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75. 異世界895日目 ジェンと・・・
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75. 異世界895日目 ジェンと・・・
デートを重ねるたびにジェンのことが好きになっていった。もちろんけんかをすることはあるけど、それでもジェンのことは前より好きになっていった。そして告白してから3ヶ月経って、自分は重大な決断をすることにした。
「ジェン、今日は久しぶりにちょっといいところで食事しないか?」
「どうしたの?まあ、最近は自炊が多かったからたまにはいいかもね。」
そう言って向かったのは前に泊まったシルバーフローの展望食堂だ。今日は食堂で前よりも贅沢に個室の部屋を取ってもらった。食事を頼んで食べ始めるが、緊張のせいか味があまりわからない。それでもなんとか緊張を隠しながらいろいろと話をしながら食事を楽しむ。
デザートまで運ばれてきたところで改めてジェンに話しかける。
「ジェン、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ。」
「え?どうしたの?」
「ジェンと両思いとわかってから3ヶ月ほど付き合ったけど、ジェンはどうだった?」
「うん、楽しかったわ。けんかもしたけど、今まで以上に楽しかった。」
「自分もジェンのことは前よりももっと好きになって来た・・・と思う。それで・・・」
言葉が出てこない・・・。
「それで・・・
自分と結婚してくれないか?」
いろいろと言うことを考えていたのに真っ白になって言葉がこれしか出てこなかった。
「えっ?」
ジェンが驚いた顔でこっちを見ている。
「これを受け取ってほしいんだ。」
自分は少し前に造ったものをジェンに渡す。
「これって・・・」
「こっちでは婚約指輪というものは無いみたいだけど、結婚指輪でプロポーズすることが多いって聞いたから・・・。指輪は頑張って造ったものなんだけど・・・。」
この世界では婚約という風習はあるけど、特に婚約指輪というものはないらしい。結婚指輪は男性が両方またはお互いが相手のものを用意して、結婚式ではめて誓うと言うことになるようだ。
結婚指輪は金や銀、値段が高くなるとミスリルや場合によってはオリハルコンで造るんだけど、宝石はつけずに金属だけで造るのが普通らしい。
それで少しずつ錬金と土魔法でミスリルを加工して造った。デザインは唐草のようなツタをイメージしたもので、それに前に買ったブローチのような鳥の羽を一部デザインに組み込んだものだ。
何か付与魔法を入れようかと思ったんだけど、デザインを優先させたせいでさすがに付与魔法を入れることはできなかった。
「ジェン?」
ジェンが下を向いて黙ってしまった。やっぱりいきなり結婚って言うのはハードルが高すぎたかな?調子に乗り過ぎちゃったか・・・。
「ご、ごめん。ジェンとはうまくいっていると思っていたから、ジェンもそう思ってくれていると思ってたんだ。それだったらけじめをつけるつもりで結婚と思ってしまったんだ。・・・ごめん。」
「ちがうの・・・。」
「え?」
「ちがうの・・・うれ、しくて・・・。」
顔をあげたジェンは目から涙を流していたが、悲しい表情ではなく満面の笑顔だった。
「もちろん、いいわよ。
イチ、結婚しようよ!」
「ほ、ほんとに?」
「もちろんよ。」
「や、やった~~~~っ!!!!」
あまり大きな声は上げられないが、思わず声が出てしまった。表にいた給仕の人がこっちをのぞき込んできたので謝っておく。
「そ、それでね・・・あ、あの・・・今日はここに部屋を取っているんだ。せっかくだから、こ、ここに泊まっていかない?」
「え・・・ええっ?
う、うん、いいわよ。」
食事を終えてから宿屋の部屋にチェックインする。あの話の後は二人とも何も話さないまま部屋へ移動する。だけど、ジェンはしっかりと自分の手を握ってくれていた。
部屋に移動してからシャワーを浴びるけど、緊張して下の方が収まらない。シャワーを出るとジェンも浄化魔法ではなくシャワーを浴びるようだ。
正直緊張してもう頭が大パニックだ。ジェンもそのつもりと考えていいんだよな?ちゃんとできるのかな?
