君の手の温もりが…

海花

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ケンカ

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「……葵…?」
葵が俊輔の言葉に気付き振り向くとイヤフォンを外した。
「……起きたの?体調は?」
「全然平気」
俊輔がすまなそうに笑う。
「また迷惑掛けて、ごめんな」
「俺は別に何もしてないから…。結衣にお礼言えよ」
「ん……。分かってる」
──それでも……葵には嫌な思いばっかさせてる……。
「夕飯、うどん作ってみたんだけど。お前…吐いてたから、消化に良いもんのがいいかと思って」
「……ありがとう」
「もう出来るから器出してよ」
俊輔が食器棚から麺用の丼を二つ取り出し葵に渡そうと差し出すと、一瞬受け取ろうとして
「そこ置いといて」
と手を引いた。
触れようとして拒絶された事が葵にも傷を負わせていた。


「美味くできたな」
葵が自分で作った肉うどんに満足そうに頷いている。
俊輔はそれに笑いながら
「うん、美味く出来てる」
同意してから口に運んだ。
「お前……明日バイト?」
そう言いながら葵はカレンダーに目をやる。
「昼間だけね、夏休み中はもうこれで最後かな……」
「…………あいつも…一緒なの?……」
「あいつって………薫のこと…?」
葵が机の上に視線を移した。
どう言えばいいか分からなかった。
何か確証がある訳でもない。
ただ自分が嫉妬しているだけかもしれない……。
「……あんまり……そいつと一緒にいない方が…いいんじゃないか……?」
葵の言葉に昼間俊輔の頭に蘇るように聞こえた薫の声を思い出した。
───そんな訳ない……。何か他の言葉と聞き間違えたのかもしれないし……。変な夢を見たのかもしれない……。
「お前も、結衣も…薫に過敏になってない?」
俊輔は自分の気持ちも誤魔化す様に笑った。
「……じゃあ…昨日は何で発作を起こしたんだよ!?」
葵が真っ直ぐに俊輔を見つめる。
「……それは…………」
───まさか……ラインがきっかけで葵と『あの人』のことに嫉妬してなんて言える訳ない。
「けど、……薫は関係ない」
「答えになってねぇじゃん!何でそいつをそんなに庇うんだよ」
「庇ってる訳じゃない!本当のことなんだって!」
お互いに声が大きくなっていく。
「だったら!何で発作起こしたかちゃんと言えよ!あいつのせいじゃないなら言えんだろ!」
「それは……言えないけど……。でも!薫は関係ない!!」
「だから!何で言えないんだよ!それがおかしいって言ってんの!!」
「言えないのと薫は関係ないだろ!!」
「言えないってのは何か後ろめたいことがあるからだろ!!そうじゃないならちゃんと言えよ!」
「───葵には関係ないからだよ!!」
葵に胸の内を言い当てられて思わず口をついて出ていた。
葵の顔が一瞬歪み
「……あっそ……。じゃあ…好きにしろよ!」
葵は吐き捨てる様にそう言うとドアを勢いよく閉め自室へと向かった。

───やっちゃった……。葵は心配してくれてるだけのに……。

後ろめたいことがあるからだと言われて、つい…熱くなった。
見抜かれてる様で……。
未だに嫉妬してる……自分を……。

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