【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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59. 異世界499日目 新たな町へ

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59. 異世界499日目 新たな町へ
 クリアレントを出発してから西にある建設中の町へと向かう。もともと小さな前線基地のような集落はあったんだけど、魔獣討伐の基地と王都クリアレントから南に行く新たな交易ルート確保の拠点として開発に力を入れることにしたらしい。
 今はまだクリアレントからの街道が整備されていないのでクリアミント経由で行かなければならないがこれはしょうが無いだろう。

 バスだとかなりの時間がかかるけど、車でいつものペースで走って行けばおそらく10日はかからないだろう。二人には拠点の話はすでにしているので大丈夫だ。

 ここからの街道はかなり整備されており、車の往来も結構多いので盗賊の心配は無いと考えていい。まあ一応索敵だけはしておくけどね。


 この日は拠点の改造をしなければならないので少し早めに場所を決めて拠点を出す。前はちょっと見せただけだったので簡単に設備の説明をしていく。
 壁には出入口はないので中に入るには飛んでいくしかないのでここは自分とジェンが手をつないで連れて行くことにしたんだけど、さすがに飛翔の魔法には驚いていた。前は建物とキッチンセットしか出さなかったから、こんなに高い塀を出すとは思っていなかったようだ。

 中にあるトイレとシャワーについては基本的に家にあるものと同じなので大丈夫そうだ。消音や消臭の効果もあるので喜んでいた。浄化魔法は簡単なものは使えるようなのでトイレの後のことは問題無いらしい。

 台所になるところには冷蔵庫も出して食材を一通り入れておいた。さすがに毎回収納バッグから出すわけにもいかないからね。調味料関係も購入していたので調理については問題ないはずだ。調理用具も一通りそろっていたし、追加で購入しているからね。部屋は今から改造を行うので後で説明することにして、その間に夕食の準備に取りかかってもらう。

 拠点にある建物は最初作ったときよりも少し大きくしていたのでよかった。前は10畳くらいの部屋(4m四方)だったんだけど、今は15畳(5m四方)くらいの部屋だからね。ちょっと狭くはなってしまうけど、部屋の仕切りを入れて分けておいた方がいいだろう。

「狭くはなるけど、やっぱり彼女たちのプライベートのことを考えると部屋を仕切った方がいいと思うんだ。ジェンは自分と同じ部屋になってもかまわないか?ベッドがすぐ隣になるけど。」

「いまさらでしょ。」

「まあ、今までも特に仕切っていたわけじゃないけどね。それじゃあ、イメージはこんな感じでいいかな?」

 ある程度の枠組みを決めてからいったん荷物を部屋のしきりに合わせておいてみる。一部屋だったところを”円”の字みたいな形で3つの部屋に別けて左上は自分たちの寝室、右上は彼女たちの寝室、下の長方形のところはソファーなどを置いた共用スペースとした。ベッドの大きさの関係で、自分たちの部屋が6畳、彼女たちの寝室が4畳くらいとなったのは我慢してもらおう。
 事前に固めて付与魔法まで刻印した壁を取り出して部屋を仕切り、それぞれの寝室から長方形の共用スペースに扉でつながるようにする。簡単だけど扉もつけているし、壁には簡単な防音の効果を入れておいたので、話声くらいは聞こえないだろう。プライベートも考えておかないと困るだろうしね。

 一通り配置が終わった頃に食事の準備ができたというので外のテーブルへ。

「お口に合うかわかりませんが、とりあえずいろいろと作ってみました。」

 テーブルにはお肉の炒めたものやシチューのようなもの、サラダなど色々と並んでいた。美味しそうだけどかなり多くないか?