しばらくしてジェンがシャワーから出てきたんだけど、いつもと違って自分と同じくバスローブを着ている。緊張で心臓の音が外に漏れているような気がする。
ベッドの横に並んで座るけど、なにも言葉が出てこない。こんなときどうすればいいんだ?クリスさんから色々助言をもらったんだけど、まったく思い出せないよ。
「イチ?」
振り向くとジェンの顔がすぐ近くにあった。
「大丈夫だよ。」
そう言うとジェンの顔が近づいてきた。そのままベッドに倒れ込んだ。ジェンの重さを感じる。胸の柔らかさを感じる。ジェンの心臓の音を感じる。
ジェンの唇に触れる。何度かやった長い口づけ。だけど今日はそれだけじゃない。覚悟を決めよう。
ジェンを引き離すと、ジェンは少し残念そうな顔をしている。
「ごめんね。」
そう言ってバスローブをはだけると、ジェンの裸体が現れた。下着はつけていなかったのでジェンのすべてを見ることができた。
ジェンの手が自分のバスローブに触れて脱がされる。あそこが落ち着かない状態になっているのを見てジェンが小さく笑った。
ジェンに口づけをしてベッドの上に倒れ込む。そしてジェンの胸に手を触れる。指が突起に触れるとジェンが小さく声を上げた。
二人でお互いを触っていたんだが、このままだと我慢ができない。いいのかな?ジェンを見ると小さくうなずいてくれた。そしていざ入れようとするが、場所がどこかわからない。そう思っているとジェンが誘導してくれた。
「お願い、一気に来てくれていいから。」
そう言われて腰を押し込むとあそこにすごい感触とともに、背中に痛みを感じる。ジェンが背中に爪を立てているようだ。ジェンの表情がかなりつらそうだが、必死に耐えているようだ。
「私のことはいいから、イチの思うようにしてくれていいから、お願い・・・。」
必死に訴えかけてくる。しばらくすると背中の痛みは治まってきたが、すぐに果ててしまった。我慢できないよ・・・。数回だけでも頑張ったんだからよしとしてよ。
気がつくと背中にかなりひどいひっかき傷ができていた。ジェンはかなり痛かったみたいで、必死に耐えていたんだけど、背中に爪を立てられてしまったようだ。もちろん治癒魔法で治せるけど、しばらくはこのままでいいかな?
ジェンに比べたらまだこのくらいの痛みは大丈夫だ。このあとも何度も励んでからそのまま眠りについた。ジェンと抱き合ったまま夢の中へ・・・。
目を覚ますとまだ0時だった。夕べは結構遅くまで起きていたはずだったんだけど、興奮しているのだろうか?横に目をやるとジェンのかわいい寝顔があった。
夕べジェンと結ばれたんだな・・・。なんか顔がにまにましてくる。ジェンにキスをするとジェンも起きてきたようだ。
夕べのことを話すとかなり顔を赤らめていた。自分の方を見て、「まだ足りないんでしょ?」と聞いてきた。たしかにもう復活しているけどね。ジェンの生まれたままの姿を見て興奮しない方がおかしいよ。
チェックアウトは遅めにしていたので結局3時頃になってやっと宿屋を出ることとなった。ジェンはなんとか家までは頑張って歩いていたけど、かなりつらそうだったのはしかたがないだろう。
ジェンと結ばれてからしばらくは寝不足になってしまった。でも一度超えてしまうと止まれないのはしょうがないよね。今まで我慢していたんだから落ち着くまでは我慢してほしい。落ち着くのかな?ジェンも最近はだいぶ余裕が出てきたようなので良かったよ。
こっちの世界での避妊については前にジェンから少し教えてもらったことがある。自分の母が生理痛がひどくて大変だったのでどうなのかちょっと心配になったんだけど、こっちの世界では生理そのものを抑える薬や魔法があったらしい。
ジェンも結構きつかったらしく、この魔法でかなり助かったと言っていた。ただジェンも今は魔法を使っているけど、もしかしたら生理は来ないかもしれないと言っていた。子供ができないと言うことはその準備ができていないと言うことだからね。でもいきなりくると大変なので使っているらしい。
それ以外にも男性側にも同じように精子を作らなくするための魔法薬もあるようだけど、そもそもの能力を下げることになるため使っている人はほとんどいないようだ。まあ使ったら役に立たなくなるのであれば本末転倒だ。
そして自分とジェンは子供が作れないようになっているので問題はないはずだ。さらに便利な浄化魔法もあるのでかなりありがたい。行為の後でも何事もなかったように綺麗になるからね。
両親からは避妊についてはかなり言われていたからね。「安全日なんて幻想だ。」とか、「外に出せば大丈夫とかないから」とか「避妊で完璧なものはない」とかね。まあ今回に関しては間違いなく大丈夫だろう。
もちろん性病のことまで考えて避妊具もちゃんとあることはあるのでそういうものも売っていることは確認しているけど、問題ないだろうということで使っていない。
最初の頃はちょっと睡眠不足気味だったけど、しばらくしてからはちゃんとした生活サイクルに戻した。ちょっと寝室に行くのが早くはなったけどね。今までと同じように鍛錬は続けているし、技能についても今までと同じようにやっている。まあ最初の頃の数日間はジェンは鍛錬を諦めていたけどね。
ちなみにこっちにはそれ目的のホテルというものはない。前に日本のラブホテルというのは色々と趣向があって面白いという話を聞いたことがあったので気になっていたんだけどね。
こっちでは宿屋をとってというのが普通なので自分たちが同じ部屋に泊まっているという時点でそういう関係とみられていたと言うことになる。
しばらくして結婚式はどうしようかという話になった。こっちの結婚は書類の申請ではなく、神への誓いで誓約されることが普通らしい。この誓いによって身分証明証に記載されるようだ。
結婚式は教会のようなところであげるのが一般的で、クリスさんなどの王族や貴族は大々的にやるものだけど、普通は両親などの親兄弟だけということも多く、呼んでも親族と友人が少しくらいのようだ。
やはり移動に伴うリスクがあるのであまり気軽に呼ぶことはできないよなあ。時間もかかるしね。呼ぶとしてもアーマトとオカニウムの友人関係とカサス商会の人達とかかな?あとはクリスさんたちとかだろう。
他には一応世話になった人達に連絡だけはしておいた方がいいよな。日程的には2ヶ月くらいあとのヤーマン建国祭の前あたりが一番いいかな?結構その時期にあげる人達も多いみたいなのでそれを目安に式を挙げることにしようかな。
~ジェンSide~
イチに夕食を外で食べようと言われてちょっと驚いた。何か特別なことが無い限りはそんなことはあまり言わないのにどうしたんだろう。シルバーフローの食堂を予約していると聞いてさらに驚いた。もしかして・・・期待してもいいのかな?
