【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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98. 異世界1871日目 再びアルモニアへ

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98. 異世界1871日目 再びアルモニアへ
 ハルアの町を出発してから国境の町タブロムまでやって来た。すぐにアルモニアに入国するつもりだったけど、ハクセンも最後だし、紹介状のこともあるので言われていた宿へと向かう。
 ここも予想通りの高級宿で、紹介状を出すとすぐに総責任者という肩書きの人がやって来て、そのあとオーナーもやって来た。そして案内された部屋は予想通り破格の部屋だった。もう割り切るしかないよね。これに慣れてしまったら普通の宿とかに泊まれなくなってしまうよ。

 ここでは3泊だけにしたんだけど、宿のオーナーから何度ももう少し宿泊してはどうかと言われてしまった。短い滞在の理由はちゃんと連絡すると言うことでやっと引き下がってくれたけどね。
 ここでも町の観光と、食材の購入をしていく。さすがに季節的に食材の種類は少ないけど、全くないというわけでもないからね。今あるお金のことを考えると多少高くても誤差レベルになってしまうんだけど、ちゃんと引き締めるところは引き締めないといけない。


 3日目の朝早くに出発したが、今回も宿屋の従業員総出という感じでお見送りされるという異様な風景になってしまった。同じ時刻に出発する人も多かったのでかなり目立ってしまったよ。端から見たら「なんであんな若造にへりくだっているんだろう?」という感じだろうね。

 朝一でアルモニアに入国してからすぐに町を出る。入国のゲートにはかなりの列が出来ていたけど、貴族用のゲートが通れたので助かった。いずれはこういうものもなくなるのかねえ?
 今回も折角だからと温泉の町サイノレアに寄っていく。変に気を遣われるのもいやなのでちょっと豪華な部屋をとってチェックインしたんだけど、すぐに例の3人が部屋にやって来た。

「なぜ声をかけてくれなかったのですか?」

 3人ともちょっと不満そうな顔で言ってきた。

「いやいや、今回は特に珍しいお酒はありませんよ。」

「いえそういう訳ではありませんよ。前のことを考えてもまだお礼をしたりないくらいなのですから。」

「そう言われても前のことで十分満足していますよ。なので今回はちゃんと部屋代は払わせていただきますので。」

「そうですか・・・。

 そうだ。お二人が来ることがあればこちらの用意したお酒の試飲会でもしようと話をしていたのですよ。いかがですか?」

「本当ですか!!」

 ジェンが食いついている。

「ええ。5泊されるようですので、3日後の夕方からでいかがでしょうか?いろいろなお酒に合うようにつまみもいろいろ準備しますので心配しないでください。」

「ありがとうございます。よろしくお願いしますね。」


 やっぱり気が引けると言うことで食事内容はかなり豪華になったけど、これは普通にいただくことにした。おかげでここにいる間はかなりだれた生活になってしまったけどしょうがないかな。部屋付きの温泉に入っているとねえ・・・。

「前に泊まったときは私が裸で入ってきたらかなり緊張していたわよね。」

「当たり前だろ。水着でもかなりどきどきしていたのにまさか裸で入ってくるとは思わなかったよ。あのときは自制するのが大変だったんだからな。」

「ふふふ、そうね。でももう自制しなくていいからね・・・。」

「いったな・・・。」



 3日後の夕方から3人とも休みを取ったらしく、一緒にお酒を飲むようだ。いいのだろうか?料理は大丈夫なのかと確認したら、すでに大方の準備は終わらせたのであとは弟子達に任せて大丈夫らしい。

「いくつか用意したのですが、残念ながら飲ませたいと思っていたお酒で手に入らなかったものがありました。サビオニアの情勢の関係なんですけどね。」

「サビオニアのお酒だったら有名どころは買ってきていますよ。前に教えてもらったものはだいたいあります。」

「ええっ!?サビオニアに行かれていたんですか?」

「ええ、革命の前に購入したものもありますし、そのあとでもいろいろと融通してくれた人がいたので助かりました。特におすすめというお酒もありますので少し出しましょうか?」

「おお、ありがとうございます。もうしばらくしたら流通も始まるとは思うのですが、いくつかのお酒はもう造られなくなったと聞いていますよ。」

 ジェンはあの国でもかなり酒を買いあさっていたからなあ。たしかに貴族が法外なお金をかけて作っていたようなものもあったから、さすがに国が変わったらあれを作れないだろうな。あのとき買っていて正解だったのかな?
 あのときハクさんに言って集めてもらっていたもんなあ。押収したお酒の一部を安く譲ってくれたものもあったようだし、今の話だと元値は半端なく高かったのかもしれないね。