「保存はできると言うことでしたのでちょっと多めに作っています。残ったもので明日の朝食やお昼を作りますよ。」

 さっそく席についていただくことにした。店の食事という感じではないけど、家庭料理という感じでなんか懐かしい感じがした。

「なんか懐かしい感じの味だなあ・・・。最近は外で食べることがほとんどだったからねえ。」

「かなり立派なコンロセットがあったので張り切りましたよ。すごいですね。普通の家庭にあるものよりも立派ですよ。」

「せっかくだから買ったんですけど、なかなか使う機会もなくてね。」

「お料理はされないのですか?」

「一応自分もジェンもできるけど、本格的にはやっていなかったのでそこまで得意じゃないんですよ。」

「もしよかったら今回の移動の間だけでも教えましょうか?」

「お願いします!!」

 なぜかジェンが食い気味に返事をしていた。

「それじゃあ、1日に走るペースは少し落ちるけど夕食はきっちり料理することでやってみようか?もともと10日はかかる日程だからあまり強行軍で行くのも大変だからね。」

 後片付けは浄化魔法を使って速攻で終わらせるのを見て驚いていた。

 部屋の中に案内して申し訳ないけど小さい方のベッドでお願いというと、十分な大きさですと言われて助かった。消音の簡単な魔道具もあるので少々話をしても問題ないこと、明かりなどの使い方などを説明していく。光魔法がないので今回は照明を用意しておいた。

 この後シャワーに入ってもらい、ソファーでお茶を飲みながら色々と話をしてからそれぞれの部屋に分かれて寝ることとなった。


~ミルファーとスイートSide~

「二人に再会してから驚くことばかりですね。」

「そうね、町であんなことになってどうしようもなくなっていたけど、二人に連れ出してもらえて希望が出てきたわ。」

「移住のことはとても助かりましたし、まさか魔道士様の紹介状までもらえるなんてとてもびっくりしたわ。」

「ほんとにびっくりだわ。でもいろいろと見ていると、魔道士様と知り合いって言うのもうなずけるのよね。」

「たしかにそうですね。話している内容もそうなのですが、持っている魔道具もかなり効力の高いものですよね。冒険者だけではなくて他にも副収入があるからなんとかなっているとは言っていましたが、あの年齢であの知識と行動力は正直信じられないくらいです。」

「かなりの優良物件だけど、ジェニファーさんのことを考えると手を出せないわよねえ。」

「そうですよね。あれで付き合ってないって信じられません。この部屋割りにしても、私たちが気を遣うからと言っても、付き合っていない男女で同じ部屋ってあまり聞きませんよね?
 宿に泊まった時も普通に同じ部屋に泊まっていましたからね。おそらく二人の中ではこれが普通なのでしょう。」

「ジュンイチさんはジェニファーさんの気持ちに気がついていないみたいだし、ジェニファーさんは告白できなくて悩んでいるみたいだし、なんとか応援してあげたいんだけどね。」

