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第二部 長かった異世界旅行?
257. 異世界2338日目 古代兵器の調査
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翌日にはすぐにメンバーを招集してくれて王家の遺跡に向かうことになった。出発前に実力の確認のために簡単に王家の剣の人たちと手合わせをしたんだが、かなり褒めてもらえてちょっとうれしかった。
「まさかこの短期間でここまで実力が上がっているとは驚きだ。しかも魔法の方が得意というのにこのレベルなんだろ?」
「そうね。前から実力はかなりあるとは思っていましたが、以前よりも格段に上がっていますね。
しかもあの突撃は目を見張るものがありますよ。警戒していたから対応が出来ましたが、少しでも油断していたらやられていたかもしれませんね。」
折角の必殺技だったんだけど、防がれてしまったのはちょっと悔しかったが、かなり褒めてもらえたのは良かった。
「二人ともそんな隠し技を持っていたのか。すごいな。」
クリスさんがちょっとうらやましそうに言ってきた。
「必殺技っていうわけじゃないですけど、やっぱりこういう特別なものってほしいじゃないですか。」
「まあちょっとあこがれるものではあるな。」
「でしょ?なのでいろいろと試して突撃について研磨していったんですよ。防御を考えない捨て身だったらもう少し速度も上げられますよ。」
「切り札か・・・。でも使いたくはないものだな。」
「ええ、それを使わないといけない場面には遭遇したくないですよ。」
王家の遺跡に到着してから遺跡の内部に入り、地下遺跡の入口のある場所へと向かう。
「ここに来るのも久しぶりだな。あの時からもう3年以上経っているんだな。」
「そうですね。あのときはほんとにどうなるかと思いましたよ。」
「みんなが助けに来てくれたからこそ今の私があるのだからな。いくら感謝してもしたりないよ。」
入口は岩や土で封鎖しているので土を取り除いていかなければならない。まあ今回は大きめの収納バッグを準備してくれていたので、前よりは楽だった。ほんとは収納魔法でも十分なんだが、あまり容量をおおっぴらにするわけにもいかないからね。
そうは言っても思ったよりも時間がかかってしまったので、遺跡の入口が見えてきたところでいったん外に出て、休んで行くことにした。きっちり休息をとって、明日の朝から調査をした方がいいからね。外だったら基本的に奇襲を受けることもないはずだ。
「やっぱりこの拠点はいいわねえ。最近はあまり野宿することはないけど、ほんとに宿に泊まるのと差が無いわよね。」
久しぶりに泊まる自分たちの拠点に感激しているようだ。
「今回は人数も多いので少し小さいですが人数分のベッドを持ち込んでいます。狭くなりますが、部屋も区切っていますので、部屋割りは夫婦で3部屋とクリスさんでよろしいですか?」
一応防音機能は付けているが、まあこんなところで励むような愚行は犯さないだろう。
「ああ、それでかまわない。」
このあと収納していたいろいろなお弁当や料理を温めてから皿に盛りつけて食事にする。やはり電子レンジがあると便利だ。
「さすがにお酒は出せませんが、食事内容は豪華にしました。」
「「「「「おお~~~!!」」」」」
「へたな食堂よりも豪華じゃないか。」
「買ってきたものを温め直しただけですよ。さすがに一から作るまでは手間をかけられませんから。」
食事をとった後はそうそうに眠りについた。魔獣よけの魔道具もあるし、もしもの時は警報も出るので見張りは立てなかったが、最低限の装備は身につけていないといけないのはしょうがない。
翌朝も温めたお弁当で簡単に済ませてから準備に取りかかる。
「ジュンイチ達の武器はもしかしてオリハルコン製なのか?」
