229 / 430
第二部 異世界の争い
209. 異世界1402日目 交渉結果
しおりを挟む
翌日はいろいろと町を見て回った。以前に比べて町に活気がある印象だ。町の管理者が変わったとしても普通の人達には大きな影響はないのだろう。その日の夜遅くになって明日の朝一で商会に来てほしいとの連絡が入った。
翌日の1時になったところで商会に行くと、すぐに前と同じ場所に案内された。そこにはハクさんの他に強面の男性が座っているんだが、こっちをにらんできてちょっと怖い。冒険者かもしれないが、実力的に優階位は十分にありそうな感じだ。自分たちを抑えるために用意したと言うことはないと信じたい。まあその場合は全力で逃げるけどね。
「おはよう。こっちにいるのは同士のカルバトスという。根はいいやつなので見た目は怖いが気にしないでくれ。今回一緒に話を聞きたいというので同席してもらうことになった。」
まあそう言われたら同席を断るわけにもいかないよな。
「「はじめまして。」」
「さっそく本題に入ろう。関係者と連絡を取り、入国許可証のことについて話をしたんだが、結論から言うと許可証を発行することになった。」
おお~~、よかった。
「ありがとうございます。」
「事前に話をしていたとおり、まずはタイカン国への出国を行い、そこで現在持っている情報を提出してもらう。そのあとそっちで遺跡の確認をしてから俺たちに追加情報を提供するという流れでいいんだよな。」
「はい、それで問題ありません。」
「わかった。許可証はお前達2名分でいいんだよな?」
「あ、あの、できれば一緒に出国させたい人達がいるのでその人達の分も用意してもらうことはできますか?」
「まあ数名くらいならなんとかするがどういう人間だ?」
「この国の貴族なんですが、かなりの善政を敷いて領民に慕われていた人で、数年後には他国に移ろうと考えていた家族なんです。もし今回の政変でひどい目に遭ってしまったらさすがにかわいそうだと思っていまして・・・。」
二人でいろいろと説明していると横に座っていたカルバトスさんが口を開いた。
「素性は隠しているが、もしかしてハーマン領の貴族のことじゃないのか?」
「え・・・えぇ。そうなんですが・・・。」
「あそこの領主は俺も会ったことがある。一度魔獣の討伐依頼を受けてそこに行ったんだが、平民冒険者の俺たちだったのにわざわざ来てくれたと歓待してくれた貴族だ。冒険者時代の話で盛り上がってな、いろいろとよくしてくれたんだよ。領民にもかなり慕われているところだったな。」
「カルバトスがそこまで言うのなら変な人間ではないのだろう。まあ準備はしてやってもいいが、まだ無事かどうかが問題だな。」
「ええ、それで今からハーマンまで行ってみようと思っています。それで往復で10日くらいと思うのですが、その間待ってもらうことはできますか?」
「わかった。どっちにしろ許可証の準備にも少し時間がかかるからな。もしこっちに戻ってきたときに俺がいなくても話が通るようにしておくから心配するな。」
ずっと気になっていた彼らのことも許可が下りるようでほっとした。
「でも自分たちで言っては何ですが、よく許可が下りましたね。」
「まあな。しかしこの革命でこの国が生まれ変わっても国力が無ければ結局やっていけない。今回の話が本当ならかなりの交渉材料となるからな。
正直なところ入国許可証くらいでは釣り合わないくらいなのにそんなものと引き換えでいいのか、だまされているんじゃないのかと逆にそこを疑われたさ。」
「まあそうでしょうね。でも自分たちにとっては必要の無いものですし、この国の人達のことを考えるとそれが一番いいのかなと思ったんですよ。
別に革命のことについては反論もありませんし、この国のことなのでそれを否定もしません。もちろん血を流さずに革命ができれば一番いいのでしょうけど、そこまで理想主義者でもありません。この国はかなり病んでいるのはこの目でも見ましたので国が変わるというのはいいことかもしれないと思っています。
タイカン国が後押ししてこの国の革命が進んだとしても、この国の人間が望むのであればそれはそれで仕方が無いことでしょう。他の国のように貴族社会が残る方法はいくらでもあったのに、この国が政策を失敗したのも間違いないことでしょうからね。」
「ああ、その通りだ。この国は生まれ変わらないといけない。そのために血が流れるのは仕方が無いと考えている。もちろん無駄な血を流す必要ないとは思っているがな。」
「でも、これだけは言わせてください。きれい事だけでは世の中は変わらないことは理解しています。でも市井の人達が少しでも今よりも良い生活ができるように尽力してください。上が変わっても結局生活が変わらなければ革命の意味がありません。」
「ああ、そのために俺たちは革命を起こしたんだ。今より悪くなっては本末転倒だ。その言葉忘れないように頑張るさ。」
