桜ヶ丘中学校恋愛研究部

夏目知佳

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第14章

もしかして

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★★★


「そうそう、あの後、岩切さんから報告があってね」

消しゴムかけの手を緩めて、静先輩が教えてくれる。

「岩切さんと甘粕くん、お付き合いする事になったみたいだよ。ちなみに、告白したのは岩切さんから」

「そうなんですね! 岩切さんと間山さんの関係は……」

一応確かめると、静先輩がにこっとした。

「大丈夫。仲良く廊下でお喋りしてるの見かけたよ」

「良かったぁ!」

安堵の声を漏らすと、ジロー先輩が手を止めないで呟く。

「一時はどうなるかと思ったよな」

「はい。特に静先輩が間山さんに甘粕くんを岩切さんから奪っちゃえ! なんて、言った時はひやひやしました」

「あれは、間山さんだから言ったんだよ。流石に俺も、本当に親友の好きな人を取っちゃう様な子にはそんな事言わないよ。それに」

「それに?」

「ああでも言わないと、夏帆ちゃん、恋研をもう1度訪ねようなんて思わなかったでしょ」

「……」

「……」

私とジロー先輩が口を結ぶ。

「ね、ちょっと休憩しない? 紅茶淹れるよ」

伸びをして立ち上がる静先輩の背中を追いかけて尋ねる。

「静先輩。あの、もしかしてこうなる事、全て分かってました?」

「何が?」

「間山さんと岩切さんの事とか、私の行動とか……とにかく全部です!」

「まさか! 俺にそんな先読みの力があると思う?」

にっこり微笑んで、静先輩が3人分のティーカップを用意する。

「ジロー先輩はどう思います?」

小声で聞く私に、ジロー先輩が眼鏡の奥、目を細めた。

「どうだろうな。まぁ、夏帆が言う結果オーライになったからいいんじゃないか?」

コンコンとノックの音がした。

「ごめん、夏帆ちゃん出てくれる?」

「はーい」

桜ヶ丘中学校恋愛研究部の戸を私は横にスライドさせる。

俯きがちな女の子が不安そうに私に尋ねた。

「ここ、恋研の部室で合ってますか。相談があって来たんですけど……」

私は女の子に笑顔で頷くと、頼もしい先輩達の名前を呼んだんだ。

「静先輩、ジロー先輩! 新しい依頼です!」

恋研の部室の窓から青空が見える。

甘い恋の香りがしそうな白い雲がふわり、いくつも浮かんでいた。
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