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カプセルの記憶
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迷いの森の最深部、長老の大樹の根元には、誰にも知られていない「聖域」がありました。そこには、数千年の時を経てもなお輝きを失わない、奇妙な銀色のカプセルが半ば土に埋もれた状態で鎮座していました。
それは、失われた高度な文明の遺物なのか、あるいは星の彼方から届けられた贈り物なのか。森の動物たちはそれを「星の卵」と呼び、遠巻きに眺めるばかりでした。
ある嵐の夜。
落雷とともにカプセルの表面に青い回路のような光が走り、重厚なハッチが音もなく開きました。
中から現れたのは、一通の古びた譜面と、透き通った結晶体。そして、その結晶に触れた瞬間に解き放たれたのは、かつてこの地を潤していた「オアシスの記憶」でした。
「……待っていたよ、黒い旅人」
カプセルの中から漏れ出た電子的な声が、霧の中に溶けていきます。
その直後、森の入り口に現れたのが、金色の瞳を持つ黒猫のルルルでした。
ルルルは、まるで磁石に吸い寄せられるように、迷うことなくそのカプセルへと歩みを進めます。カプセルの中に残された「失われた音色」を取り戻すこと。それが、バラバラになった家族――ポポリンとユーを再会させ、荒れ果てた森を再生させるための、唯一の鍵であることを彼女は知っていたのです。
カプセルが放つ銀色の光は、ルルルの黒い毛並みを一瞬だけ白く染め上げました。
それは、単なる再会の物語ではなく、忘れ去られた世界の調和を取り戻すための、壮大な「再起動(リブート)」の合図でした。
ルルルはカプセルの中に残された最後のメッセージをその胸に刻み、闇深い森の奥へと消えていきました。
それは、失われた高度な文明の遺物なのか、あるいは星の彼方から届けられた贈り物なのか。森の動物たちはそれを「星の卵」と呼び、遠巻きに眺めるばかりでした。
ある嵐の夜。
落雷とともにカプセルの表面に青い回路のような光が走り、重厚なハッチが音もなく開きました。
中から現れたのは、一通の古びた譜面と、透き通った結晶体。そして、その結晶に触れた瞬間に解き放たれたのは、かつてこの地を潤していた「オアシスの記憶」でした。
「……待っていたよ、黒い旅人」
カプセルの中から漏れ出た電子的な声が、霧の中に溶けていきます。
その直後、森の入り口に現れたのが、金色の瞳を持つ黒猫のルルルでした。
ルルルは、まるで磁石に吸い寄せられるように、迷うことなくそのカプセルへと歩みを進めます。カプセルの中に残された「失われた音色」を取り戻すこと。それが、バラバラになった家族――ポポリンとユーを再会させ、荒れ果てた森を再生させるための、唯一の鍵であることを彼女は知っていたのです。
カプセルが放つ銀色の光は、ルルルの黒い毛並みを一瞬だけ白く染め上げました。
それは、単なる再会の物語ではなく、忘れ去られた世界の調和を取り戻すための、壮大な「再起動(リブート)」の合図でした。
ルルルはカプセルの中に残された最後のメッセージをその胸に刻み、闇深い森の奥へと消えていきました。
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