「まだ若いからなんとかなるのではないでしょうか?」

「そうね。なにかきっかけがあれば一気に進展しそうだけど、さすがに私たちだとそこまで突っ込めないからねえ。」

 二人のことでかなり盛り上がっていることは全く知らないまま、ジュンイチとジェンは普通に眠りについていた。

~~~~~


 朝食の後、片付けをしてから出発し、途中で休憩を取りながらひたすら車で移動をする。途中の町では買い出しと言うよりは気分転換を兼ねて少し寄り道をしたりするだけで、泊まるのは拠点のみだ。二人も拠点での宿泊に慣れてきたようで、十分に睡眠はとれているようだ。

 数日たつと、二人もかなりなじんできていろいろな話をするようになった。自分たちも一緒に料理をしたのもよかったのかもしれない。料理のレベルは少しくらい上がっただろうか?今後はできるだけ料理にも手を出していこうかな。
 ジェンも料理はある程度できるんだけど、味付けの基本が大分違っていたからなあ。今回色々と味付けについて習っていたみたいで、いい感じになっていた。このあたりは食文化の差だったからしょうが無いんだけどね。

 お礼というわけではないけど、一般魔法について少し助言をしてあげると効果が上がったようだ。特に浄化魔法については効力が上がってかなり喜んでいた。まあ浄化魔法はかなり有益だからねえ。

 途中雨に降られてペースが落ちたこともあるけど、特にトラブルも無く、12日目のお昼にはマイムシの町に到着する。予定の二日遅れくらいなら十分早いほうだろう。



 町の建設は結構進んでいるみたいで、町の防壁もかなり立派なものができてきているようだ。まだ一部は木製のところもあるけどね。入口で門番に身分証明証と移住の案内、護衛証明を出す。

「2名が移住希望者で2名が護衛任務の冒険者だな。」

「はい。」

「移住希望者は役場に行ってから仕事の斡旋を受ければいいぞ。あと冒険者はせっかくならこの町の周りの魔獣退治を少しでもやってくれると助かるな。やるやらないに限らず、詳細は役場で聞いてくれないか。」

「ありがとうございます。まずは役場に行ってみようと思います。」

「町中は工事の車両などが多いから気をつけてな。」

 門番の対応を見ると町の雰囲気は悪くなさそうだな。



 町の中は建物の建設ラッシュと言った感じであちこちで建物が建てられていた。工事用の車両や作業をしている人の数も多く、かなり活気がある。店も結構進出してきているみたいで、カサス商店も出店しているようだ。あとで寄ってみよう。

 まずは役場に行ってから移住のことについて話をする。担当者がやってきたので紹介状を渡すと、予想通り大慌てで上司を呼びに行ってしまった。まあ、もうこの展開は慣れてしまったよ・・・。しばらくして上司と思われる人と一緒に戻ってきた。

「ジョニーファン様から移住の二人をよろしくと書かれていましたが、ジョニーファン様のお知り合いと言うことでしょうか?」

「えっと、自分とこちらのジェンの二人がジョニーファン様の知り合いとなります。今回縁があってこちらの二人の移住を手助けすることになったんですが、こちらに知り合いもいないため、紹介状を書いてもらった次第です。」

 一応特別な配慮までを求めているわけでもないけど、二人が前の町から出ることが初めてなので少し手伝いをしてもらえたらうれしいと言うことを説明した。一通りの挨拶の後、上司は退席し、担当者と細かな打ち合わせをすることとなった。

 今のところあと1年くらいは町の拡張工事が行われ、その後徐々に工事の規模を縮小していくことになるようだ。現在移住してきた商会や個人商店など人が足りていないところが多く、多くの求人が出ているらしい。

 事前の調査を行った書類を渡すと、「このレベルなら働き口はいくらでもありますよ。」とうれしい返答をもらった。いくつか候補を挙げてもらってから面接を受けることになるようである。

 宿泊についてはいくつか賃貸で借りることのできるところがあるようだけど、国の経営する集合住宅を手配してくれると言ってくれた。通常のところよりも価格が半分くらいの月4000ドールくらいとなるのでかなりおすすめのようだ。さらに二人で住めるくらいの広さみたいなので十分だろう。

「ほんとはかなり希望者が多くて抽選となるのですが、当選したと言うことにしておいて下さい。」

「わかりました。ありがとうございます。」

 借りるときには保証人がいないといけないようなんだけど、ジョニーファン様の紹介状があれば十分らしい。紹介状をもらってきてよかったな。正直あまりよくないことなのかもしれないが、使える伝は使わないともったいない。


