【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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4. 異世界4日目 憧れの魔法に挑戦

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4. 異世界4日目 憧れの魔法に挑戦
 やはり結構疲れがたまってきているようでなかなか起きることができなかったが、今日は特に筋肉痛はないので助かった。朝食はいつもと同じ感じで、食べ終わってから出かける。


 役場の受付に行って魔法講義の受付(魔法は高いらしくて200ドール)をしてから時間までは置いてある資料を読んでいた。魔獣や薬草などの情報の他にもいろいろと役に立つ情報が書かれているので読んでおいて損はない。
 普段は勉強なんてしないんだけど、やっぱりこういう全く知らないことを読むとわくわくしてくるよね。


 時間が近づいたところで裏口の訓練場へと向かうと、指導員が呼んでいたので集合する。自分の他には2人いたけど、この二人は何回か講義を受けているみたいなので講義内容は別らしく、他の指導員が付いていた。

「今まで魔法についてはまったく使ったことがないと聞いているんだが、間違いないか?」

「ええ、親からは成人してからの方がよいという方針だったので習っていません。」

 こっちの世界では魔法は一般的だが、小さな頃から魔法を使うと成長を阻害するという意見もあり、早くても10歳から、場合によっては成人する15歳から魔法を始める人が多い。実際に早くから魔法に手を出した人は小柄な人が多いらしい。自分のような例もゼロではないので一から始めると言っても問題は無いはずだ。

「わかった。初歩的な知識については問題ないと思うが、復習を兼ねて魔法について簡単な説明から行っていこう。」

 まずは魔法がどんなものなのかの説明から始まる。簡単に言うと空気中漂っている魔素を体に取り込むことで魔力となり、それをイメージしたものに変換することで魔法が使えるようになるようだ。魔素をうまく取り込める人ほど使える魔法が強くなるし、その精神力を維持できる人ほど長時間魔法が使えるようだ。
 この話を聞く限り、個人が持つMPのような魔力量の上限値というものはないみたいだな。あくまで普通に漂っている魔素を取り込んで魔力として使うということみたいだからね。
 魔素は濃い場所でも薄い場所でも取り込める速度はあまり差がないようなので気にしなくていいようだ。もともと使う魔素がそれほど多くなくても魔法は使えるというのが理由らしい。かなり強力な魔法を使うことができるようになれば魔素の濃淡は影響するかもしれないと言うことだった。

 一通りの講義の後から実践となったけど、まずは魔素を取り込むということで指導員から手本を見せてもらう。

「もともと少しだけだが、魔素は体の中に入ってきている。周りにある魔素が体に入ってきて、少しすれば出て行くのだが、大体の生物はある程度魔素を体内にとどめることができるようになっている。それをさらに多くとどめるようにイメージをすることで魔素が形となってくる。」

 最低限の魔素を体にとどめることができないとその先には進めないらしく、まずは魔素をためる鍛錬からとなる。

 心を無にして周りの魔素を感じる・・・といってもよくわからん。

「魔素をすこし放出してみるから触って少し感覚をつかんでくれ。」

 そう言って指導員が集めた魔素があると思われる辺りを触ってみる。暖かいと言うよりは少し涼しいという感じのものだ。
 しばらく同じような感覚のものを感じないか集中していると、風のように何かが漂っているのを感じはじめた。これか?
 今度はそれが体内に入ってくるイメージを考える。しばらくするとなにやら体の中に何かがたまっているような感覚が出てきた。これがたまっていると言うことで間違いないのだろうか?

「うまくいっているようだな。次はそれを・・・手のひらに集まるようにイメージしてみるんだ。」

 某ハンター漫画に出てきた修行だなあ・・・と思いながらやってみると、漫画のイメージがあったせいか手のひらに集めるのは思ったよりも早くできた。慣れてくるといろいろなところに同時に集めることもできるようだ。

 この体内にたまった魔素を放出することで魔法が使えることになるが、放出するときのイメージによっていろいろな効果が得られることになる。

 ちなみに魔法を使うときには決まった詠唱のようなものはなく、あくまでイメージなので、声を出した方がよいという人もいるし、詠唱した方が強くイメージできて威力が上がるという人もいるし、頭の中でイメージするだけの無詠唱の人もいるようだ。
 ただ普段は無詠唱でも、パーティーでの戦闘中は状況把握もあるため簡単に魔法名を言ったりして連携をとったりすることが普通らしい。