 いろいろとお酒を試飲しながら感想を言い合っている。ジェンもかなり楽しそうだが、宿の三人もかなりテンションが高い。本当にお酒が好きなんだろうな。夕方から始まったのに、夜遅くまでやっていたからね。まあ自分も付き合ったけど、酒談義にはあまり関わらなかったよ。


~ハスカルSide~
 例の二人がやって来たのに特に何も言われなかったので部屋に押しかけてしまった。受付の者が気を遣って連絡してくれたので助かった。もう十分にお返しはしてもらったと言われたのでそこは引き下がったが、食事などについては十分サービスさせてもらった。

 前にやろうと話していた試飲会は楽しかった。ジェニファーさんはナンホウ大陸でいろいろとお酒を仕入れてきたようだが、そのときに私の肩書きの名刺が役に立ったとお礼を言われてしまった。

 サビオニアの名酒は今回の革命でかなりの数が生産不可能となったと聞いていた。採算度外視のお酒もあったし、今回の革命の戦闘で設備や農園がやられてしまったこともあるようだ。
 ジェニファーさんは革命前にこれらのお酒の大半をかなりの量仕入れていたらしく、その中からほしいお酒を1本ずつ譲ってくれた。色を付けて支払いをしたが、今後はさらに値段が上がって行くだろうな。
 ただこんなに簡単に渡してくるなんて、いったいどのくらい買い込んでいたのだろうな。それ以前にそんなに流通しているわけでもなかったと思うのだが、よく手に入れたものだ。しかもかなりの年代物まで持っていたからな。他の二人もかなり驚いていたくらいだ。

