【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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94. 異世界1587日目 新しい装備

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94. 異世界1587日目 新しい装備
 久しぶりにハルマに戻ってきたので、早速鍛冶のお願いに行こうとカルマの店に行ってみるが、店の入口が閉まっていた。

「あれ?ここだったよね?」

「ええ、場所はここで間違いないはずだけど・・・。」

 確かにカルマの店という看板は出ているんだけど、入口は閉まっている。

「おかしいなあ?この時間に開いていないと言うことはないはずだけど・・・。」

 入口を見てみると、「店舗移転の案内」という紙が貼られていた。

「移った場所は表通りになっているけど、何かあったのかな?まあ場所がいいところに移ったと言うことは悪いことでは無いと思うけど・・・。」

「人気はあったみたいだから何かのきっかけで繁盛したのかもしれないわよ。」

 案内のあった場所に行くと、2階建ての大きな店舗があった。

「ここ?えらく一気に大きなところになってるね。間違いないよね?」

「裏の方がどうなっているかわからないけど、すごいわね。店の名前は合っているからとりあえず入ってみましょう。」

 店舗部分は前の店の3倍くらいの広さになっていた。置いているのはやはり高レベルまでしかないのでやはり良レベル以上は注文となっているのだろう。レベルの高い商品は展示品としていくつか並んでいるだけだ。商品を見るとカルマさんのところの特徴があるので間違いなさそうだ。

「すみません。カルマさんにお願いしたいことがあるんですが、呼んでいただくことはできますか?」

 前にいた店員のカレンさんはいなかったので店員と思われる女性に声をかける。

「申し訳ありません。親方はいろいろと忙しくてちょっと難しいですね。装備の注文でしたら他のものが対応しますのでそれでもよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いします。」

 しばらくすると、あのとき新人だったタレンダさんが奥からやってきた。

「タレンダさん、お久しぶりです!!」

「あああっ!!ジェニファーとジュンイチじゃないか!!久しぶり!!元気にしていたか!!」

「ええ、他の皆さんも元気ですか?」

「ああ、元気元気!!こっちに入って来いよ!!お前達なら大丈夫だ。みんな驚くぞ!!」

 関係者以外立ち入り禁止となっているドアの方に誘われたので先ほどの店員に挨拶しながら中へと入って行く。店員は何が起きたのかよくわかっていない状態のようだ。


「「お久しぶりです!!」」

 鍛冶場に入ったところで声をかけるとみんなの視線が集まる。作業をしている人は前よりも増えているようだ。その中にはもちろん知っている顔もあった。

「「「おおっ!!ジェニファー!!とジュンイチ!」」」

 やっぱり目に入るのはジェンが先なのね。自分はついでのようだ。まああのときのジェンのもて具合を考えるとしょうがないけどね。
 すぐにカルラさんもやってきて、見知った人達と一緒に話をする。結婚したことは連絡しておいたので、「やっとひっついたのか。でも、正直うらやましいな。」と散々言われてしまったよ。


 少ししてカルラさんの仕事が一息ついたと言うので2階の部屋へ移って話す。最初に今回移転した経緯を説明してくれた。

 今から2年くらい前にかなり身なりのいい騎士から装備の注文があり、その依頼を受けて装備を作ったらしい。すると気に入ってくれたのか、その騎士の知り合いという人が数多くやって来るようになったようだ。

 もともと手狭になってきていたので場所の移転を考えていたし、ちょうどいい場所が空いたので、思い切って場所を移したようだ。前の場所も倉庫兼見習いの鍛冶場として使っているらしい。
 こっちでは例の魔道具を設置し、時間に関係なく鍛冶ができるようにしているようだ。ただ根を詰めすぎるといいものが打てなくなるので、よほどの時以外は時間に制約を設けているらしい。ちなみに魔道具はお金をかけて高性能のものをつけたと説明しているみたい。

「今回やってきたのは装備の調整か?」

「えっと、実は新しい装備を作ってもらおうかと思ってきたんです。」

「装備の買い換えか?そんなに痛んでいるようには思えないが・・・。」

「一応自分でも手入れはしていますし、定期的に鍛冶屋に調整を頼んでいるので今のところ問題ありません。今回はもっと上のグレードの装備に変えたいと思っているんです。」

「前のものより上となるとオリハルコン製になるからかなりの値段になるぞ?金は大丈夫なのか?最近やっとサビオニアからの鉱石が入るようになったとは言え、オリハルコンはやっぱり高くなるぞ。それ以前に材料がすぐにそろうかも怪しいからな。」