イチと付き合うことになったんだけど、未だに体の関係はないままだ。寝る前や起きたときにキスをしてくれるし、デートの時は腕を組んだりもしているし、寝るときに抱き合ったりもしているが、そこまでだ。
もちろんそれだけでもとても幸せな気分にもなるんだけど、やっぱりそれより先に行きたいと思っている。私からじゃないとだめなのかなあ?
食堂に行くと、なんと個室まで予約してくれていた。イチの様子が少しおかしいけどなにか企んでいるのかな?
「ジェン、ちょっと聞いてほしいんだ。」
なんとなくぎこちない会話をしていたんだけど、デザートが運ばれてきた後、イチが真剣な顔をして言ってきた。
「え?どうしたの?」
「ジェンと両思いとわかってから3ヶ月ほど付き合ったけど、ジェンはどうだった?」
「うん、楽しかったわ。けんかもしたけど、今まで以上に楽しかった。」
なにを今更言っているんだろう。とても幸せだったに決まっているじゃない。
「自分もジェンのことは前よりももっと好きになって来たと思う。それで・・・
それで・・・
自分と結婚してくれないか?」
ええ!!結婚・・・!?
「それで、これを受け取ってほしいんだ。」
出してきたのは二つの指輪だった。ツタの絡まったようなものに鳥の羽がデザインされている。イチと私の分なのかな?
「これって・・・」
「こっちでは婚約指輪というものは無いみたいだけど、結婚指輪でプロポーズすることが多いって聞いたから・・・。指輪は頑張って造ったものなんだけど・・・。」
本当に、本当に私と結婚しようとしてくれているの?こっそりこんなものを作っていただなんて。
「ジェン?
ご、ごめん。ジェンとはうまくいっていると思っていたから、ジェンもそう思ってくれていると思ってたんだ。それだったらけじめをつけるつもりで結婚と思ってしまったんだ。・・・ごめん。」
「ちがうの・・・。」
そんなわけないじゃない。そんなわけ・・・。
「え?」
「ちがうの・・・うれ、しくて・・・。」
いきなりこんなこと言ってくるなんて反則でしょう。
「もちろん、いいわよ。
イチ、結婚しようよ!」
うまく笑えていたかな?ちゃんと返事できたかな?
「ほ、ほんとに?」
「もちろんよ。」
「や、やった~~~~!!!!」
イチが結構大きな声を上げたせいで表にいた給仕の人がこっちをのぞき込んできた。
「そ、それでね・・・あ、あの・・・今日はここに部屋を取っているんだ。せっかくだから、こ、ここに泊まっていかない?」
わざわざここに泊まるってことは・・・。
「え・・・ええっ?」
イチとはいずれこうなりたいと思っていたことだからいいよね?
「うん、いいわよ。」
この後のことは正直はっきりと覚えていない。気がついたときにはシャワーを浴びてバスローブを着てからイチと並んでベッドに座っていた。日頃から体の手入れはしていたから大丈夫だと思う。おかしなところはないよね?
