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公爵家本邸にて
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私リリアーナはいつものお茶会より早くファーレン公爵家本邸に帰宅した。すると私が帰宅したと連絡を受けたのか兄ユアンが出迎えてくれた。
「リリー‼︎おかえり、待っていたよ」
リリーというのはリリアーナの愛称である。
「お兄様、ただいま戻りました」
「もしかして何かあったのかい。今日は随分早かったけれど」
「それは…」
「とりあえず、中に入ろうか」
私はお兄様に連れられて居間に入った。居間はシックな雰囲気で窓際には一輪の花が飾られている。
「……」
「…リリー、何かあったのなら話してほしいんだ。リリーのためなら僕は何でもするよ。だからお兄ちゃんに話してごらん」
「お兄様…、実はー」
私は今日リーナから聞いたことを全てお兄様に話した。その間、お兄様は黙って最後まで聞いてくれた。私の話をきちんと聞こうとしてくれる人は王宮にはいなかった。王宮では先生たちには何があっても弱音をはくなと言われ、殿下は私を嫌い避けていたから会話したことすら数えられるぐらいしかない。だから、お兄様が私の話を聞いてくれたことがとても嬉しかった。
「はぁ…まさかそんなことになっているなんて……」
お兄様は私の話を聞きショックを受けていらっしゃるようだった。
「ご迷惑をおかけし申し訳ありません…」
「リリーのせいではないよ。王太子殿下とのこと何も気づかなかった僕たちのせいだから。王宮からの定期報告では、何事もなく幸せに暮らしていると書かれていたから」
「そうだったのですね…」
「ああ。とりあえず問題は卒業パーティーのことだね。卒業パーティーには基本的に学生しか参加しないからね。王太子殿下より上の立場の方々は参加されない。だからその機会を狙っているんだろう。まずは、そのサラのことを調べてみるよ。本当に可愛い妹を貶めるつもりなら相手が誰だろうと僕も容赦はしないよ。もうすぐ父上と母上が戻られるから、僕から事情を説明しておくよ。リリーは疲れただろうし部屋で休んでて」
「ありがとうございます、お兄様」
疲れていたのは事実だったし、お言葉に甘えて休ませていただくことにした。
ユアンは自室に戻り一人リリアーナのことを考えていた。
(僕も父上や母上も元々あの婚約には大反対だったんだ。当時無茶な政策を行ってきた王家に対する民からの反発が強かった。その反発を抑えるために王家が勝手に決めたものだった。だから妹を大切にすることを条件に送り出したんだ。それなのに……)
コンコン
「失礼いたします、お呼びでしょうか」
「……」
「いかがなさいましたか」
「卒業パーティーの場で王太子殿下がリリーのあらぬ罪を理由に婚約破棄してサラという女性と婚約しようとしているらしい」
「それは本当なのですか」
「今日のお茶会でリリーが友達からそう聞いたらしい。王太子殿下が学園でサラと親密な関係だという情報は得ていたけど、王家と公爵家との間の縁談だから、愛は無くても大切にしてくださっていると信じていたのにね」
「ユアン様…」
「…とりあえず、サラとサラの周辺に関して調べてくれ」
「承知いたしました」
**********
「お嬢様、夕食の準備が整いました。旦那様と奥様、それにユアン様もご一緒されるようです」
「お母様がいらっしゃるの」
「はい、どうやらつい先程帰宅されたようです」
「まあっ、家族みんなで食事なんて随分久しぶりね。すぐに行くわ」
お母様は公爵夫人でありながら優秀な外交官でもある。だから、仕事で世界各地に赴かれていて、なかなかお会いすることはできない。お母様は私が幼い頃からお会いする度に赴かれた国のことを話してくださる。どんな食べ物が美味しかったとか珍しい花が咲いていたとか。あまりお会いできなくて寂しいが、お母様から世界各地のお話を聞けるのをいつもわくわくしながら待っている。いろいろな話を聞いているうちにいつか世界中を旅してみたいと思うようになった。
「お待たせいたしました」
「やあ、リリー」
「リリー、待っていたよ」
「久しぶりね、リリー」
「お母様、お久しぶりですわ」
「さあ家族みんな集まったことだし、食事をいただこうか」
