【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第二部 異世界の争い

216. 異世界1432日目 古代の連絡通路

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 遺跡があると書かれていたが、詳細な地図があったわけではない。しかし見つかった地図に「とい・めい・うら」の数値が書かれたいたので助かった。道しるべの玉で位置を確認することでまっすぐに遺跡の場所にやってくることができたからね。これが無くて地図だけだと簡単に見つけるのは無理だっただろう。

 場所を確認すると、予想通り入口は土砂で埋もれていた。まあ山の斜面に造られているようだったので崩れ落ちているのは想定内だ。それにそのままだったらすでに見つかっていたと思うからね。
 調査の途中で襲われてもいやなので、まずは付近の魔獣を倒しておく。いるのは上階位くらいまでなのでやはりこの付近は魔素が薄いのかもしれない。おかげで倒すのが楽でよかった。
 崩れ落ちている土砂を除いていくと、土砂の中に壁らしきものが見えてきた。これかな?さらに掘り進むと空洞が見えてきたので中を索敵するが、魔獣の気配はなさそうだ。まあもしこの中で魔獣が発生したとしても何もなければすぐに死んでしまうだろう。

 体が入るくらいのスペースを開けて中に入るとわずかに風の流れを感じるのでおそらく空気孔か何かがあるのだろう。とりあえず安全君が必要かな?あたりを確認すると同じように地下に下りる通路があったのでこちらも連絡通路の下の空洞に下りるところだと思われる。

 中に入って確認すると今回通ってきた連絡通路と同じような感じだった。広さは片側2車線くらいの大きさで車は余裕で通れそうだ。照明はやはり劣化しているせいか使うことはできない。やっぱりケーブルがやられているのだろう。ただ壁はしっかりしているのでいきなり壊れると言うことはなさそうである。
 すでに昼を過ぎていたので拠点を出してからここでいったん泊まっていくことにした。おそらく反対側まで結構な時間がかかると思うんだけど、中で泊まるのはできれば避けたいからね。このあたりには上階位までの魔獣しかいないようなので今回は通常の拠点を出して休むことにした。
 掘った土などは収納魔法で遠くに移動させ、掘った穴もわかりにくいようにしたのでもしここに誰かやってきてもよほど探す目的がなければ見つかることもないだろう。


 翌日は朝早めに起きてから移動を開始する。確認が取れないと車の移動はさすがに危ないのでここからは走って行くしかないだろう。入口は少しの空気穴だけ開けて塞いでおく。魔獣に入られてもいやだからね。
 中では光魔法であたりを照らして進んでいく。入口付近に小さな魔獣石が落ちているのでやはり内部でも魔獣が湧くこともあったんだろうね。全部足しても数千ドールなので年数を考えるとかなり湧く頻度は少なかったと思われる。
 途中で何カ所か壁の一部が崩れているところがあったが、通路が崩壊して埋まっているというところはなかった。このくらいだったらまだ容易に修復できるだろう。

 さすがに車ではないのでペースは遅いが、6時間ほどかかって反対側付近までやってきた。距離がわからないが、南の連絡通路よりは長いような気もする。
 このあたりにも魔獣石が同じくらい落ちていたので魔獣も出口近くまでやってきて死んでいったんだろう。土砂を取り除いていくが、思ったよりも埋まっていたみたいで時間がかかってしまった。外に出ると外はすでに暗くなっていたので探索はできそうにない。周辺を索敵するがやはり上階位の魔獣しか見当たらなかったので拠点を出して休むことにした。

 ガイド本の地図を確認してみると、前に行ったタラトクの町の先にあった遺跡付近につながっているようだ。少し先が湖になっているところだろう。


 翌朝早く近くを散策すると、予想通り湖があったので間違いはなさそうだった。それから通路に戻り、来た道を引き返す。壁などを確認しながら行ったので時間がかかってしまったがしょうが無い。タイカン国に戻ったときにはすでに夜中になっていた。とりあえず車で走っても大丈夫そうな感じだったのでよかった。
 拠点で休みを取ってから翌朝早くから移動を開始する。睡眠はあまりとれなかったが、急いで戻ってから宿で休んだ方がいいだろうと強行軍でムニアの町を目指す。魔獣がほとんどいないことと、途中の道を通りやすくしていたこともあり、行きよりも1日早く3日でムニアの町に戻って来ることができた。さすがに疲れていたのでこの日は宿に入ってから速攻で眠りについた。



 翌日はかなり遅めに起きたので大分すっきりとすることができた。ロンさんに連絡を取り、遺跡を発見したことを伝える。遺跡の確認をしてもらわないといけないので、明日の朝一で出発することにして、この日はゆっくりと過ごすことにした。



 翌日の朝に町の入口でロンさんと合流して出発する。二人だけだと走った方がいいんだが、ロンさんもいるので行けるところまでは車で移動することにした。ある程度走ったところで車を降りて走って移動をすることになるが、ロンさんのペースがどのくらいかわからないので徐々にペースを上げるしかないだろう。