 普通の冒険者がこういうところを借りられないのが保証人の問題と、職業のせいなんだよなあ。しかも半年単位で借りないといけないわけだしね。いつもいるわけでもないし、部屋を借りると他にも色々とお金もかかるから結局宿の方がいいと言うことになるんだよな。
 良階位になれば保証人はいらないみたいだけど、その場合は家を買ってしまう人の方が多いみたいだし。まあ自分達はまだ定住を考えているわけではないから宿で十分なんだけどね。
 とりあえず事前に話していたとおり、半年分は自分たちが払うことにしておいた。全部で24000ドールだけど、そのくらいは渡す予定の予算から十分に払うことができる。

「すみませんが、このあと依頼の完了報告に行かないといけないのでしばらく待っていただけますか?」

「ええ、大丈夫です。町の情報などの資料があるようですのでいろいろとみていようと思います。」

「引っ越しは明日からしか出来ないようなので、今日はどこかに泊まるつもりです。宿も一緒に探さないといけませんし、あとでいろいろを見て回りましょう。」

 二人に待ってもらうことにしてから冒険者用の受付に行き、護衛の仕事について完了手続きをする。今回の報酬は2000ドールと時間の割にはかなり報酬は低いんだけど、その分実績はそれなりにつけてもらえるらしい。
 町の状況を確認してみると、冒険者の数はまだ足りていないので少しの間でも魔獣狩りを手伝ってくれるとありがたいと言われたのでしばらくここで狩りをしていくことにした。

 簡単に資料を見ると、すぐ近くで初~並階位、少し離れたところで並~上階位、さらに離れると良階位以上の魔獣がいるようだ。とりあえず安全の確保が最優先なので日帰りエリアを中心に狩りをしてほしいということだったのでいても上階位の魔獣と言うところだろう。


 しばらく拠点として使わなければならないのでツインの朝食付きで1000ドールのマルミニアという宿に泊まることにした。夫婦でやっているところでなかなかいい感じのところだった。
 食堂は併設していないので外で食べないといけないけど食べるところはいっぱいあるようだから大丈夫だろう。

 町の中をしばらく見て回り、途中でカサス商会にも顔を出す。二人には必要なものを見てもらうことにして、支店長としばらく話をする。今は店の立ち上げでかなり大変な状況らしく、人の募集もしているがまだまだ手が足りないようだ。
 魔道具について追加で500個ほど納めてほしいとの依頼があったので、作っておいた分の300個だけ先に納めておく。あとは帰るときにクリアミントで納めてくれればいいようだ。

 このあとはいろいろと町の中を探索がてら見て回り、近くの店で夕食をとる。さすがに移動で疲れていたのか、ベッドに入ると速攻で眠りに落ちてしまった。



 翌日は宿で朝食をとってから町を見て回り、お昼に鍵を受け取って集合住宅に行ってみる。いわゆるアパートという感じのところだけど、さすがにできたばかりなのかかなり綺麗なところだった。

 部屋はリビングキッチンという感じの広めの台所に5畳くらいの部屋が2部屋と2畳くらいの納戸があり、シャワールーム、トイレという感じで、二人で住むには広さは十分という感じだった。
 まずは簡単に部屋の掃除をしてから持ってきた家具などを配置していく。一通りの片付けが済んだところで足りないものはカサス商会に買い出しへ。二人にはばれないようにこっそりと社員割引も利用させてもらう。
 このあとは一緒に夕食を作って食べた後、今後のことについて少し話をする。

「とりあえず、1ヶ月くらいは自分たちもこの町に滞在するつもりですので何かあったら言って下さい。」

「ありがとうございます。」

「あと、前に言っていたお金の残りを渡しておきますので、何かあったときに使って下さい。」

 そういって別に取り分けておいた盗賊の拠点から出てきた魔獣石を渡す。今回のことでいろいろと使っていたんだけど、まだ10万ドールほど残っていた。

「なにからなにまでほんとうにすみません。」

 二人の家を出てから宿に戻る。

「二人もなんとか落ち着いたみたいでよかったね。」

「うん、とりあえずは前向きになっているみたいだから大丈夫かな?」

「明日からは前に言っていたように狩りでの訓練を始めるけど、初日だからまずは慣れるところからかな?怪我だけは気をつけていこう。」



 朝起きてから宿の朝食をとって早速準備に取りかかる。装備を調えてから町の外へでて、昨日目星をつけていた地域へと走って移動する。車で移動できるほど道が整備されていないからしょうがない。まあそれでも他の人たちよりは断然早く着くんだけどね。

 森の入口あたりで索敵をすると、結構多くの魔獣が引っかかった。

「思ったよりも魔獣が多いね。」