約束は取り付けたのでまずはハーマン領に行くのが先決だな。すでに戦闘は王都周辺まで進んでいるようなので、ハーマン領まではおそらく大丈夫と言うことだったのですぐに出発することにした。
翌日の1時になったところで商会に行くと、すぐに前と同じ場所に案内された。そこにはハクさんの他に強面の男性が座っているんだが、こっちをにらんできてちょっと怖い。冒険者かもしれないが、実力的に優階位は十分にありそうな感じだ。自分たちを抑えるために用意したと言うことはないと信じたい。まあその場合は全力で逃げるけどね。
「おはよう。こっちにいるのは同士のカルバトスという。根はいいやつなので見た目は怖いが気にしないでくれ。今回一緒に話を聞きたいというので同席してもらうことになった。」
まあそう言われたら同席を断るわけにもいかないよな。
「「はじめまして。」」
「さっそく本題に入ろう。関係者と連絡を取り、入国許可証のことについて話をしたんだが、結論から言うと許可証を発行することになった。」
おお~~、よかった。
「ありがとうございます。」
「事前に話をしていたとおり、まずはタイカン国への出国を行い、そこで現在持っている情報を提出してもらう。そのあとそっちで遺跡の確認をしてから俺たちに追加情報を提供するという流れでいいんだよな。」
「はい、それで問題ありません。」
「わかった。許可証はお前達2名分でいいんだよな?」
「あ、あの、できれば一緒に出国させたい人達がいるのでその人達の分も用意してもらうことはできますか?」
「まあ数名くらいならなんとかするがどういう人間だ?」
「この国の貴族なんですが、かなりの善政を敷いて領民に慕われていた人で、数年後には他国に移ろうと考えていた家族なんです。もし今回の政変でひどい目に遭ってしまったらさすがにかわいそうだと思っていまして・・・。」
二人でいろいろと説明していると横に座っていたカルバトスさんが口を開いた。
「素性は隠しているが、もしかしてハーマン領の貴族のことじゃないのか?」
「え・・・えぇ。そうなんですが・・・。」
「あそこの領主は俺も会ったことがある。一度魔獣の討伐依頼を受けてそこに行ったんだが、平民冒険者の俺たちだったのにわざわざ来てくれたと歓待してくれた貴族だ。冒険者時代の話で盛り上がってな、いろいろとよくしてくれたんだよ。領民にもかなり慕われているところだったな。」
「カルバトスがそこまで言うのなら変な人間ではないのだろう。まあ準備はしてやってもいいが、まだ無事かどうかが問題だな。」
「ええ、それで今からハーマンまで行ってみようと思っています。それで往復で10日くらいと思うのですが、その間待ってもらうことはできますか?」
「わかった。どっちにしろ許可証の準備にも少し時間がかかるからな。もしこっちに戻ってきたときに俺がいなくても話が通るようにしておくから心配するな。」
ずっと気になっていた彼らのことも許可が下りるようでほっとした。
「でも自分たちで言っては何ですが、よく許可が下りましたね。」
「まあな。しかしこの革命でこの国が生まれ変わっても国力が無ければ結局やっていけない。今回の話が本当ならかなりの交渉材料となるからな。
正直なところ入国許可証くらいでは釣り合わないくらいなのにそんなものと引き換えでいいのか、だまされているんじゃないのかと逆にそこを疑われたさ。」
「まあそうでしょうね。でも自分たちにとっては必要の無いものですし、この国の人達のことを考えるとそれが一番いいのかなと思ったんですよ。
別に革命のことについては反論もありませんし、この国のことなのでそれを否定もしません。もちろん血を流さずに革命ができれば一番いいのでしょうけど、そこまで理想主義者でもありません。この国はかなり病んでいるのはこの目でも見ましたので国が変わるというのはいいことかもしれないと思っています。
タイカン国が後押ししてこの国の革命が進んだとしても、この国の人間が望むのであればそれはそれで仕方が無いことでしょう。他の国のように貴族社会が残る方法はいくらでもあったのに、この国が政策を失敗したのも間違いないことでしょうからね。」
「ああ、その通りだ。この国は生まれ変わらないといけない。そのために血が流れるのは仕方が無いと考えている。もちろん無駄な血を流す必要ないとは思っているがな。」
「でも、これだけは言わせてください。きれい事だけでは世の中は変わらないことは理解しています。でも市井の人達が少しでも今よりも良い生活ができるように尽力してください。上が変わっても結局生活が変わらなければ革命の意味がありません。」
「ああ、そのために俺たちは革命を起こしたんだ。今より悪くなっては本末転倒だ。その言葉忘れないように頑張るさ。」
約束は取り付けたのでまずはハーマン領に行くのが先決だな。すでに戦闘は王都周辺まで進んでいるようなので、ハーマン領まではおそらく大丈夫と言うことだったのですぐに出発することにした。
14
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる