契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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王太子様が待ち構えていました

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「リリカ嬢、待っていたよ」

パーティー会場を出るとなぜかレイリックが待ち構えていた。

「えっ!? レイリック様!?」
どうしてここが分かったのかしら!?

「どうしてここが分かったのかって?」

エスパー!? 完璧に考えが読まれているわ!!

「君に護衛の1人も付けていないとでも思ったのかい?」
「ご、護衛!?」
「当然だよ。また危険な目に遭ってはほしくなかったからね。それでこんなところで何をしていたのかな?」
笑顔で問われたが、目が笑っていない。

怒っているの!? どうして!?
「えっと……婚約者を探しに来たのですわ」
そう答えると途端に寒気がした。リリカはレイリックからひしひしと冷たい空気を感じ取った。

「婚約者? 君には僕という婚約者がいるよね」
そう言われ詰め寄られる。

答えを間違えた!!
「そっ、そうじゃなくて、お兄様の婚約者を探しに来たのですわ!!」
リリカは慌てて弁解する。

すると、レイリックの動きがピタリと止まった。

「公爵の?」
「はい!!」
「ふーん。本当かなぁ」
「もっ、もちろんですわ。大切な契約もありますし、裏切るなんてこといたしませんわ」
「……はぁ。僕の杞憂だったみたいだね。でも二度と仮面舞踏会には来ないこと。いいね」
「えっ。どうしてですの?」
「どうしてって……もしかして知らないでここまで来たの?」
「?」
そう問われリリカが頭に?を浮かべているとレイリックはため息をついた。

「レ、レイリック様?」
「……仮面舞踏会は婚約者がいない男女が婚約者を探すためのパーティーなんだよ?」
「ええっ!? そうだったのですか!?」

道理でやたらと男性にダンスに誘われ、逆に女性には声を掛けられなかったわけだ。

「そうだよ。二度とこういう場や普段のパーティーにも一人では参加しないこと。分かった?」

リリカは自分と話したい男性の多さをまるで分かっていなかった。レイリックはこっそり、リリカに話し掛けようとする人の邪魔をしていたが、多すぎて対処が大変だったのだ。しかし、レイリックが到着する前に話し掛けた人もいた。もしリリカが断らず、誘いを受けていたら、その男性をどうしていたか、レイリック自身も分からなかった。

リリカに話し掛けた知らない男性、ギリギリでピンチを回避した。

一方、リリカはどうして普段のパーティーもダメなのだろう、と呑気に思っていたが、否と言える雰囲気ではなかったので
「分かりました!!」
と即答した。

「っていうか、僕に相談してくれれば協力してあげるのに」
「協力してくださるのですか?」
「ああ、もちろんだよ」

ウィリアムにこれ以上仲を邪魔されても困るのだ。婚約者と仲良くしてくれれば邪魔されることも減るだろうから、積極的に協力しようとレイリックは考えていた。

ウィリアムの婚約に関しては、理由は違えどリリカとレイリックの意見が見事に一致した。

「それで公爵の婚約者は見つかったの?」
「はい。見つかりました。ですが、その……」
リリカはスカーレットから聞いたことを全て説明した。

「確かに、そのスカーレット嬢の話しが本当だと大変なことだね。調べておくよ。僕に任せて」

レイリック様が調べてくださるのなら確実ね。
「ではお願いします」
「うん。さあ、帰ろうか」
「はい」

リリカはレイリックにエスコートしてもらい馬車に乗り込んだ。

「あれ、そういえばレイナはどこに?」
リリカはスカーレットやレイリックのことで頭がいっぱいでレイナのことをすっかり忘れていた。

「ああ、彼女なら先に王宮に帰ってもらったよ」
「そうなのですね」
「そういえば、公爵はどうして婚約者がいないの?」
「ああー、それは、その……お兄様、お見合いで私の話しばかりするのでお相手の方々から断られてしまって……」
「なるほど。その光景が目に浮かぶよ」
レイリックはリリカの言葉に大いに納得した。

「え?」
「僕もリリカ嬢のこと、公爵に聞いたことがあってね。どれだけ素晴らしい女性なのか数時間語り続けられたからね」
「えっ!? それは、大変失礼いたしました」
「いや、今となっては公爵が大切にするのもよく分かるよ」
レイリックはリリカを真っ直ぐと温かい目で見つめている。

「えっと、それはどういう……」
「リリカ嬢はとても優しい女性だからね」
「わっ、私が優しい、ですか?」
いきなりそう言われ、リリカは嬉しくて顔を少し赤らめる。

「ふふっ。そうだよ。もっと知りたいなら教えてあげるけど、どうする?」
「いっ、いえ、大丈夫ですわっ」

これ以上は私が耐えられないわ。
男性に免疫のないリリカは、すでに耐えることに限界だった。

「そう。残念だね。まだ色々教えてあげられるのに」
「~~っからかわないでくださいっ」
「事実だよ」
彼は笑みを浮かべている。

リリカは居た堪れない気持ちになり、つい目を逸らした。



**********

そうこうしているうちに王宮に到着した。リリカは馬車を降りると部屋に直行した。

「あんなこと、どうして恥ずかし気もなくはっきり言えるのよっ!!」
ベッドの上にうつ伏せになると、足をバタバタッと忙しなく動かしている。

“優しい”と一言言われただけでこの有り様である。リリカは容姿を褒められることはあっても内面を褒められるなんて初めてで、どう反応したらいいのか分からなかった。

それにあんな目で見つめられたら、勘違いしそうになるじゃないっ。



今日は眠れそうにないわ。
そう思っていたが、重いドレスを久しぶりに着て長時間動いていたため疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
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