 おかげでいろいろと楽しんでもらう試飲会が、こちらが楽しむ試飲会になってしまった。接待するつもりだったのに接待されたような感じだ。なのでこちらからもジェンさんの持っていない秘蔵のお酒を渡したが、かなり喜んでもらえて良かったよ。

~~~~~~

 温泉を堪能してからサイノレアを出発した後、途中のクリアミントの町は少しだけ店を覗いてすぐに北上してマイムシの町を目指す。
 以前はこっち方面の道路はまだあまり整備がされていなくて工事中だったけど、今はきれいに整備されていて走りやすくなっていたこともあり、思ったよりも早くマイムシの町に到着できた。ミルファーさんとスイートさんの二人は元気にしているだろうか?
 自分たちが結婚するときに連絡はしていたんだけど、さすがに来るには日程的に厳しかったみたいで、参加できないことのお詫びと近況について連絡はもらっていた。あれからも年月が経っているので今はどうしているのかなあ?

「まだ前と同じところに住んでいるかな?」

「ミルファーさんに彼氏が出来たという話だったから、もしかしたら結婚している可能性もあるけど、どちらかがそのまま住んでいる可能性は高いと思うわ。家賃とか考えてもかなりお得だったでしょ?」

「まあ普通じゃ考えられない価格と言っていたし、なかなか入居できないという話だったからね。
 たしかスイートさんは前に泊まっていた宿のマルミニアで働いているはずだから宿の予約ついでに聞いてみよう。」

「こんにちは。部屋を取りたいのですが空いていますか?」

「はい。・・・あれ?前にうちに泊まったことありませんか?」

「ええ、かなり前になりますけど、1ヶ月ほど滞在していましたよ。よく覚えていますね。」

「まあこれも仕事のうちですからね。部屋は一つでいいですか?」

「はい、お願いします。」

 宿の予約を済ませたあと、スイートさんのことを聞いてみる。

「ここで働いていたスイートさんはまだいらっしゃいますか?」

「スイート?ああ、あなたたちは確か知り合いでしたね。もちろん働いていますよ。ただ今日はもう終わって家に戻っているはずですし、明日は休みを取っていたはずですよ。」

「申し訳ありませんが、まだ前と同じところに住んでいるかだけでも教えてもらえませんか?ちょっと訪ねてみようと思っているんです。」

「ああ、あなた達なら大丈夫でしょう。かなりお世話になったと言うことは聞いていますからね。前のところから移ったとは聞いていませんね。公営の集合住宅でしょう?あそこに住めるとは運がいいですよね。」

「ありがとうございます。」


 宿のチェックインを済ませてから集合住宅を訪ねる。

「こんにちは。ジュンイチとジェニファーと言いますが、ミルファーさんとスイートさんのお宅でしょうか?」

 表から声をかけると中から返事があった。

「えっ?えっ?ジュンイチさんとジェニファーさん?」

 そう声が聞こえるとすぐにドアが開いてスイートさんがでてきた。

「ど、どうしたんですか?えっ?本物ですよね?」

「ええ、ちょっとこっちの国に来たのでどうしているかと思って寄らせてもらいました。時間は大丈夫ですか?」

「ええ、どうぞ入って。あ、夕食はもうとりましたか?」

「いえ、まだですけど、今日はまだここに住んでいるか確認にきただけですのですぐに帰りますよ。」

「いえいえ、折角なので夕食を一緒にどうですか?明日が休みなので今日はミルファー達が遊びに来る予定なのよ。なので二人がいると喜ぶと思うの。」

 そう言われたので結局夕食を同伴することになった。

「ミルファーさんはもう一緒に住んでいないんですか?」

「ええ、実は、」

 話しかけたところで呼び鈴が鳴ったのでスイートさんが出迎えに行くと、ミルファーさんの声が聞こえてきた。

「お邪魔しますね。」

「ミルファー、今日は驚くようなお客さんが来てるわよ。折角だから夕食に誘ってるから一緒に食べましょう。」

 中に入ってきたミルファーさんはかなりの驚きの表情で自分たちを見ていた。

「ジュンイチさん!ジェニファーさん!!」

「お久しぶりです。元気にしていましたか?」

「ええ、ええ。その節は本当に、本当にお世話になりました。」

 挨拶をしているミルファーさんの隣に見知らぬ男性がいるのが気になるんだが・・・。

「あ、すっかり話すことを忘れていました。実は私1年ほど前に結婚したの。それで今はこの近くに建った集合住宅に住んでいるんですよ。

 紹介しますね。夫のカルネです。」

「初めましてカルネと言います。お二人のことは妻から聞いています。本当にお世話になったようで、ありがとうございます。二人のおかげでミルファーと出会えたと思っています。」

 どうやらカサス商会で働き始めてしばらくした頃に同僚のカルネさんと付き合いだしたらしい。2年ほどしてから結婚することになり、それをきっかけに部屋を出ることにしたようだ。
 結婚式はカサス商会のモニターとしてかなり安くすることができたらしい。もしかしたら支店長が自分たちの知り合いと言うことで気を遣ってくれたのかな?さらに役場に相談に行ったところ、新しく出来た集合住宅の部屋の抽選に当たってすぐに入居することが出来たそうだ。これはジョニーファン様の紹介状がまだ効力を発揮したのかもしれないな。

 この日は5人で宴会のようになり、今までのお互いの話で盛り上がった。スイートさんにもアプローチしてくる男性はいるらしいけど、まだちょっと男性不信もあり、付き合うまでにはなっていないようだ。ミルファーさんの話だと付き合うのも時間の問題と言うことのようだけどね。
 カルネさんはこの町に来た経緯をすでに聞いていたらしく、それを知った上で受け入れてくれたようだ。幸せそうで良かったよ。


 翌日はスイートさんが町を案内してくれたのでいろいろと見て回ることになった。前いた時よりも町の広さが二倍以上になっている感じだった。すでに王都までの道路も完成しているようなのでかなり交通量も増えてきているらしい。
 今は北と西の魔獣狩りが盛んに行われていて、安全エリアの拡張に努めているらしい。結局いろいろと話もあったせいでこの町に3泊してくことになってしまったよ。


~ミルファーSide~
 今日は懐かしい人が訪ねてきました。まだ数年なのだけど、もっと前だったような気もします。きっとこの町に来てから今までと違った生活になったのが大きいのでしょう。毎日が刺激でいっぱいでしたからね。

 この町に住み始めてしばらくしてからあの二人から結婚式の案内状が届きました。やっと結婚すると分かってほっとしたものです。さすがに日程的に厳しいこともあって手紙を出すだけになりましたが、そのあと丁寧なお礼が届きました。

 まだ少し人間不信という感じで、同僚とのつきあいは最低限にしていましたが、同僚の男性からアプローチを受けました。亡くなった夫のこともあり、最初は断っていたのですが、何度も誘ってくるので少し付き合うことになりました。前の夫のことも気にかけてくれる優しい人でした。
 未亡人と言うことはすでに話していましたが、盗賊にさらわれたことは話せませんでした。本当のことを話してしまったらまたこの町で住みにくくなるかもしれない。そう考えると何も言えませんでした。
 そう思いながらも好意を持ち始めると、このまま黙って付き合うことに悩みました。勇気を出してすべてを話しました。もちろんスイートまで巻き込むわけにもいきませんので、自分だけのこととして話しました。
 かなり怖かったのですが、彼は受け入れてくれてそのまま抱いてくれました。そのあとも彼は他の人に話すこともなく、変わらない態度で、それ以上に優しい態度で付き合ってくれました。

 1年ほど経った頃に結婚することになりましたが、最近はやっている結婚式を行うことになりました。支店長の好意で結婚式のモニターという扱いにしていただけたのでかなり安く式を挙げることが出来ました。
 普通は社員でもなかなかこのようなことはしてもらえないようですが、ちょうどいろいろ試したいことがあったからと説明されました。同僚からもうらやましがられました。
 新居をどうしようかと考えていて、ちょうどできあがった集合住宅に申し込みをすると運良く当選できました。ほんとに運が良かったのでしょうか?やはり役場の人が気を遣ってくれたのでしょうか?


 二人の話を聞くと、なんとナンホウ大陸まで行ってきたらしく驚くような話ばかりでした。そのあとハクセン経由でこっちまで来たみたいで、私たちにとってはまったく知らない世界の話のようでした。
 二人は前会ったとき以上に仲が良くてとてもうらやましく思いました。スイートが町を案内するようでしたが、せっかくなので私たちも町を案内しようと休暇申請すると、なんと夫も一緒に休みを取ることが出来ました。なぜか支店長からも「しっかり友人をもてなしてね。」と声をかけられました。
 スイートが先に案内していたので行っていないところを連れて行きましたが、こうやって改めて案内すると町が大きくなっていることを実感できました。

 この町に来て本当に良かったと思います。あのとき二人の誘いに乗っていなければこんな生活はなかったでしょう。勝手なことだとは思いますが、幸せになることが亡くなった前の夫への供養になると思っています。


