婚約破棄される予定みたいなのでやり返します

星月りあ

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婚約破棄

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「リリアーナ、貴様との婚約を破棄する‼︎」

(やはりそうなりましたか。リーナから聞いていた通りですわね)

現在、学園の大広間で卒業記念パーティーが開かれている。そのパーティーで私ファーレン公爵家の令嬢であるリリアーナは婚約破棄を宣言されたのである。今、婚約破棄を宣言した彼は私の婚約者で、このファリーヌ王国第一王子で王太子であるレイモンド殿下だ。彼の隣には学園で身分違いの恋人と噂になっているフォワード伯爵令嬢サラだ。

私とレイモンドの婚約は家同士で決まったものだ。私が十歳、レイモンドが十一歳のときに婚約が決まった。当時父は大切な娘を婚約させたくないと婚約に反対していた。だが、相手は王家だ。結局押し切られてしまった。婚約が決まってから、学園に入るまで王宮で暮らし厳しい王妃教育を受けてきた。家族ともなかなか会うことが出来なかった。努力し続け、学園入学間近になってようやく先生たちに認められ王妃教育が終了したというのに、努力が水の泡となったのだ。王妃教育が終了してからはファーレン公爵邸に帰宅することが許可された。私の家族は今まで会えなかった分思う存分可愛がるといって、かなり甘やかされている。

婚約破棄のことは事前にサラの義姉であるリーナから聞いていた。



遡ることニ週間前、私の友人であるリカード伯爵令嬢ステラ主催のお茶会に誘われた。参加者は私とステラとリーナ、ルビリア伯爵令嬢フィオナの4人だ。全員私の友人で王立学園のニ年生だ。

「リーナ、今日は随分口数が少ないようですが、具合でも悪いのですか」
「リリアーナ様、いえ、そういうわけでは…」
「では、悩みでもあるのですか。リーナは大切なお友達ですし、何か悩みがあるなら相談してほしいと思っています」
「私も相談してほしいですわ」
「そうですよ。友達じゃないですか」
「…実は、私、学園の中庭で義妹がレイモンド殿下とニ人で話してるのを聞いてしまったんです」
「…何を話していたのですか」
リリアーナは嫌な予感がしつつも尋ねた。

「そ、それが… レイモンド殿下が卒業パーティーでサラを虐げていることを理由にリリアーナ様との婚約を破棄し、義妹と婚約すると…」
「「「え!?」」」
三人の驚いた声が重なる。

「信じられませんわ。以前からリリアーナ様を差し置いて殿下と親しげにして、それだけでも許せないのに。殿下も殿下ですわ。あんな女狐のどこがいいのか」
「まったくですわ。殿下だけではありません。他の殿方まで侍らせて」
「そうですわね。このままでは、この国の未来が心配になりますわ。それに婚約破棄はともかく、罪を着せられるのは納得いきませんわ」
「リリアーナ様、婚約破棄はいいんですの」
「ええ、そもそも殿下のことは仲良くできればいいぐらいにしか思っていませんでしたし。この国のためになるなら、サラが側妃になってもいいと思っていましたから。サラには殿下の隣に立つために立ち居振る舞いを気をつけるよう伝えたのですが、サラには自覚が一切ありませんでした。それどころか、殿下に欲しいものを次々お願いしプレゼントしてもらっていた。財務大臣が頭を悩ませていらっしゃいましたわ」
思い出して、深くため息を吐いた。

「あの、王族は伯爵位以上の血を引いている方としか婚約できませんよね」
「ええ、そうね。例え、婚約できたとしても王位継承権を失うことになるわ」
「でも、それがどうかしたの」
「それが、義妹は義母の連れ子でその母親は平民なんです。父親は元々伯爵令息だったそうですが、義妹を身籠もったことに怒った伯爵様が籍を抜き、屋敷から追い出したそうです」
「それじゃあ、サラには貴族の血が流れてないってこと?」
「はい…」
「殿下はそのことをご存知なのかしら」
「たぶん知らないでしょうね」
「リリアーナ様、本当に義妹が申し訳ありません」
「リーナのせいではないわ。悪いのはサラよ」
「ですが…」
「そうね。リーナは気にしなくていいのだけど、そんなに気になるなら私のお願い聞いてくれるかしら」
「はい、もちろんです」
「それなら、一生友達でいてほしいわ。それが私のお願いよ」
ややこしいのは義妹さんだけで、リーナはとっても良い子だし、これからも仲良くしたいわ。

「‼︎っありがとうございます、リリアーナ様‼︎」
「リーナ、殿下は他に何か仰っていたかしら」
「そうですね…殿下はリリアーナ様が義妹を虐めている証拠をお持ちだと仰っていました」
「リリアーナ様が虐めなんてされるはずないですのに」
「ずっと婚約者として側にいながらリリアーナ様ではなくサラの言葉を信じるなんて」
「私がサラにしたことといえば男性との距離感について注意したことぐらいなのですが」
「虐めは殿下を手に入れるための自作自演なのでしょうか」
「その可能性もあるけれど、サラは婚約者がいらっしゃる殿方との距離が近すぎましたから、たくさんのご令嬢方から煙たがられているようですわ。とりあえず、サラとサラの周辺を調べさせますわ」
「私たちに出来ることはありませんか」
「何でも仰ってください」
「リリアーナ様のためなら何でもいたします」
「ありがとう…。私は敢えて卒業記念パーティーの場で婚約破棄されることにしますわ。皆さんにはパーティーで力になってほしいわ。皆さんが一緒だと心強いですもの」
「「「はい、リリアーナ様」」」

ふふっ、素敵な友人に囲まれて私は幸せ者ね。
改めてそう感じた。
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