「ええ、それは分かっています。実はオリハルコンなどの素材を手に入れることができたのでそれで作ってもらえないかと思ったんです。」

「オリハルコンを手に入れたのか!?それはすごいな。」

「ええ、偶然にも古代遺跡を見つけることができて、そこにあった素材を回収してきたんです。ですのでオリハルコンやミスリルなどの素材は出せますので剣と短剣をお願いできないかと思っているんです。」

「わかった。素材を出してくれるのなら値段はかなり抑えることができるぞ。もちろん手間賃はもらうがな。最後の仕上げは俺がやるとしても他の注文もあるからやっぱり1ヶ月くらいは見てもらわないといけないぞ。」

「ええ、それで十分です。それでその間、またここで働かせてもらえないかと思っているんですが、大丈夫ですか?」

「それはこっちも願ってない申し出だ。おまえ達が居ると他の奴らの気合いの入り方が違うからな。もちろん教える方も手加減はしないぞ。」

「ええ、そっちのほうが助かりますよ。」

 話はすぐにまとまって、装備ができるまでここで働くことになった。賃金については装備代から差し引いてくれるようだ。


 話が一段落した後、新しい人達に紹介してもらう。この日は休みの人もいたが、今は鍛冶職として8人、販売員として2人、事務員として1人が働いているらしい。
 鍛冶の腕はムニワさんの次に他の鍛冶屋から移ってきたタルトさんとなるらしい。その下に前から居る3人のカルキアさんとサーザさん、タレンダさんと他から移ってきたムスダさんがいて、マルトさんとカルトさんは新人でまだ見習いらしい。指導係として前と同じくムニワさんがやってくれるようだ。


 鍛冶屋で働くことになったのでまずは宿を確保しなければならない。遅くなりそうな日もありそうなので近い方がいいなあと思っていたら鍛冶屋の2軒隣が宿屋だったのでここに行ってみる。
 値段を聞くと、一泊食事なしで1200ドールとちょっと高いが、利便性を考えてここに泊まることにした。10日単位での宿泊だと10%割引してくれるようなのでお願いする。ここだったらほんとにすぐに戻れるからね。規制のある時間以外はかなりうるさいみたいだけど、こっちも鍛冶屋で仕事するから関係ないし、最悪防音の魔道具もあるから大丈夫だ。


 翌日から早速鍛冶屋で働くことにした。いくら前にやっていたとはいえ、最初の1時間くらいは新人の二人と一緒に雑用をこなし、そのあとから鍛冶作業に取りかかった。新人の二人はほんとにやり始めたばかりでまだ鉄を使っての練習中みたい。

 自分たちは鉄製品まで一応売り物になるものは作れるので実際に店に出す商品を作ったり、途中までの鍛錬をやって引き継ぐというような仕事をする。
 鉄製品だと高レベルのものが安定して作れるようになっていて、時間をかけると、時々良レベルのものもできるようになってきた。これが安定してできるようになればいいんだけど、まだ魔力の込め方が安定していないのだろう。打ち込むタイミングと魔力の強さ、魔力を入れるタイミングが少しでもずれるとうまく鍛えられない。

 鋼鉄についても一応扱えるようになっていいたけど、最初のうちは商品になるものはできなくて何度も打ち直すことになった。鋼鉄の装備だと最低限高レベルにならないと売り物にならないからね。素材のレベルが上がるにつれて込める魔力が大きくなるので調整が難しくなってしまう。
 こればかりは実践あるのみで、頭だけでは感覚をつかむことができない。また素材の状態によっても若干異なってくるのでそれを調整するのは感覚でしかない。たたく強さや込める魔力などを微妙に変えながら最高のバランスを調整していくしかない。

 装備の調整の時は魔力を練り込む必要はないが、調整の時も使うことができるのであればそれに越したことはない。ただ変な魔力を込めると余計に悪くなってしまうので、素人が下手なことをすべきではないと言われている。