「ええ、そうですね」
殿下とサラの件を聞いたのだろう。いつもとは違い、夕食は和やかな雰囲気ではなかった。
「リリー‼︎おかえり、待っていたよ」
リリーというのはリリアーナの愛称である。
「お兄様、ただいま戻りました」
「もしかして何かあったのかい。今日は随分早かったけれど」
「それは…」
「とりあえず、中に入ろうか」
私はお兄様に連れられて居間に入った。居間はシックな雰囲気で窓際には一輪の花が飾られている。
「……」
「…リリー、何かあったのなら話してほしいんだ。リリーのためなら僕は何でもするよ。だからお兄ちゃんに話してごらん」
「お兄様…、実はー」
私は今日リーナから聞いたことを全てお兄様に話した。その間、お兄様は黙って最後まで聞いてくれた。私の話をきちんと聞こうとしてくれる人は王宮にはいなかった。王宮では先生たちには何があっても弱音をはくなと言われ、殿下は私を嫌い避けていたから会話したことすら数えられるぐらいしかない。だから、お兄様が私の話を聞いてくれたことがとても嬉しかった。
「はぁ…まさかそんなことになっているなんて……」
お兄様は私の話を聞きショックを受けていらっしゃるようだった。
「ご迷惑をおかけし申し訳ありません…」
「リリーのせいではないよ。王太子殿下とのこと何も気づかなかった僕たちのせいだから。王宮からの定期報告では、何事もなく幸せに暮らしていると書かれていたから」
「そうだったのですね…」
「ああ。とりあえず問題は卒業パーティーのことだね。卒業パーティーには基本的に学生しか参加しないからね。王太子殿下より上の立場の方々は参加されない。だからその機会を狙っているんだろう。まずは、そのサラのことを調べてみるよ。本当に可愛い妹を貶めるつもりなら相手が誰だろうと僕も容赦はしないよ。もうすぐ父上と母上が戻られるから、僕から事情を説明しておくよ。リリーは疲れただろうし部屋で休んでて」
「ありがとうございます、お兄様」
疲れていたのは事実だったし、お言葉に甘えて休ませていただくことにした。
ユアンは自室に戻り一人リリアーナのことを考えていた。
(僕も父上や母上も元々あの婚約には大反対だったんだ。当時無茶な政策を行ってきた王家に対する民からの反発が強かった。その反発を抑えるために王家が勝手に決めたものだった。だから妹を大切にすることを条件に送り出したんだ。それなのに……)
コンコン
「失礼いたします、お呼びでしょうか」
「……」
「いかがなさいましたか」
「卒業パーティーの場で王太子殿下がリリーのあらぬ罪を理由に婚約破棄してサラという女性と婚約しようとしているらしい」
「それは本当なのですか」
「今日のお茶会でリリーが友達からそう聞いたらしい。王太子殿下が学園でサラと親密な関係だという情報は得ていたけど、王家と公爵家との間の縁談だから、愛は無くても大切にしてくださっていると信じていたのにね」
「ユアン様…」
「…とりあえず、サラとサラの周辺に関して調べてくれ」
「承知いたしました」
**********
「お嬢様、夕食の準備が整いました。旦那様と奥様、それにユアン様もご一緒されるようです」
「お母様がいらっしゃるの」
「はい、どうやらつい先程帰宅されたようです」
「まあっ、家族みんなで食事なんて随分久しぶりね。すぐに行くわ」
お母様は公爵夫人でありながら優秀な外交官でもある。だから、仕事で世界各地に赴かれていて、なかなかお会いすることはできない。お母様は私が幼い頃からお会いする度に赴かれた国のことを話してくださる。どんな食べ物が美味しかったとか珍しい花が咲いていたとか。あまりお会いできなくて寂しいが、お母様から世界各地のお話を聞けるのをいつもわくわくしながら待っている。いろいろな話を聞いているうちにいつか世界中を旅してみたいと思うようになった。
「お待たせいたしました」
「やあ、リリー」
「リリー、待っていたよ」
「久しぶりね、リリー」
「お母様、お久しぶりですわ」
「さあ家族みんな集まったことだし、食事をいただこうか」
「ええ、そうですね」
殿下とサラの件を聞いたのだろう。いつもとは違い、夕食は和やかな雰囲気ではなかった。
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