「まだ上階位以上の魔獣の討伐はまだあまり進んでいないと言っていたから仕方が無いのかもしれないわね。冒険者も上階位以上になると拠点が決まってくるので新しい狩り場にはやっぱり初~並階位の冒険者の方が多くなってしまうのよね。」

「上級以上の冒険者も増えているみたいだけど、まだまだ足りないって事なのか。まあその分狩り放題という感じだから、話しを聞いた冒険者達も徐々に移住しているかもね。」


 接近戦の訓練をかねて狩りをしていくつもりなので、魔法は極力使わずに倒していく。1匹の場合はそのまま対応し、2匹以上の場合は状況を見ながら魔法を使っていく感じだ。

 1匹相手の時は特に問題なく対応できるけど、2匹になってくるとやはりうまく裁けないことが出てくる。このあたりは経験不足なのでしょうが無いんだけどね。神経を魔獣の動きに集中して動きの先読みをしながら攻撃と防御を繰り返す。
 威圧のスキルで牽制することも忘れてはならない。このレベルの魔獣だと威圧をかけてもそれほど威力は無いんだけど、動きを少し遅くすることはできる。このスキルのレベルも上げていかないと今後使えなくなってしまうからね。

 魔法を使って倒すよりも魔獣への傷が増えるので、素材の価値が下がってしまうのはしょうが無いところか。お金に関してはそれなりにあるのでそれよりも戦闘能力を上げる方が優先だ。
 ジェンにも前線に出てもらっていろいろと工夫しながら魔獣を倒していく。戦闘時間は長くなってしまうけど、訓練と考えるのなら時間の無駄にはならないだろう。

 夕方暗くなる前にミルファーさんたちのところにお邪魔してから夕食を食べさせてもらう。仕事が決まるまでは夕食はごちそうしてくれることになっている。
 この日はいくつか面接を受けに行ったようだ。明後日までいくつかの面接を受けてから合否の結果をもらい、複数あればどこにするか決めればいいらしい。

「面接は紹介されたところを受けているんですか?」

「紹介のところもあるし、人を募集しているところに直接行って面接を受ける感じよ。」

「今日は二人で同じところを面接したのですが、明日からは別々に回ってみるつもりです。」

「そうなんですね。ところでこの町はどうですか?」

「まだいろいろ足りないところはありますけど、治安も結構いいですし、活気があっていいところだと思います。」

「そうだよね。前の町だとこんなに活気もなかったからね。町の規模も今の倍くらいにはなるという話だからとても楽しみだわ。」

 いろいろと今日あったことを話しながら食事をとり、あまり遅くならないうちに宿に戻る。



 翌日からも同じように狩りに行き、毎日ではないけど夕食はミルファーさんの家で食べさせてもらう。時々遠征でちょっと遠くにも行ったりしながらひたすら魔獣の討伐に明け暮れる。さすがに防具の傷みも出てきたのでちょこちょこと整備をしなければならなかったのは仕方がないかな。

 もちろん戦闘にはあまり魔法は使わないけど、魔法の訓練も欠かすわけにもいかない。イメージもしっかりしてきたのか魔法の威力も上がってきており、スキルが上がってきたのか魔力をためる量も多くなってきた。

 魔法も複数使えるようになってきたので火魔法と水魔法で水蒸気爆発のような爆発も起こせるようになってきた。正直魔法はいろいろな組み合わせができるんだけど、あまりに多くなってもイメージが大変なので、最近は使う魔法を絞ってきている。やっぱり回数を多く使うとそれだけイメージが洗練されて威力も上がってくるからだ。もちろんいろいろと試していつでも使えるように最低限の訓練だけは続けているけどね。

 今よく使う魔法はこんな感じになっている。

火矢:火のついた矢のイメージで威力は小さいけど連射することを主眼に置いている。ただ素材とかがだめになってしまうことと、火事の危険性があるので使う場面が限られてしまう。

風斬:かまいたちのように真空に近い刃を飛ばす。魔力をためることで結構な切断威力を持っている。最初の攻撃に使うことが多い。うまく当たれば手足を切り落とすことができるので戦闘にかなり有利となる。

水弾:10cmくらいの水の球を高速で飛ばす。殴ったような感じのダメージを与えるので、毛皮などの素材の確保には最も向いている。ただ致命傷を与えるのは厳しい。

風盾、水盾:魔獣の突撃や魔法を防ぐのに使用。通常持っている盾を強化するのに使っている。これをすることでかなりの防御力のアップとなる。

爆発:水魔法に火魔法をぶち込んで一気に水を膨張させて爆発のような威力を持たせている。威力を上げるにはかなりの時間がかかるため、頻繁に使うことはできないけど、範囲攻撃としては一番使えるものとなっている。

土壁:複数の魔獣がいたときに誘導したり、分断したりするのに使っている。操る土の量が少ない方が早く発動できるので、今はかなり薄い壁を出すようにしている。すぐに壊されてしまうけど、壁があると無意識に避けようとしてくれるので強度はなくても意外と有効。