装備を変更したのをみてランドリアさんが聞いてきた。
「ええ、ハクセンに行ったときに修行させてもらった鍛冶屋で作ってもらったんです。ナンホウ大陸に行ったときに遺跡を発見して材料は手に入れていたのでかなり安くしてもらえたんですよ。ただ普段から装備していると目立ってしまうのでいつもは別のものを使っています。」
「ちょっと見せてもらってもいいか?」
そういわれたので剣を渡す。
「もしかしてハルマの鍛冶屋製のものか?」
「ええ、そうですけど・・・、ご存じなんですか?」
まさかハルマの鍛冶屋を知っているとは驚きだ。
「ハクセンからやってくる使節団に随行する護衛達から聞いたんだがな。最近になって使い出した鍛冶屋と聞いている。」
鍛冶屋でラクマニアさんの護衛できていたマイルスさんの話をすると、ちょっと驚いていた。
「もともとはジュンイチ達が見つけた鍛冶屋だったのか。」
「いろいろと店を見て回っていたら偶然見つけたんです。冒険者の間では有名になり始めていたので、いずれは有名になっていたとは思いますけどね。そのときにお願いして店で働かせてもらったおかげで鍛冶のレベルも結構上がりましたよ。」
「鍛冶もやっているのか?」
「ええ、鋼の装備までならちゃんと整備も出来ますし、ミスリルでも簡単であれば整備できますよ。まあ、そうはいってもさすがに定期的にちゃんとしたところに整備に出していますけどね。」
ヤーマンまで知られているって聞いたらハルマさんはどう思うかなあ。
いろいろと話しながら通路を進み、ドアのところまでやって来た。こっちからは魔物の気配を感じることができないので、もし魔獣が出てきたときのことを考えて配置をしてからクリスさんに扉の封印を解除してもらう。
扉を開けるが、いきなり魔獣が襲ってくることはなかった。内部は前に来たときと特に変わった様子はない。ここから少し北上したら古代兵器があるところに行くはずだ。
遺跡内には良階位や優階位の魔獣もいるが、退治が目的ではないので出来るだけ戦闘はしないように進んでいく。魔獣に気づかれたら襲ってくるが、先に魔獣の位置さえ把握していれば大丈夫だろう。
隠密のスキルを使っている魔獣もいるので気をつけなければならないが、索敵のスキルも上がっているので不意打ちはなさそうだ。まあ索敵があっても完璧じゃないけどね。
先頭は王家の剣の前衛のランドリアさんと弓のデルミストさん、その後にクリスさんと魔法使いのマルニキアさん、その後ろに自分たちで、しんがりにはミスカルトさんという布陣で進む。索敵能力はデルミストさんと自分たちの能力が高いのでこれで前後左右の警戒を行う。
魔獣が近づいてくると、布陣を決めて交代で倒していく。思ったよりも実力は上がっているみたいだが、やはりかなりそこまで余裕がないというのは仕方が無いところだ。まあ武器の恩恵も大きいけどね。
しばらく歩いてから古代兵器を封印したという建物までやって来た。入口にはここに入るときと同じように王家の血で封印されていたのでクリスさんに解除してもらう。建物の中には魔物の気配はないので大丈夫のようだ。
中には通路が続いており、慎重に進んでいくが途中で罠が仕掛けられていた。床を踏むと穴から何かが飛んで来るというものだ。おそらく毒液とかじゃないかと思われる。その罠が一定おきにあるだけなのでそこまで危ないことはない。途中に魔獣石が転がっているので罠にかかった魔獣がいたのかもしれない。
しばらく通路を進むと、その奥が広い部屋になっていた。その部屋の中央に古代兵器と思われる物体が鎮座している。
「これが古代兵器か?」
そこにあったのは今回現れたという古代兵器とは異なるが、似ていると言ってもいいのかもしれない。4本足の蜘蛛の様な形で背中に出っ張りがあり、そこには腕のような刃が4本ついていた。この部分で攻撃するのかな?