~~~~~

 王都のクリアレントに到着してからまずは宿の予約をとり、ジョニーファン様の屋敷に行ってみる。いろいろ不都合があってもまずいので簡単な変装をしていくことにした。

 受付に行くと、結構な人数が待合室で待っていた。たしか面会希望の受付をするだけのはずなのに何でこんなに人が多いんだろう?

「こんにちは。ジョニーファン様の面会希望です。紹介状はありませんが、ジョニーファン様の身分証明はあります。」

「ジョニーファン様の身分証明ですか?申し訳ありませんが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「はい。ジュンイチとジェニファーです。」

 名前を告げると、少し驚いたような顔をされる。

「少々お待ちください。」

 そう言って奥に行ったと思ったら、すぐに他の女性を連れて戻ってきた。

「ジュンイチ様、ジェニファー様、お久しぶりです。こちらにどうぞ。」

 以前来たときに受付をしていた人だった。併設する建物の部屋に案内されて席に着く。

「クリニアさん、お久しぶりです。変装を解きますね。」

 大きな変化はないが、やはり確認してもらった方がいいと思うので変装を解く。

「お二人とも元気そうで何よりです。ジョニーファン様も首を長くして待たれていますよ。一応確認のために身分証明を見せていただけますか?」

 以前もらったブローチを出して確認してもらう。

「はい、間違いありませんね。まあ、そもそもこの存在を知っている人がほとんどいませんからこの話をする時点でほぼ間違いないのですけどね。」

「そうなんですね。

 そういえば、前来たときはここで待つ人はほとんどいなかったと思うのですが、今日は人が多いですね?何かありましたか?」

 クリニアさんは苦笑いしながら説明してくれた。

「以前は面会することがほぼ出来ないと言うことで受付に書類を出すだけだったのですが、ジュンイチさん達がかなり頻繁に会われたことが噂になってしまいまして・・・。
 そのあともサルマン様達はご存じですよね?彼らとの面談も何度かありましたし、ヤーマンへの使節に同行したことも大きいですね。

 それでもしかしたら面会できるのではないかと考える人が多くなったようで、いつお呼びがかかってもいいと思う人が待つようになったようなのです。これでも一時期よりは減りましたけどね。
 ただ会って話をしたいと言うよりは会うことが出来たという実績がほしいだけの方がほとんどですので、まず会えることはないと思いますけどね。」