長いキスの後、お互いにバスローブを脱がしてからベッドに倒れ込む。痛かったけど、とても幸せだった。幸せを感じながらイチと抱き合って眠りについた。
翌日も宿屋のチェックアウトギリギリまでイチと愛し合った。家まで帰るのは大変だったけど、今はこの痛みがうれしかった。
その日の夜からもしばらくは寝不足な日々が続いた。イチもいったんたがが外れると我慢できなかったようだ。私も徐々に慣れていって気持ちよくなってきた。
もう絶対に離れないからね。あとどのくらいこの世界にいられるかわからないけど、絶対に忘れないからね。
~~~~~
結婚式まで余裕があると思っていたんだけど、いろいろと準備をしなければならなくなって結構大変な状況になってしまった。
最初は教会に話をして、日程が決まったらあとは服の準備くらいの予定だった。大体1ヶ月前くらいに準備を始めるのが普通だったし、地球にいたときに話に聞いていたほど特に準備はいらないと思っていたからだ。式の後の食事会はクリスさんのところでいいだろうと簡単に考えていた。
大変なことになってしまったのは結婚式の案内を出した少し後に遡る。他の町にいる人への連絡はお金はかかるけど文章を転送してもらう感じで送った。もっと気軽に使えるメールとかがあれば楽なんだけどね。電話とかは距離が離れると高すぎるしね。
最初に声をかけたのはもちろんクリスさんたちで、屋敷を訪ねて直接話をした。みんなにはもう自分達の関係はわかっているようだったので、「やっと結婚する気になったのか、おめでとう!!」とすぐに参加する返事をもらうことができた。
ただ王族は抜けたとは言え、建国祭の時に各国の要人が結構やってくるのでいろいろと対応にかり出されてしまうようだ。でも何があっても予定はあけると言われたので良かった。
他の町にいる人にも連絡を取ったところ、クラーエルの二人や風の翼、アキラさんとマラルさんがなんとか調整してくるという返事をもらった。日程的には結構ギリギリになるけどせっかくだから建国祭の見学と合わせてやってくるみたいだ。
あとはコーランさんに連絡すると、何人かの支店長や教育係の人も参加していいのかと聞かれる。せっかくなので数年に一回行っている支店長会議も併せて行うことにしたらしく、自分たちの知っている支店長の何名かも参加することになった。まあいろいろとお世話になった人達だから来てもらえるのならかまわないけどね。
アキラとマラルはその移動に便乗することとなったし、クラーエルや風の翼も護衛として一緒にやってくることとなったようだ。クラーエルの二人は一応引退と言うことにはなっているけど、登録を抹消したわけではなかったしね。
ここまでは人数はともかく、ある程度は参加するだろうと予想範囲内だったんだけど、驚いたのはこの後だった。
お世話になったからと一応連絡を入れていたアルモニアのジョニーファン様がなんと参加すると言ってきた。ヤーマン建国祭の際に各国の代表がヤーマンにやってくるみたいなんだけど、それに便乗してやってくると言われてしまった。
さらにハクセンからもラクマニア様の一家がやってくるらしい。もともと今年のヤーマン建国祭にやってくることにしていたらしく、ついでに自分たちにも会おうと思っていたようだ。このためラクマニア様だけでなく、家族で一緒にやってくることになったみたい。
せっかくやってくるのに招待しないわけにもいかなくなってしまった。建国祭に合わせてしまったのは失敗だったかな?
移動時間が半端ないと思ったんだけど、飛行艇のようなものでやってくるので思ったよりも時間はかからないようだ。
ここまで大きな話になってしまうと警備の関係から小さなところでは対応できないかもしれないと思い、クリスさんに場所の相談をすることにした。すると国王陛下まで話が行ってしまったみたいで、警備についてはある程度兵士を派遣してもらうことになってしまった。もともと要人の滞在中に警備がつくのは大前提だからね。
クリスさんも正式に自分たちの対応するように言われたらしく、「おかげで結婚式にどうどうと参加できるようになったよ。」と笑っていたけどね。
もう普通の平民の結婚式じゃなくなってきているような気がする・・・。あの人達だから特別扱いをしなくても大丈夫とは思うんだけど、周りがなあ。
それから大急ぎで場所を探し、なんとか警備もできるそこそこ大きめの教会と食事会のできる場所の確保ができた。ある程度の教会になると簡単には借りられないんだけど、そこは伝を使わせてもらったよ。
食事についてはクリスさんの店で行うんだけど、ここも申し訳ないけど貸切にしてもらった。ホールを全部使わないと無理っぽかったからね。
警備に関しては建物の内部は兵士を、建物の周りには冒険者を雇うこととなる。それに加えて魔法の使用を禁止する魔道具などの設置の手配なども行わなければならなくなってしまった。
結婚式の内容については最初はクリスさん達がやったようなことを考えていたんだけど、ジェンがせっかくなら地球で行われていたようなことをしようといいだしたので結構大変なことになってしまった。出席者にも色々とお願いしなければならないからね。
こういうことを話し出すとジェンは「こんなのもいいわね?そういえばこんなこともやりたい。」と止まらなくなってしまったから、ある程度制限するのが大変だった。
