蠍の尾のメンバーからの招待と思っていたんですよ。その招待状をもらうと言うことはもしかしてクリストフ殿下ともかなり親しい仲なのでしょうか?
招待状の色によって招待客のランクが異なります。通常は白なんですが、特別招待の方はそのような青の封筒に入っているのです。通常は結婚式中とはいえ、国王陛下や殿下達王族にはあちらから声をかけられない限りは会話できないのですが、その招待客はこの式の間はこちらから声をかけることが許されているのです。かなりの栄誉と言っても間違いありません。
こんなことなら服装についてももう少し考えておくべきでした。申し訳ありません。」
「いえ、こちらも何も聞かなかったし、説明もちゃんとしていなかったので特に気にしなくていいですよ。
服装もこれじゃだめってことではないんでしょ?国王陛下や王妃殿下もそんなことを気にする方ではなかったですし・・・。」
「・・・、もしかして国王陛下や王妃殿下にも会われたことがあるのですか?」
「ええ、クリストフ殿下に王宮に招待されたときにお目にかかって、いろいろと話をしてくださいました。アルモニアに行くときにも紹介状を出してくださってとても助かったんですよ。」
なぜかコーランさんが天を仰いでいる。
「わかりました・・・。思った以上にジュンイチさんたちの交友関係が広いことがわかりました。とりあえず受付に行った方がよいかと思います。おそらく式までの待合室も私たちとは別の場所になると思いますので。」
「ありがとうございます。」
受付に行って招待状を見せると、かなり驚いた顔をされてちょっと離れた場所の受付に誘導される。身分証明証を見せて確認が終わった後、胸に何やらリボンのようなものをつけられて建物の中に案内された。
案内された会場に入ると、20人ほどの招待客が思い思いにくつろいでいた。外の会場よりもかなりゆったりしており、こっちは軽食とかまで準備されている。
クリスさんの兄弟達や前に打ち合わせの時にいた身分の高そうな人達の姿があるが、直接は知らない人ばかりなのでちょっといたたまれない。
言われていたように、ここにいる人の衣装は参考に見せてもらった中で一番派手だったものだった。だけどあの格好はちょっとつらいよなあ。
そう思っていると、クリスさんの弟と妹と思われる二人が声をかけてきた。年齢はほとんど自分たちと同じくらいのようだ。
どうやらクリスさんと第二王妃殿下から話を聞いていたらしく、色々と冒険の話を聞いてきた。二人ともクリスさんと同じく第二王妃殿下の子供のようだ。
色々と話をしていると時間になったみたいで神殿の方へと案内される。
神殿は数百人くらい入れる感じの広さだった。自分たちは席の前の方に案内されたんだけど、なんか並んでいる人達がそうそうたるメンバーなんだけどいいのか?
しばらくして式が始まった。こっちでも結婚式の時には音楽が流されるみたいだ。そのあと教会の脇のドアからクリスさんが一人で入場してきて、神様への挨拶をする。白を基調としたスーツのような服装だ。
そのあと反対のドアから花嫁の4人がドレスに身を包んでやってきて神様に挨拶をする。彼女たちは一人一人デザインが若干違うが、マーメイドだったかな?という感じのウエディングドレスだった。やっぱり白というのはこの世界でも一緒なのね。
このあと神父が神の教えを簡単に朗読していく。朗読方法がちょっと特殊なので正直何を言っているのかわからない。お経を聞いている感じだ。おそらくありがたい話なんだろう。
一通りの朗読が終わった後、クリスさんは自分で指輪をはめた後、それぞれの想いを述べながら一人一人に指輪をはめていく。全員の指輪をはめた後、その手を上に掲げて、宣誓をする。
「「「「「私たちは永遠の愛を神の前に誓います!!」」」」」
その宣誓の後、割れんばかりの拍手が鳴り響く。
このあと席の中央の通路を5人が並んで進んでいく。このまま神殿の外に出てからパレードとなるようだが、自分たちはそのまま会場の方へと移動となるようだ。
神殿から披露宴のようなことが行われる会場に行く前にもう一度控え室に誘導される。控え室からはテラスに出ることができてパレードの様子を眺めることができた。どうやら一般人たちの部屋からだと狭い窓から少し見るくらいしかできないようだ。
オープンカーのような車に乗って沿道の人に手を振りながら走っている。かなりゆっくりなペースで走っているので一周回るのには結構時間がかかりそうだな。
しばらくしたところで披露宴会場へと移動となり、中に入ると、席に誘導してくれた。入ってきたのはこっちの部屋にいた人だけなので他の人達はまだ後になるのだろう。席は結構前の方なのだがいいのだろうか?