「そうなんですね。なんかご迷惑をおかけしたみたいで・・・。」

「いえいえ、お気になさらずに。提出される書類の数はさほど変わっていませんし、待っている間にこちらが何かするわけでもありませんからね。」

 このあとここ最近の話を少ししていると、準備が出来たと言うことで案内される。門の方へと案内されていると、待っている人たちからにらまれてしまったよ。勘弁してほしい・・・。また変な噂が広まってやってくる人が増えるかもしれないなあ。



 屋敷に入るとジョニーファン様が歓迎してくれた。ちょうどお昼前だったので一緒に食べようと言われて食事をすることになってしまう。

「ハクセンでは騎士隊に混じって訓練をしたらしいのお?もちろんここでも訓練を受けていくよな?魔法団に話は通してやるから大丈夫じゃぞ。
 魔法についてはいろいろと詳しいみたいじゃが、魔力操作などについてはいろいろと勉強になることもあるだろう。わしもいろいろと聞きたいこともあるからの。」

「えっと・・・はい・・・。ただちょっと行ってみたいところがあるのでその後でお願いしたいと思いますが、よろしいですか?」

 どうやらすでにラクマニア様から連絡が来ていたらしく、いろいろと有意義な時間を過ごせたと言われていたらしい。


 この北の方にある遺跡の調査に行きたいことを伝え、その帰りに寄っていくことにした。時期的に考えるとそのくらいから移動が難しくなるだろうからちょうどいいかもしれないね。もしかしたら地球に戻るタイミングになるかもしれないけど、そこは気にしないでおこう。

「まあこればかりは仕方がないのう。もともとそのつもりでこっちに来ているのだろうから、それを邪魔するわけにはいかんな。
 まあそうはいっても少しはここに滞在しても大丈夫じゃろ?その間はここに泊まっていけばいいからの。」

 結局、宿はキャンセルして屋敷に二日間お世話になった。魔法についてはかなり威力が上がってきていたので驚いているようだったけど、あまり詳しい話が出来ないのでイメージを伝えるのがむずかしい。

 雪が降る前には戻ってくることを約束して屋敷を後にする。遺跡の調査許可証はすぐに出してもらえたので遺跡の調査には問題ないだろう。


~ジョニーファンSide~
 ラクマニアの奴から連絡をもらったんだが、ジュンイチとジェニファーの二人がかなり長い期間滞在していたらしく、有意義な話が出来たと自慢してきおった。このあとこっちに来るという話だったのでしばらく滞在してもらわなければならないと思っておった。
 受付には二人が来たら、とにかくすぐに連絡をするように伝えていたところ、やっとやって来たと連絡があった。

 すぐに面会許可を出すとあの頃と変わらないままの二人の姿じゃった。もともと年をとりにくい体質なのかもしれんな?もしかしたらトウセイ大陸の血が混じっているのかもしれん。


 魔法団への体験入団の話をしたんじゃが、遺跡調査に行きたいというので仕方ないとあきらめしるかなかった。まあもともと遺跡の調査にかなり興味を持っていたようじゃからな。二日ほど滞在して出発していったが、この二日間だけでもかなり有意義な内容だったわい。
 しかし魔法の上達速度は驚くほどだったな。これだったら魔法団でも十分にやっていけるじゃろう。まだ魔力操作などは甘いようだが、魔法の威力はわしを超えているかもしれん。

 しかしこの年になってこんな新たな発見があるとは思ってもみなかったぞ。なにかしら根底となる知識を持っているようだが、そこはうまくはぐらかされているような気がするな。本当によく分かっていないのか、分かっていているが出せない理由があるのか分からないがな。
 もしかしたら遺跡にその秘密をとく鍵があるのかもしれんな。それで遺跡調査にこだわっているのじゃろうか?まだ断片的な調査なので分からない事が多く、自分たちの中でもまとまっていない可能性はあるな。

 遺跡の調査が進んでいろいろと解明されてきておるが、すでに失われてしまっているものも多いからな。現在残っているのはほとんどが壁画くらいで、使える素材はすべて回収されて加工されてしまったのは今考えるともったいない事じゃ。北の遺跡のように新たに発見する遺跡でなければ古代文明の解明は難しいじゃろう。
 もしかしたら二人はそれらの遺跡を見つけたのかもしれんな。それを元にさらに調査を続けているのかもしれん。まあ無理に聞き出そうとは思っておらんし、やはり他人から教えられるだけだとおもしろくないからのう。