 魔法の使用については魔獣石の合成と分解が一番やりやすいと言うことなので昨日手に入れた魔獣石を取り出して合成してみることにした。
 魔獣石を2つだして手に持ち、二つがくっつくように念じてみる。すると二つの魔獣石がくっついて一つになった。

「おお~~~っ!!」

 魔法を練習したら出来るようになることとは言え、かなりうれしい。続いて今度は二つに分かれるようにイメージすると再び二つの魔獣石に戻った。
 今度は1ドール硬貨を一つずつ合成していくと8個めで10ドール硬貨に変わった。こうやって硬貨を大きくして使うようにすれば大きなずれがなくできるんだな。とりあえず昨日手に入れた魔獣石はすべて合成しておいた。これはこれで他のものと区別して持っておいた方がいいな。

「全くやっていなかったという割には習得するのが早かったな。ちょうどお昼だから休憩の後からは攻撃魔法の鍛錬を行うことにしよう。」

 気がつくともうすでに2時間経過していて驚いた。思った以上に集中していたんだな。お昼休憩となったのでサンドイッチを食べるが、やはり気になってすぐに鍛錬に戻った。

 昼の休憩前にやり方だけは聞いていたのでがんばってやってみる。手に集めた魔素を放出することで魔法となるということだけど、このときにイメージするもので攻撃の内容が変わってくる。代表的な魔法である魔法の火、水、風、土のうち、火と水は扱いが難しいのでほとんどの人は最初に風か土から取り組むようだ。
 どの魔法も最初は魔素を変換して何かを生み出すのではなく、今あるものを操ることから始めるみたい。まずは風からイメージしてみよう。

 しばらく風を飛ばすイメージをしてみるがなかなかうまくいかない。指導員に手本を見せてもらったけど、やっぱりイメージはつかみにくい。
 とりあえず漫画やゲームをベースに空気の塊をイメージしていると、なんか手のひらに塊のような感じを受けた。徐々に手のひらの空気を圧縮するようなイメージをしてから的に向かってイメージを飛ばすと的に何かが当たった。

「おお~~~っ!!できた~~~!!!」

 1mという近距離なうえ、的の跡もちょっとだけなので威力はほとんど期待できないけど、とりあえずなにやら飛ばすことができたのはうれしい。

「一度イメージできたならあとは発動時間の短縮と威力を高めていくだけだ。これは繰り返しやっていくことでイメージを強化していくしかないからな。イメージの仕方は一人一人違うため、どのようなやり方が一番いいというのはないが、いくつかの例を教えておこう。・・・」

 少しずつ距離を伸ばしながら威力と指向性をあげていく。とはいえ、精神的に結構疲れてくるので途中で休憩しながらでないと集中力が維持できない。MPとかはないけど、ある意味この精神力の維持力がMPみたいなものだな。
 講義が終わる頃には5mくらいの距離から的に傷を入れられるくらいにはなった。まだまだ殺傷能力は低いけど、うまい具合に当たれば足止めくらいには使えるレベルにはなったかな?

 さすがにゼロから初めて1日での取得には指導員も驚いていたが、やはり漫画やゲームのイメージがあるのは有利なのかもしれない。こちらではまだ漫画という文化はないみたいだからね。
 とりあえず魔法の発動ができたので風魔法のスキルは得たのかな?やはり魔法を使えるというのはテンションが上がるなあ。

 宿に帰って夕食を食べるかなと考えていると、一緒に講義を受けた二人から声をかけられる。

「改めてこんにちは。俺はユータ、こっちはカナというんだけど、もし良かったら俺たちと一緒に夕食でも食べないか?冒険者に登録したと聞いたのでちょっと情報交換できないかと思ったんだ。今日初めてと言っていたのにあれだけ魔法を使っているので出来たらこつとか聞きたいんだ。」