同じテーブルにあと4人分準備されているのでどういう人が来るのかが心配である。とりあえず先ほどの部屋のメンバーではないのが救いだ。
しばらくしてから他の人達が入ってきたんだが、自分たちの席にやってきたのは王家の剣のメンバーだった。
「おお、ジュンイチにジェニファーか。さすがに二人は別格扱いみたいだな。まあ殿下があそこまで慕っていたらそうだよな。」
「別格扱いはうれしいのはうれしいんですけど、他の人達が特別なメンバー過ぎて正直こまりましたよ。王族の方々が結構気さくな人達だったからよかったですけど・・・。」
「まあそれはしょうが無いさ。俺たちでもこの席に呼ばれるのはかなりの栄誉だからな。殿下と同じパーティーだったから呼ばれたが、他の兵士で呼ばれているのは兵隊長とかかなり上の人達だけだからな。」
披露宴は特に変わった感じではなく、最初に国王陛下からの挨拶、乾杯の挨拶、祝辞が次々に述べられていく。まあその間食事ができるからまだいいんだけどね。食事は好きな物を好きなだけ注文できるスタイルだ。
祝辞などがひとまず終わって自由な時間となったみたいで席を移動する人が出てきた。クリスさんたちに声をかけられるのは、このリボンをもらっている人と2名だけ一緒に連れて行くことができるらしい。
せっかくなので王家の剣のメンバーと挨拶に行くことにした。4人に声をかけると「いいのか?」とかなり喜んでいた。さすがにここでコーランさんたちを呼ぶわけにもいかないしね。
係の人に言って順番が来たら声をかけてもらうことにする。しばらくして順番がやってきたみたいで皆のところに挨拶へ。
「みなさん、このたびはおめでとうございます。とても幸せそうでうらやましいですよ。」
「スレインさん、アルドさん、イントさん、デルタさん。とても幸せそうでほんとにいい人に出会えてよかったですね。」
このあと王家の剣のメンバーもお祝いの言葉を述べた後、しばらく話をする。やっぱり結婚式の準備はかなり大変だったみたいで、これでやっとゆっくりできると愚痴っていた。結婚式自体はとても楽しみにしていたみたいだけど、やっぱり大変だよね。
「ほんとに幸せそうでよかったなあ。」
「ほんとだよね。うらやましいなあ・・・。」
「・・・。」
やっぱり女性にとって結婚式というのはあこがれなのかねえ。
続いて国王陛下の席にも行ってみる。さすがにこっちはジェンと二人で行くことにした。
「陛下、このたびはおめでとうございます。今回はクリスさんからご招待いただきましたので参加させていただきました。今日の結婚式はとても楽しみにしていたんです。」
「うむ、こうやって結婚式ができるのも二人のおかげだ。息子達の晴れ姿を見守ってくれ。」
「はい。」
「二人がいなかったらこの結婚自体が怪しかったくらいだからね。二人にはとても感謝してるわ。」
王妃殿下もかなりご機嫌のようだ。他の王族の人達も簡単に紹介されるが、特に平民と言って見下す感じではなかったのでほっとする。
国王陛下に挨拶すると、周りからちょっと奇異の目で見られる。やっぱり自分たちのような平民が国王陛下と話するのは目立ちすぎたか?まあ、気にしてもしょうがないな。
このあとコーランさんや他に招待されていたショウバンさんに挨拶をしていく。ショウバンさんは自分たちがいたことにかなり驚いていたようだ。
最後になり、新郎のクリスさんの言葉が始まった。普通に聞いていたんだが、このあと自分のことを言い出して焦ってしまった。
「今回私が結婚できたのも私の親友の助けがあったからです。私たちを巡り合わせてくれ、さらに命の危機も救ってくれました。この恩は一生忘れないと思います。」
名前は出なかったけど、ちょっと勘弁してほしい。「クリストフ殿下が親友というなんて一体だれだ?」とざわざわしていたのがちょっとこわい。それはそうだろう・・・。もと王子の親友って紹介は勘弁してくれよ。