~待合室の人Side~
 ここで待つのもどのくらいになるのだろうか?時間がとれるときには出来るだけここで待つようにしているが、同じように待っている人で会えたという話は聞いたことがない。やはりジョニーファン様が社交的になったというのは間違いだったのだろうか?
 私のできる限りの伝を使って貴族の方から紹介状を書いてもらっているのだが、まったく呼ばれることがない。もともとジョニーファン様と友好的な貴族自体が少ないこともあるのだが、実際に会った方達からは紹介状を書いてもらうことが出来ないので仕方がない。

 今日も同じように受付をして待っていると、冒険者のような格好をした若い二人がやって来た。聞こえてきた内容から紹介状もなくやって来たようだった。

 なにもなく会おうとするとはなんて無謀な奴らなんだと思ったのだが、受付は驚いた顔をして奥に入っていった。しばらくすると別の女性がやって来て、二人を他の部屋に連れて行った。
 どういうことだ?あの部屋に入ったと言うことは面会できると言うことなのか?先ほどの話だと事前に約束していたようには思えないぞ。

 しばらくして出てきた二人はそのまま門の方に向かった。本当にジョニーファン様と面会できるのか?いったいどういう人間なのだ?
 受付が閉まる時間までいたのだが、あの二人が出てくるところは確認できなかった。まさか昼前に入ってからずっと話をしているのだろうか?