 鍛冶以外にも付与魔法のレベルが上がったこともあり、鉄の装備への付与魔法も付けることができるようになった。付与魔法の方は評価も高くて、いくつかは良レベルの装備に付与させてもらうことができた。まあ全部はできないのであくまで手伝いレベルだけどね。もちろん鋼鉄以上になるとまだ無理だった。
 ちなみに装備に付ける付与魔法の文字は日本語だと余計複雑になってしまうのでうまくいかなかった。今のところこっちで普通に使われている付与魔法を刻印しているだけだ。どこかで時間を作って付与魔法でどこまで効果が変わるかを試してみないといけないな。



 しばらく働いていると、最初に注文を受けた騎士が来たと言うので覗いてみる。

「なあ、あれって結婚式の時にラクマニア様の護衛できていた人じゃないか?」

「ええ、間違いないと思うわ。たしかもともと兵士だったけど、ラクマニア様に請われて護衛になったと言っていたわよね。」

 間違いなさそうだったので一応挨拶することにした。

「お久しぶりです。えっと、マイルスさんでよろしかったですかね?」

 マイルスさんはこちらを見て驚いていた。

「おおっ、ジュンイチ殿とジェニファー殿じゃないですか!?そうです、マイルスです。結婚式の時はお世話になりました。もらったお酒はおいしくいただかせてもらいましたよ。」

「それは良かったです。あのときはあまりゆっくりできなかったと思いますので、気になっていたんですよ。」

「あのとき見せてもらった装備が気になったので、こっちに来たときに寄らせてもらったんですよ。それで注文してみたらかなりいいものができあがってきたので同僚や知り合いに薦めたんです。」

「そうだったんですね。」

 テーブルに移動してから結婚式の後のことなどいろいろと話をする。今回は他に同僚と思われる二人が同行していた。マイルスさんは今回も装備関係の更新のためにこっちにやって来たらしい。しばらく話をして後で、ラクマニア様の話になった。

「ハクセンに来たと言うことは王都のラクマニア様のところにも顔を出すと伝えておいてもよろしいのですか?」

「ええ、今自分たちの装備を作ってもらっているのでそのあとで王都に行くつもりです。さすがにラクマニア様のところに顔を出さないで通り過ぎたらあとで何を言われるか分かりませんよ。」

「はは、確かに。それでは戻ったときに近いうちに来るということだけ伝えておきますよ。」

「ありがとうございます。またそのときはよろしくお願いします。」

 マイルスさんと話をしていると、一緒に来ていた人はかなり驚いた顔をしていた。そしてカルラさん達がマイルスさんと商談を終えた後、カルラさんとムニワさんの二人に呼び出された。

「あの騎士はルイドルフ爵のところの人だと聞いているが、知り合いなのか?」

「ええ、前にヤーマンで会ったときにラクマニア様の護衛でいたので話をした感じです。そのときに自分たちの装備を見せることがあって気になっていたようですよ。」

「いや、それはありがたいことなんだが・・・。そういえば前にルイドルフ爵家に伝があるとか言っていたな。今ではこの国のトップと言われている上位爵の貴族だぞ。」

「まあ、いろいろと縁があって、ラクマニア様と知り合うことができたので・・・。」

「商談の時に少し聞いたんだが、結婚式の時って言うのはどういう意味なんだ?まさかおまえ達の結婚式って事じゃないよな?」

「えっと・・・実は自分たちの結婚式に参列してもらったんですよ。家族で参加していただいたんですが、さすがに自分たちが準備した護衛だけというわけにもいかなかったので、マイルスさんたちにも参加していただいたんです。」

「「なに~~~!!」」

「お、お、お前、それがどういうことかわかってるのか?結婚式にって・・・。ルイドルフ爵が参列するってよほどの高位貴族や王族のレベルだぞ!」

「普通はお目にかかるだけでも大変な人物なんだぞ!」

 二人からいろいろと言われてしまう。

「そんなこといわれても・・・。ちょうどヤーマンの建国祭に家族で来られていて、せっかくだから参加すると言われたんですよ。ランドルフ様もすごくご機嫌だったし、披露宴では隠し芸までしてくれたんですよ。って、あ、これは内緒でお願いします。」

