【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第二部 異世界の争い

211. 異世界1413日目 貴族の扱い

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 さすがに町に入るわけにもいかないので途中の宿泊は拠点となる。拠点は前に改造したままでお客さん用の部屋も準備できているのでそのまま使用してもらうことにした。ハーマンさんたちの部屋にはベッドは二つしか無いけど、かなり大きなものを置いているので子供が二人いてもなんとかなるだろう。

 拠点を見て驚いていたが、中に入るとさらに驚いていた。部屋の中は土足ではない形だが、デミルさんと奥さんのカルーサさんはこのスタイルも知っていたみたいだ。子供達はちょっと戸惑っていたけどね。
 部屋の中の説明をしてから食事の準備をして夕食をとる。さすがに今日は出来合のものを簡単に温めたものだけだ。食事の後はいろいろと話をするが、最初はずっとこの拠点の話になってしまった。土魔法を使って造ったことを話すとかなり驚いていたけどね。やはりかなり珍しいようだ。

 デミルさんは冒険者時代に持っていた収納バッグがあり、そのバッグに冒険者時代の稼ぎや装備関係をすべて入れていたらしく、すぐにでも冒険者として活動できると言っていた。ただ訓練はしていたが、さすがに勘が鈍っているのでランクの低い魔物からやっていかないといけないとはいっているけどね。
 資金についても冒険者時代に貯めていたものと、貴族になってからの個人的な収入については持ってきているので生活するには問題が無いらしい。それを元手に商売を始めるかどうするかは今後考えていくようだ。
 子供達のダミアンくんとカルミちゃんには貴族の心得は教育していたが、もともと国を出るつもりだったので他国での生活のことなどは教えており、家でも基本的に自分のことは自分でするという方針でやっていたようなので、他国での生活も大丈夫だろうと言っている。
 子供達は拠点の生活にかなり興奮しているようだ。それに久しぶりに両親と一緒に寝られるのがうれしいみたい。

 車での移動時間が長いのでさすがに子供達にはきついだろうと途中で適度に休憩を取りながら南下していく。休憩の時にはおもちゃを出してやったりもしたのでなんとか大丈夫そうだ。移動中は音楽もかけてあげていたので喜んでいた。まあ今までの車だとうるさすぎて音楽どころじゃなかっただろうからね。
 交代で運転をしていったせいもあり、5日目の昼過ぎにオカロニアに戻ることができた。町に入るときには身分証明の確認があるのでいったん自分たちだけで町に入りハクさんに連絡をつける。

 ハクさんはまだこの町に滞在していたのでハクさん自ら対応してくれた。とりあえず用意したペンダントで町中に入ることができたので商会に移動してから話をすることになった。子供達は少し休憩してもらうことにする。さすがに打ち合わせの席にいるのはつらいだろうからね。まだ聞き分けのいい子たちでよかったよ。

 挨拶をしたいというのでカルバトスさんも一緒に顔を出してきた。

「お久しぶりです。あの節はいろいろとお世話になりました。」

「いやいや、こちらこそ、あのときは予定の魔獣以外にもいろいろとやっていただいて、おかげで助かりましたよ。」

 しばらく挨拶をして出て行った後、ハクさんとの話となった。

「カルバトスがわざわざ顔を出すとはよほど気に入られたんだなあ。」

「いや、依頼者として普通の対応をしただけですよ。」

 「それが普通できないんだけどな・・・」と、ハクさんは少し笑いながら話を進めてきた。

「とりあえずペンダントは先ほど渡したように準備をしたんだが、やはり身分証明証の確認があるためそのままではタイカン国への入国はできない可能性が高い。特にデミル爵については第一職業に貴族と書かれているため隠すことができないからな。」

 どうやら現在はサビオニア国での職業書き換えについては全面停止されているらしく、勝手に行った場合は関係者全員が処罰されることになっているらしい。そもそもその魔道具が差し押さえられているため無理らしい。また記録の照合も行われるために書き換えたとしても結局はばれてしまうことになるようだ。

「そこで国を出るには一つしか方法がないと思っているが・・・。」

「奴隷ですか・・・。」

 ダミアンさんが小さくつぶやいた。

「ああ、奴隷であれば今のところ身分証明証の確認をされることはない。やはりもと貴族となると奴隷になるというのは耐えがたいらしく、奴隷に身分を落としてという動きはまだないようなんだ。奴隷に落ちてその後解放されるという保証もないし、経歴には残るからな。
 ただ状況によっては今後は奴隷も確認されることになるかもしれないが、現時点ではまだ奴隷に関してはまだ確認作業は行われていないのでもし国を出るなら今しかないだろう。」

 デミルさんとカルーサさんはうなずき合ってから声を上げた。

「私たちはその件に関しては問題ない。この二人の奴隷ということにしてもらえば、ちゃんと開放もしてくれるだろう。ヤーマンの貴族位を持っていることから、護衛という形であればちょうどいいと思う。すぐに奴隷商人の手配をお願いしたい。」

 ハクさんはちょっと驚いた表情をしていたが、そう言うとわかっていたのかすぐに奴隷商人を連れて戻ってきた。

 子供達は特に奴隷契約は必要ないようなので二人に奴隷契約を行う。契約を行うと、顔に紋章が浮かび上がってきた。そして自分の身分証明証に二人の名前が所有者として記載された。

 デミルさんの職業には奴隷の次に冒険者の記載があるので奴隷から解放されれば冒険者と言うことになるだろうと言われる。タイカン国で奴隷商人の手配を行ってくれるようなのでそのあたりは大丈夫だろう。購入金額や借金内容などの書類を作成して形上の手続きは完了した。
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