契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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髪飾り

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豊穣祭の翌日、早速リリカは豊穣祭でレイリックにプレゼントしてもらった髪飾りをレイナに着けてもらった。

「よくお似合いです、お嬢様」
「……レイリック様もそう思ってくださるかしら」
「ええ、もちろんですよ。さあ、殿下の元へ参りましょう」
「ええ、そうね。約束したもの」



レイリックの執務室に到着すると、ノックをして入室する。

「失礼いたしますわ」
「リリカ嬢? どうしたの? あっ、その髪飾りは」
「はい。ありがとうございました」
「早速着けてくれたんだね。凄く、似合ってるよ」
「あっ、ありがとうございます……」

その様子を後ろでレイナとロベルトは微笑ましく見ていた。

すると、レイリックはリリカに近付き突然、髪を掬い、キスを落とした。

「……へっ!?」
一瞬何が起こったのか分からなかったリリカだったが状況を理解すると恥ずかしくなり真っ赤になって、顔を逸らした。

えっ!? 今何されたの!? キッ、キキキキスされたの!? でっ、でもただの挨拶って可能性もあるし、私が知らないだけでこれが常識なのかもしれないし!! そうよっ、きっとそうに決まっているわっ!!



その様子を傍から見ていたロベルトは周囲に見せつけるかのようなレイリックの行動に、甘すぎて耐えられないとつい顔を逸らしていた。これは見ている方が恥ずかしくなるとも思っていた。婚約者もいない彼にとっては、幼馴染ではあるがレイリックの気持ちが理解出来なかったのだ。



「ふふっ、可愛いね」
「なっ!? おおお面白がってますわねっ!!」
「いや、事実を言っただけだよ」
「っご、ご冗談をっ」
「いや、冗談なんかじゃないよ。リリカ嬢は綺麗で可愛い僕の大切な婚約者だよ」
「っ!! もう無理……」
レイリックの言葉を聞いた瞬間、足元がふらつくのを感じた。

「えっ!? リリカ嬢!?」
「お嬢様!?」
慌ててレイリックがリリカの身体を支えた。

レイリックの甘すぎる言動に限界に達したリリカはそのまま気を失ってしまった。



**********

「ん……」
リリカは目を覚ますと自室のベッドの上にいた。

「お嬢様、目を覚まされたのですね!!」
「レイナ、えっと……」

そうだ。私、あ、あんなことされて、すでに頭が回らなくなってきてたのに、ああ言われて、それで限界になって倒れたのよね……。ううっ、思い出したらまた恥ずかしくなってきたわ。
リリカの顔が火照っていく。

だからといって、あれだけで倒れる?普通……。いくら経験なくても、そんなことってある!?

「お嬢様、大丈夫ですか?」
「えっ、ええ、なんとか大丈夫よ。あれからどのくらい時間たったのかしら?」
「半日程ですよ」
先程まで朝だったのに外はすっかり暗くなっている。

「そうなのね」
数日経っているなんて言われたらどうしようかと思ったけれど、まだ半日で良かったわ。

「お茶をどうぞ」
レイナはリコルテを淹れて渡してくれた。
「ふうっ。ありがとう。落ち着いたわ」
「では、私はお嬢様が目を覚まされたことをお伝えして来ますね」
「ええ」



**********

「失礼いたします」

黙々と集中して書類を捌いていたレイリックは執務室に侍従が入って来たことにすら気付いていない。リリカが倒れてから、ずっとこの調子で、ひたすら書類と向き合っている。

レイは昔から嫌なこととかあると休みもせずずっと仕事してるんだよな。リリカ嬢が倒れて不安なのは分かるが、その気持ちを打ち消すためとはいえ、仕事のペースもいつもより格段に早いし、こっちが追いつかないっつうのっ。



「ああ、えっと、どうした?」
ようやく侍従の存在に気づき、レイリックは尋ねた。

「リリカ様がお目覚めになられたとのことです」
その言葉を聞いたレイリックがようやく手を止め、顔を上げた。

「本当か!?」
「はい」
「良かった……。リリカ嬢には、『申し訳なかった、ゆっくり休んでくれ』と伝えてくれ」
「かしこまりました」
侍従は一礼すると退室した。

「……お前は会いに行かないのか?」
「また、倒れても困るから……」
「あのなあ。全くお前は……。適度に加減すればいいんだよ。心配なんだろ。ならとにかくまずは会いに行けっ」
ロベルトはそう言って背中を押して、執務室の外に無理矢理出した。

レイリックは重い足を動かして、リリカの部屋へと向かった。
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