「そうそう、一緒に参加したお孫さんの二人はとてもかわいかったわよね。」

「そうだったよねえ。・・・って、あれ?どうしたんですか?」

 なんか二人が口を開けたまま固まっている。

「そんなに衝撃だったのかな?」

「まあ、この国では雲の上の存在みたいだからそうなのかもしれないわね。アルモニアでのジョニーファン様のようなものかもしれないわ。」

「おい、まさかジョニーファン様も参加されたとか言わないよな?」

「えっ?じ、実は、参加してもらえました・・・。」

 動き出したと思ったらまた固まってる・・・。



「すまんな。あまりの衝撃に思考が止まってしまった。そんな立場の人間なのに、俺たちのようなこんな扱いでいいのか?」

 横でムニワさんもうなずいている。

「全然かまわないです。たしかに知り合いの人達はすごい人達も多いですが、自分たちはあくまで平民なので今まで通りでかまいません。前にも言ったように爵位相当であって貴族ではありませんので。」

「どのくらいすごいことなのかわかっているのか?まったく。」

 そんなこと言われてもなあ・・・。そもそも貴族と言われてもどのくらいすごいことなのかがよく分からないからね。


~マイルスの後輩Side~
 ここ最近、マイルス様の紹介で新しい鍛冶屋に装備を注文している。たしかに見栄えで言えば今まで使っていたところより劣るので式典などには向かないが、実用性という点で見ると間違いなく上だと言うことが分かる。
 注文は直接見た人間にしか作らないというこだわりがあるようで、使う人間が直接行かなければならないのだが、それだけの価値は十分にあるというのが同僚達の言葉だ。良レベルのものだが、優レベルくらいのできという話だ。通常の装備であれば支給されるのでいいんだが、良レベル以上の装備については自腹となってしまうからな。良レベルの価格で優レベルの装備が手に入るとなれば買う価値は十分にあるだろう。今回やっと私の装備を注文できる順番がやって来たので喜んで同行させていただいた。

 店に入り、話をしていると店の奥から出てきた二人がマイルス様に声をかけてきた。ただの鍛冶屋の下っ端と思われる二人のあまりのなれなれしさにちょっと不快感を感じたのだが、マイルス様は特に気にした風もなく談笑し始めた。しかもマイルス様の方が敬語を使っている。
 話しているのは前に行ったヤーマンの建国祭の時の話のようだ。そのときに結婚式に参加されたことは聞いていたんだが、まさかこの二人の結婚式に参加されたのか?しかも家族全員で参加したと言っていたはずだ。

 前にハクセンで褒章をもらった人物とは聞いていたが、まさかこんなに若い人たちだとは思わなかった。あのときに二人の話は聞いていたが、人物像はほとんど聞かされていなかったからな。
 このあと王都に来たら顔を出すと言っているが、そんなに気軽な関係なのだろうか?正直どういうことなのか分からない・・・。