雷撃:電圧を上げるイメージで飛距離がある程度のびた。スタンガンのように感電させることができるので致命傷にはならないけどかなり有効。先に水魔法で濡らしていると効果が上がるけど、水魔法の水は純水なので同時に発動ではあまり効果は無い。

氷矢:楕円形の先のとがった氷を飛ばしてダメージを与える。かなりの威力なんだけど、発動までに時間がかかるので最初の攻撃に使う。

氷水弾:液体窒素を水弾のようにとばす。ただし発動に時間がかかるため最初の攻撃に使う。小さい魔獣にはある程度凍結させたりして効果が出るが、大型の魔獣に対しては表皮を凍らせるくらいで威力は発揮出来ない。

 一番使えるのはやはり雷魔法でダメージはあまりないけど動きを止めることができるというのが大きい。最初の攻撃は風斬や氷矢だ。ほんとはそれだけに絞った方が威力は上がるのかもしれないが、そうすると他の魔法のレベルが上がらないのでできるだけまんべんなく使うようにしている。

 光や闇はやはり戦闘の実用レベルの魔法にはなかなかなってくれない。闇魔法は暗闇を生み出すことで夜など隠密と併用するとかなり隠密行動がとれるようになる。影を操るのはなかなか威力が上がらない。
 光魔法はフラッシュのように目くらましが有効だ。ただこれを使う場合は自分も目を背けないといけないため結構危ない。また魔物によっては効果がほとんどないものもいるらしいので使い勝手が難しい。対人には良さそうだけどね。あとは明かり代わりで使うのでかなり頻度は高いのかもしれない。レーザーはまだ使えるレベルにはなっていない。

 ただどの魔法も上位の魔獣には効きにくいと言うことはわかっているので魔法のみに頼っているとまずいことになってしまう。前に戦った白狼とか魔法を避けてくるからね。当たってもダメージが少ないし。

 他にも次元魔法の収納を使った防御についても試してみた。収納バッグは中のものを取り出すのに少し時間がかかってしまうため、戦闘中に使うのはかなり難しいんだけど、次元魔法はすぐなので使いやすいことに気がついたからだ。

 土を固めて大きな盾のようなものを作り、地面に刺さるように杭のようなものもつけているので、取り出すと重量の関係で地面に刺さる感じにしてみた。これを突撃してくる魔獣の目の前に取り出すという使い方だ。
 最初は盾が跳ね飛ばされて逆に危ないこともあったけど、形を色々と変えて大きさも変えていくと最初の突撃を抑えるのにかなり有効な感じになった。鉄も使ったりしたので強度も上がっていい感じだ。まあこれが今後も使えるかどうかは経験して試していかなければならないだろう。

 他にも少し小さめの盾を用意して自分の周りに取り出したり収納したりすることで別の方向からの攻撃を防ぐこともできるようになってきた。支えるものがないので強い衝撃には意味が無いけど、これも使い方を考えればうまくやれるかもしれない。
 自動で攻撃を防いでくれたらいいんけど、流石にその機能は付けられない。いずれはそんな機能のものが作れればいいんだけどね。

 ただ盾を入れたりしたせいで次元魔法の方には他のものは入れられないくらいになってしまったのはしょうが無い。容量が増えるのを待つしか無いな。



 魔獣の種類は森では白兎、氷狼、氷豹、白蛇の他にまれに白大蛇、白鹿、白熊であり、草原地帯では大毛牛、氷蜥蜴、まれに大毛角牛などだ。

 白熊はやはり魔法である程度弱らせてからでないとあぶない。真正面からだと盾で防御しても吹き飛ばされてしまいそうなくらいの威力だしね。
 白鹿については最初の突撃は次元魔法から出した盾で防ぐことができた。これができるまでは魔法で強化した盾で防いでいたんだけど、かなり大変だったからね。目の前に盾が出てきて衝突したしたら、半分意識が飛んだようになったのであっさりと倒すことができたのはありがたかった。

 ときどき良階位の魔獣も索敵に引っかかるけど、速攻で逃げることにしている。まだ倒すのはさすがに厳しすぎるからねえ。上階位が進化したと思われるので同じ良階位でも経験値が高いので余計やっかいだ。
 もちろん向こうの索敵に引っかかってしまっては逃げられないので、この間死にかけた後で作っておいた隠密の能力アップの魔道具を使うようにしている。
 一般的に出回っている魔道具だと隠密のレベルで言うと1くらいのもので、自分たちにはほとんど意味が無い。おそらくもっと上のものもあると思うんだと思うけど、犯罪に関わってくることも有り出回っていないのだと思われる。