 気になったため翌日も同じように行って待っていたのだが、特に新しい情報は得られなかった。そしてさらに翌日に二人が門から出てくるのを確認できた。まさか今まで屋敷に泊まっていたのか?すぐに走り去ったので後を追うことは出来なかったが、本当にどういう人間なのだろうか?
 一応受付にも聞いてみたが、何も教えてくれなかった。まあそれも当然と言えば当然だろう。この話が伝わったせいか、翌日からまた待つ人間が増えてしまった。


~~~~~

 ジョニーファン様の屋敷を出てからすぐに町の方へと向かった。今回のことでかなり注目を集めているという話を聞いていたからね。やはり変装しておいて良かった。雑踏に紛れた後は変装を解いて素知らぬ顔で町を出る。


 クリアレントから北上していくが、前に盗賊がいたこともあったので気をつけた方がいいだろう。治安は大分良くなったとは聞いているけど、まだ南部に比べると悪いみたいだしね。何かあったら飛んで逃げればいいけど、不意打ちをもらって車を傷つけられたり怪我をするよりは先に気がついた方がいいに決まっている。

 途中の小さな町では泊まらずに店を覗くくらいにして、前に行ったトルイトの町よりさらに北にあるクリアノアの町へ。この町は夏の間のみ港が使えるのでその期間だけ漁業が盛んだが、冬は完全に凍結して港が使えなくなってしまうため、かなり人が他の町に移住するらしい。今はすでに漁が開始されてかなりの賑わいを見せていた。
 朝早くから一般の人も買うことの出来る市が出るので魚介類の他、かにやエビなどを買いあさる。なかなか見ない種類の魚も多いので調理方法なども聞いておかなければならないけど、結構細かく教えてくれたので助かった。

 折角なので少しの間だけでも寒いエリアにしかいない魔獣を狩っていくことにした。良階位の大白兎、大毛巨牛、巨白鹿、巨白熊、氷大蜥蜴、氷蛇あたりがその対象だ。優階位の氷鹿、銀豹、銀白兎、金狼、氷熊とかもいるんだけど、さすがにちょっと手を出すのは怖い。まあ単独だったらなんとか倒すことが出来るかもしれないけどね。
 役場に行って魔獣の分布や生態について再度確認する。今は魔獣も本格的な活動を始めた時期なので結構気性が荒くなっているようだ。ただその分体力が劣っているみたいなのである意味いいのかもしれない。肉や皮などの素材の買い取り額は下がるようだけどね。

「こんにちは。しばらくこの町で活動しようかと思っていますので登録をお願いします。」

 役場の受付に行って登録の申請を行う。

「分かりました。少々お待ちください。

 えっと、討伐記録を見させていただきましたが、良階位だけでなく優階位の魔獣も狩られていますよね。特別依頼を受ける資格は十分と思いますので受けてみますか?」

 どうやらこの地域は高階位の魔獣を狩れる冒険者は少ないみたいで、良階位以上の魔獣の討伐を促進するため、良階位以上の魔獣には定期的に特別依頼が出されているようだ。素材の買い取り額は変わらないけど、実績ポイントが上乗せされるらしい。どうせ討伐するなら受けていて損はないな。

「分かりました。どのくらい狩れるか分かりませんがお願いします。」

「対象の魔獣のリストをお渡ししますので、後で確認しておいてください。基本的に良階位以上の魔獣が対象を考えてもらって良いです。この時期だと数が上限に達することはないと思いますのであまり意識しなくても大丈夫だと思いますよ。」

 どうやら生息数などにあわせて依頼数が変動するようだ。数は少ないけどこの特別依頼を目的に来ている冒険者もいるみたい。まあどうせ狩りをするなら実績ポイントを多くもらえた方がいいよな。


 二日ほど町に滞在してから出発する。魔獣の収納量は十分あるので、ある程度長期間の遠征になりそうだ。事前に他の冒険者からも少し情報を得られたので人が少なそうなエリアへと向かう。

 さすがに技量が上がってきているせいか、魔法を使いながら狩りをすると良階位の魔獣であれば格段に討伐が楽になった。さすがに良階位上位の巨白熊は手こずったけどね。
 どの魔獣も最初に魔法でダメージを与えられるのでかなり優位性が高くなる。今なら剣だけでも倒すことが出来るかもしれないけど、余計なリスクは抱えたくないので、必勝パターンでの戦闘だ。折角魔法が使えるのなら魔法と組み合わせて戦う方法を考えた方がいいのは間違いないからね。
 素材の確保には水弾や風弾が有効だ。ダメージも結構大きいからね。風斬で首とかが切り落とせればいいんだけど、さすがに高階位の魔獣だとそう簡単にはいかない。

 優階位の魔獣は単独でいた氷鹿、銀豹を何匹か倒したが、やっぱり安全を見て魔道具を使った。前に優階位の魔獣を倒したときのように気配を消して近づいてから魔法で攻撃する手段だ。今のところこの戦法だと単独の場合はまず倒すことが出来る。
 他の優階位の魔獣は優階位上位でさすがにちょっと怖すぎるので、気配を感じたときにはすぐに逃げ出した。まあ見かけたのは一回だけだったけど、索敵の時点でちょっとかなわないと思ってしまったからね。

 結局1ヶ月ほどの遠征となってしまったけど、かなりの数の魔獣を狩ることができた。良階位以上の魔獣だけでも100匹は余裕で狩ったんじゃないだろうか?優階位の魔獣も9匹倒したからね。
 解体はやっていたけど、さすがに容量は結構ぎりぎりになってしまった。持ち歩いているものが多すぎるというのが理由なんだけどね。普通は二人で200キリルもあれば十分すぎるはずなのにね。


 町に戻ってから役場に顔を出す。

「お久しぶりです。」

「ああっ、無事だったんですね。あまりに期間が長かったので心配しましたよ。」

「せっかく遠くまで行ったので戻るのも面倒でそのまま狩りをしていたんです。」

 記録を確認すると、討伐数も結構な数だったのでかなり喜んでいた。素材についてもすべて解体は終わっているのですぐに引き取ってもらえたけど、肉関係はあまりに量が多いのでそんなに出さなかった。おそらく持って帰れないので肉は捨ててきたと思われているだろうな。収納量が多すぎるとちょっとねえ・・・。
 正直なところ、今持っているお金に比べると金額はたいしたことはないけど、それでも普通に考えるとかなりの収入だ。まあお金はあって困るものでもないし。