 打ち合わせの後、マイルス様から、「あの二人はラクマニア様のお客様であると言うことを念頭に置いて対応するように。平民だと言って軽く扱うことは厳禁だぞ。」と釘を刺された。マイルス様の態度を見ていたらそれは真実だと言うことが分かる。
 二人のことについてもあまり簡単に話をするなとも言われる。それで二人の事についてほとんど話が出てきていないのか・・・。マイルス様の言い方からしてうかつに話をしてしまうと本気で処罰されかねないことがわかった。


~~~~~

 1ヶ月ほど経った頃、ついに装備が完成した。装備の材料はすべて持ち込みだったので材料費分は安くしてもらえたのはありがたい。ちなみに素材の質が上がるほど、価格の中の素材費の占める割合が高くなっていくので、オリハルコン製の装備は8~9割が素材代となるみたい。
 それを考えると今回持ってきたオリハルコンだけでも半端ない価値と言うことになるんだな。まああれだけの金属から抽出したのに使われていたのは少しだけだったのでその希少性は高いのだろう。
 オリハルコン製と言っても実際はオリハルコンとミスリルの合金だ。オリハルコン100%だとまともに加工ができないらしく、今もっとも性能を引き出せる比率はオリハルコンの使用量が50%のもののようだ。鍛冶スキルが上がれば上がるほどその比率を上げていくことができるみたいだけどね。
 古代遺跡でオリハルコン100%の装備が見つかることがあるらしいけど、現代ではオリハルコン100%でちゃんと性能を引き出した加工をできる人はいないようだ。たとえ形ができたとしても品質が悪くなっては意味がないからね。

 オリハルコンの剣(良)=300万ドール
 オリハルコンの短剣(良)=200万ドール

 このできのものだったら剣は1800万ドール、短剣は1200万ドールはする。ちなみに優レベルの装備になると値段は数倍という評価になってしまうが、正直言ってそれに劣らないものだと思う。

 あと、技量的にはまだという評価だったんだけど、カルラさんの好意でミスリルの戦鎚(良)とミスリルの錫杖(良)も作ってもらうことになった。材料は提供できたのでかなり安く作ってもらえたからね。こっちは優レベルに相当する出来なので正直言ってこの値段でいいのかと思ってしまった。

 ミスリルの戦鎚(良)=150万ドール
 ミスリルの錫杖(良)=150万ドール


 防具についても一部は作り直してもらったけど、さすがにオリハルコン製にするには材料が足りなかったので、オリハルコン製は片手剣と短剣のみだ。まあ若干は残っているけど、何に使うにしても中途半端な量だったからね。
 今回作り直したのは効果が並だった装備だ。ミスリルの部分を一部打ち直さないといけなかったけど、手間としてはまだ少なかったのでこの値段で済んだ。

 ミスリルの籠手(良)=40万ドール
 ミスリルの盾(良)=40万ドール
 ミスリルの兜(良)=40万ドール
 突牛のミスリルハーフ鎧(良)=80万ドール

 あとは前処理済みの革やミスリルなどの素材を渡してレベルの低い装備を更新した。革パンツと革ブーツは部分的にミスリルを使っているので強度は格段に向上している。材料の多くは革になるんだけど、加工するのが余計に手間がかかるようなのでミスリルの籠手よりも高くなってしまった。

 ミスリルの籠手(良)=100万ドール
 突牛の革パンツ(良)=150万ドール×2
 突猪の革のブーツ(良)=150万ドール×2


 普通の鑑定では分からないけど、良レベルの装備でも品質が優レベルのものもあるので評価が高いのだと思う。ミスリルの装備は耐久性が優になっているからね。
 おそらく付与魔法のレベルが高いものにすれば優レベルになるのではないだろうか?付与魔法のみ外注に出した場合はやはり優レベルの装備になるみたいだしね。おそらく良レベル以上の装備はおおかた一つ上のレベルが付いているのだろうな。


 いろいろと手伝ったこともあり、今回はサービス価格にすると言ってかなり値引きしてくれているのは間違いないようだ。全部で1700万ドールと半端ない金額になってしまったけど、しばらく大きな買い物もしていなかったし、魔符核の販売と収納バッグ売却のお金もあったのでまだ残金は1000万ドール以上ある。
 予備としてもいらなくなった鋼の剣(高)、厚手の革パンツ(並)×2、牙猪の革の籠手(高)、牙猪の革のブーツ(高)×2は中古で引き取ってもらい、これだけでも10万ドールほどになった。
 正直なところ、こんな金額を使っていいのかと思う。最近金銭感覚が麻痺してきているような気がするけど、それはしょうがないよね。なんだかんだ言っても収入が結構すごいことになっているからだろう。


 久しぶりに本格的な鍛冶をやったので結構大変だったけど、頑張っただけあってその見返りもあった。鋼鉄の装備は作れるようになったし、整備だけならミスリルの装備品もできるようになった。
 オリハルコンも合金と言うこともあり、整備だけならある程度できるけど、やはりちゃんとしたところに定期的に出した方がいいと言われている。ただ変なところに出すと性能が落ちてしまうので、カルマさんに主要都市の鍛冶屋をいくつか教えてもらう。