動きださないか心配したんだが、完全に機能が失われているようだ。某アニメみたいに動かないものが呪文で動き出すというのはやめてよね。
「調査を行いますので、申し訳ありませんが辺りの警戒をお願いします。」
他の5人には辺りを警戒しながら待機してもらい、ジェンと二人で調査を開始する。
年月は経っているが、まだそこまで朽ちている印象はない。しかしよく見てみると、さびのようなものが出てきているところがある。オリハルコンやミスリルであればさびは出てこないはずなので普通の金属も使われているのだろう。
鑑定と錬金を使って確認していくと、使われている金属はオリハルコン、ミスリル、鉄が使われていた。純粋にオリハルコンの部分、ミスリルの部分、ミスリルと鉄の合金の部分となっている。やはりすべての部分を希少な金属で作ることは出来なかったと言うことだろう。
錬金での解体が出来ないのでおそらくどこかに付与魔法が施されているのだろう。いったん解体してから付与魔法を取り除かないと無理だろうな。そうは言ってもどうやって解体していけばいいのかもよく分からないからなあ。
完全には分からないが、足などの主要部分は外骨格という感じで表層部分がオリハルコンで覆われているようだ。この厚さだったらオリハルコンの合金でもなんとかなるかもしれない。まあある程度の腕がいるだろうけどね。
上半身の刃はオリハルコンで出来ているみたいで、かなり堅そうだ。これは今の武器だと破壊することは出来ないだろうし、まともに受けたらこっちの装備が壊れてしまうだろう。この部分をどう押さえるかがネックになりそうだ。
あとは本命の核の部分だが・・・ここかな?わかりにくくなっているが、背中の突起の脇の部分に四角く線が入っているのを見つけた。どうやらハッチのようになっているみたいで、その隙間に金属が埋め込まれているようだ。
本体はミスリルだが、埋め込まれていたのはミスリルと銅の合金で少しさびがでているのでまだわかりやすかったよ。もともとは塗装とかもあったと思うのでどこにあるのかはぱっと見では分からなかったんじゃないだろうか?
今回現れた古代兵器はどんな状態なんだろうか?若干形が異なるとは言え、基幹システムは同じようなものであれば位置がそこまでは違わないと思う。というかそうでないと見つけるのはかなり厳しくないか?
取り除ける金属部分を錬金で取り除くと手で開けられるように引っかけるところが出てきたのでそこを引っ張るとハッチが開いた。埋め込んでいる金属は特に加工を阻害するようにはなっていないようだ。わざわざ開けるようになっているんだから、それが取り除けなかったら意味が無いからな。
ただ研究資料を見るとこの金属が個体によって異なるというのが問題なんだよね。鑑定が出来ればいいけど、今の人たちだと何の金属か分からないから錬金でも取り除くことが出来ないんじゃないだろうか?錬金の金属を集める方法が手に持った金属と同じものを集めるという形だからね。
ハッチの中は玉がセットされていた。今回現れた古代兵器が同じか分からないが、古代遺跡の調査にも書かれていたのでおそらくどの兵器にもある程度共通すると考えていいだろう。
ただ問題はこの核となる部分を取り外すことが出来るかどうかだな。資料を見る限り、起動中は簡単には取り外すことが出来ないので破壊するしかないとなっていたんだよね。玉はしっかりとオリハルコンの台座に固定されているしね。
玉を鑑定してみると詳細を見ることが出来た。
名称:古代兵器の核
詳細:魔素を貯めた玉。魔獣石を加工して作成されたもので、魔素を貯めることができる。壊れているため魔素の合成は出来ない。
品質:良
耐久性:並
効果:高
効力:魔素合成、魔素放出
遺跡の資料にあったとおりだな。魔獣石を加工して魔獣石の性質を持ったままの玉だ。これは品質が悪くて壊れてしまったせいで兵器が動かなかったと言うことだろうか?
そして魔獣石から加工されたと言うことは・・・普通では破壊できないと言うことだ。それ以前に魔獣石を加工できたのか。
魔獣石は変形させることも、壊すことも出来ない。分解していくと1ドール以下には分解されない。そこから魔素を消費するとなくなってしまうだけで、魔獣石自体を破壊することは出来ない。これはこの世界の常識となっている。
前にジョニーファンさんとも話をしたときに出来ないといっていたので、今の世界ではおそらく出来ないのだろう。
そう考えると現在ではこの兵器の核を破壊することが出来ないと言うことになる。倒すとしたら核を壊すのではなく、普通に倒すしかないと言うことになるが、出来るのだろうか?