「ペースを少しずつ上げていきますので、無理と思ったところで早めに言ってください。無理をすると結局遅くなりますので。」

「わかった。こう見えても移動速度には自信があるから大丈夫だと思うよ。」

 そう言っていたので徐々に移動速度を上げていくが、いつもの7割くらいの速度で声がかかった。

「すまない。これ以上はちょっと厳しい。」

 やっぱり全力で走ると無理か・・・。しょうが無いので5~6割くらいの速度で走って行くことにした。移動時間は倍くらいはかかるかなあ?まあその辺はしょうが無いだろう。

 途中で拠点で泊まることになるが、ロンさんにはゆっくり休んでもらい、自分たちは交代で見張りをすることにする。もちろん泊まるのは小さな拠点の方だ。

「正直いって驚きです。自分もそれなりに自信があったのですが、さすがについて行けませんでした。」

 ロンさんは申し訳なさそうに言ってきたが、まあしょうがないだろうな。体重をかなり軽くして移動している自分たちと比べたらこれでも十分に付いてきている方だと思う。重量軽減魔法は正直反則だよな。

「気にしないでください。走る速度と持久力にはかなり自信があるので・・・。自分たちが交代で見張りをしますので早めに休みを取ってください。」


 翌日から7日かけて連絡通路の入り口に到着する。さすがに優階位の魔獣が出るエリアになると移動ペースも落とさないといけなかったのはしょうがない。先に倒していたこともあり、新たに発見した優階位の魔獣は一匹だけだったのでまだよかったよ。
 ロンさんには待機してもらい、前と同じように魔道具を使って退治したんだが、さすがに優階位の魔獣を倒したことには驚いていた。まあ戦闘方法は見せていないので特殊な倒し方をしているのはわからなかったと思うけどね。


 遺跡に到着してからここでいったん休憩を取り、連絡通路は車で移動することにした。一応トンネル内を確認していることと、移動時間を考えると車の方が安全という判断からだ。
 反対側に抜けてから地図をベースに大体の位置を説明する。

「方向や位置関係からここがモクニク国のこの位置になると思われます。証明はできませんが、あの湖は以前きたところなので間違いは無いと思います。」

 しばらくあたりの様子をうかがっていたロンさんが答えてきた。

「大丈夫です。時間や太陽の位置、山の位置などから考えてもモクニク国であるのは間違いなさそうです。詳細な場所は私もわかりかねますが、ジュンイチさんの言われている場所で間違いないと思いますよ。
 よかった。これで交渉もうまくいくでしょう。ありがとうございます。」


 引き返すには時間も厳しいため、今回もここで泊まっていくことになった。この日はロンさんといろいろと話をした。連絡通路が見つかってほっとしたのか、ハクさんや革命軍のことも少し話をしてくれた。
 ただ連絡通路のことについて本当に教えてもらって良かったのかと改めて聞いてきた。おそらくこの連絡通路と先に見つかった通路のことを考えるとこの大陸の流通の大きな革命が起こるだろう。その経済価値は計り知れないものになりそうだ。
 今回の連絡通路が与える影響について少し話をすると「そこまで理解していたのですか・・・。」とちょっと驚いていたようだ。この世界での輸送手段のベースが陸送のみと言うことを考えると価値は半端ないよね。

「そこまでの価値があるとわかっていながら、対価として求めるものがタイカン国への入国許可証のみで良かったのですか?」

「えぇ、今のところ生活にすごく困っているというわけでもありませんし、対価を考えても特に欲しいものがあるわけでもありませんよ。もちろんもっとお金があればもっと贅沢ができるとは思いますが、いまでも十分な感じですからね。」

 まあそれにそこまでお金があったとしても元の世界に戻ると考えると必要がないものだからなあ。

「それにしてもあまりにも・・・。」

「あと、できればこの革命がこの一回でうまくいってほしいと思っているんです。革命は起こすよりその後のことが大変だと思います。ロンさん達には失礼な言い方ですが、革命がうまくいったとしてもそのあとの政権が破綻して再び革命が起きたり、起きなくても前よりもひどい状態になったと言うことは過去の歴史においても多くの実例があります。
 そして新しい国を造る際には経済は重要なこととなります。おそらく今回の革命の援助の対価の支払いはかなりの負担になると思いますが、この連絡通路はその負担をかなり軽減できるものだと思っています。ここからはあなたたちの力が問われることだと思います。」

「そうね。おそらくすでに色々検討されているとは思いますし、今の詳細な数値はわかりませんが、従来の交易ルートと、あなた方が見つけたルート、そして今回のこのルートを考えると、流通量が単純に3倍というわけではないでしょう。今のルートの輸送時間を考えると・・・」

 少しでも助言になればと思い、具体的な数値を上げながら今回のルートにおける経済性の説明をしていく。ロンさんは自分たちの話に聞き入っていた。

「まあ、あくまで一般的な内容から推測した数値ですので、どこまで正しいかわかりませんが、今後の参考にしていただけたらと思います。一応簡単に紙にも書いておきましたので渡しておきますね。」

「あ、ありがとうございます。大変参考になりました。」



 翌朝早めに出発してからタイカン国側に戻り、そこから走ってムニアの町に戻る。町に着くとロンさんはすぐに連絡を取ってから町を出て行った。やはり詳細については直接話さないとまずいのだろう。

 今回の依頼は遺跡の調査依頼と言うことで正式に冒険者の依頼ということにしてくれていた。報奨金は申し訳程度だったんだけど、確認してみると、少し上乗せしてくれていたようだ。ありがたいものだ。


 ちなみにもう一つの連絡通路のことも話をしておいたが、こっちは魔獣のレベルが高いので調査はできなかったと言うことでおおよその場所だけは伝えておいた。そこまで必要は無いとは思うが、いずれ調査してもらってもいいのかもしれないね。地図だけで見つけられるかはわからないけどね。
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