「こんにちは。自分はジュンイチと言います。情報交換はこちらも助かるのでいいですよ。どこかおすすめの店とかありますか?」

「それじゃあ、俺たちがよく行く店に行こう。いったん家に帰ってくるので、この後待ち合わせる形でもいいかな?」

「わかった。宿に戻って荷物を置いたらすぐに行くよ。」

 いったん宿に戻り、夕食をキャンセルしてから待ち合わせ場所へ。夕食のキャンセルをすると少しだけお金は返却してくれたのはありがたい。
 二人と合流してから店へと向かう。定食はどれもおすすめというので肉と野菜炒めの定食を注文すると、肉と野菜の炒め物、スープ、サラダ、パンとデザートで果物が出てきた。飲み物にはジュースをもらうことにした。

「誘いを受けてくれてありがとう。」

「いえいえ、こっちもいろいろと話しを聞かせてもらえると助かるので良かったですよ。」

「ジュンイチでいいかな?話し方がかなり丁寧だけど、普段からそうなのか?もっと砕けた感じでかまわないんだけど・・・。」

「わかった。自分のことはジュンイチでいいよ。」

「改めて俺たちのことを説明すると、カナとは家が近くだったこともあって小さな頃から一緒だったいわゆる幼なじみって関係なんだ。
 ちゃんとした仕事に就くことも考えたんだけど、いろいろな町に行きたくて冒険者を目指すことにしたんだよ。今年15歳になったのでやっと冒険者として登録をしたんだけど、冒険者としてはまだ生活できないから家の手伝いをしながらやっているという感じなんだ。」

 女の子の幼なじみとパーティーを組むなんて別にうらやましくはないよ・・・。爆発しろとか思わないよ・・・。

「ユータは今のところ剣士としてやっていこうと思っているから、私はできたら魔法使いか治癒士を目指しているのよ。もちろん魔法だけでなく、短剣と弓を使えるようにがんばっているけどね。
 魔法については風魔法と土魔法が使えるようになっているんだけど、もう少し威力を上げないと戦闘には使えないレベルなので時々訓練に参加しているの。
 あとは治癒魔法についても少しはできるようになりたいけれど、習うのにお金がかかることと、そもそもの治療の勉強がまだ出来ていないのよね。」

「俺も剣士とは言え、少しでも魔法を使えると戦いに有利になるかと思って魔法の勉強をしているんだ。一応火風水土の4魔法を使えるようになっているんだが、実際の戦闘に使えるかというとまだまだ厳しくて、せめて一つだけでも使えるレベルにしたいと思っているんだ。」

「そうなのか。自分はまだどんな風にやっていくかは決めかねているけど、とりあえずはユータに近いスタイルかな?まずはいろいろと挑戦してみようと思ってるよ。」

 食事をしながらある程度話を合わせて会話する。魔法のコツについてはイメージの仕方など、自分の説明できる範囲でいろいろを教えてあげた。自分は治癒士やその他の情報についていろいろと聞かせてもらった。

 この世界ではあまり出生などについては聞かないことになっているようだ。両親が亡くなって、伝を頼って南の大陸から来たとだけ言っておいたけどね。冒険者として登録したばかりと言うことで何か事情があるんだろうと細かいことは突っ込んでこなくて助かった。

 最初に頼んだ分だけでなく、追加で色々と頼んで飲み食いしていると結構遅くなってしまった。宿に戻ってからシャワーを浴びると速攻で眠りについた。



 翌日は目覚ましをセットしていたんだけど、寝過ごしてしまった。やっぱり昨日は精神的に結構疲れていたんだろうか?まあ寝たのも遅かったからかもしれないけどね。

 今日の朝食は魚とご飯も選ぶことができた。この間のカレーのときのご飯とは違って日本のお米に近い感じ。まあそれほどお米が恋しいわけではないんだけど、やっぱりたまには食べたいよね。醤油も出ていたんだが、ちょっと味が薄い気がするのは地域性かな?

