契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです

星月りあ

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公爵と婚約者のデート2

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「あら? お嬢様、そちらはもしかして」
部屋に戻ったスカーレットが何かの包みを大切そうに持っている姿を見て、侍女が声を上げる。

「ええ、プレゼントして頂いたの」
「良かったですね」
「ええ。……でも私、やっぱりこんな格好似合っていなかったんじゃないかしら」
「どうしてそう思われるのですか?」
「だってウィル、何も言ってくれなかったの」
ずっとウィルからの視線は感じていた。だけど何も……。変すぎて見られていたんじゃないかしら……。

「えっ、こんなにお綺麗なお嬢様を見てですか!? 信じられない。きっと素敵すぎて言葉が出なかっただけですよ」
「そうだといいのだけど……」
「ええ、そうですよ。そうじゃないなら目が節穴ですね、うちの旦那様は」
「ふふっ、ありがとう」
「いえ、では私はこれで」
侍女は足早にどこかに向かっていった。



**********

「旦那様、いかがでしたか? デートは」
「ああ、そうだな。リリカの話しじゃなくても意外と会話が出来るものだな」
「それが普通なのですけどね」
呆れ気味に執事は言う。

バンッと音を立て、扉が開く。
「失礼します」
「こら、ノックをしなさい」
突然入ってきた侍女に執事が注意する。

「すみません。ですが旦那様に申し上げたいことがあって来たんです」
「なんだ?」
「どうして……どうしてお嬢様に何も仰ってくださらなかったのですか!?」
「何の話しだ?」
「お嬢様のあのお姿を見て、何とも思わなかったのですか!?」
「ん? まさか旦那様、何も褒めて差し上げなかったのですかな?」
執事も一緒になって詰め寄られる。

「っそれは……確かに綺麗だとは思ったが……」
「ほほう、そういうことですか」
何かを察したような目で見られる。

「そういうことは一言でもいいですので、きちんと言葉になさらないと。それだからお嬢様も不安がるのですよ?」
「同感ですな」
「なに?」
「今まで女性とまともに接したことないですからね、旦那様は」
「まあ、それは否定しないが……」
これまで仕事以外で接した女性とは愛らしい妹のことしか話したことがない。それ以外の会話など皆無で。そういえば、どこかの令嬢に服装がどうとか聞かれたことがあるような。あのときはわざわざ答える必要もないと軽く流していたが、女性はそういうことを気にするのか。

「とにかく今からでもお嬢様にお伝えください」
「……分かった」

ウィリアムは腰を上げ、スカーレットの部屋へと向かった。



**********

「少しいいだろうか」

外から聞き慣れた声がして、スカーレットは慌てて扉を開けた。

「ウィル? どうされました?」
部屋まで訪ねてくることなど滅多になかったため、困惑が隠せなかった。

「そ、その、今日の格好、良く似合っていた。綺麗、だった」
「!? あっ、ありがとうございます……」
緊張気味に告げられた言葉に、頬が熱を帯びる。

「あ、ああ、じゃあおやすみ」
「はい、おやすみなさいませ」
スカーレットは去っていくウィリアムの背中を見送った。

何事かと思ったけれど、それだけを伝えに来られるなんて……。変じゃなかったのね。良かったわ。

ずっと不安がっていたスカーレットは一安心し、それと同時に嬉しさが込み上げて来て、思わず座り込んでしまった。
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