とりあえずジェンと意見をまとめてから遺跡から出る。後の処理はクリスさん達がやってくれるようなので自分たちは早急にサクラに戻ることにした。
「まさかこの短期間でここまで実力が上がっているとは驚きだ。しかも魔法の方が得意というのにこのレベルなんだろ?」
「そうね。前から実力はかなりあるとは思っていましたが、以前よりも格段に上がっていますね。
しかもあの突撃は目を見張るものがありますよ。警戒していたから対応が出来ましたが、少しでも油断していたらやられていたかもしれませんね。」
折角の必殺技だったんだけど、防がれてしまったのはちょっと悔しかったが、かなり褒めてもらえたのは良かった。
「二人ともそんな隠し技を持っていたのか。すごいな。」
クリスさんがちょっとうらやましそうに言ってきた。
「必殺技っていうわけじゃないですけど、やっぱりこういう特別なものってほしいじゃないですか。」
「まあちょっとあこがれるものではあるな。」
「でしょ?なのでいろいろと試して突撃について研磨していったんですよ。防御を考えない捨て身だったらもう少し速度も上げられますよ。」
「切り札か・・・。でも使いたくはないものだな。」
「ええ、それを使わないといけない場面には遭遇したくないですよ。」
王家の遺跡に到着してから遺跡の内部に入り、地下遺跡の入口のある場所へと向かう。
「ここに来るのも久しぶりだな。あの時からもう3年以上経っているんだな。」
「そうですね。あのときはほんとにどうなるかと思いましたよ。」
「みんなが助けに来てくれたからこそ今の私があるのだからな。いくら感謝してもしたりないよ。」
入口は岩や土で封鎖しているので土を取り除いていかなければならない。まあ今回は大きめの収納バッグを準備してくれていたので、前よりは楽だった。ほんとは収納魔法でも十分なんだが、あまり容量をおおっぴらにするわけにもいかないからね。
そうは言っても思ったよりも時間がかかってしまったので、遺跡の入口が見えてきたところでいったん外に出て、休んで行くことにした。きっちり休息をとって、明日の朝から調査をした方がいいからね。外だったら基本的に奇襲を受けることもないはずだ。
「やっぱりこの拠点はいいわねえ。最近はあまり野宿することはないけど、ほんとに宿に泊まるのと差が無いわよね。」
久しぶりに泊まる自分たちの拠点に感激しているようだ。
「今回は人数も多いので少し小さいですが人数分のベッドを持ち込んでいます。狭くなりますが、部屋も区切っていますので、部屋割りは夫婦で3部屋とクリスさんでよろしいですか?」
一応防音機能は付けているが、まあこんなところで励むような愚行は犯さないだろう。
「ああ、それでかまわない。」
このあと収納していたいろいろなお弁当や料理を温めてから皿に盛りつけて食事にする。やはり電子レンジがあると便利だ。
「さすがにお酒は出せませんが、食事内容は豪華にしました。」
「「「「「おお~~~!!」」」」」
「へたな食堂よりも豪華じゃないか。」
「買ってきたものを温め直しただけですよ。さすがに一から作るまでは手間をかけられませんから。」
食事をとった後はそうそうに眠りについた。魔獣よけの魔道具もあるし、もしもの時は警報も出るので見張りは立てなかったが、最低限の装備は身につけていないといけないのはしょうがない。
翌朝も温めたお弁当で簡単に済ませてから準備に取りかかる。
「ジュンイチ達の武器はもしかしてオリハルコン製なのか?」
装備を変更したのをみてランドリアさんが聞いてきた。