このせいでぜんぜんゆっくりする余裕もなく、かなりバタバタになってしまったよ。他のことも色々やりながらだとかなり大変な状況になってしまった。まあしょうが無いと言えばしょうが無いんだけどね。
準備に色々と奔走して精神的にかなり疲れてしまったこともあり、8月30、31日のサクラの町で行われたのみの市ではゆっくり楽しむことにした。まあゆっくりと言ってもせっかくなので掘り出し物探しはやったけどね。こういうものを探すのもある意味楽しいからね。
あまりいい掘り出し物は見つからなかったけど、それでも転売すれば数十万ドールのもうけにはなりそうな感じだった。さすがにすぐに売りに行くのはあからさますぎるので少し落ちつついたところで少しずつ売っていくことにしよう。
装備は自分たちでもそれなりに作れるようにはなっているんだけど、本格的にやるには持っている鍛冶道具だと並レベルのものができるかどうかだ。
あと一番の問題は付与魔法の方で、魔道具についてはまだ大きいことと、日本語を使うことでなんとかごまかしているんだけど、装備につける付与魔法についてはまだレベルが足りなくて効果は発揮できても魔素の維持ができないレベルの大きさになってしまう。
まあやり始めて1年くらいでそんなにすごいものができるようになったら苦労はないよね。もっと本格的にやればいいものもできるかもしれないけど、今のところそこまでは考えていないからね。
デートを重ねるたびにジェンのことが好きになっていった。もちろんけんかをすることはあるけど、それでもジェンのことは前より好きになっていった。そして告白してから3ヶ月経って、自分は重大な決断をすることにした。
「ジェン、今日は久しぶりにちょっといいところで食事しないか?」
「どうしたの?まあ、最近は自炊が多かったからたまにはいいかもね。」
そう言って向かったのは前に泊まったシルバーフローの展望食堂だ。今日は食堂で前よりも贅沢に個室の部屋を取ってもらった。食事を頼んで食べ始めるが、緊張のせいか味があまりわからない。それでもなんとか緊張を隠しながらいろいろと話をしながら食事を楽しむ。
デザートまで運ばれてきたところで改めてジェンに話しかける。
「ジェン、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ。」
「え?どうしたの?」
「ジェンと両思いとわかってから3ヶ月ほど付き合ったけど、ジェンはどうだった?」
「うん、楽しかったわ。けんかもしたけど、今まで以上に楽しかった。」
「自分もジェンのことは前よりももっと好きになって来た・・・と思う。それで・・・」
言葉が出てこない・・・。
「それで・・・
自分と結婚してくれないか?」
いろいろと言うことを考えていたのに真っ白になって言葉がこれしか出てこなかった。
「えっ?」
ジェンが驚いた顔でこっちを見ている。
「これを受け取ってほしいんだ。」
自分は少し前に造ったものをジェンに渡す。
「これって・・・」
「こっちでは婚約指輪というものは無いみたいだけど、結婚指輪でプロポーズすることが多いって聞いたから・・・。指輪は頑張って造ったものなんだけど・・・。」
この世界では婚約という風習はあるけど、特に婚約指輪というものはないらしい。結婚指輪は男性が両方またはお互いが相手のものを用意して、結婚式ではめて誓うと言うことになるようだ。
結婚指輪は金や銀、値段が高くなるとミスリルや場合によってはオリハルコンで造るんだけど、宝石はつけずに金属だけで造るのが普通らしい。
それで少しずつ錬金と土魔法でミスリルを加工して造った。デザインは唐草のようなツタをイメージしたもので、それに前に買ったブローチのような鳥の羽を一部デザインに組み込んだものだ。
何か付与魔法を入れようかと思ったんだけど、デザインを優先させたせいでさすがに付与魔法を入れることはできなかった。
「ジェン?」
ジェンが下を向いて黙ってしまった。やっぱりいきなり結婚って言うのはハードルが高すぎたかな?調子に乗り過ぎちゃったか・・・。
「ご、ごめん。ジェンとはうまくいっていると思っていたから、ジェンもそう思ってくれていると思ってたんだ。それだったらけじめをつけるつもりで結婚と思ってしまったんだ。・・・ごめん。」
「ちがうの・・・。」
「え?」
「ちがうの・・・うれ、しくて・・・。」
顔をあげたジェンは目から涙を流していたが、悲しい表情ではなく満面の笑顔だった。
「もちろん、いいわよ。
イチ、結婚しようよ!」
「ほ、ほんとに?」
「もちろんよ。」
「や、やった~~~~っ!!!!」
あまり大きな声は上げられないが、思わず声が出てしまった。表にいた給仕の人がこっちをのぞき込んできたので謝っておく。
「そ、それでね・・・あ、あの・・・今日はここに部屋を取っているんだ。せっかくだから、こ、ここに泊まっていかない?」
「え・・・ええっ?
う、うん、いいわよ。」
食事を終えてから宿屋の部屋にチェックインする。あの話の後は二人とも何も話さないまま部屋へ移動する。だけど、ジェンはしっかりと自分の手を握ってくれていた。
部屋に移動してからシャワーを浴びるけど、緊張して下の方が収まらない。シャワーを出るとジェンも浄化魔法ではなくシャワーを浴びるようだ。
正直緊張してもう頭が大パニックだ。ジェンもそのつもりと考えていいんだよな?ちゃんとできるのかな?