 当初の目的の魔獣の狩りはできたので、遺跡調査へと向かう。こっちには大きめの遺跡が3カ所あり、結構な数の壁画が残っている。遺跡の一部は鍵が取り付けられて入れないようになっているけど、夏の間は管理人がいるので、調査許可証を見せるとすぐに開けてくれた。
 すでに調査は終えているんだけど、やはりなにか手に入らないかとやってくる冒険者もそれなりにいるので、壁画が壊されないように監視しているみたい。それでもこっそりと塀を越えて入り込む人もいるみたいだけどね。

 各遺跡を回り、壁画の調査をしていったけど、今まで見たような絵ばかりで目新しい物はなかった。文字も少なかったのもその理由の一つだろう。
 もともとはいろいろと書かれていたかもしれないんだけど、保護される前に多くの壁が壊されてしまっているようだ。今残っているのは結構大きな絵が描かれているところだけだからね。やっぱりまだ見つかっていない遺跡じゃないと新しい発見は無理だなあ。

 途中少し大きめの町のハルイやマルサカにも寄っていく。マルサカ付近は治安があまり良くないとは聞いていたのでかなり慎重に索敵しながら走って行く。
 そう思っていると、森の中で気配を消して潜んでいる集団を発見した。気配を消してはいるけど、隠密レベルがそれほど高くない人もいるので自分たちにはばればれだけどね。盗賊の可能性は高いけど、いきなり殺すわけにもいかないよなあ。気配を押さえているので冒険者と思わずに攻撃してくる可能性はある。

 知らない顔をして通り過ぎると後ろから車で追いかけてきた。スピードを上げたら追いつけないとは思うけど、盗賊ならそのまま野放しにも出来ないだろう。人を殺したりはしたくないが、そういうことをやっている人に情けはかけない。

「車が壊されてもいやだからいったん収納するよ。」

「分かったわ。あと、前方右手にも隠密を使っている集団がいるわよ。仲間かどうか分からないけど、注意してね。」

 道路から左方向に外れて近くの木陰に入る。様子をうかがっていると、特に注意を払うこともなくこっちに向かって走ってきた。あまりに素直すぎるけどおとりなのか?しかし、辺りを警戒してみるけど、やって来ている2台の車の他は先ほどの気配くらいしか見当たらない。あまりにも手際が悪い気がするなあ。

 装備を調えて茂みから様子をうかがっていると、近くまでやって来て車が止まり、中から10人の男達が下りてきた。

「逃げられないと思って観念したのか?素直に言うことを聞くなら命だけは助けてやる。」

 盗賊の台詞って何でこうも一緒なんだろう?車にはまだ一人ずつ乗っているので逃げ出したら車でも追いかけてくるつもりだろう。強さは二人ほど強いけど、あとはそうでもないな。最初に魔法を打ち込めばどうとでもなりそうだ。

 徐々に近づいてきたけど、気になるのは先ほど隠れていた人たちだ。少しずつこちらに近づいてきているんだけど、この人達が仲間なのか?盗賊に比べて隠密のレベルも高いし、動きも統制されている感じ。
 そう思っていると、魔法が放たれて盗賊達を攻撃し始めた。混乱する盗賊達を尻目に統制された動きで一気に盗賊達は地面に押さえつけられていた。かなり訓練された動きだな。

 鎮圧が終わった後、その中の一人がこちらに向かってやって来た。服装などを見ると、盗賊ではなく警備隊のような感じだった。青っぽい鎧に統一されているので正規軍なのだろうか?ただ向こうも警戒しながらやって来ているのでこちらも警戒を解くわけにもいかない。

 声が届くくらいのところで止まって、大きな声で話しかけてきた。

「我々はアルモニア青の魔術団の一員です。おけがはありませんか?」

 こちらが警戒しているのが分かったのか、それ以上は近づかずに証明となる剣を掲げてきた。アルモニアの国の紋章が入ったもので、前に説明を受けたことがある。おそらく正規兵で間違いはないだろうな。

「ええ、大丈夫です。盗賊の討伐ですか?」

「最近この辺りに盗賊が出るという話があったので警戒していたところです。申し訳ありませんでしたが、確認をするためにおとりになっていただきました。」

「いえ、こちらもおかげで助かりました。ありがとうございます。」

 お互い警戒は解かないまま一定の距離を保ちながら話して出発する。向こうもどういう人間か分からないのでそうそう近づいてこないよな。

 そうは言ってもおそらく正規兵で間違いないみたいなので、あとはあの人達がちゃんとやってくれるだろう。青の魔術団と言っていたので国の魔術団なんだろうな。前にアルモニアには4つの魔術団があると聞いていたからね。

「国の魔術団が遠征して盗賊討伐するなんて結構大変だよなあ。ハクセンでも言っていたけど、サビオニアの影響もあって治安維持に力を入れているのかね?」

「それだけ革命が起きたのが衝撃だったんでしょうね。」

「革命が起きてその周辺の国まで波及するというのは地球でもあったからね。」

「確かにね。でもそれで治安が良くなったり、たちの悪い貴族が粛正されるならいいことだよね。」

「まあね。」

 しかし、盗賊がいると、討伐してしまおうと思ってしまうのはこっちの世界に染まってきているのかねえ。地球に戻ってこの記憶があるとちょっとまずいかもしれないよな。


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上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
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それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

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 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

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手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

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