 今日も町の周辺の狩りに行くことにする。魔法を使うのであれば杖を持ったら効果が上がるようなんだけど、杖などの魔法補助の効果のある装備はとにかく高い。対費用効果はあるのかもしれないけど、そこまではさすがにかけられないのであきらめるしかない。


 この間と同じ林の中を探索しながらスライムを狩っていく。だいぶ剣の扱いにも慣れてきたきもするが、スライム相手だとよく分からないよね。
 途中で見かけた角兎は遠くから魔法で攻撃してみたけど、もちろんそんな簡単には当たってくれない。ちなみに角兎は角と肉が買い取り対象らしい。
 見かけるたびに魔法攻撃をしていると、時々は当たってくれるけど威力も無いので当たるだけで倒すことなどはとてもできない。まあ無理だろうなと思っていたら、帰ろうとした頃になって角兎の足にうまく当たって動きが鈍くなったので、一気に近づいて仕留めることができた。

 スライムに比べるとさすがに殺したことに少し抵抗があったけど、まあいつも食べている肉とかも同じように殺されたものだからと割り切った。でもゴブリンとか人型だとやはり躊躇してしまうのかねえ?
 ちなみに魔獣の種類調べた限りは動物のようなものしか載っていないので人間のように生活基盤やちゃんとした道具を使ったりする知性のあるものはいないようだった。
 個人的にはゴブリンやオークもちゃんとした生活基盤や文化を持っていれば人間と同じだから、狩りと言うよりは種族間戦争という方が合っているように思うのは自分だけだろうか?女性をさらってというけど、過去の人類の歴史を見ても同じようなことは行われていたよね。
 ゴブリンだから、オークだから、人間じゃないから殺しても問題ないというのはかなり危ないことのような気がする。まあそういう風に設定されたゲームとか小説が基になっているのでその設定を使う話が多いんだろうけどね。
 知性を持った魔獣がいないのであればそれはそれで助かるけどね。とりあえずオークに襲われる女騎士とかそんな展開はないと言うことだね。


 角兎の買い取りは角と”肉”というのが問題だな。肉はすぐに冷やさないと生臭くなるみたいだからすぐに血抜きをして内臓を抜いたりしたほうがいいんだけど、ちゃんと処理できるかなあ?ゲームとかだとボタン一つで解体してくれるんだけどねえ。
 冒険者のほとんどは解体スキルやある程度自動で解体をすることのできる魔法解体スキルを持っているらしいけど、10日間での取得はさすがに無理すぎる。
 小さい頃に父の実家の田舎で鶏とか裁いていたのを見ていたから解体にはそこまで抵抗はないんだけど、実際にできるかどうかというのは別問題だ。とりあえず穴を掘って首などに切り込みを入れてある程度血抜きだけをしてから持って行くことにした。内蔵はやっぱり抵抗が・・・。

 角兎は役場の買い取り対象ではないのでチェックしておいた公認の店に持って行く。角兎は人気食材みたいなのでどこでも解体は行ってくれるようだ。肉屋の値段まではチェックできていなかったしね。
 やはりきちんと処理していなかったせいで買い取り金額は低くなるようだけどそれはしょうがないだろう。肉の状態は鑑定である程度分かるみたいだし。それでもすぐに血抜きだけはしていたせいか、状態はそこまで悪くなくて角と肉の買い取りで50ドールをもらうことができた。

 今回はスライムと併せて今日の収入は80ドールくらいだ。まあ普通に働いた方が収入はいいだろうね。これだと宿代も出ないよ。

 本気で狩りで収入を得ようと思ったら角兎だったら10匹くらいは狩らないといけないし、解体しなければならないから時間的にもかなり厳しそうだ。肉の保管のこともあるし、それ以前に10匹もうまく見つけられるかが問題だ。そのせいであの辺りは狩りをする人を見かけないんだろうけどね。あまりにも単価が低すぎだ。
 まあ初階位の冒険者は冒険者業だけで食べていけるというのがそもそも間違いだからね。もともと冒険者になる人は成人する前から剣や魔法を使えるように訓練をやっているもんだし。

