偽りの聖女に断罪された本物の聖女、神と騎士に愛される

林 真帆

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プロローグ

第1話 祝福の裏で

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 春の王都は、空気までが輝いているかのように、華やかで温かい光に包まれていた。

 大聖堂の鐘が高らかに鳴り響き、王都の民は広場に集まって、聖女セシリアの祝福を一目見ようと目を輝かせる。白銀の髪を風に揺らし、青空の下で佇む彼女は、まさに天から降り立った天使のようだった。

 ――王国が誇る、歴代最高の聖女。

 セシリア・アルディナは、代々聖人や聖女を輩出してきた本家の娘として生まれ、その才覚と人柄で国民から絶大な敬愛を受けていた。父は聖人として神託を受け、民からも敬われる存在。母は王族出身で、王族同然の尊敬を集める女性であった。幼い頃から神殿で育ち、神術を磨き、弱き者の祈りを誰よりも近くで受け止めてきた彼女に、民は信仰以上の敬意を抱いていた。

 そして今日、セシリアは皇太子アルベルトの婚約者として、人々の前に正式に立つ日である。

 黄金の髪をたなびかせ、蒼の瞳に王家の威光を宿すアルベルトは、眩い甲冑に身を包み、セシリアの隣に堂々と並んでいた。

「我が婚約者、聖女セシリアに祝福を」

 その声と共に広場は歓声に包まれ、人々の瞳には希望の光が宿る。天から差す光がセシリアを包み、まるで神自らが祝福しているかのように感じられた。

 セシリアは胸に手を当て、静かに祈る。
 この瞬間、すべての力と想いを王国と民に捧げると――。

 しかし、華やかな祝福の裏側で、静かに運命の歯車は狂い始めていた。

 王族や貴族の一角で、微かに笑みを浮かべながらも鋭い視線を向ける者たちの存在。祝福の光の中で、ほんのわずかな波風が立っていることを、セシリアはまだ知らなかった――。
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