しばらくしてジェンがシャワーから出てきたんだけど、いつもと違って自分と同じくバスローブを着ている。緊張で心臓の音が外に漏れているような気がする。
ベッドの横に並んで座るけど、なにも言葉が出てこない。こんなときどうすればいいんだ?クリスさんから色々助言をもらったんだけど、まったく思い出せないよ。
「イチ?」
振り向くとジェンの顔がすぐ近くにあった。
「大丈夫だよ。」
そう言うとジェンの顔が近づいてきた。そのままベッドに倒れ込んだ。ジェンの重さを感じる。胸の柔らかさを感じる。ジェンの心臓の音を感じる。
ジェンの唇に触れる。何度かやった長い口づけ。だけど今日はそれだけじゃない。覚悟を決めよう。
ジェンを引き離すと、ジェンは少し残念そうな顔をしている。
「ごめんね。」
そう言ってバスローブをはだけると、ジェンの裸体が現れた。下着はつけていなかったのでジェンのすべてを見ることができた。
ジェンの手が自分のバスローブに触れて脱がされる。あそこが落ち着かない状態になっているのを見てジェンが小さく笑った。
ジェンに口づけをしてベッドの上に倒れ込む。そしてジェンの胸に手を触れる。指が突起に触れるとジェンが小さく声を上げた。
二人でお互いを触っていたんだが、このままだと我慢ができない。いいのかな?ジェンを見ると小さくうなずいてくれた。そしていざ入れようとするが、場所がどこかわからない。そう思っているとジェンが誘導してくれた。
「お願い、一気に来てくれていいから。」
そう言われて腰を押し込むとあそこにすごい感触とともに、背中に痛みを感じる。ジェンが背中に爪を立てているようだ。ジェンの表情がかなりつらそうだが、必死に耐えているようだ。
「私のことはいいから、イチの思うようにしてくれていいから、お願い・・・。」
必死に訴えかけてくる。しばらくすると背中の痛みは治まってきたが、すぐに果ててしまった。我慢できないよ・・・。数回だけでも頑張ったんだからよしとしてよ。
気がつくと背中にかなりひどいひっかき傷ができていた。ジェンはかなり痛かったみたいで、必死に耐えていたんだけど、背中に爪を立てられてしまったようだ。もちろん治癒魔法で治せるけど、しばらくはこのままでいいかな?
ジェンに比べたらまだこのくらいの痛みは大丈夫だ。このあとも何度も励んでからそのまま眠りについた。ジェンと抱き合ったまま夢の中へ・・・。
目を覚ますとまだ0時だった。夕べは結構遅くまで起きていたはずだったんだけど、興奮しているのだろうか?横に目をやるとジェンのかわいい寝顔があった。
夕べジェンと結ばれたんだな・・・。なんか顔がにまにましてくる。ジェンにキスをするとジェンも起きてきたようだ。
夕べのことを話すとかなり顔を赤らめていた。自分の方を見て、「まだ足りないんでしょ?」と聞いてきた。たしかにもう復活しているけどね。ジェンの生まれたままの姿を見て興奮しない方がおかしいよ。
チェックアウトは遅めにしていたので結局3時頃になってやっと宿屋を出ることとなった。ジェンはなんとか家までは頑張って歩いていたけど、かなりつらそうだったのはしかたがないだろう。
ジェンと結ばれてからしばらくは寝不足になってしまった。でも一度超えてしまうと止まれないのはしょうがないよね。今まで我慢していたんだから落ち着くまでは我慢してほしい。落ち着くのかな?ジェンも最近はだいぶ余裕が出てきたようなので良かったよ。
こっちの世界での避妊については前にジェンから少し教えてもらったことがある。自分の母が生理痛がひどくて大変だったのでどうなのかちょっと心配になったんだけど、こっちの世界では生理そのものを抑える薬や魔法があったらしい。
ジェンも結構きつかったらしく、この魔法でかなり助かったと言っていた。ただジェンも今は魔法を使っているけど、もしかしたら生理は来ないかもしれないと言っていた。子供ができないと言うことはその準備ができていないと言うことだからね。でもいきなりくると大変なので使っているらしい。
それ以外にも男性側にも同じように精子を作らなくするための魔法薬もあるようだけど、そもそもの能力を下げることになるため使っている人はほとんどいないようだ。まあ使ったら役に立たなくなるのであれば本末転倒だ。
そして自分とジェンは子供が作れないようになっているので問題はないはずだ。さらに便利な浄化魔法もあるのでかなりありがたい。行為の後でも何事もなかったように綺麗になるからね。
両親からは避妊についてはかなり言われていたからね。「安全日なんて幻想だ。」とか、「外に出せば大丈夫とかないから」とか「避妊で完璧なものはない」とかね。まあ今回に関しては間違いなく大丈夫だろう。
もちろん性病のことまで考えて避妊具もちゃんとあることはあるのでそういうものも売っていることは確認しているけど、問題ないだろうということで使っていない。
最初の頃はちょっと睡眠不足気味だったけど、しばらくしてからはちゃんとした生活サイクルに戻した。ちょっと寝室に行くのが早くはなったけどね。今までと同じように鍛錬は続けているし、技能についても今までと同じようにやっている。まあ最初の頃の数日間はジェンは鍛錬を諦めていたけどね。
ちなみにこっちにはそれ目的のホテルというものはない。前に日本のラブホテルというのは色々と趣向があって面白いという話を聞いたことがあったので気になっていたんだけどね。
こっちでは宿屋をとってというのが普通なので自分たちが同じ部屋に泊まっているという時点でそういう関係とみられていたと言うことになる。
しばらくして結婚式はどうしようかという話になった。こっちの結婚は書類の申請ではなく、神への誓いで誓約されることが普通らしい。この誓いによって身分証明証に記載されるようだ。
結婚式は教会のようなところであげるのが一般的で、クリスさんなどの王族や貴族は大々的にやるものだけど、普通は両親などの親兄弟だけということも多く、呼んでも親族と友人が少しくらいのようだ。
やはり移動に伴うリスクがあるのであまり気軽に呼ぶことはできないよなあ。時間もかかるしね。呼ぶとしてもアーマトとオカニウムの友人関係とカサス商会の人達とかかな?あとはクリスさんたちとかだろう。
他には一応世話になった人達に連絡だけはしておいた方がいいよな。日程的には2ヶ月くらいあとのヤーマン建国祭の前あたりが一番いいかな?結構その時期にあげる人達も多いみたいなのでそれを目安に式を挙げることにしようかな。
~ジェンSide~
イチに夕食を外で食べようと言われてちょっと驚いた。何か特別なことが無い限りはそんなことはあまり言わないのにどうしたんだろう。シルバーフローの食堂を予約していると聞いてさらに驚いた。もしかして・・・期待してもいいのかな?