 それならと魔道具に文字を刻んでお互いに索敵に引っかかるかを試しながら作ってみた。隠密、認識阻害、視覚阻害、音遮断、臭い遮断、魔力遮断と言う感じで魔道具を作ってみた。まだ付与魔法のスキルが低いので効果が出るものとなると結構な大きさとなってしまうのは仕方が無い。今の自分たちのスキル以上の効果が出ないと意味が無いからね。
 それでも非常の場合に備えて2段階の大きさで作成しているので、最悪の場合は魔獣石の消費を無視すれば優階位くらいまでの魔獣であれば逃げられるのではないかと思っている。

 魔獣の素材は素材買い取りの店や役場に卸しているけど、肉に関しては時々差し入れでミルファーさんたちに渡している。夕食は結構ごちそうになっているからね。



 二人はいくつかの候補の面接を受けて、ミルファーさんはカサス商店で、スイートさんは自分たちの泊まっていた宿のマルミニアで働くことにしたらしい。

 ミルファーさんの勤務は朝の1時から5時半までで時々残業があるようだけど、やり応えがあると言っている。店長に話をこっそり聞いて見たところ、お金の計算に慣れており、いい人材が入ってよかったと言っていた。
 スイートさんは朝食の準備があるので朝が0時からなんだけど、その分4時には仕事が終わるのでちょうどいいらしい。この宿は夕食を提供していないので、朝食の準備と宿の掃除と経理の仕事が中心となるようだ。ただ時々は延長して宿の受付もやっているようだ。

 二人とも充実した日々を送っているみたいでよかった。思い切って町を出てきてよかったと言われてこっちもうれしかった。



 狩りをしながら結局ここに1ヶ月近く滞在することとなった。雨で狩りができないときも魔法の訓練や付与魔法などに費やして結構能力は上がったと思っている。いくつかスキルも上がっているので頑張った甲斐があるというものだ。ただやっぱり4にはなかなか上がらない・・・。

 ミルファーさんとスイートさんも大分町になじんできたようで、いろいろと知り合いも増えてきているようだ。その中の数名はどう考えても彼女たちを狙っているみたいで、自分を見るとちょっといやな顔をされてしまう。そういう関係じゃないからと声を大にして言いたい。

 明日出発することにしたので、今日は最後にミルファーさんとスイートさんと一緒に食事に行くことにした。家で料理をという話もあったんだが、折角だからと外で食べることにした。

「「「「それでは、かんぱ~い!!」」」」

 自分はジュースなんだけど、他の3人はアルコールを飲んでいる。ジェンは大丈夫かな?いつも飲み過ぎているからなあ。

「長い間ありがとうございました。仕事も見つかりましたし、住むところもいいところを紹介してもらえましたし、ほんとに感謝しきれないことばかりです。」

「ほんと、そうだよね。一時はどうなるかと思ったけど、ジュンイチさんたちの誘いに乗って出てきてよかったよ。」

「そう言ってもらえてよかったですよ。誘った手前、ひどいところだったらどうしようかと思っていましたからね。」

「明日には出発なんですね。さみしくなります。」

「まあもともと冒険者としていろいろなところを見て回りたいと思っていましたからね。すぐには無理だと思いますけど、またやってくることもあると思うので、そのときはまた料理を食べさせてください。」

「「もちろんです!」」

「そのときにはちゃんとした関係になっているといいですね。」

ブハッ!

「ジェン、何やってるんだよ。」

「いえ、大丈夫よ。・・・ミルファーさん!!」

「ごめんなさい。だけど、私たちの気持ちはそうですからね。」

「?なんの話だ?」

「「「なんでもない、なんでもない。」」」

 いい関係ってジェンと自分のこと?そんな関係と思われてもなあ・・・。もちろんそんな関係になれればいいんだけど、さすがにそれは難しいよ。
 このあとも食事を楽しみながら色々と話をして宿に戻る。明日出発なんだが、特に準備することもないので気が楽だ。



 翌朝ミルファーさんとスイートさんが見送りに来てくれた。しかもかなりいっぱいのお弁当を準備してくれていた。

「収納バッグがあるから大丈夫でしょ。いろいろとこっちの料理を作っておきましたので気が向いたときに食べてみてくださいね。」

「ありがとうございます。助かります。」

「いろいろとありがとうございます。元気でね!」

 二人に見送られて町を後にする。いろいろあったけど、二人には幸せになってもらいたいものだ。


~ミルファーSide~
 いろんなことがありましたが、今はこの町に来てよかったと思っています。あのままあの町にいたら死を選んでいたかもしれません。
 いろいろと働くところを受けてみたましたが、ほとんどの店が雇ってくれると言っていただけてとてもうれしかったです。いろいろと比べたところ、一番条件の良さそうなカサス商会で働くことになりました。