 なにかいい情報でもないかと役場に行ってみると、この間会ったクラーエルパーティーの二人、クーラストさんとアマニエルさんがいて、こちらに気がついて声をかけてきた。

「おう、ジュンイチだったかな?冒険者登録をしたのか?」

「ええ、あの翌日に冒険者登録をして今日も狩りに行ってきましたよ。」

「そうか、頑張っているみたいだな。夕食は宿でとるんだろ?飲み物くらいおごってやるぞ。」

 そういって宿に戻ってからそのまま夕食をとる。今日の夕食は牛肉のようなステーキとサラダとパンだった。ジュースをおごってもらい、食事をとりながら二人から色々と教えてもらう。
 話してくれる内容は町にある店や付近の狩り場の情報などいろいろと為になることが多い。狩り場については他の初心者にも教えているんだがと前置きしつつも、付近で狩りに向くエリアや過去に手に入れた薬草の場所なども教えてくれた。

 最初に適当に声をかけた人達だったんだが、かなり面倒見のいい冒険者だったみたいで、ユータ達も二人のことは知っていた。冒険者としては上階位だが、冒険者になりたてのころにはお世話になった人も多く、高レベルのパーティーでもいまだに慕っている人が結構いるらしい。まあ階位が上がって見下している人もいるらしいけどね。

 シャワーを浴びた後、部屋に戻って今後のことを考える。残りは最終日を入れて5日間。とりあえずやってみたかった狩りや魔法を使うことは体験できた。あとは治癒関係の魔法を覚えて目の治療を少しでもできればいいかな?


~クーラストSide~
 俺は冒険者になって15年近くなるが、上階位から上がれない程度のしがない冒険者だ。相棒のアマニエルとはずっと一緒に行動している。

 上階位に上がった頃はもっと上に上がりたいと必死にもがいていたが、自分たちの実力はこのくらいだと諦めてしまえば気分は楽になった。定期的に遠征をして魔獣を狩ったり、近くの町への護衛を受けたりしているので、なんだかんだいいながら最低限の貯蓄はしている。まあ動けなくなったときの保険みたいなものだ。
 彼女はいるんだが、不安定な仕事と言うこともあってなかなか結婚まで決心できない。冒険者としてもう少し頑張ってみたいといってずるずると引き延ばしてもう5年以上付き合っているあいつには悪いとは思っている。

 冒険者になってすぐに無茶をして命を落とす若い奴らが気になって、ウザいと思われるかもしれないが、いろいろと助言をしてやっている。場合によっては一緒に狩りに行ったりもしているが、そういう奴らが俺たちよりも上の階位になっても悔しいと言うよりはうれしいと思うようになってきた。
 階位が上がって見下してくる奴らもいるが、良階位とかになってもいまだに俺たちを慕ってくれている奴らも多い。俺たちがやっていたことが認められたんだとちょっとうれしくなってくる。


 最近、宿の食堂で声をかけてきた若いやつがいたんだが、次に会ったときには冒険者になっていた。まだソロでやっているようだが、話を聞くと、スライムや角兎など無茶をせずに狩りをしているらしい。
 泊まっている宿といい、装備といい、初階位にしてはえらく羽振りがいいのはどっかの坊ちゃんなんだろうか?冒険者の過去は詮索しないのがルールなので聞きはしないが、礼儀も正しいし、なかなか見所がありそうだ。最初に声をかけてきたときもビールをおごって情報を得るあたり、商家の息子とかだろうか?
 今後冒険者として活動して行くにはソロではきついのでパーティーメンバーを見つけるように助言はしておいた。いいメンバーが見つかるといいんだがな。


~魔獣紹介~
角兎:
初階位下位の魔獣。森や草原に穴を掘って生活しており、スライムや蜘蛛などを主食としているが、草も食べる雑食の魔獣。耳が大きく、音に敏感なため、警戒心が非常に強い。魔獣ではあるが、好戦的ではなく、大型の魔獣や人間を見るとすぐに逃げる。見た目と違って体毛は堅い。
額に角があるが、攻撃用の武器としても使うことができるが、穴掘りの時に使うのが主目的とされている。
近づく前に逃げられてしまうため、弓や魔法による遠距離からの攻撃が有効。穴に逃げ込まれてしまうと捕らえるのは不可能。穴に煙を吹き込んで捕まえる方法もあるが、穴の出入口も多く、かなりの労力が必要となる。
素材としての買い取り対象は角と肉となる。角は薬の材料や工芸品に使用される。肉は値段が安いが、味もいいため人気が高い。


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