イチと付き合うことになったんだけど、未だに体の関係はないままだ。寝る前や起きたときにキスをしてくれるし、デートの時は腕を組んだりもしているし、寝るときに抱き合ったりもしているが、そこまでだ。
もちろんそれだけでもとても幸せな気分にもなるんだけど、やっぱりそれより先に行きたいと思っている。私からじゃないとだめなのかなあ?
食堂に行くと、なんと個室まで予約してくれていた。イチの様子が少しおかしいけどなにか企んでいるのかな?
「ジェン、ちょっと聞いてほしいんだ。」
なんとなくぎこちない会話をしていたんだけど、デザートが運ばれてきた後、イチが真剣な顔をして言ってきた。
「え?どうしたの?」
「ジェンと両思いとわかってから3ヶ月ほど付き合ったけど、ジェンはどうだった?」
「うん、楽しかったわ。けんかもしたけど、今まで以上に楽しかった。」
なにを今更言っているんだろう。とても幸せだったに決まっているじゃない。
「自分もジェンのことは前よりももっと好きになって来たと思う。それで・・・
それで・・・
自分と結婚してくれないか?」
ええ!!結婚・・・!?
「それで、これを受け取ってほしいんだ。」
出してきたのは二つの指輪だった。ツタの絡まったようなものに鳥の羽がデザインされている。イチと私の分なのかな?
「これって・・・」
「こっちでは婚約指輪というものは無いみたいだけど、結婚指輪でプロポーズすることが多いって聞いたから・・・。指輪は頑張って造ったものなんだけど・・・。」
本当に、本当に私と結婚しようとしてくれているの?こっそりこんなものを作っていただなんて。
「ジェン?
ご、ごめん。ジェンとはうまくいっていると思っていたから、ジェンもそう思ってくれていると思ってたんだ。それだったらけじめをつけるつもりで結婚と思ってしまったんだ。・・・ごめん。」
「ちがうの・・・。」
そんなわけないじゃない。そんなわけ・・・。
「え?」
「ちがうの・・・うれ、しくて・・・。」
いきなりこんなこと言ってくるなんて反則でしょう。
「もちろん、いいわよ。
イチ、結婚しようよ!」
うまく笑えていたかな?ちゃんと返事できたかな?
「ほ、ほんとに?」
「もちろんよ。」
「や、やった~~~~!!!!」
イチが結構大きな声を上げたせいで表にいた給仕の人がこっちをのぞき込んできた。
「そ、それでね・・・あ、あの・・・今日はここに部屋を取っているんだ。せっかくだから、こ、ここに泊まっていかない?」
わざわざここに泊まるってことは・・・。
「え・・・ええっ?」
イチとはいずれこうなりたいと思っていたことだからいいよね?
「うん、いいわよ。」
この後のことは正直はっきりと覚えていない。気がついたときにはシャワーを浴びてバスローブを着てからイチと並んでベッドに座っていた。日頃から体の手入れはしていたから大丈夫だと思う。おかしなところはないよね?
