君の手の温もりが…

海花

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二人とふたり

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「何処か寄って帰ろうか?」

信号で止まると藤井が葵に視線を向ける。明日からしばらくは何処にも行けないだろうから、葵の行きたいところがあれば連れていってやりたかった。

「………今日は帰りませんか?」

葵が相変わらず窓からの景色を見ながら答えると

「……帰る………?」

藤井の声が微かに変わったのが分かった。

「あ……そうじゃなくて、藤井さんちに……」

葵が慌てて藤井に視線を向け付け加えた。自分の為に海にまで連れてきてくれただけで充分だった。

「藤井さん明日から仕事だし……家でゆっくりしましょう?」

葵が微笑む。

「葵は……」

「……?」

葵が目を丸くして首を傾げる。

———葵はいつまで………俺のそばにいてくれる?———

口に出したい気持ちを胸の中に抑え込んだ。聞いてしまえばきっと葵を縛り付けてしまう。

「いや……何でもない」

そう言うと車をゆっくりと発進させた。
葵は暫く藤井の横顔を見つめていたが

「俺、夏休み終わるまで……藤井さんちにいようかな………」

探る様な視線を向ける。

「…………いい?」

「………彼は……心配しない…?」

我ながら意地の悪いことを言っていると苦笑いしたくなった。

———本当はずっとそばにいてほしいくせに……。

「……どうかな……別に…しないんじゃないかな……」

俊輔のことに珍しく葵はそう答えると、再び窓の外に目を向けた。

———俊から……連絡なんて全然無い………。きっと……俺がキスなんかしたから………。

「…………ダメですか?」

「ダメなわけない。葵の気が済むまで…いればいい」

藤井が微笑むと葵は繋いでいる手にそっと口付け、シートに身体を預け目を閉じた。



「そう言えば……昨日怒られなかった?」

俊輔がアイスを頬張る結衣に急に話しかけ、結衣はスプーンを口に入れたまま『キョトン』と俊輔を見つめた。
勉強も一段落して、夕方の日差しの中、散歩がてら二人でアイスを買いに行ってきた。もちろん『きな粉餅味のアイス』なる物は無く…違うアイスを買った。

「えっと……朝……帰り…させちゃったからさ」

結衣はその言葉に顔を赤く染めると

「だっ……大丈夫!友達のところ泊まったって言ったから………」

———本当は連絡くらいしろって怒られたけど……そんなこと言ったら俊輔のことだから…もう泊まったり出来なくなちゃう……。

今日はカバンの中に勉強道具と一緒に着替えも『一応、念のため!』持ってきている。

「そっか…。なら良かった」

俊輔がホッとしたように微笑んで

「今日、夕飯食べてくだろ?」

何気なく口にした言葉に

「———えっ⁉︎」

「え⁉︎」

結衣が過剰に反応して俊輔がそれにまた反応する。

「ちがっ!———変な意味じゃなくて!……」

———このタイミングで夕飯の話は…マズかった……これじゃまるで……

「あ……うん、食べてこうかな……」

結衣がまだ顔を赤くしたまま平静を装いなんとか返事をして、引き攣った笑顔を向けると……俊輔も同じような笑顔を結衣に返した。






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