 残念ながら鍛冶スキルのレベルは3のままで上がっていないけど、こればかりはしょうがない。いくら能力の取得速度が速くてもレベル4はなかなか厳しいよね。カルマさんでもレベル4だからなあ。まあカルマさんはもうすぐ5とかになりそうな気がするけど、オリハルコンの加工とかは鍛冶のスキルだけではだめなのかねえ?調合とか知識とかも必要な気がする。


 装備を受け取った日は仕事の後、みんなを連れて近くの店に行く。折角なので普段行かないところでおごろうと思って、先日マイルスさんに聞いた店を予約しておいた。事前に店に行って味や雰囲気は確認済みだ。
 さすがに有名店だけあっていきなりだと入れないようだったので、マイルスさんの紹介という形にしてもらった。マイルスさんは結構この店では有名だったみたいなのですぐに予約が取れて良かったよ。
 平民用の店なんだけど、貴族も結構来ているところみたいで、価格はかなり高いので普通はなかなかいけるところではないようだ。

「前におすすめと聞いて来たことがあるんですが、なかなか良かったのでここにしました。個室をとっていますので周りは気にしなくていいですから。」

「こ、ここって、入っていいのか?」

「ええ、ちゃんと予約も入れていますし、大丈夫ですよ。受付してきますのでちょっと待っていてください。」

 身分証明証を出して確認をとってもらい、個室へ案内してもらう。基本的には他のお客と顔を合わせないように誘導してくれるので大丈夫だ。

「今日は自分たちのおごりですので遠慮しないで食べてください。食事内容はこっちで勝手に決めさせてもらっていますので、好きなようにつまんでくださいね。あとお酒も十分にありますので。」

 最初のうちは遠慮していたんだけど、お酒が入ってくるといつもの調子になってきた。まあ馬鹿騒ぎする人たちではないからまだいいんだけどね。かなりの出費となったけど、お世話になった人たちだし、楽しかったからいいかな。


~カルマSide~
 以前はぼちぼちと客も増えてきたという感じだったんだが、ここ2年ほどで急に忙しくなってきた。おかげで大通りに店舗を構えることもできるようになったし、優秀な弟子も育ってきていい傾向だ。そういえばあの二人はどうしているだろうかと思っていたらいきなり二人がやって来て驚いた。
 古代遺跡を見つけたらしく、いろいろな素材を持って来て、武器を作ってくれと言ってきた。まさかオリハルコンを持ってくるとは驚きだ。どうやら錬金のスキルを持っているのでそこで錬金してきたようだ。
 1ヶ月近くかかると言ったら、その間また働かせてくれと言ってきたのですぐに承知した。この二人の上達具合は他の弟子達へ与える影響がかなり大きいからな。

 あのあとも鍛錬は続けていたみたいで、鉄の製品についてはかなり上達していた。まだ若干できにムラがあったが、最後は良レベルの製品が普通に打てるようになっていたので十分だろう。鋼の製品も打てるようになり、最後はミスリルまで少し扱えるようになっていたからな。
 鍛冶に本格的に取り組んでもらいたいと思ってしまうのは仕方がないだろう。本人はあくまで冒険者として活動する上で鍛冶もやっておきたいと言うことらしいがな。いろいろなことに手を出して中途半端になるやつは多いが、この二人はどの分野も一定以上のスキルを持っているのがすごいところだな。

 しかし一番驚いたのはやはり二人の結婚式のことだ。なぜルイドルフ爵だけでなくジョニーファン様まで参加しているんだ?この二人には会えるだけでも大変なのに、結婚式に参加してもらっただなんてとても信じられない。ただあの注文に来た騎士の話からは嘘とは思えないんだよな。いったいあの二人の人脈はどうなっているんだ?
 このことはムニワと二人だけにとどめておいた。そうしなければ他の奴らはどう対応していいのか分からなくなるだろうからな。

 最後に打ち上げに連れて行ってくれたんだが、まさかこの町で有名な高級店とは思わなかった。かなり力のある貴族から援助されているので、貴族でも簡単には入れなかったはずだ。まああいつらのことだ、何かしらの伝があったんだろう。
 町の住人なら一度は行ってみたいと思っているところに行けたのはいいが、最初は冗談ではないかと思っていたからな。まあお酒のおかげでみんな楽しめたようだがな。


~タレンダSide~
 2年ほど前までは一番下っ端だったが、店も大きくなり、最近は新しい弟子も入ったおかげで下っ端生活から卒業できたのは素直にうれしい。前に短期間だけ入った二人はすごい勢いで腕を上げて危うく追いつかれそうになって焦ったが、今の俺と同じくらいの成長具合なので少し気楽だ。
 「そんなことを言っていたらすぐに追い抜かれるぞ!」とよく言われるが、俺の腕も大分上がってきているはずだ。

 装備の注文が入ったと言われて店舗に出ると。見たことのある姿がそこにいて驚いた。以前少しの間ここで働いていたあの二人だ。あれから3年ほど経っているんだが、全く姿が変わっていなかった。相変わらずジェニファーは美人だな。
 前はよく関係の分からない二人だったが、2年ほど前に結婚したと連絡があって驚いたものだ。やっとくっついたかという感情とともに、正直うらやましいと思ったのは内緒だ。

