契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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作戦決行の日

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そして、ついにジュリアンたちが帝国へと帰還する日がやって来た。城内は厳重な警備が敷かれていて、緊張感が漂っている。

そんな最中、森の中に怪し気な人影が現れる。その近くには魔法陣が浮かび上がっている。

「やあ、待っていたよ」
レイリックが彼らの前に姿を見せる。

「なっ!? どうしてここに!!」
「僕たちを見くびらないでもらいたいな」
驚いた様子の侵入者に向かって言う。彼らは皆、黒色の制服を着ている。それは、帝国の騎士であることを示している。

レイリックは帝国の騎士が今日、王宮の敷地内の森に現れると踏んで、ジュリアンとウィリアムとともに隠れて待機していた。今日は王宮内に騎士が多く集められるため、外はどうしても手薄になる。敵はおそらくそのときを狙ってくるだろうと読んでいたのだ。

帝国の騎士はレイリックの冷たい瞳に圧倒され、一瞬怯んだ。

「ん? なぜジュリアン皇子がいる!? まさか裏切ったのか!?」
連中はジュリアンも一緒にいることに気付き、騒ぎ出した。

「裏切ったも何も俺は元よりお前たちの味方ではない」
「このようなことをしてタダで済むとでも?」
敵はそう言いながらニヤニヤ笑っている。ジュリアン程度なら簡単に倒せると思っているのだろう。

「全員倒せばいい。ただそれだけだ」
ジュリアンは剣を抜いて、帝国の騎士に向けた。

「っかかれ!!」
敵の上官がそう叫ぶと一斉に攻撃を開始して来た。

カンッと剣と剣がぶつかり合う音が周囲に轟く。

意外と強いな。
レイリックは相対して、そう感じた。
騎士の中でもとりわけ強い者たちを送り込んで来るとは、帝国側も本気で侵略しに来たようだ。

「ここは我々に任せて、殿下は向かってください!!」
そうウィリアムは叫ぶ。

「分かった。頼んだよ」
レイリックとジュリアンは王宮の騎士数十名を連れ、未だ消えずに残っている魔法陣の中に飛び込んだ。

魔法陣を通ったレイリックたちは帝国の宮殿の地下に到着した。

「魔法陣を先に壊しますか?」
ジュリアンは尋ねる。

「いや、魔法陣は壊さなくてもいい」
「どういうことですか?」
「この魔法陣はどこかから大量の魔力が供給されて発動しているようだから、その供給元を調べて、断たせれば解決する」
「なるほど」
冷静に分析したレイリックの言葉にジュリアンは頷く。

魔法陣への魔力の流れから、どこから供給されているのか調べることが出来る。



魔力の流れを辿り、暫く地下を歩き続けていると大きな牢屋にたどり着いた。そこには目を疑う光景が広がっていた。手錠をされ鎖で繋がれた人や魔物がたくさん、皆ぐったりした様子で倒れていたのだ。

「酷いな、これは……」
「ええ、まさかこのようなことになっていたとは……」

彼らは自身の魔力を常に吸い上げられ、その集められた魔力で魔法陣を起動させられていたのだ。

すぐに魔力を手錠に流し込んで壊し、皆を解放した。レイリックは彼らの治療を指示する。これで魔法陣への魔力の供給は完全に停止した。

地下に数人の騎士を残して、レイリックとジュリアンたちは皇帝の元へと向かった。



**********

一方その頃、ウィリアムたちは早くも敵全てを倒し終えていた。

「グハッ。まさか俺たちがお前たちごときにやられるなどあり得ないっ」
敵の騎士は悔しそうな表情で言い放つ。

「僕たちが帝国の騎士に負けるほど劣っているとでも? 可愛い妹を危険に晒したんだ。今生きているだけ有り難いと思え」
ウィリアムは怒りに満ちた表情を浮かべており、敵も、味方の騎士までもが震え上がっていた。
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