 店長自らいろいろと世話をしてくれましたので不思議に思っていましたが、どうやらジュンイチさんたちのおかげみたいでした。詳しくはわかりませんでしたが、やっぱり不思議な人たちですね。

 働き出すと色々としなければならなくなったので毎日ではないですけど夕食も一緒に食べたときはいろいろと話せて楽しく過ごせました。時々いろいろな食材も持ってきてもらえるのもとてもありがたいのですが、かなり高級な肉も持ってきていただけるので驚いてしまいました。狩りをしているからこそなのでしょうけどね。

 あの二人もちゃんと付き合えるのかが心配です。問題はジュンイチさんの方なんですよね。もう少し周りを見てほしいというか、もう少し自分に自信を持ってほしいものです。鈍感なのは仕方が無いとしても、なんであそこまで自分のことに自信が無いのかがわかりません。


~スイートSide~
 この町に来てほんとに正解だったわ。町の人はもちろん癖がある人もいるけど、気のいい人が多い。新しい町なので閉塞感もなく、初めての人でも優しく迎え入れてくれる雰囲気だ。前に住んでいたところとは大違いだわ。

 あの一件以来、男性がちょっと怖かったんだけど、この町に来てから大分改善できたみたい。ミルファーったら彼氏のような人を見つけたみたいで時々デートしているみたいなのよね。ちょっと聞いてみたらごまかしていたけどね。私も新しい恋に出会えるかなあ?いまはまだいいけどね。

 あの二人が結婚することになったら絶対にお祝いしないといけないわね。結婚式に行くのは無理かもしれないけど、あの性格だから手紙くらいはくれると思うわ。
 そのためにもちゃんと貯金はしておかないといけないわ。まあジュンイチさんの性格を考えても結婚となるのは早くても1年以上はかかりそうだけどね。ジェニファーさんはジュンイチさんしか相手にしないだろうし、いずれ落ちるのは間違いないだろうね。ふふふ。
 まあ、あれで付き合っていないというのがそもそもおかしいんだけどね。



~魔獣紹介~

大毛牛:
並階位上位の魔獣。寒い地域の草原や林に多く生息している牛の形状をした魔獣。体長1キヤルドくらいの大きさで、獲物を見つけると突進してくる。
突進力はかなりあるが、直線的に突進してくるだけなので、焦らずに動きをよく見て対応すればよい。壁に誘導してよけると勝手に自滅する。何もない場合は方向転換する際に攻撃することが有効。
素材としての買い取り対象は肉となるが、なかなか美味しくて人気が高い。魔牛よりも脂分が多い。

氷蜥蜴:
上階位上位の魔獣。寒いエリアの草原に生息している蜥蜴の形をした魔獣。体長は2キヤルドほどで、体の半分は強靱な尻尾となっている。
鋭い牙を持っており、唾液に多くの病原菌が含まれているため、かまれると炎症を起こし、数日間高熱を出す場合がある。子供は死亡する事例も報告されている。また強靱な尾を使って攻撃をしてくる。また三潴法で攻撃にしてくることもあるので遠距離からも注意が必要。
体は白い皮膚に覆われており、思ったよりも固いためできるだけダメージを与えたあと、ひっくり返してからおなか側からとどめを刺す方がよい。魔法に対する耐性も高い。
素材としての買い取り対象は肉で脂も多く人気が高い。

大毛角牛:
上階位上位の魔獣。寒い地域の森や草原に生息している牛の形状をした魔獣。体長は2キヤルドくらいの大きさで、獲物を見つけると突進してくる。
突進力が強力で、風魔法を使って方向を変えることができるみたいで突進を躱すのは難しい。ただし魔法で攻撃をされたという報告はされていないため、あくまで補助的な使い方しかしないと言われている。
最初の突進を止めた後は周りを囲って徐々に体力を奪っていくのが有効となる。
素材としての買い取り対象は毛皮で、寒い地域の防寒具として加工される。肉はかなりの量がとれる上、人気も高いため買取額は高くなる。


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それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

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 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
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手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

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