 どうやらいい素材を手に入れたので新しい装備を作りたくてわざわざこっちまでやって来たらしい。ここに来る前はナンホウ大陸まで行っていたみたいで、そこで古代遺跡を発見したようだ。古代遺跡を発見するとはかなりの強運だな。

 装備が完成するまではここで働くことにしたと聞いてちょっとうれしかった。結婚したとは言え、鍛冶場に女性がいると花があっていいよな。しかもあれだけの美人だとなおさらだ。まあどう考えてもあの二人の間に入る余地はないだろうけどな。
 冒険者としてあちこちに行っていたようなので鍛冶の腕が落ちているかと思ったんだが、ちゃんと鍛錬は続けていたみたいであのときよりも腕が上がっていた。
 あのときはいつ追いつかれるかひやひやしていたが、さすがに俺との腕の差は開いていた。ただ今回の間にまたその差を縮められて焦ってしまった。このまま修練していけば追い抜かれてしまうだろうが、なんとか先輩の面目を保てて良かったと思っている。もっと真剣にやっておけば良かったとちょっと後悔している。
 鍛錬をしているときは親方と同じくらいの集中力を出して作業しているからな。あの集中力で長時間作業できるのがすごいことだよな。それもあって腕の上達が早いのだろう。

 装備が完成した後、打ち上げと言って店に連れて行ってくれたんだが、その店に行ってみて驚いた。一般人にはなかなか行けないところだったからだ。行ったメンバー全員がかなり戸惑っていたんだが、ジュンイチは前にも来たと言ってさっさと受付を済ませてきた。

 「ほんとにいいのか?」と思いながらも「ちゃんと確認をとっているから大丈夫」としか返事がない。そういえばかなりの偉い人にも伝を持っているということを思い出して納得したが、それでもそう簡単にはこの店には入れなかったと思うんだけどな。値段的にもな。

 店に入って食事となったが、やはりみんな緊張してなかなか食が進まなかった。しかし酒が入るとみんないつもの調子になってきていろいろと馬鹿話をしながら楽しい食事会となった。しかし本当においしい料理だったなあ。


~購入した装備の詳細~
名称:オリハルコンの剣(良)
詳細:ミスリルとオリハルコンで鍛え上げられた剣。製品の強度が30%向上する。製品の切れ味が30%向上する。耐久性が10%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1

名称:オリハルコンの短剣(良)
詳細:ミスリルとオリハルコンで鍛え上げられた短剣。製品の強度が30%向上する。製品の切れ味が30%向上する。耐久性が10%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1

名称:ミスリルの戦鎚(良)
詳細:ミスリルで鍛え上げられた戦鎚。製品の強度が30%向上する。製品の耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:優
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:ミスリルの錫杖(良)
詳細:ミスリルで鍛え上げられた錫杖。製品の強度が30%向上する。製品の耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:優
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:ミスリルの籠手(良)
詳細:ミスリルと突猪の革から製作された籠手。製品の強度が30%向上する。耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:ミスリルの盾(良)
詳細:ミスリルと鋼で作りあげられた盾。製品の強度が30%向上する。耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:ミスリルの兜(良)
詳細:ミスリルと突牛の革から製作された帽子。製品の強度が30%向上する。耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:突牛のミスリルハーフ鎧(良)
詳細:突牛の革から製作されたハーフ鎧で要所にミスリルが使用されている。製品の強度が30%向上する。魔法耐性が30%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、魔法耐性向上-3

名称:ミスリルの籠手(良)
詳細:ミスリルと突猪の革から製作された籠手。製品の強度が30%向上する。耐久性が30%向上する。
品質:良
耐久性:良
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性向上-3

名称:突牛の革パンツ(良)
詳細:突牛の革から製作されたズボンで要所にミスリルが使用されている。製品の強度が30%向上する。耐久性が20%向上する。
品質:良
耐久性:高
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性-3

名称:突猪の革のブーツ(良)
詳細:突猪の革から製作されたブーツで要所にミスリルが使用されている。製品の強度が30%向上する。耐久性が20%向上する。
