【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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番外編 後日談

2. 懐かしい景色

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地球に戻るときの転移登録場所はかなり慎重に選んだ。もちろん転移先に何かあれば転移は出来ないことは確認しているが、そこに建物などが建ってしまうとずっと転移できなくなってしまうからだ。

もしものことを考えて日本とアメリカに一つずつ転移先を登録した。アメリカは荒野を広範囲で購入し、その中にコンクリートで固めた台座を作った。雨もほとんど降らないので木が育つこともないだろう。少し地面から離れた場所を登録しているから少々の変動があっても大丈夫なはずだ。
購入の手続きは面倒だったようだが、専門家を雇ったので特に問題は無かった。土地開発は行わないという前提なので大丈夫だろう。

日本も同じように木が育たないところがいいだろうと言うことで砂丘をその地点に選んだ。一般人は入ることが出来ない場所なのである意味安全だと考えた場所だ。こっちは無許可で行ったので非常の場合に使う前提だ。


子供達にはしばらく長い旅に出るとだけ伝えているが、いつものことなので特に気にはしていないようだった。もし何かあった場合の対応もちゃんと伝えているので大丈夫だろう。信頼できる弁護士にも依頼をしているしね。

両親や玲奈も・・・まあ大丈夫だろう。ちなみに両親は4人とも健在だ。
自分の両親はまだ元気なこともあり、二人で日本中を放浪している。さすがにバイクでの長期旅行はあきらめたようで、小さなバンにいろいろと荷物を積み込んでいろいろと回っているようだ。時々メールで連絡が入るので大丈夫なのだろう。
ジェンの両親は一線から退いているが、未だにいろいろと相談を受けることが多いようで大変らしい。二人もいろいろと旅行に行っているが、範囲が世界中なので規模が違う。時々うちの両親とも交流しているようだ。


転移先で不測の事態が起きても困るのでライハンドリアで身につけていた装備に着替えてから転移した。フル装備を付けるのは久しぶりだな。



周りの景色が変わったところで辺りの索敵を行ってから動くと、すぐにジェンも転移してきた。特に魔獣などの気配は感じないので大丈夫かな。

「ジェン、特に変な気配は感じないし、危ない感じもないと思う。」

「そうみたいね。良かったわ。」

落ち着いたところで改めて周りを見る。

「懐かしいな・・・。」

「ほんとにね。もう20年以上経つのよね・・・。」

転移先に選んだのは遺跡の島だ。どのくらいの時間が経過しているかわからないため、1000年以上変わらなかったと思われる遺跡を転移場所にしたのである。

壁の途中に作られたスペースから眼下に港のようなところが見渡せる。こっちではどのくらい時間が経っているかわからないが、見た感じそこまで変わってないように見える。

「季節とか状況はよく分からないけど、空気がよどんでいないようだからまだ機能はあるみたいね。」

「ああ、そうみたいだな。特にこの遺跡を発見されているわけでもなさそうだ。」

まあ、そうそう見つかるような遺跡でもないし、入り口もちゃんと塞いでいたからな。


階段を下りてから以前生活エリアに使っていたところに入ってみる。扉のカードキーはちゃんと稼働していたので魔素の供給も大丈夫なのだろう。
ほこりは積もっていたが、特に痛んでいる感じはない。早速浄化魔法で部屋を綺麗にしていく。


一通り生活エリアを確保してから港の出入り口を開けてみるとちゃんと稼働した。外に出てみるとすでに夜だった。気温は結構高くて、汗ばむ感じだ。

「転移前は昼だったけど、夜になっているのは時差なのかな?それとも時間軸のずれなのかな?」

「時間軸のずれもあると思うし、時差もあるかもね。私たちが転移したときも時間が違っていたでしょう?」

「そうだな。あと、星の位置を考えると今は夏くらいかな?」

こっちにも星座というものがあり、移動時の目印に使われることもあるのだ。

「そう思うわ。正確な日付や時間は町に行ってみないと分からないわね。」



部屋に戻ってから身分証明証を出してみる。

「こっちではちゃんと出すことが出来るね。」

地球では自分を鑑定することは出来たのだが、身分証明証を出すことが出来なかったのだ。あくまでこの世界限定の機能なのだろう。
鑑定だと年齢が更新されていなかったんだよなあ。まあ世界が違うから表記ができなかったのかもしれないけどね。

名前:ジュンイチ
生年月日:998年10月30日
年齢:44歳
職業:冒険者(良階位・アース) ハクセン下位爵 ヤーマン下位爵
賞罰:ハクセン緑玉章 ヤーマン緑玉章 サビオニア黄玉章
資格:車運転
クラス:戦士、魔道士、聖者、賢者、芸術家、技術者、神の祝福
婚姻:ジェニファー

44歳か・・・って地球と同じ年齢じゃないか。

「どういうことだろう?地球に戻る前は23歳だったから、実年齢で行くと、こっちの世界では50歳になっているはずだ。地球では27年生活していたはずだぞ。」

「まって・・・・。
私たちこっちの世界で6年近く生活したけど、向こうの世界には17歳の同じ時間に戻ったわよね?
時間軸が同じとしたら、こっちの世界ではあれから21年しか経っていないという事じゃない?」

「・・・ああ、そういうことか。それだったら納得できるな。
そう考えると時間の経過速度とかは地球と同じと考えていいのかもしれないな。

ただそうすると、知り合いで亡くなっている人も結構いそうだな。
たしかこっちの世界での寿命は40~60歳とかだったよな。長生きする人は80歳くらいと言っていたように思うけど。」

「そうね。でも、最近は食料事情もよくなってきて、魔獣に襲われる可能性も下がってきているから伸びてきているという話だったと思うわ。
まあ、そうは言ってもこればかりは実際に会ってみないと分からないわ。」

「まあな。戦争とか疫病とかも起きていないことを祈るしかないな。」



作り置きしておいた食事を食べながら今後のことを話す。
ちなみに今回は発電機やバッテリー関係も持ってきているので、収納している電化製品も使おうと思えば使うことが出来る。持ち込んでいると言うよりはいろいろと入れたままにしているといった方が正しい。
スマホも持ってきているが、もちろん繋がらない。当たり前なんだけどね。


転移魔法のレベルを上げるには魔法関係のレベルを上げるしか無かったのだが、結果的に次元魔法のレベルも上がることになった。
そしてレベル5の収納量が半端ないレベルでかなり驚いたものだ。結局測定はできなかったんだが、レベル4の1000m3の10倍以上はあったので、普通の生活であればほぼ無制限と言っていいくらいだろう。

流石に何があるかわからなくなってしまうので、かなり細かく整理した。収納の時はある程度認識したもので自動で分類されるようにしたのでまだ楽だったよ。
ジェンは相変わらずこういうことは苦手みたいで、収納の時に分類をイメージしておいて検索みたいなことができるようにしたらしい。ある意味すごいな。


とりあえず時差のようなものを解消するまではこの島で過ごした方がいいだろう。こっちの世界に来たらやろうと思っていたこともいろいろあるからね。
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