式も無事に終わったんだが、逃げるように退出する。この日は結構遅くまで披露宴があったため、宿に戻ったのはもう7時を回っていた。帰りはコーランさんの車に乗せてもらったので助かったけどね。出るときも優先順位があったみたいだけど、自分たちは先に出させてくれたのでよかったよ。そうでなかったらまだ大分遅くなっていたかもしれない。
やはり平民になると言ってももと王族と言うことで1代限りだけど肩書きはあるみたい。まあそれはそうだろうね。何かの時に皇族へ復帰できるように王爵という爵位となっていた。他国では上位爵相当らしい。もうこの時点で平民ではないよね。
今日は天気もよくて結婚式にはいい感じだ。雨が降っていたらやっぱり大変だからねえ・・・。パレードとかもあるみたいだし。
購入した服に着替えて会場に向かうことにしたんだが、同じように着飾った人達の姿も結構見かける。招待されているのかと思ったんだが、どうもこういうときには着飾って見に行くらしく、参列するわけではないみたい。まあ、自分たちもあまり目立たなくてよかったかもしれない。
式は4時からなのでまだ1時間ほどあるんだが、結構人が多い。神殿の近くになるとパレード予定の沿道にかなりの人がやってきていた。なかなかすごいね。これだけの人が見に来るんだったらやっぱりパレードをしないとだめだろうね。だけどパレードってまだ2時間位あとじゃなかったかな?
兵士達は交通整理でかなり忙しそうにしている。大変そうだね。神殿の近くは交通整理されていて近づくことができそうにないんだけど、どこで受付をしているんだろう?
兵士に声をかけようとするが、「見学する人は向こうに回って下さい!!」と忙しそうなので声をかけにくい。
ふとみると人垣の一部が開いていて、車が中に入って行っている。入口で招待状のようなものを確認しているようなのであそこからかもしれない。やっぱり車で来た方がよかったのかな?とりあえずそっちにいてみると、兵士に止められる。
「ここは招待客の確認をする場所だ。見学だったらあっちに回ってくれ。」
「いえ、今日の結婚式に招待されているのでやってきたんです。」
そう言って招待状を見せるとかなり驚いていた。身分証明証の提示を求められたので見せると、招待状の内容と確認している。
「申し訳ありません。招待状も間違いありませんでした。こちらを進んであちらの受付に招待状を提出してください。」
やはりこんなところに来るときは車なのかな?歩いてきているのは自分たちだけみたいな感じもする。まあしょうが無いよな。他の招待客からもちょっと変な目で見られているのは気のせいではないかもしれないな。
「やっぱり車で来るべきだったかな?」
「なんか雰囲気的にそうみたいね。」
「でもクリスさんも特に何も言っていなかったからねえ。それが普通の認識だからあえて言われなかったのかな?まあ入れたからもうどっちでもいいけどね。」
なんか人がひしめき合っている中を歩いて行くのはちょっとつらい。なんか某映画の表彰のレッドカーペットのような感じだからね。
神殿の前に行くと、招待された人が受付をしていた。ここでコーランさんを見つけてちょっとほっとする。
「ジュンイチさん、ジェニファーさん、思ったより遅かったですね。」
「ぶらぶらと歩いてきたら思ったよりも時間がかかってしまいました。やっぱりこういうところは車で来るのが普通みたいですね。」
「あ、歩いてきたんですか・・・。まあ確かにこういうところに招待される人は車を持っている人が大半ですし、持っていない場合もレンタルでやってきますね。すみません、説明しておけばよかったですね。」
「いえ、ちゃんと入れたので大丈夫ですよ。」
「あっちの受付で招待状を出せばいいんですよね?」
そう言って招待状を取り出すと、コーランさんはかなり驚いていた。
「ジュンイチさん、招待状ってそれですか!?」
「え・・・これが何か?ジェンのも同じ感じですよ。なんかかなり立派な招待状で驚いたんですけどね。」
「もっとちゃんと確認しておくべきでした。今回の招待はクリストフ殿下よりも蠍の尾のメンバーからの招待と思っていたんですよ。その招待状をもらうと言うことはもしかしてクリストフ殿下ともかなり親しい仲なのでしょうか?