品質:良
耐久性:高
効果:良
効力:強度向上-3、耐久性-3


~装備~
ジュンイチの装備:
ミスリルの剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3
→オリハルコンの剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1
鉄の短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1
鋼の戦鎚(高) 高/高/高 強度向上-2
→ミスリルの戦鎚(良) 良/優/良 強度向上-3、耐久性向上-3
突牛の鎧(良) 良/良/良 強度向上-3、魔法耐性向上-3
巨角牛の革パンツ(高) 高/高/高 強度向上-2
→突牛の革パンツ(良) 良/高/良 強度向上-3、耐久性向上-3
巨猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2
→ミスリルの籠手(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
ミスリルの盾(高) 良/良/並 強度向上-1、重量軽減-1
→ミスリルの盾(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
巨猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2
→突猪の革のブーツ(良) 良/高/良 強度向上-3、耐久性向上-3
ミスリルの兜(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
力のネックレス(良) 良/良/良 筋力向上-3
魔術の指輪(良) 良/良/良 魔力強化-3、治癒力強化-2
堅牢の腕輪(高) 高/高/高 肉体硬化-2
耐久のアンクレット(高) 高/高/高 持久力強化-2

ジェニファーの装備:
ミスリルの短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3
→オリハルコンの短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1
鉄の短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3、耐久性向上-1
鋼の錫杖(高) 高/高/高 強度向上-2
→ミスリルの錫杖(良) 良/優/良 強度向上-3、耐久性向上-3
巨角牛の革パンツ(高) 高/高/高 強度向上-2
→突牛の革パンツ(良) 良/高/良 強度向上-3、耐久性向上-3
突牛のハーフ鎧(高) 良/良/並 強度向上-1、重量軽減-1
→突牛のミスリルハーフ鎧(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
ミスリルの籠手(高) 良/良/並 強度向上-1、耐久性向上-1
→ミスリルの籠手(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
ミスリルの小盾(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
巨猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2
→突猪の革のブーツ(良) 良/高/良 強度向上-3、耐久性向上-3
ミスリルの兜(高) 良/良/並 強度向上-1、耐久性向上-1
→ミスリルの兜(良) 良/良/良 強度向上-3、耐久性向上-3
力のネックレス(高) 高/並/高 筋力向上-2
魔術の指輪(高) 高/高/高 魔力強化-2、治癒力強化-1
治癒の指輪(良) 良/良/良 治癒力強化-3
俊敏の腕輪(高) 並/並/高 俊敏強化-2
堅牢の腕輪(良) 良/良/良 肉体硬化-3
耐久のアンクレット(高) 高/高/高 持久力強化-2

予備の装備:
ミスリルの剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3
ミスリルの短剣(良) 良/良/良 強度向上-3、鋭利向上-3
鋼の戦鎚(高) 高/高/高 強度向上-2
鋼の錫杖(高) 高/高/高 強度向上-2
巨角牛の鎧(高) 高/高/高 強度向上-2
大角牛の革のハーフ鎧(高) 高/高/高 強度向上-2
巨角牛の革パンツ(高) 高/高/高 強度向上-2×2
巨猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2
牙猪の革の籠手(高) 高/高/高 強度向上-2、耐久性向上-1
巨猪の革のブーツ(高) 高/高/高 耐久性向上-2×2
鉄の兜(高) 高/高/高 強度向上-2
牙猪の革の帽子(高) 高/高/高 強度向上-2
鉄の盾(並) 並/並/並 強度向上-1
鋼の小盾(高) 高/高/高 強度向上-2


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