「ええ、ハクセンに行ったときに修行させてもらった鍛冶屋で作ってもらったんです。ナンホウ大陸に行ったときに遺跡を発見して材料は手に入れていたのでかなり安くしてもらえたんですよ。ただ普段から装備していると目立ってしまうのでいつもは別のものを使っています。」
「ちょっと見せてもらってもいいか?」
そういわれたので剣を渡す。
「もしかしてハルマの鍛冶屋製のものか?」
「ええ、そうですけど・・・、ご存じなんですか?」
まさかハルマの鍛冶屋を知っているとは驚きだ。
「ハクセンからやってくる使節団に随行する護衛達から聞いたんだがな。最近になって使い出した鍛冶屋と聞いている。」
鍛冶屋でラクマニアさんの護衛できていたマイルスさんの話をすると、ちょっと驚いていた。
「もともとはジュンイチ達が見つけた鍛冶屋だったのか。」
「いろいろと店を見て回っていたら偶然見つけたんです。冒険者の間では有名になり始めていたので、いずれは有名になっていたとは思いますけどね。そのときにお願いして店で働かせてもらったおかげで鍛冶のレベルも結構上がりましたよ。」
「鍛冶もやっているのか?」
「ええ、鋼の装備までならちゃんと整備も出来ますし、ミスリルでも簡単であれば整備できますよ。まあ、そうはいってもさすがに定期的にちゃんとしたところに整備に出していますけどね。」
ヤーマンまで知られているって聞いたらハルマさんはどう思うかなあ。
いろいろと話しながら通路を進み、ドアのところまでやって来た。こっちからは魔物の気配を感じることができないので、もし魔獣が出てきたときのことを考えて配置をしてからクリスさんに扉の封印を解除してもらう。
扉を開けるが、いきなり魔獣が襲ってくることはなかった。内部は前に来たときと特に変わった様子はない。ここから少し北上したら古代兵器があるところに行くはずだ。
遺跡内には良階位や優階位の魔獣もいるが、退治が目的ではないので出来るだけ戦闘はしないように進んでいく。魔獣に気づかれたら襲ってくるが、先に魔獣の位置さえ把握していれば大丈夫だろう。
隠密のスキルを使っている魔獣もいるので気をつけなければならないが、索敵のスキルも上がっているので不意打ちはなさそうだ。まあ索敵があっても完璧じゃないけどね。
先頭は王家の剣の前衛のランドリアさんと弓のデルミストさん、その後にクリスさんと魔法使いのマルニキアさん、その後ろに自分たちで、しんがりにはミスカルトさんという布陣で進む。索敵能力はデルミストさんと自分たちの能力が高いのでこれで前後左右の警戒を行う。
魔獣が近づいてくると、布陣を決めて交代で倒していく。思ったよりも実力は上がっているみたいだが、やはりかなりそこまで余裕がないというのは仕方が無いところだ。まあ武器の恩恵も大きいけどね。
しばらく歩いてから古代兵器を封印したという建物までやって来た。入口にはここに入るときと同じように王家の血で封印されていたのでクリスさんに解除してもらう。建物の中には魔物の気配はないので大丈夫のようだ。
中には通路が続いており、慎重に進んでいくが途中で罠が仕掛けられていた。床を踏むと穴から何かが飛んで来るというものだ。おそらく毒液とかじゃないかと思われる。その罠が一定おきにあるだけなのでそこまで危ないことはない。途中に魔獣石が転がっているので罠にかかった魔獣がいたのかもしれない。
しばらく通路を進むと、その奥が広い部屋になっていた。その部屋の中央に古代兵器と思われる物体が鎮座している。
「これが古代兵器か?」
そこにあったのは今回現れたという古代兵器とは異なるが、似ていると言ってもいいのかもしれない。4本足の蜘蛛の様な形で背中に出っ張りがあり、そこには腕のような刃が4本ついていた。この部分で攻撃するのかな?
