契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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いざ豊穣祭へ

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「お待たせしました」

豊穣祭当日、リリカは用意されていた街娘風の服を着てレイリックの元へ向かった。レイリックも平民が着ていそうな服装をしていた。

こんな服着るの初めてね。ドレスと違って動きやすいし、良いかも。気に入ったわ。

「リリカ嬢、よく似合っているよ」
「あっ、ありがとうございます……」
リリカは頬が熱くなるのを感じた。

「じゃあ、行こうか」
「はい」



リリカたちが到着した頃にはすでにかなり盛り上がっていた。同じ街なのに普段とは全然雰囲気が違う。

この雰囲気だけでも充分楽しめそうだわ。
でも何か視線を感じるような気が……。
周りからチラチラと見られていることにリリカは気がついた。

平民ではないことに気づかれているのだろうと周囲の様子を見ていたレイリックはすぐに分かった。

平民の服装をしたところで持って生まれたオーラまで消すことは出来ない。

レイリック様はああ仰っていたけれど、もしかして、変だったのかしら。
リリカはどうして見られているかまでは気がついていなかった。

この豊穣祭は食べ物の屋台が主だ。他には外国から取り寄せた品が売られている屋台もある。

「外国の物を見てみたいですわ」
「それなら、あそこかな」

案内された屋台にはたくさんの商品が並べられている。ここだけ他の屋台とは規模が違う。

「ここは有名なお店なのですか?」
「そうだね。毎年出店しているからね」
「そうなのですね」

食器や食品、髪飾り、文房具、様々な物が売られていた。その中でリリカが目を留めたのは綺麗な装飾が施された髪飾りだった。

「わぁっ、綺麗ですわ」
その髪飾りにリリカは目を奪われてしまった。その様子をレイリックはじっと見つめていた。

「それが欲しいの?」
「はいっ」
「うんうん。リリカ嬢ならよく似合うだろうね。よしっ、店主、これを包んでくれ。いくらだ?」
「えっ!? じっ、自分で買えます」
「いいから。僕にプレゼントさせてよ。それでいくらなんだ?」
「1000アーリになります」
「えっ!?」

アーリはここアルマーニ王国で使われている通貨の単位だ。1アーリは100円程なので1000アーリは約10万円だ。屋台にしては高すぎるが、これだけ装飾が施されていたら当然とも言える。

パーティー用の飾りと比べるとお安いけれど、いくらなんでもそんな物を頂くわけには……。

「へぇ、思ったより安いね」
「ええ。ですのでどこの国に行っても人気の商品なんです」
「あのっ、やっぱり自分で買いますから」
「このぐらい僕にプレゼントさせてよ。はい、これで」
「ぴったり1000アーリですね。お包みしますね」

プレゼントされることは決定のようだ。
っていうか、こんな会話していたら変装して来た意味ないじゃない。平民は普通こんなお高い物買えないし。
もうとっくに気づかれているので、今更隠したところで意味はないのだが。

そして、レイリックから包まれた髪飾りを手渡された。

「ありがとうございます」
「いいよ。その代わりと言ってはなんだけど、今度、それを着けたら見せに来てよ」
「はい。もちろんです」



そのとき、ぐうっという音がリリカから鳴った。
「すっ、すみません……」
どうしてこのタイミングで……。恥ずかしすぎるわ。

美味しそうな匂いが辺りには漂っていて、それに釣られてしまったようだ。

「ふふっ、昼ご飯まだだったからね。何か食べようか」
「はいぃ……」
「何が食べたい?」
「あれっ!? あれはカステラでは!?」

前世で見知った物の姿が見え、ついはしゃいでしまう。

「えっと……ああそうだね。よく知っていたね。あまり有名ではないのに」
確かに他の屋台と比べると列は短い。

「えっ、ええ。以前本で見たことがあるのですわ」
「へぇ」
慌てて誤魔化したけれど、疑われているような気が……。

「あれが食べたいの?」
「はい。美味しそうですし」
「そうだね。じゃあ並ぼうか」

すぐに購入でき、ベンチに座って食べることにした。

「美味しいっ」
「うん。これは確かに美味しいね。どうして有名じゃないのか不思議なぐらいだよ」

味は前世で売られていた物と大して差がなかった。
まさか、また食べられるなんて思わなかったわ。



その後、食べ終わり満足したリリカとレイリックは王宮に帰って行った。
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