招待状の色によって招待客のランクが異なります。通常は白なんですが、特別招待の方はそのような青の封筒に入っているのです。通常は結婚式中とはいえ、国王陛下や殿下達王族にはあちらから声をかけられない限りは会話できないのですが、その招待客はこの式の間はこちらから声をかけることが許されているのです。かなりの栄誉と言っても間違いありません。
こんなことなら服装についてももう少し考えておくべきでした。申し訳ありません。」
「いえ、こちらも何も聞かなかったし、説明もちゃんとしていなかったので特に気にしなくていいですよ。
服装もこれじゃだめってことではないんでしょ?国王陛下や王妃殿下もそんなことを気にする方ではなかったですし・・・。」
「・・・、もしかして国王陛下や王妃殿下にも会われたことがあるのですか?」
「ええ、クリストフ殿下に王宮に招待されたときにお目にかかって、いろいろと話をしてくださいました。アルモニアに行くときにも紹介状を出してくださってとても助かったんですよ。」
なぜかコーランさんが天を仰いでいる。
「わかりました・・・。思った以上にジュンイチさんたちの交友関係が広いことがわかりました。とりあえず受付に行った方がよいかと思います。おそらく式までの待合室も私たちとは別の場所になると思いますので。」
「ありがとうございます。」
受付に行って招待状を見せると、かなり驚いた顔をされてちょっと離れた場所の受付に誘導される。身分証明証を見せて確認が終わった後、胸に何やらリボンのようなものをつけられて建物の中に案内された。
案内された会場に入ると、20人ほどの招待客が思い思いにくつろいでいた。外の会場よりもかなりゆったりしており、こっちは軽食とかまで準備されている。
クリスさんの兄弟達や前に打ち合わせの時にいた身分の高そうな人達の姿があるが、直接は知らない人ばかりなのでちょっといたたまれない。
言われていたように、ここにいる人の衣装は参考に見せてもらった中で一番派手だったものだった。だけどあの格好はちょっとつらいよなあ。
そう思っていると、クリスさんの弟と妹と思われる二人が声をかけてきた。年齢はほとんど自分たちと同じくらいのようだ。
どうやらクリスさんと第二王妃殿下から話を聞いていたらしく、色々と冒険の話を聞いてきた。二人ともクリスさんと同じく第二王妃殿下の子供のようだ。
色々と話をしていると時間になったみたいで神殿の方へと案内される。
神殿は数百人くらい入れる感じの広さだった。自分たちは席の前の方に案内されたんだけど、なんか並んでいる人達がそうそうたるメンバーなんだけどいいのか?
しばらくして式が始まった。こっちでも結婚式の時には音楽が流されるみたいだ。そのあと教会の脇のドアからクリスさんが一人で入場してきて、神様への挨拶をする。白を基調としたスーツのような服装だ。
そのあと反対のドアから花嫁の4人がドレスに身を包んでやってきて神様に挨拶をする。彼女たちは一人一人デザインが若干違うが、マーメイドだったかな?という感じのウエディングドレスだった。やっぱり白というのはこの世界でも一緒なのね。
このあと神父が神の教えを簡単に朗読していく。朗読方法がちょっと特殊なので正直何を言っているのかわからない。お経を聞いている感じだ。おそらくありがたい話なんだろう。
一通りの朗読が終わった後、クリスさんは自分で指輪をはめた後、それぞれの想いを述べながら一人一人に指輪をはめていく。全員の指輪をはめた後、その手を上に掲げて、宣誓をする。
「「「「「私たちは永遠の愛を神の前に誓います!!」」」」」
その宣誓の後、割れんばかりの拍手が鳴り響く。
このあと席の中央の通路を5人が並んで進んでいく。このまま神殿の外に出てからパレードとなるようだが、自分たちはそのまま会場の方へと移動となるようだ。
神殿から披露宴のようなことが行われる会場に行く前にもう一度控え室に誘導される。控え室からはテラスに出ることができてパレードの様子を眺めることができた。どうやら一般人たちの部屋からだと狭い窓から少し見るくらいしかできないようだ。
オープンカーのような車に乗って沿道の人に手を振りながら走っている。かなりゆっくりなペースで走っているので一周回るのには結構時間がかかりそうだな。
しばらくしたところで披露宴会場へと移動となり、中に入ると、席に誘導してくれた。入ってきたのはこっちの部屋にいた人だけなので他の人達はまだ後になるのだろう。席は結構前の方なのだがいいのだろうか?