動きださないか心配したんだが、完全に機能が失われているようだ。某アニメみたいに動かないものが呪文で動き出すというのはやめてよね。
「調査を行いますので、申し訳ありませんが辺りの警戒をお願いします。」
他の5人には辺りを警戒しながら待機してもらい、ジェンと二人で調査を開始する。
年月は経っているが、まだそこまで朽ちている印象はない。しかしよく見てみると、さびのようなものが出てきているところがある。オリハルコンやミスリルであればさびは出てこないはずなので普通の金属も使われているのだろう。
鑑定と錬金を使って確認していくと、使われている金属はオリハルコン、ミスリル、鉄が使われていた。純粋にオリハルコンの部分、ミスリルの部分、ミスリルと鉄の合金の部分となっている。やはりすべての部分を希少な金属で作ることは出来なかったと言うことだろう。
錬金での解体が出来ないのでおそらくどこかに付与魔法が施されているのだろう。いったん解体してから付与魔法を取り除かないと無理だろうな。そうは言ってもどうやって解体していけばいいのかもよく分からないからなあ。
完全には分からないが、足などの主要部分は外骨格という感じで表層部分がオリハルコンで覆われているようだ。この厚さだったらオリハルコンの合金でもなんとかなるかもしれない。まあある程度の腕がいるだろうけどね。
上半身の刃はオリハルコンで出来ているみたいで、かなり堅そうだ。これは今の武器だと破壊することは出来ないだろうし、まともに受けたらこっちの装備が壊れてしまうだろう。この部分をどう押さえるかがネックになりそうだ。
あとは本命の核の部分だが・・・ここかな?わかりにくくなっているが、背中の突起の脇の部分に四角く線が入っているのを見つけた。どうやらハッチのようになっているみたいで、その隙間に金属が埋め込まれているようだ。
本体はミスリルだが、埋め込まれていたのはミスリルと銅の合金で少しさびがでているのでまだわかりやすかったよ。もともとは塗装とかもあったと思うのでどこにあるのかはぱっと見では分からなかったんじゃないだろうか?
今回現れた古代兵器はどんな状態なんだろうか?若干形が異なるとは言え、基幹システムは同じようなものであれば位置がそこまでは違わないと思う。というかそうでないと見つけるのはかなり厳しくないか?
取り除ける金属部分を錬金で取り除くと手で開けられるように引っかけるところが出てきたのでそこを引っ張るとハッチが開いた。埋め込んでいる金属は特に加工を阻害するようにはなっていないようだ。わざわざ開けるようになっているんだから、それが取り除けなかったら意味が無いからな。
ただ研究資料を見るとこの金属が個体によって異なるというのが問題なんだよね。鑑定が出来ればいいけど、今の人たちだと何の金属か分からないから錬金でも取り除くことが出来ないんじゃないだろうか?錬金の金属を集める方法が手に持った金属と同じものを集めるという形だからね。
ハッチの中は玉がセットされていた。今回現れた古代兵器が同じか分からないが、古代遺跡の調査にも書かれていたのでおそらくどの兵器にもある程度共通すると考えていいだろう。
ただ問題はこの核となる部分を取り外すことが出来るかどうかだな。資料を見る限り、起動中は簡単には取り外すことが出来ないので破壊するしかないとなっていたんだよね。玉はしっかりとオリハルコンの台座に固定されているしね。
玉を鑑定してみると詳細を見ることが出来た。
名称:古代兵器の核
詳細:魔素を貯めた玉。魔獣石を加工して作成されたもので、魔素を貯めることができる。壊れているため魔素の合成は出来ない。
品質:良
耐久性:並
効果:高
効力:魔素合成、魔素放出
遺跡の資料にあったとおりだな。魔獣石を加工して魔獣石の性質を持ったままの玉だ。これは品質が悪くて壊れてしまったせいで兵器が動かなかったと言うことだろうか?
そして魔獣石から加工されたと言うことは・・・普通では破壊できないと言うことだ。それ以前に魔獣石を加工できたのか。
魔獣石は変形させることも、壊すことも出来ない。分解していくと1ドール以下には分解されない。そこから魔素を消費するとなくなってしまうだけで、魔獣石自体を破壊することは出来ない。これはこの世界の常識となっている。
前にジョニーファンさんとも話をしたときに出来ないといっていたので、今の世界ではおそらく出来ないのだろう。
そう考えると現在ではこの兵器の核を破壊することが出来ないと言うことになる。倒すとしたら核を壊すのではなく、普通に倒すしかないと言うことになるが、出来るのだろうか?
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