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第8章
幼なじみたちの過去
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「小さい頃、近所の公園で3人でよく遊んでたんです。そのころ、ブランコを誰が1番高くこげるかっていう遊びにハマってて、よく皆で競争してました。私、運動音痴だから、いつもビリで」
懐かしむように目を細めて、岩切さんは思い出を語る。
「ある日、陽人くんをのぞいた団地の子達で競争しました。案の定、ビリになった私は悔しくて泣いてしまったんです。見かねた莉理ちゃんが、押してあげるよって言って、私の乗ったブランコを後ろから押してくれて。いつもより高くこげて嬉しかった。世界が高く見えて、空が近くて。けどその時、公園に迷い込んだ野良犬が勢いよく走って来たんです。私達の方に。皆、走って逃げました。……私以外は」
あまりにも高くブランコをこいでいたから、急には止まれなくて、と岩切さんが苦笑する。
「パニックになって、ようやく止まったブランコからおりて走ろうとしたら、野良犬に足首を噛まれて転んでしまって。ちょっと、残ってしまいました。傷が」
そう言って、左足のソックスをずらして、岩切さんは私達にその傷跡をみせてくれた。
「薄くて、小さい傷でしょう。靴下履いちゃえば隠れます。私は気にしてません。でも、莉理ちゃんは違った。私が怪我したのはあの時、自分がブランコを押したせいだってずっと後悔してる。莉理ちゃん、犬苦手なんです。逃げたのは、莉理ちゃんだけじゃないのに。いままで優しかった莉理ちゃんはあの日を境にもっと私に優しくなりました」
改めて、岩切さんが姿勢を正して、頭を下げる。
「莉理ちゃんは優しい。でも、昔の事を気にして好きな人まで私に譲ろうとするのはおかしいです! お願いします。陽人くんと莉理ちゃんの仲を取り持って欲しいんです。協力してください」
ガタ、と。
部室の入り口で小さな音が聞こえて。
それは本当に小さな音で。
私以外の皆には聞こえていないみたいだった。
「岩切さんの話は分かったよ」
静先輩が深くソファーの背もたれに背中を沈め直す。
「でも、そうなるとー……」
「待ってください」
私のひそめた声に、静先輩が口を噤む。
部室内にいるほかの3人の視線を受けながら、私はそっと廊下に通じる戸を引いた。
「……間山さん?」
1人廊下に立っていた間山さんは私の顔を見るなり、逃げる様に駆け出した。
懐かしむように目を細めて、岩切さんは思い出を語る。
「ある日、陽人くんをのぞいた団地の子達で競争しました。案の定、ビリになった私は悔しくて泣いてしまったんです。見かねた莉理ちゃんが、押してあげるよって言って、私の乗ったブランコを後ろから押してくれて。いつもより高くこげて嬉しかった。世界が高く見えて、空が近くて。けどその時、公園に迷い込んだ野良犬が勢いよく走って来たんです。私達の方に。皆、走って逃げました。……私以外は」
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「パニックになって、ようやく止まったブランコからおりて走ろうとしたら、野良犬に足首を噛まれて転んでしまって。ちょっと、残ってしまいました。傷が」
そう言って、左足のソックスをずらして、岩切さんは私達にその傷跡をみせてくれた。
「薄くて、小さい傷でしょう。靴下履いちゃえば隠れます。私は気にしてません。でも、莉理ちゃんは違った。私が怪我したのはあの時、自分がブランコを押したせいだってずっと後悔してる。莉理ちゃん、犬苦手なんです。逃げたのは、莉理ちゃんだけじゃないのに。いままで優しかった莉理ちゃんはあの日を境にもっと私に優しくなりました」
改めて、岩切さんが姿勢を正して、頭を下げる。
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ガタ、と。
部室の入り口で小さな音が聞こえて。
それは本当に小さな音で。
私以外の皆には聞こえていないみたいだった。
「岩切さんの話は分かったよ」
静先輩が深くソファーの背もたれに背中を沈め直す。
「でも、そうなるとー……」
「待ってください」
私のひそめた声に、静先輩が口を噤む。
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