同じテーブルにあと4人分準備されているのでどういう人が来るのかが心配である。とりあえず先ほどの部屋のメンバーではないのが救いだ。
しばらくしてから他の人達が入ってきたんだが、自分たちの席にやってきたのは王家の剣のメンバーだった。
「おお、ジュンイチにジェニファーか。さすがに二人は別格扱いみたいだな。まあ殿下があそこまで慕っていたらそうだよな。」
「別格扱いはうれしいのはうれしいんですけど、他の人達が特別なメンバー過ぎて正直こまりましたよ。王族の方々が結構気さくな人達だったからよかったですけど・・・。」
「まあそれはしょうが無いさ。俺たちでもこの席に呼ばれるのはかなりの栄誉だからな。殿下と同じパーティーだったから呼ばれたが、他の兵士で呼ばれているのは兵隊長とかかなり上の人達だけだからな。」
披露宴は特に変わった感じではなく、最初に国王陛下からの挨拶、乾杯の挨拶、祝辞が次々に述べられていく。まあその間食事ができるからまだいいんだけどね。食事は好きな物を好きなだけ注文できるスタイルだ。
祝辞などがひとまず終わって自由な時間となったみたいで席を移動する人が出てきた。クリスさんたちに声をかけられるのは、このリボンをもらっている人と2名だけ一緒に連れて行くことができるらしい。
せっかくなので王家の剣のメンバーと挨拶に行くことにした。4人に声をかけると「いいのか?」とかなり喜んでいた。さすがにここでコーランさんたちを呼ぶわけにもいかないしね。
係の人に言って順番が来たら声をかけてもらうことにする。しばらくして順番がやってきたみたいで皆のところに挨拶へ。
「みなさん、このたびはおめでとうございます。とても幸せそうでうらやましいですよ。」
「スレインさん、アルドさん、イントさん、デルタさん。とても幸せそうでほんとにいい人に出会えてよかったですね。」
このあと王家の剣のメンバーもお祝いの言葉を述べた後、しばらく話をする。やっぱり結婚式の準備はかなり大変だったみたいで、これでやっとゆっくりできると愚痴っていた。結婚式自体はとても楽しみにしていたみたいだけど、やっぱり大変だよね。
「ほんとに幸せそうでよかったなあ。」
「ほんとだよね。うらやましいなあ・・・。」
「・・・。」
やっぱり女性にとって結婚式というのはあこがれなのかねえ。
続いて国王陛下の席にも行ってみる。さすがにこっちはジェンと二人で行くことにした。
「陛下、このたびはおめでとうございます。今回はクリスさんからご招待いただきましたので参加させていただきました。今日の結婚式はとても楽しみにしていたんです。」
「うむ、こうやって結婚式ができるのも二人のおかげだ。息子達の晴れ姿を見守ってくれ。」
「はい。」
「二人がいなかったらこの結婚自体が怪しかったくらいだからね。二人にはとても感謝してるわ。」
王妃殿下もかなりご機嫌のようだ。他の王族の人達も簡単に紹介されるが、特に平民と言って見下す感じではなかったのでほっとする。
国王陛下に挨拶すると、周りからちょっと奇異の目で見られる。やっぱり自分たちのような平民が国王陛下と話するのは目立ちすぎたか?まあ、気にしてもしょうがないな。
このあとコーランさんや他に招待されていたショウバンさんに挨拶をしていく。ショウバンさんは自分たちがいたことにかなり驚いていたようだ。
最後になり、新郎のクリスさんの言葉が始まった。普通に聞いていたんだが、このあと自分のことを言い出して焦ってしまった。
「今回私が結婚できたのも私の親友の助けがあったからです。私たちを巡り合わせてくれ、さらに命の危機も救ってくれました。この恩は一生忘れないと思います。」
名前は出なかったけど、ちょっと勘弁してほしい。「クリストフ殿下が親友というなんて一体だれだ?」とざわざわしていたのがちょっとこわい。それはそうだろう・・・。もと王子の親友って紹介は勘弁してくれよ。
式も無事に終わったんだが、逃げるように退出する。この日は結構遅くまで披露宴があったため、宿に戻ったのはもう7時を回っていた。帰りはコーランさんの車に乗せてもらったので助かったけどね。出るときも優先順位があったみたいだけど、自分たちは先に出させてくれたのでよかったよ。そうでなかったらまだ大分遅くなっていたかもしれない。
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