長いキスの後、お互いにバスローブを脱がしてからベッドに倒れ込む。痛かったけど、とても幸せだった。幸せを感じながらイチと抱き合って眠りについた。
翌日も宿屋のチェックアウトギリギリまでイチと愛し合った。家まで帰るのは大変だったけど、今はこの痛みがうれしかった。
その日の夜からもしばらくは寝不足な日々が続いた。イチもいったんたがが外れると我慢できなかったようだ。私も徐々に慣れていって気持ちよくなってきた。
もう絶対に離れないからね。あとどのくらいこの世界にいられるかわからないけど、絶対に忘れないからね。
~~~~~
結婚式まで余裕があると思っていたんだけど、いろいろと準備をしなければならなくなって結構大変な状況になってしまった。
最初は教会に話をして、日程が決まったらあとは服の準備くらいの予定だった。大体1ヶ月前くらいに準備を始めるのが普通だったし、地球にいたときに話に聞いていたほど特に準備はいらないと思っていたからだ。式の後の食事会はクリスさんのところでいいだろうと簡単に考えていた。
大変なことになってしまったのは結婚式の案内を出した少し後に遡る。他の町にいる人への連絡はお金はかかるけど文章を転送してもらう感じで送った。もっと気軽に使えるメールとかがあれば楽なんだけどね。電話とかは距離が離れると高すぎるしね。
最初に声をかけたのはもちろんクリスさんたちで、屋敷を訪ねて直接話をした。みんなにはもう自分達の関係はわかっているようだったので、「やっと結婚する気になったのか、おめでとう!!」とすぐに参加する返事をもらうことができた。
ただ王族は抜けたとは言え、建国祭の時に各国の要人が結構やってくるのでいろいろと対応にかり出されてしまうようだ。でも何があっても予定はあけると言われたので良かった。
他の町にいる人にも連絡を取ったところ、クラーエルの二人や風の翼、アキラさんとマラルさんがなんとか調整してくるという返事をもらった。日程的には結構ギリギリになるけどせっかくだから建国祭の見学と合わせてやってくるみたいだ。
あとはコーランさんに連絡すると、何人かの支店長や教育係の人も参加していいのかと聞かれる。せっかくなので数年に一回行っている支店長会議も併せて行うことにしたらしく、自分たちの知っている支店長の何名かも参加することになった。まあいろいろとお世話になった人達だから来てもらえるのならかまわないけどね。
アキラとマラルはその移動に便乗することとなったし、クラーエルや風の翼も護衛として一緒にやってくることとなったようだ。クラーエルの二人は一応引退と言うことにはなっているけど、登録を抹消したわけではなかったしね。
ここまでは人数はともかく、ある程度は参加するだろうと予想範囲内だったんだけど、驚いたのはこの後だった。
お世話になったからと一応連絡を入れていたアルモニアのジョニーファン様がなんと参加すると言ってきた。ヤーマン建国祭の際に各国の代表がヤーマンにやってくるみたいなんだけど、それに便乗してやってくると言われてしまった。
さらにハクセンからもラクマニア様の一家がやってくるらしい。もともと今年のヤーマン建国祭にやってくることにしていたらしく、ついでに自分たちにも会おうと思っていたようだ。このためラクマニア様だけでなく、家族で一緒にやってくることになったみたい。
せっかくやってくるのに招待しないわけにもいかなくなってしまった。建国祭に合わせてしまったのは失敗だったかな?
移動時間が半端ないと思ったんだけど、飛行艇のようなものでやってくるので思ったよりも時間はかからないようだ。
ここまで大きな話になってしまうと警備の関係から小さなところでは対応できないかもしれないと思い、クリスさんに場所の相談をすることにした。すると国王陛下まで話が行ってしまったみたいで、警備についてはある程度兵士を派遣してもらうことになってしまった。もともと要人の滞在中に警備がつくのは大前提だからね。
クリスさんも正式に自分たちの対応するように言われたらしく、「おかげで結婚式にどうどうと参加できるようになったよ。」と笑っていたけどね。
もう普通の平民の結婚式じゃなくなってきているような気がする・・・。あの人達だから特別扱いをしなくても大丈夫とは思うんだけど、周りがなあ。
それから大急ぎで場所を探し、なんとか警備もできるそこそこ大きめの教会と食事会のできる場所の確保ができた。ある程度の教会になると簡単には借りられないんだけど、そこは伝を使わせてもらったよ。
食事についてはクリスさんの店で行うんだけど、ここも申し訳ないけど貸切にしてもらった。ホールを全部使わないと無理っぽかったからね。
警備に関しては建物の内部は兵士を、建物の周りには冒険者を雇うこととなる。それに加えて魔法の使用を禁止する魔道具などの設置の手配なども行わなければならなくなってしまった。
結婚式の内容については最初はクリスさん達がやったようなことを考えていたんだけど、ジェンがせっかくなら地球で行われていたようなことをしようといいだしたので結構大変なことになってしまった。出席者にも色々とお願いしなければならないからね。
こういうことを話し出すとジェンは「こんなのもいいわね?そういえばこんなこともやりたい。」と止まらなくなってしまったから、ある程度制限するのが大変だった。
このせいでぜんぜんゆっくりする余裕もなく、かなりバタバタになってしまったよ。他のことも色々やりながらだとかなり大変な状況になってしまった。まあしょうが無いと言えばしょうが無いんだけどね。
準備に色々と奔走して精神的にかなり疲れてしまったこともあり、8月30、31日のサクラの町で行われたのみの市ではゆっくり楽しむことにした。まあゆっくりと言ってもせっかくなので掘り出し物探しはやったけどね。こういうものを探すのもある意味楽しいからね。
あまりいい掘り出し物は見つからなかったけど、それでも転売すれば数十万ドールのもうけにはなりそうな感じだった。さすがにすぐに売りに行くのはあからさますぎるので少し落ちつついたところで少しずつ売っていくことにしよう。
装備は自分たちでもそれなりに作れるようにはなっているんだけど、本格的にやるには持っている鍛冶道具だと並レベルのものができるかどうかだ。
あと一番の問題は付与魔法の方で、魔道具についてはまだ大きいことと、日本語を使うことでなんとかごまかしているんだけど、装備につける付与魔法についてはまだレベルが足りなくて効果は発揮できても魔素の維持ができないレベルの大きさになってしまう。
まあやり始めて1年くらいでそんなにすごいものができるようになったら苦労はないよね。もっと本格的にやればいいものもできるかもしれないけど、今のところそこまでは考えていないからね。
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